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LOG内検索 / 「ゼファミリー2」で検索した結果

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  • ゼファミリー2
    ゼファミリー2 今日も今日とてひた走る、意味もなく突っ走るしぐしぐs。本人達は至って真剣なのだが走る姿、こける姿。どちらがカワイイかと言えば実は後者だったりして。 「きゃん!」 桃しぐがこけました。何度こけでもへこたれない鼻っ柱が自慢。 そこに通りかかった青い影。 すっと小さな彼女に差し出される手。 「あ、ありが……」 銀髪からぎらりとのぞく眼光。まるでそこから闇のオーラが吹きだしてきそうな悪辣顔。 ご近所でも有名な怖い人・キラーでした。 ぴっ、と桃しぐの息が止まった。瞬間。 「……怖いー!」 差し出された手を取っていた筈の桃しぐは、パァン!と打ち払ってマッハで逃げ去った。そういう時に限ってこけない。 「…………」 手を叩かれたままで凍りつくキラー。 静止すること数分間。 「あっれぇキラーじゃん!」 そこに通りかかったのはいつでもポジティブシンキング青年オロロージョ...
  • ゼファミリー7
    ゼファミリー7 小さな愛情大きな横暴 安普請のボロ屋にはすきま風と雨漏りが常にお友達。わずかな雨でもあっちの廊下、こっちの畳、バケツやタライが家庭内でこれほど活用されることもないだろう。 「大丈夫だろ、前の台風にもウチは耐えたんだし」 「でも屋根瓦が半分くらい飛んでっちゃってたよね」 「あれは補強をやり損ねたキラーが悪ィ」 「!? ! !!」 やや高所恐怖症のケがあるキラーに屋根仕事ができるわけもない。のに家長と書いて俺様と読むリヒトはお構いなしに屋根仕事を手伝わせたのだ。むろんまともな補強ができようもなく瓦はかなりの数が飛んでいった。ちなみにこの時の台風被害は町内ではリヒトたちの家だけだったりした。 「屋根くらいでびびるんじゃねえよ。チョロ毛のアパートは平気で行ってるだろうが」 「…っ!!!!」 平気じゃない。オロロージョの住むアパートではキラーは目をつぶって最上階まで階...
  • ゼファミリー6
    ゼファミリー6 子犬がおぼつかない足取りで母犬に近寄る。母犬は匂いを嗅ぎ、ようやくわが子が帰ってきたことを喜ぶように子犬の顔をなめ始めた。 『こうしてチャッピーはやっとお母さんに再会できたのです…』 感動的なBGMとしんみりした語り口がさらに涙を誘う。 「えっうっ、よがったなぁぁチャッピい…っ」 テレビにかじりついていたリヒトが涙混じりにつぶやき、ずびびびと鼻をすする。すかさず横から「鼻にやさしい花子ちゃん」ティッシュが箱ごと寄越される。 「おう、すまねえなキラー…」 勢いよくズビーッ!と鼻をかんだリヒト。その真横では同じく悪人面に涙目のキラーが感動を引きずるようにテレビを食い入るように見つめた。 「北海道から宮崎だぜキラー…っ 何キロ離れてると思うよ!? それを、チャッピーはっチャッピーはたったひとりで…っ」 「…っ…、……!」 「だよなあ!だよなあ!途中で富山のほうにい...
  • ゼファミリー1
    ゼファミリー1  Xepherギャグのキャラ設定。  今までのシリアス路線とは180度違いますっていうか別次元で考えてください並みにご注意!!だって書きたくなって……! 「こういうのもアリよね」という心の広い方のみどうぞ。 ・リヒト 男気溢れるもさもさ江戸っ子気質兄ちゃん。長男気質?小さい子が大好き。ルルススとしぐしぐsが最近お気に入り。小さい時は可愛かったのにキラーがデカくなったのが気に入らない。でもキラーがオロロと仲良くしてるとイライラする。 ・キラー 怖い顔で周囲から引かれてる無口でシャイな人。本人精一杯で笑顔を作っても悪人面にしかならないのが最近の悩み。リヒトに小さい時に拾ってもらってからとても恩を感じている。親友はオロロ。相談を聞いて貰っているが、大抵その後リヒトの機嫌が最悪になっていたりで怯える。ある意味板挟み。 ・ルルスス リヒトのお気に入りその1。甘やかしている...
