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ああっ、侍さまっ」(2015/03/15 (日) 17:03:49) の最新版変更点

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「落ち着いたか音無」 「あぁ、なんとかな」 「そっか、良かった」 俺と相沢はあの化け物2人から死に物狂いで逃げ出した。 まぁ、俺も何度か死んだのだから死に物狂いなんてのも変だが。 それからもしばらく動いた俺と相沢。 「しかしこれからどうしような音無」 「そうだなー……」 相沢の提案に考える俺。 無闇に逃げているだけじゃまた危険な奴と出会ってしまうかもしれない。 ただ動かないのも敵を待つ様なものだし……。 となると襲われにくい環境を作ってやれば良い。 その為には……。 「まずは仲間探しじゃないか音無?」 「それが一番か……」 やはりそうであろう。 俺もその事が真っ先に思い浮かんだ。 だが奏や日向や椎名は大丈夫だろう。 直井は人殺しはしそうだが、俺の事を慕っている。 奴は俺相手なら問題ないが相沢が若干やばいかもな。 だが一番の悩みの種はゆりだ。 『どうせ私達は生き返るでしょ?』とか言いそうだ。 どうせ反論しても、『何よ、日向君や大山君ならすぐに死んでくれるわよ!』とか言うんだ。 いや、死ぬわけねーだろ。 んでゆりが死ねば良いじゃんとか言っても、『なんの為の駒よ?』ってもう扱いが面倒そうだ。 『もう良いから死ねーっ!』って銃でバーン!って撃たれて俺死にそうだなー……。 やばい。 想像が当てはまりそうで嫌だ……。 「おい、どうした音無?顔青いぞ?」 相沢にはまだ早い。 この事は秘密にしといた方が良いかもな。 「いや、なんでもない。だが仲間集めは大事だと思う」 そう言うとデイパックから名簿を見せ、俺に見せる様に向けた。 「だな。俺の親友で信じられるのは川澄舞、倉田佐祐理、水瀬名雪、北川潤だ。……ん?北川の名前潤っていうのか」 「…………」 あれ? 今の北川って奴本当に信頼出来る? いやそんな事いったら俺だって下の名前知らない奴多いけど。 椎名、野田、高松、藤巻、遊佐、大山、竹山、岩沢、関根、入江、。 上の名字を知らない奴。 ユイ、ひさ子。 名前かどうかすらわかんない奴。 TK。 つい最近まで名前忘れてた奴。 俺。 「…………」 「どうした音無?」 「だ、大丈夫だ」 本当に仲間と呼んでいいのかわからなくなってしまった……。 いや、死んだ世界戦線メンバーが異常なだけだ。 そうであると信じたい。 「んでお前の仲間は参加させられているのか?」 「ん、あぁ……。だが俺の仲間は一癖も二癖も変わった奴しか居ないんだけど……」 「お前も苦労人だなー」 共感してくれた。 確かに苦労人みたいな顔付きはしているのだが、逆にこちらも苦労させる側にも見える。 「立華奏、日向秀樹、椎名はおそらく大丈夫。直井文人は俺以外にはちょっと喧嘩腰になりやすい。仲村ゆりはー……まぁ大丈夫じゃないか?」 「何故俺に問いかける!?」 ドSなリーダー気質の事を言おうと思ったが辞めておいた。 だがその部分がなければ心強いだろう。 ゆりなら最後まで抗ってみせそうだ。 「なんか釈然としないがその仲間の事を中心に仲間になれる奴を探していこう」 「あぁ、そうだな」 俺と相沢。 とりあえず方針は決まった。 今すぐ仲間を探しに出る。 これから行動に移す――はずであった。 「なるほど。なら貴様らは戦うつもりはないと……」 どこからか渋い声が響く。 そして……。 「ぐはっ……!?」 「相沢っ!?」 相沢の体に斬られた跡が付けられた。 まばたきする間もなかった瞬間であった。 「ならば戦わせようとするのみ」 影が形を作り上げる。 そして1人の男が浮かび上がる。 「な、何者だ……」 相沢がうつ伏せになりながら斬った主まで顔を上げている。 その目線の先には、紫の羽織姿の侍の格好をした人物が刀を構えこちらに向いていた。 「アサシンのサーヴァント佐々木小次郎」 暗い空が彼の登場を喜び明るくなった気がした。 「さ、佐々木小次郎だと!?」 日本の中でも有名な侍。 剣豪である宮本武蔵と巌流島で戦ったとされる剣士。 