にない(似ない) 形容詞


[関連語]


<語義>
似ていない

<経緯>
似ていないの短縮とされる。

この語がWikipediaにおいて若者言葉と判断された理由としては、本来「似ている」の否定形「似ていない(似てない)」が使用されるべき環境で「似ない」が用いられると不自然であるからということがあげられるだろう。状態性の「似ている」に対して、「似る」だと意思性が感じられるためだと思われる。実際google検索では、「AはBに"似ている"」というような意思性を含まないと思われる環境での「似ない」の例が複数見られた(が、その判断の難しい用例も多く下では用例数を挙げなかった)。

この様な、不自然と感じる人もいるような変化が生じた理由としては「本来意思性とは無関係なように感じられる『似る』という現象を、あえて状態性の形式(~テイル)にする必要が無い」という判断があったためと思われる。

<語法>

<使用場面>
(本来的用法:意思的な状況)

「似顔絵が、なぜ似ないのか?」

似顔絵は似るように書く、似せて書く、という意思的動作である。従ってこの結果「似ていない」のであれば「似ない」がおそらく自然である。しかし具体的な絵についての話題では、「似てない」とどちらが自然か判断が難しい例も多い。


(若者言葉的用法:無意識的)

「みくみくにしてあげるを似ないけど歌ってみた」

状況が不明確ではあるが「絵を描いたけど、似ない」と比べると状況が異なるようだ。「絵を描いたけど」の場合、絵が完成しており、状況として「似ているか似ていないか」を述べるならば「テイル」が必要となり、変化の過程(絵の描き始めから描き終わり?)で「似ている」という状況に近づかない場合ならば「似ない」でも使用可能であったと考えられる。絵を描くという状況と違い、歌うという行為は歌い始めた時点で「似ているか似ていないか」が決まるものと思われる(もちろん出だしが悪かったが後半…ということも考えられるが、絵の場合は書き始めた時点では全く判断できない)。このように、無意思的であると考えられる状況での「似ない」が若者言葉的と判断されているようだ。

「なんなんでしょうねぇ、芸能人には誰にも似ないのに、一般的な顔?」

親に似る・似ない、とは別で、芸能人に似るというのは変化の過程を経ないのでは。という観点からすると、これも無意思的に「似ない」が使用されている例ということに。


(判断に迷う例)

「そんなとこ似ないで~!!」

本来「テイル」形は命令形にならないため、無意識的な「似ている」状況であっても命令であれば「似ないで」となるだろう。というか「(意識的に)似ている状況を撤回して欲しい」という含意があるものと思われる。

「おかみさんは、つくづく「子供は親に似ないものだ」と思いながら」

「似ていないものだ」とするとやや不自然な例かもしれない。子どもは生まれつき「似ている」のではなく、成長と共に「似ていく」ものである/でないという含意が感じられる。

<実態>
〔2007.Wikipediaより〕「似ていない」の略。
corpusWWW〕測定不能:100例中、絵が似ない/親に似ないなどの例を除くと上記2例のみ。
  • 「みくみくにしてあげる」を…の例だが、「初音みく」というソフトは歌を「歌わせる」ソフト。であるという点を加味すると、「似せて歌わせる」という含意が生じ、意思性も認められるのでは… -- (二式) 2008-03-14 02:21:40
  • 追加:「みくみくにしてあげる」は「初音ミク」というソフトの主題歌だと思ってください。(厳密には違うよね?) -- (二式) 2008-03-14 02:22:53
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最終更新:2008年03月14日 02:19