  • ゼファミリー5
    ゼファミリー5 「は…………」 「……っくしょえい!」 ご近所でも美男子評判の顔を秒殺できそうな大層大きなくしゃみがリヒトから漏れた。 「へぶしょ、へっ、はっ……くしょんっ」 タメの入ったくしゃみは特に酷い。思わず食卓についていたルルススとキラーがリヒトにあわせるように凍りつくくらいに。 「リヒトだいじょうぶ?」 お茶碗を下ろしたルルススが心配そうに声をかける。リヒトの隣のキラーはおろおろしつつも、リヒトのために居間のティッシュ箱を持って来て渡した。 「おぅぅ、さんきゅ……」 悪態もつく余裕もないのか、ティッシュにリヒトは「ぶーっ」と派手に洟をかむ。すでにリヒトの鼻の頭はかぶれてしまっている。キラーは明日スーパーの特売日じゃなくても「敏感鼻さんに大人気!やさしいやさしいティッシュ」をパック買いしてこようと決めた。ちなみに今使われているのは特売でお一人様1パックのお値...
  • ゼファミリー4
    ゼファミリー4 築35年の我が家の風呂釜がとうとう壊れた。今まで一度も故障せずよく保ったと水道屋に感心されるほど使い込まれた風呂だったがさすがに修理は不可能だと言われた。 それが何かの始まりのように今まで何の障りもなかった家電や家具が次々と異常を来してきた。テレビが緑色にしか見えなくなったり、廊下の傘のついた飾り電灯がケーブルごと天井から剥がれ落ちたり、冷蔵庫が突然保冷をやめて中のものがでろでろになってしまったり……と惨憺たる様である。 あちこちのガタはしょうがないと目を瞑ってきたが、限界なのだろう。家の外壁に走る1メートルもの亀裂は倒壊の恐れも示唆していた。 「リフォームと修理だけで今月の食卓のおかず、3品は経るぜ」 冷静にそろばんをうち、家計簿をつけていたリヒトが重い溜息をつく。家族でもない他人だらけで構成されたこの家で、財源を持ち一切の切り盛りをしているのはリヒトだった。 ...
  • ゼファミリー3
    ゼファミリー3 「おまえ掃除の邪魔だからどっか行ってろ」 ざっくりリヒトに言い捨てられて、キラーは家を追い出された。 何か手伝いたいと思ってキラーもできるかぎり努力したのだが、いざやってみるとリヒトの家事能力の高さは姑並みで、埃が残っている濡れ雑巾の絞りが甘い等々、最終的には「邪魔」だ。 そこで怒ればいいものを、キラーはぐぐっと泣きたいのをこらえてリヒトに従い家を出た。夕方くらいに戻ってくれば掃除も終わってリヒトの機嫌も治っているだろう。要領よく掃除を手伝っていたルルススもいることだし、茶菓子でも買って帰ればいい。 そうポジティブに考えなければ、今月の目標「10回以上泣かない」が果たせそうになかった。月初めであるがペナルティはすでに7回犯している。これ以上は避けたい。 オロロージョのところにでも行こうか、とふらふらキラーが歩きだしたところ、電柱の影にひっそり蹲る影があった。もっそりと...
  • デラ
    DJ 識柚 【分かれ道…】 【きかない、きけない、きこえない!】 彼岸花 撮影風景 あめ ノイズレイン 停電 某様の日記より まわるまわる 煙草 噛み癖 腐れ何とか キモッ! 識柚 パロディ メイドパロ ロボパロ わんにゃん1 アラビアンパロ小ネタ アラビアンパロ没ネタ ひとにゃん1 わんにゃん2 識柚 姉神シリーズ 姉神1 姉神2 姉神3 姉神4 エレシロ 【暴力的思考に…】 【サブリミナル・ラブ】 【出来損ないの…】 【…におう】 花冷え 下心 猫喫茶 ケイクジャ 【恋愛服用量。】 体温 マネージャー ため息 まどろみ 不可欠 ニクシロ 【鬼火が…】 【クレイジー…】 鍋 贔屓 微エロ デニク 【胃洗浄の夜】 タトゥー together 酔いしれたい ケダル 【まどろみの…】 ジャンクフード ミュージック セムリリ 【メッセンジャーは…】 【「おやすみ...