生前というかどこでだって聞ける名前だなそれは。 「でも……?」 それは確か実現したかどうか曖昧な人物なはず。 いや、彼が佐々木小次郎本人であるわけがない。 俺は拳銃を構える。 「顔付きは良し、では参る」 と、素早い移動で俺に向けて走ってくる。 人間の速さじゃない。 俺の拳銃は先程眼帯男が乱入した時に撃ちそこねていた為に安全装置が外れていた。 それが運良くすぐに引き金が引ける状況となっていた。 「はぁっ!」 銃弾が放たれる。 だが佐々木はそれを体を傾け、優雅に受け流す。 「甘い、その程度軽くかわせるわ」 そしてまたこちらに迫る。 間合いも先程より短く、安全装置は今外れていない。 佐々木は刀でこちらを斬る気満々だ。 「危ない!音無!」 大声と共になにか頼りなさげなものが飛んでくる。 ――キンッ! おもちゃのナイフが佐々木に投げられたのを弾く。 すぐにおもちゃのナイフを投げたのが誰か想像がついた。 「無理するな相沢!」 「いや、傷が浅いから大丈夫だ」 本当に大丈夫らしく相沢が木刀を構えながら立ち上がる。 ただの木刀なら頼りなく思えたであろう。 だが相沢の持つ木刀はしっかりと研がれていて、『風林火山』と彫られていて歴史を感じさせる。 それに口では言えないが多分相当力のある木刀だ。 「む?貴様その木刀は宝具か?」 「知らねーよ。だがお前を倒す木刀だ!」 自信満々に笑う相沢。 彼の闘志は激しく燃え上がっていた。 「よし!協力だ相沢!」 俺は拳銃を佐々木に向ける。 ……が、相沢がなんのリアクションも起こさない。 「どうした相沢?戦うぞ?」 そう言ったのだが相沢は微妙な顔をしていた。 目を深く閉じ、何かを深く考えて悩んでいる優柔不断な顔。 だが、目が開かれた瞬間にそれは決意の顔へと変貌した。 「逃げろ音無、この侍野郎は俺がぶっ倒す!」 今、こいつは何を言った? 反論するに決まっている事を言わなかったか? 「待て、お前死ぬ気か!?」 「死ぬわけねーだろ!ただ追い払うだけだ!だから逃げて俺と後で合流だ」 どうする俺は? このまま相沢を見殺しにしても良いのか? だが逃げないと相沢の命を無駄に無くしてしまうし、俺も多分殺されるだろう。 相沢の行為自体が無駄になる。 それなら俺は―――。 「良いんだな相沢?」 「あぁ、舞に佐祐理さんに名雪に北川に会えたらよろしく言っておいてくれ」 「……あぁ」 走る。 先程は相沢と肩を並べた逃走。 仲間も居た。 だが今回は違う。 1人で、この相沢が繋いでくれた命を繋げて仲間に伝えていかなければ……。 後ろは振り向かない。 相沢の無事を祈りながら俺は1人背中を向けた。 【E-5 野原/早朝】 【音無結弦@Angel Beats!】 【装備:CZ75 14/15@現実】 【所持品:支給品一式 CZ75の弾丸30/30 ランダム支給品×2】 【状態:疲労(中)、健康】 【思考・行動】 1:殺し合うつもりはなく、このゲームからの脱出を考えている。 2:今は逃げて仲間を探す。 3:相沢……無事でいてくれ。 【備考】 ※ユイ消滅より少し前からの参戦。 ※祐一を別世界の死後の世界の住人だと思っており、祐一の言う魔物を奏の様な人間だと思っております。 ※水瀬名雪、川澄舞、倉田佐祐理、北川潤の名前を知りました。 ◆  ◆  ◆ 音無の背中が見えなくなる。 一番最初にした俺の行動は――。 「ありがとうよ、佐々木小次郎」 敵へ感謝する事であった。 「敵に礼か?おかしな奴だ」 「音無を狙わないでくれただろ?」 「武士の情けだ、私にかかればそなたらなどすぐに片を付けられる」 佐々木小次郎は再戦とばかりに力を放出している様だった。 こりゃあ舞が戦っている魔物より見えるのはマシだが、魔物より遥かに強い奴じゃねーか。 俺と佐々木小次郎が強く向き合う。 「そなた名は?」 「相沢祐一」 「勇ましい名前だな」 「そんなに気に入っている名前でもないんだがありがとうな」 そういえば真琴と名前の話をしたっけ? こないだの話なのに随分と前にした会話の様な気がする。 いや、こんな状況だから懐かしく感じるのか? 俺が死んだら、俺を嫌う真琴含め、両親と秋子さん、あゆ、香里、そしてこのゲームに巻き込まれた名雪、北川、佐祐理さん、音無。 そして俺が今一番気になっている舞も悲しんでくれるかな? (弱気になるんじゃねぇ!) 