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たけとみ4 「ただいま秀吉」 期待しているという言葉はそれを発した本人がいなくても魔力を持って半兵衛の 背中を支える。 たとえ未来を紡ぐ子供だろうと悲しい戦をし続ける農民だろうとほふることに容 赦はしなかった。 「戻ったか」 「ああ。北は寒いね、君がいかなくて正解だったよ」 仮面を落とした半兵衛がその手で秀吉の肩に添う。 「冷たいな」 「こんなものじゃなかったかな。雪にまみれて冷えたのかもね」 あそこは憎らしいほど雪が多いから。 健やかという言葉にあてはまる自分を半兵衛は久しく忘れている。 「でも秀吉が常たる僕のぬくもりを思い出させてくれるんだろう?」 だがそれより手をのばして得たいものに半兵衛は微笑みかけた。
みつのぶ1 主人の部屋は清める必要を感じないくらい清潔なのにどこか暗い。 加えられたばかりの小姓の少年は我らが主にまつわる雑事は仲間うちで特に慎重にことをすませるようにと言い含められていた。 存在していたことも悟られないくらいに慎重に、少年は掃除を進める。 几帳面な一面もある主は文箱やら文献やらは整然と並んでいる。 文机の上にあった開きっぱなしの本が不自然なことに少年は気づかなかった。 つい、何だろうとのぞきこんでしまった。 『○月○日 ×の刻 私がいれた茶が温いと椀を投げられた。火傷少々。顔面に打撲一カ所。苦痛。』 『△月□日 ○の刻 臣下一同に南蛮の酒がふるまわれた。私の杯にだけ軽い毒が入っていた。全身に痺れ、食欲減退。傷にならない。』 … 『今月の公のお振る舞い。擦過傷五、打撲二〇、創傷七。痛みが足らない。公の苦痛を猶欲する…』 「おっと手が」 「!?」 背後を悟る暇もなく、少年はぐっさり鎌に貫かれミイラになった。 「のぞき見とは…躾がなっていませんねえ…」 明智光秀つきの小姓の回転率の早さの謎がそこにあった。

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