  • ゼファ仮2
    ゼファー仮名2  ※わたつみが勝手に考えたゼファ妄想です。名前も公式が出るまでの仮名だと思ってください。  補足・ピンク髪さんは男です。ピンク髪×青い人でよろしく。ゼファー本編より前の話っぽく。  今回は、緑子ちゃんと青い人。ピンク髪さんが来る前。 『雨』が降る。 この世界にあって、この世界でない次元である『時計台』のある空間には便宜上、『雨』と呼ばれる現象が起きる。 真白い屑星の光が上から下へ、落ち続ける情景をセラがいつのまにか『雨』と呼んでいたのだ。実際、雲から落ちる水分というわけでもないが、雹のような白いものが降るゆえ台座の近くに住まうには粗造りの家が存在する。 「雨、やまないね」 「今日は一日じゅう、雨のようだな」 「…つまんない」 黒い針のような剣を磨きながら、ナフトは答える。青い衣に、老いを感じさせない白髪…生まれながらの色彩であるのだろう。 整った顔立ちをグラスで...
  • ゼファ仮1
    ゼファー仮名1 ※わたつみが勝手に考えたゼファ妄想です。名前も公式が出るまでの仮名だと思ってください。  補足・ピンク髪さんは男です。ピンク髪×青い人でよろしく。ゼファー本編より前の話っぽく。 世界には交えてはならない『針』がある。 それは『時計台』だった。何人たりとも触れてはならない、誰が決めたとも知れないが、まごうことなき『時計台』であった。 闇の深淵で岩と岩が積み上げられた『時計台』は動力や絡繰りがなくとも虚空に浮かび、静かにそこに在る。岩座には漆黒の、美しい意匠の『長針』が、真っ直ぐに支えもなくつきたてられていた。 黒々としたそれが翠の岩に鎮座する姿は、理由もなく不安な心境へと誘う。 台座には、ひとりの少女がひっそりと座っていた。星々が盛衰するように軌跡を描いては消えてゆく空間は、果てしなく続く宇宙に似ていた。曇りのなく澄んだ翡翠色の瞳でそれを見つめる少女には幾ばくかの寂寥が...
  • ゼファ仮3
    ゼファー仮名3  ※わたつみが勝手に考えたゼファ妄想です。名前も公式が出るまでの仮名だと思ってください。  補足・ピンク髪さんは男です。ピンク髪×青い人でよろしく。ゼファー本編より前の話っぽく。  針と守り人。金髪赤男くんと金髪少女さんについて。 不可侵の針と針。そして時計台。台座にある針は一つだけであり、短針が欠けている。それはいつの時代からか伝えられてきた戒律により、短針を持って「生まれた」者は永遠に彷徨う宿めを負うことになる。 守り人は世界の命数を縮めると言われる「時計台」と、その針を近づけまいとする者たちの総称である。悪しき意思に惑わされぬよう、またその針を監視しながらも守り抜くよう訓練された者たち。とある適正のもとに集められ、幼い頃から教育し気の遠くなるような修業と星を掴むような確率で、針を持つ者の守護者となりうる。 短針は常に移動し、長針から遠ざかるべき存在だ。だが長針の...
  • ゼファ4
    ゼファー4 (これ以降のXepherは改名済み) 「キラーはルルのことを守ってくれる?」 「もちろん」 そのためだけに自分はいるのだとは言わない。 まどろみに落ちかけたルルススの肩に布をかける。顔にかかる緑の髪をすくってやると彼女はくすぐったそうにほほえむ。 「リヒトは?」 「…ルル」 「キラーはリヒトを守ってくれないの?」 彼には守る義務はない。リヒトはルルススや今もって朋友がつれているあの少女とは違う。 キラーが守るべきは目の前の少女だけだ。 だが。 「…守ろう。おまえが大切に思うものすべてを」 「…よかった」 額におかれたキラーの手にルルススはすっと頬を寄せた。 守ってねとつぶやく少女は半分は眠りの国に向かっている。 「…みんな大好きだから、キラー…守ってくれる?」 「ああ」 おまえが好きだと思うもの、おまえに連なる近しいもの。 自分自身の命すら投げ出していいと考え...