無理だ、勝てるわけない……。 (死ぬわけねぇだろうが!) 無理だ、殺される……。 「負けるかよぉ!」 木刀の刃を地面にこすりつけながら佐々木小次郎に踏み込む。 「おりゃあ!」 砂をばらまく形にする。 が、上手く砂は広まらない。 「そんな小細工など用心に値せず」 一閃。 一筋の切り傷が首に走る。 「ぐああっっっ!?」 首輪の若干上辺りから血を流し、首輪に溜まっていく様が気持ち悪いながらわかる。 拭き取りたい。 だが時間もなければ、拭き取る道具すらもない。 「そなたはまだ逃げぬか」 「お前に背中を向けられるわけがねぇ!」 音無の様に俺が逃げたら背中へ一撃。 すぐに殺されるだろう。 「はじめて使う刀だか忘れたが使ってみよう」 「佐々木小次郎だからって燕返しってか?」 「残念ながらそなた相手に使う様な燕返し(技)ではない」 刀を縦に持つ。 ただ不用心に立っているだけ。 それなのに何故こんな嫌な予感が離れないのか? 何故一瞬で殺されると思ったのか? すぐ答えはわかる。 「散れ、千本桜」 刀の刀身が消えた。 いや、バラバラに別れた。 それは俺を殺す技(攻撃)とはわかっているのに……。 「キレイだ……」 ただ褒め言葉しか浮かばなかった。 侮辱をさせない、そんな風に俺は言われた気がした。   ◆  ◆  ◆ 「散ったか……」 ふむ。 はじめて使った斬魄刀とやらの解放であったがどうやら我々サーヴァントの宝具の様であった。 桜の花びらの様に美しい刀は私とてはじめて見た。 生前の花を眺めながらの酒を飲んだ光景が思い浮かぶ。 本来私は佐々木小次郎などという名前ではないただの剣術に長けたという農民に過ぎない。 それがこのバトルロワイアルとやらの参加者である女狐(キャスター)に呼ばれたに過ぎん。 「相沢祐一だったか、お主との戦いもう少し楽しめると思ったが残念なり」 せめて逃げ出したあの男も居ればもう少し楽しめたであろうか。 私は優勝する為ではなく、女狐に捕らわれぬ今、強者と思う存分戦いたいだけだ。 その強者とは思ったのだが所詮はケツの青い少年達ではあったのだが。 「もう少し楽しめると思った?まだテメェは勝ってすらいないのにか?」 もはや聞き慣れた声。 その声は散ったはずの少年、相沢祐一のものであった。 「なんだと……?」 ありえん。 そんなはずはない。 あの桜吹雪に全身を切り刻まれたはず!? 「驚くなよ佐々木小次郎?」 この男、化け物なのか? いっそう深く刀を構える。 「化け物なのは貴様なんじゃないのか?」 先程よりケガが増えた程度。 相沢祐一という男はまだ戦える体力、折れぬ心を持っていた。   ◆  ◆  ◆ 花びらが俺を襲う。 首を切り刻もうと。 手を切り刻もうと。 指を切り刻もうと。 腕を切り刻もうと。 肘を切り刻もうと。 胸を切り刻もうと。 腹を切り刻もうと。 脚を切り刻もうと。 足を切り刻もうと。 顔を切り刻もうと。 ――全身を切り刻もうと。 全てが包み込む様に襲う花びら。 だが木刀がそれを許さぬと潜在能力を引き出すかの様に勝手に体が動いた。いや、動かされた。 気づけばほとんどの花びらを叩きつけた光景が広がっていた。   ◆  ◆  ◆ 「フフフ、面白いなそなた」 佐々木小次郎が今まで俺や音無を斬りつける時以上に楽しそうな表情で見上げていた。 「いや、刀の能力だとしてもそれでも立ち向かう心良しとする」 「天才の剣士に言われると照れるぜ」 全然嬉しくはないんだがな。 照れるのもだいたい嘘である。 「では正々堂々と」 「あぁ!」 佐々木小次郎と俺。 素早く駆けつけ佐々木小次郎は刀を、俺は木刀を振るう。 ガンッ! 普通は折れるであろう木刀。 だが強度は相当強いらしく、本物の刃を使っている刀と同格の硬さを誇っていた。 「くらえっ!」 振るう木刀。 避けられる一撃。 「はっ!」 振るわれる刀。 避ける一撃。 剣士と高校生。 火を見るより明らかな戦いは平行線を辿っていた。 だが体力と経験。 サーヴァントか人間。 先にダメになるのは言わずもがなである。 「はぁ、はぁ、はぁ……。はぁ……はぁ……」 脳みそに酸素が行き渡らない。 目の前は真っ白。 揺れる視界。 限界の体。 棒の様な脚、腕。 俺は何をしているんだ。 ……舞だったら。 普段から戦っている舞が俺の立場であったらどうするんだろうな。 「限界の様だな」 佐々木小次郎。 未だに体力は減ってはいなく、ほぼ無傷。 俺の負けだ……。 「倒してはおきたいがつまらん」 刀を鞘にしまう侍。 もう充分とその表情は言っていた。 「待てよ、佐々木小次郎……」 「勘違いするな相沢祐一、このままそなたを回復させて、貴様がもっと強くなったところを私が殺すまで。生かされたと思うなよ、死が伸びただけだと思え」 死が伸びただけ。 彼はまた俺を殺すつもりでいる。 「私もまだまだ甘い」 どこまでが本当で、どこが嘘かはわからない。 だが彼は今は逃がしてはくれるらしいのは察しられる。 「そうだ、どこかに強者は居ないか相沢祐一?」 また彼は俺と戦ったみたく誰かと戦うのであろう。 だから教えてやった。 「……【E-6】に強い2人が戦っているはずだ」 「ほぅ」 「両方の目玉が大きい化け物みたいな奴で触手を出したりする奴、もう片方も化け物みたいな人間でツンツン頭の眼帯男だ」 「なるほど。強そうな予感がするな」 佐々木小次郎は俺から離れて行く。 これからも彼は戦い続けるのだろう。 「お前なんかどっちかにやられちまえ!」 「そなたと再戦するまで私は死なないさ。因みに名簿では佐々木小次郎ではなくアサシンと書かれてあるから私の死の報告が聞けるかどうか試してみればよかろう」 俺はいずれこの男、佐々木小次郎と決着をつけたい。 はじめて少年マンガの主人公の気持ちがわかった。 既に侍の姿はない。 【アサシン@Fate/stay night】 【装備:千本桜@BLEACH】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:疲労(小)、健康】 【思考・行動】 1:強い者の為に刀を振るう。 2:相沢祐一といずれ決着を付ける。 3:相沢祐一の手がかりを元に強い者と戦う。 【備考】 ※セイバールートのセイバー戦以後からの参戦。 ※一応燕返しは出来ますが物干し竿がないと本来の力は使えません。   ◆  ◆  ◆ 「引き分けか……?いや、これは負けだ……」 その場に倒れ込む。 首輪に溜まった血が気持ち悪い。 「だが生きているだけまだマシか……」 ゲーム開始からどのくらい経っただろうか? よくわからない。 ただ佐々木小次郎と戦ったさっきの時間はすごく濃密な時間だと思わされた。 「音無……。俺は死んでねーからな!……せっかく逃がしてやったんだから死ぬなよ!」 もはやどちらに向かったかすら覚えていない。 これから音無を探すにも手がかりは0。 「まぁ、良い。とりあえず動けるぐらいまで休んでいても罰は当たらないよな」 音無に追いつきたいのは山々。 だがそれも今は出来ない。 まぁ、のんびり探せばいずれ見つかるだろう。 こんな島なのだから。 「絶対佐々木小次郎は俺がぶっ倒して屈伏させてやりてぇ……」 仲間探し。 それ以上に俺は打倒佐々木小次郎の事から頭が離れられないでいた。 【相沢祐一@Kanon】 【装備:木刀正宗@ハヤテのごとく!】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×1】 【状態:疲労(大)、傷(大)】 【思考・行動】 1:佐々木小次郎を屈伏させたい。 2:殺し合うつもりはなく主催者に怒りを感じている。 3:音無と仲間を探す。 【備考】 ※舞ルート確定直前からの参戦。 【千本桜@BLEACH】 朽木白哉の斬魄刀。解号は『散れ、千本桜』。解放すると刀身が花びらの様に別れて鋭い刃と化する。 【おもちゃのナイフ@リトルバスターズ!】 本編では武器扱い。名の通りただのおもちゃの為、殺傷能力は0。 【木刀正宗@ハヤテのごとく!】 潜在能力を極限まで引き上げる鷺ノ宮家に伝わる宝具。『風林火山』と彫られている。 |[[仮面は微笑む。]]|時系列|[[中二病でも殺したい!]]| |[[にげないで 過ちも 真実も 嘘も 全て赦す魔法へと変えよう]]|投下順|[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]| |[[その男ら、凶暴につき]]|音無結弦|[[学園黙示録]]| |[[その男ら、凶暴につき]]|相沢祐一|[[撫子の唄]]| |&color(cyan){START}|アサシン|[[セッキン]]|
「落ち着いたか音無」 「あぁ、なんとかな」 「そっか、良かった」 俺と相沢はあの化け物2人から死に物狂いで逃げ出した。 まぁ、俺も何度か死んだのだから死に物狂いなんてのも変だが。 それからもしばらく動いた俺と相沢。 「しかしこれからどうしような音無」 「そうだなー……」 相沢の提案に考える俺。 無闇に逃げているだけじゃまた危険な奴と出会ってしまうかもしれない。 ただ動かないのも敵を待つ様なものだし……。 となると襲われにくい環境を作ってやれば良い。 その為には……。 「まずは仲間探しじゃないか音無?」 「それが一番か……」 やはりそうであろう。 俺もその事が真っ先に思い浮かんだ。 だが奏や日向や椎名は大丈夫だろう。 直井は人殺しはしそうだが、俺の事を慕っている。 奴は俺相手なら問題ないが相沢が若干やばいかもな。 だが一番の悩みの種はゆりだ。 『どうせ私達は生き返るでしょ?』とか言いそうだ。 どうせ反論しても、『何よ、日向君や大山君ならすぐに死んでくれるわよ!』とか言うんだ。 いや、死ぬわけねーだろ。 んでゆりが死ねば良いじゃんとか言っても、『なんの為の駒よ?』ってもう扱いが面倒そうだ。 『もう良いから死ねーっ!』って銃でバーン!って撃たれて俺死にそうだなー……。 やばい。 想像が当てはまりそうで嫌だ……。 「おい、どうした音無?顔青いぞ?」 相沢にはまだ早い。 この事は秘密にしといた方が良いかもな。 「いや、なんでもない。だが仲間集めは大事だと思う」 そう言うとデイパックから名簿を見せ、俺に見せる様に向けた。 「だな。俺の親友で信じられるのは川澄舞、倉田佐祐理、水瀬名雪、北川潤だ。……ん?北川の名前潤っていうのか」 「…………」 あれ? 今の北川って奴本当に信頼出来る? いやそんな事いったら俺だって下の名前知らない奴多いけど。 椎名、野田、高松、藤巻、遊佐、大山、竹山、岩沢、関根、入江、。 上の名字を知らない奴。 ユイ、ひさ子。 名前かどうかすらわかんない奴。 TK。 つい最近まで名前忘れてた奴。 俺。 「…………」 「どうした音無?」 「だ、大丈夫だ」 本当に仲間と呼んでいいのかわからなくなってしまった……。 いや、死んだ世界戦線メンバーが異常なだけだ。 そうであると信じたい。 「んでお前の仲間は参加させられているのか?」 「ん、あぁ……。だが俺の仲間は一癖も二癖も変わった奴しか居ないんだけど……」 「お前も苦労人だなー」 共感してくれた。 確かに苦労人みたいな顔付きはしているのだが、逆にこちらも苦労させる側にも見える。 「立華奏、日向秀樹、椎名はおそらく大丈夫。直井文人は俺以外にはちょっと喧嘩腰になりやすい。仲村ゆりはー……まぁ大丈夫じゃないか?」 「何故俺に問いかける!?」 ドSなリーダー気質の事を言おうと思ったが辞めておいた。 だがその部分がなければ心強いだろう。 ゆりなら最後まで抗ってみせそうだ。 「なんか釈然としないがその仲間の事を中心に仲間になれる奴を探していこう」 「あぁ、そうだな」 俺と相沢。 とりあえず方針は決まった。 今すぐ仲間を探しに出る。 これから行動に移す――はずであった。 「なるほど。なら貴様らは戦うつもりはないと……」 どこからか渋い声が響く。 そして……。 「ぐはっ……!?」 「相沢っ!?」 相沢の体に斬られた跡が付けられた。 まばたきする間もなかった瞬間であった。 「ならば戦わせようとするのみ」 影が形を作り上げる。 そして1人の男が浮かび上がる。 「な、何者だ……」 相沢がうつ伏せになりながら斬った主まで顔を上げている。 その目線の先には、紫の羽織姿の侍の格好をした人物が刀を構えこちらに向いていた。 「アサシンのサーヴァント佐々木小次郎」 暗い空が彼の登場を喜び明るくなった気がした。 「さ、佐々木小次郎だと!?」 日本の中でも有名な侍。 剣豪である宮本武蔵と巌流島で戦ったとされる剣士。 生前というかどこでだって聞ける名前だなそれは。 「でも……?」 それは確か実現したかどうか曖昧な人物なはず。 いや、彼が佐々木小次郎本人であるわけがない。 俺は拳銃を構える。 「顔付きは良し、では参る」 と、素早い移動で俺に向けて走ってくる。 人間の速さじゃない。 俺の拳銃は先程眼帯男が乱入した時に撃ちそこねていた為に安全装置が外れていた。 それが運良くすぐに引き金が引ける状況となっていた。 「はぁっ!」 銃弾が放たれる。 だが佐々木はそれを体を傾け、優雅に受け流す。 「甘い、その程度軽くかわせるわ」 そしてまたこちらに迫る。 間合いも先程より短く、安全装置は今外れていない。 佐々木は刀でこちらを斬る気満々だ。 「危ない!音無!」 大声と共になにか頼りなさげなものが飛んでくる。 ――キンッ! おもちゃのナイフが佐々木に投げられたのを弾く。 すぐにおもちゃのナイフを投げたのが誰か想像がついた。 「無理するな相沢!」 「いや、傷が浅いから大丈夫だ」 本当に大丈夫らしく相沢が木刀を構えながら立ち上がる。 ただの木刀なら頼りなく思えたであろう。 だが相沢の持つ木刀はしっかりと研がれていて、『風林火山』と彫られていて歴史を感じさせる。 それに口では言えないが多分相当力のある木刀だ。 「む?貴様その木刀は宝具か?」 「知らねーよ。だがお前を倒す木刀だ!」 自信満々に笑う相沢。 彼の闘志は激しく燃え上がっていた。 「よし!協力だ相沢!」 俺は拳銃を佐々木に向ける。 ……が、相沢がなんのリアクションも起こさない。 「どうした相沢?戦うぞ?」 そう言ったのだが相沢は微妙な顔をしていた。 目を深く閉じ、何かを深く考えて悩んでいる優柔不断な顔。 だが、目が開かれた瞬間にそれは決意の顔へと変貌した。 「逃げろ音無、この侍野郎は俺がぶっ倒す!」 今、こいつは何を言った? 反論するに決まっている事を言わなかったか? 「待て、お前死ぬ気か!?」 「死ぬわけねーだろ!ただ追い払うだけだ!だから逃げて俺と後で合流だ」 どうする俺は? このまま相沢を見殺しにしても良いのか? だが逃げないと相沢の命を無駄に無くしてしまうし、俺も多分殺されるだろう。 相沢の行為自体が無駄になる。 それなら俺は―――。 「良いんだな相沢?」 「あぁ、舞に佐祐理さんに名雪に北川に会えたらよろしく言っておいてくれ」 「……あぁ」 走る。 先程は相沢と肩を並べた逃走。 仲間も居た。 だが今回は違う。 1人で、この相沢が繋いでくれた命を繋げて仲間に伝えていかなければ……。 後ろは振り向かない。 相沢の無事を祈りながら俺は1人背中を向けた。 【E-5 野原/早朝】 【音無結弦@Angel Beats!】 【装備:CZ75 14/15@現実】 【所持品:支給品一式 CZ75の弾丸30/30 ランダム支給品×2】 【状態:疲労(中)、健康】 【思考・行動】 1:殺し合うつもりはなく、このゲームからの脱出を考えている。 2:今は逃げて仲間を探す。 3:相沢……無事でいてくれ。 【備考】 ※ユイ消滅より少し前からの参戦。 ※祐一を別世界の死後の世界の住人だと思っており、祐一の言う魔物を奏の様な人間だと思っております。 ※水瀬名雪、川澄舞、倉田佐祐理、北川潤の名前を知りました。 ◆  ◆  ◆ 音無の背中が見えなくなる。 一番最初にした俺の行動は――。 「ありがとうよ、佐々木小次郎」 敵へ感謝する事であった。 「敵に礼か?おかしな奴だ」 「音無を狙わないでくれただろ?」 「武士の情けだ、私にかかればそなたらなどすぐに片を付けられる」 佐々木小次郎は再戦とばかりに力を放出している様だった。 こりゃあ舞が戦っている魔物より見えるのはマシだが、魔物より遥かに強い奴じゃねーか。 俺と佐々木小次郎が強く向き合う。 「そなた名は?」 「相沢祐一」 「勇ましい名前だな」 「そんなに気に入っている名前でもないんだがありがとうな」 そういえば真琴と名前の話をしたっけ? こないだの話なのに随分と前にした会話の様な気がする。 いや、こんな状況だから懐かしく感じるのか? 俺が死んだら、俺を嫌う真琴含め、両親と秋子さん、あゆ、香里、そしてこのゲームに巻き込まれた名雪、北川、佐祐理さん、音無。 そして俺が今一番気になっている舞も悲しんでくれるかな? (弱気になるんじゃねぇ!) 無理だ、勝てるわけない……。 (死ぬわけねぇだろうが!) 無理だ、殺される……。 「負けるかよぉ!」 木刀の刃を地面にこすりつけながら佐々木小次郎に踏み込む。 「おりゃあ!」 砂をばらまく形にする。 が、上手く砂は広まらない。 「そんな小細工など用心に値せず」 一閃。 一筋の切り傷が首に走る。 「ぐああっっっ!?」 首輪の若干上辺りから血を流し、首輪に溜まっていく様が気持ち悪いながらわかる。 拭き取りたい。 だが時間もなければ、拭き取る道具すらもない。 「そなたはまだ逃げぬか」 「お前に背中を向けられるわけがねぇ!」 音無の様に俺が逃げたら背中へ一撃。 すぐに殺されるだろう。 「はじめて使う刀だか忘れたが使ってみよう」 「佐々木小次郎だからって燕返しってか?」 「残念ながらそなた相手に使う様な燕返し(技)ではない」 刀を縦に持つ。 ただ不用心に立っているだけ。 それなのに何故こんな嫌な予感が離れないのか? 何故一瞬で殺されると思ったのか? すぐ答えはわかる。 「散れ、千本桜」 刀の刀身が消えた。 いや、バラバラに別れた。 それは俺を殺す技(攻撃)とはわかっているのに……。 「キレイだ……」 ただ褒め言葉しか浮かばなかった。 侮辱をさせない、そんな風に俺は言われた気がした。   ◆  ◆  ◆ 「散ったか……」 ふむ。 はじめて使った斬魄刀とやらの解放であったがどうやら我々サーヴァントの宝具の様であった。 桜の花びらの様に美しい刀は私とてはじめて見た。 生前の花を眺めながらの酒を飲んだ光景が思い浮かぶ。 本来私は佐々木小次郎などという名前ではないただの剣術に長けたという農民に過ぎない。 それがこのバトルロワイアルとやらの参加者である女狐(キャスター)に呼ばれたに過ぎん。 「相沢祐一だったか、お主との戦いもう少し楽しめると思ったが残念なり」 せめて逃げ出したあの男も居ればもう少し楽しめたであろうか。 私は優勝する為ではなく、女狐に捕らわれぬ今、強者と思う存分戦いたいだけだ。 その強者とは思ったのだが所詮はケツの青い少年達ではあったのだが。 「もう少し楽しめると思った?まだテメェは勝ってすらいないのにか?」 もはや聞き慣れた声。 その声は散ったはずの少年、相沢祐一のものであった。 「なんだと……?」 ありえん。 そんなはずはない。 あの桜吹雪に全身を切り刻まれたはず!? 「驚くなよ佐々木小次郎?」 この男、化け物なのか? いっそう深く刀を構える。 「化け物なのは貴様なんじゃないのか?」 先程よりケガが増えた程度。 相沢祐一という男はまだ戦える体力、折れぬ心を持っていた。   ◆  ◆  ◆ 花びらが俺を襲う。 首を切り刻もうと。 手を切り刻もうと。 指を切り刻もうと。 腕を切り刻もうと。 肘を切り刻もうと。 胸を切り刻もうと。 腹を切り刻もうと。 脚を切り刻もうと。 足を切り刻もうと。 顔を切り刻もうと。 ――全身を切り刻もうと。 全てが包み込む様に襲う花びら。 だが木刀がそれを許さぬと潜在能力を引き出すかの様に勝手に体が動いた。いや、動かされた。 気づけばほとんどの花びらを叩きつけた光景が広がっていた。   ◆  ◆  ◆ 「フフフ、面白いなそなた」 佐々木小次郎が今まで俺や音無を斬りつける時以上に楽しそうな表情で見上げていた。 「いや、刀の能力だとしてもそれでも立ち向かう心良しとする」 「天才の剣士に言われると照れるぜ」 全然嬉しくはないんだがな。 照れるのもだいたい嘘である。 「では正々堂々と」 「あぁ!」 佐々木小次郎と俺。 素早く駆けつけ佐々木小次郎は刀を、俺は木刀を振るう。 ガンッ! 普通は折れるであろう木刀。 だが強度は相当強いらしく、本物の刃を使っている刀と同格の硬さを誇っていた。 「くらえっ!」 振るう木刀。 避けられる一撃。 「はっ!」 振るわれる刀。 避ける一撃。 剣士と高校生。 火を見るより明らかな戦いは平行線を辿っていた。 だが体力と経験。 サーヴァントか人間。 先にダメになるのは言わずもがなである。 「はぁ、はぁ、はぁ……。はぁ……はぁ……」 脳みそに酸素が行き渡らない。 目の前は真っ白。 揺れる視界。 限界の体。 棒の様な脚、腕。 俺は何をしているんだ。 ……舞だったら。 普段から戦っている舞が俺の立場であったらどうするんだろうな。 「限界の様だな」 佐々木小次郎。 未だに体力は減ってはいなく、ほぼ無傷。 俺の負けだ……。 「倒してはおきたいがつまらん」 刀を鞘にしまう侍。 もう充分とその表情は言っていた。 「待てよ、佐々木小次郎……」 「勘違いするな相沢祐一、このままそなたを回復させて、貴様がもっと強くなったところを私が殺すまで。生かされたと思うなよ、死が伸びただけだと思え」 死が伸びただけ。 彼はまた俺を殺すつもりでいる。 「私もまだまだ甘い」 どこまでが本当で、どこが嘘かはわからない。 だが彼は今は逃がしてはくれるらしいのは察しられる。 「そうだ、どこかに強者は居ないか相沢祐一?」 また彼は俺と戦ったみたく誰かと戦うのであろう。 だから教えてやった。 「……【E-6】に強い2人が戦っているはずだ」 「ほぅ」 「両方の目玉が大きい化け物みたいな奴で触手を出したりする奴、もう片方も化け物みたいな人間でツンツン頭の眼帯男だ」 「なるほど。強そうな予感がするな」 佐々木小次郎は俺から離れて行く。 これからも彼は戦い続けるのだろう。 「お前なんかどっちかにやられちまえ!」 「そなたと再戦するまで私は死なないさ。因みに名簿では佐々木小次郎ではなくアサシンと書かれてあるから私の死の報告が聞けるかどうか試してみればよかろう」 俺はいずれこの男、佐々木小次郎と決着をつけたい。 はじめて少年マンガの主人公の気持ちがわかった。 既に侍の姿はない。 【アサシン@Fate/stay night】 【装備:千本桜@BLEACH】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:疲労(小)、健康】 【思考・行動】 1:強い者の為に刀を振るう。 2:相沢祐一といずれ決着を付ける。 3:相沢祐一の手がかりを元に強い者と戦う。 【備考】 ※セイバールートのセイバー戦以後からの参戦。 ※一応燕返しは出来ますが物干し竿がないと本来の力は使えません。   ◆  ◆  ◆ 「引き分けか……?いや、これは負けだ……」 その場に倒れ込む。 首輪に溜まった血が気持ち悪い。 「だが生きているだけまだマシか……」 ゲーム開始からどのくらい経っただろうか? よくわからない。 ただ佐々木小次郎と戦ったさっきの時間はすごく濃密な時間だと思わされた。 「音無……。俺は死んでねーからな!……せっかく逃がしてやったんだから死ぬなよ!」 もはやどちらに向かったかすら覚えていない。 これから音無を探すにも手がかりは0。 「まぁ、良い。とりあえず動けるぐらいまで休んでいても罰は当たらないよな」 音無に追いつきたいのは山々。 だがそれも今は出来ない。 まぁ、のんびり探せばいずれ見つかるだろう。 こんな島なのだから。 「絶対佐々木小次郎は俺がぶっ倒して屈伏させてやりてぇ……」 仲間探し。 それ以上に俺は打倒佐々木小次郎の事から頭が離れられないでいた。 【相沢祐一@Kanon】 【装備:木刀正宗@ハヤテのごとく!】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×1】 【状態:疲労(大)、傷(大)】 【思考・行動】 1:佐々木小次郎を屈伏させたい。 2:殺し合うつもりはなく主催者に怒りを感じている。 3:音無と仲間を探す。 【備考】 ※舞ルート確定直前からの参戦。 【千本桜@BLEACH】 朽木白哉の斬魄刀。解号は『散れ、千本桜』。解放すると刀身が花びらの様に別れて鋭い刃と化する。 【おもちゃのナイフ@リトルバスターズ!】 本編では武器扱い。名の通りただのおもちゃの為、殺傷能力は0。 【木刀正宗@ハヤテのごとく!】 潜在能力を極限まで引き上げる鷺ノ宮家に伝わる宝具。『風林火山』と彫られている。 |076:[[仮面は微笑む。]]|時系列|057:[[中二病でも殺したい!]]| |048:[[にげないで 過ちも 真実も 嘘も 全て赦す魔法へと変えよう]]|投下順|050:[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]| |010:[[その男ら、凶暴につき]]|音無結弦|075:[[学園黙示録]]| |~|相沢祐一|087:[[撫子の唄]]| |&color(cyan){START}|アサシン|074:[[セッキン]]|

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