  • ゼファ6
    ゼファー6 雪 「ここは雪が降るんだね」 「実際には雪じゃない」 「わかってるよ。寒くないものね」 以前『雨』を見ていたのはルルススだったが、今度は『雪』をリヒトは興味深そうに眺めている。 重力に素直に従って降る光を『雨』と名づけることはできるが、薄紅の髪をしどけなく垂らしながら同じ色の瞳が見つめる先の光は、ふわりと重みを持たないように静かに落ちている。それは本物の雪のように積もることはなく、地表に接すれば消えてしまう。 淡雪の儚さに似た光を、ここでは『雪』と呼んでいる。 「閉じられた空間に生きる者のための、せめてもの慰めみたいだ」 時計台に繋がれた存在、すなわちルルススのために。 「いっそ花が降ってこないかな? あの子も喜ぶだろうに」 無邪気を装って笑うリヒトはキラーから見れば、そんな現象に対する感傷的なイメージを持つことを嘲笑しているようにも見えた。 「見てごらんよキラー...
  • ゼファ5
    ゼファー5 ルルススの時計は狂っている。単位としての時間を把握することも曖昧であるし、生体としてのリズムも不規則で、三日近く起きていることもあればその倍の時間眠ることもある。起き続けるということも眠り続けるということも体の限界のシグナルがやってきから、その異状を察知していた。 「だいぶ改善させてきたんだがな…」 一日という時間を区切り、睡眠と活動を規則正しく行うようにルルススに教えてきたキラーは寝台でぐっすり眠り込む少女に肌かけをかけてやる。 「ルルは寝たんだ」 「やっと、というべきかな」 リヒトの繊手がのび、翠の髪を撫でてやる。絵面だけをみれば、薄紅の髪の青年が年の離れた妹のような少女をいとおしむようにも見える。 あどけない寝顔を無垢だ。だがそれを見守るリヒトの紅い瞳はルルススが長い眠りを取ることを待ちかまえていた。 「つねっても起きないかな?」 「やめろ。やっと眠ったとこ...
  • ケイクジャ4
    ケイクジャ4 ため息 「あーあ」 「なんや溜息ばっかりついて」 「うん…」 「今更ホームシックとか?」 「似た感じかなぁ」 「え!?」 「ジェイスン元気かなぁ」 (じぇ!?) 「マイクやトムともこっちに来てからそれっきりなんだよなぁ」 (まいく、とむ!?) 「やっぱり寂しがってると思うんだよな…俺も日本に来る時は心細かったし」 「く、孔雀、そいつら何や」(顔がひきつる) 「え?え?見る?俺写真持ってるんだ」 「え、ああ?」(なんやその嬉しそうな顔!?ていうか男の写真なんか持ち歩いてんのか!?) 「ほらほらこれー」 「………あ?」 「えっとねー右からジェイスン、真ん中がトムで、こっちがマイク。一番左はお母さんのキャサリンっていうんだ」 「…えっと、孔雀」 「みんなすっごいいい子なんだー」 「そ、そうか…」 以下2時間ほど自慢話。 (野郎の名前ばっかりヒヤヒヤしたけど、まぁ…犬ならしゃ...
  • ちか3
    ちか3 ※ちかファミリー。色々と本で読んだネタが入っています。 信親が久方ぶりに家に戻ってみると母の菜々が侍女にまざってきゃあきゃあ騒いでいた。もともとは美濃の人である。しかも美濃一と歌われた美女は信親のような大きな息子を持っているようには全く見えない。 「母上、なにをなさっているんです?」 「あのね信親、ちょっと奥の倉のものを虫干しさせようとしていたら、わたくしのお義父様でおまえのお爺さまの国親様のお着物が出てきたのよ」 「お爺さま」 信親はその単語を転がしてみる。 国親は母が結婚する前にこの世を去っている。ただあの元親の父というだけあって、一度は衰えかけた長曾我部家を立て直した偉人であるということは知識で知っている。 だがそれ以上の祖父の顔を信親は知らない。 しかし、菜々が膝の上で並べているそれは、年月を経て古びているが明らかに女物である。 信親がはて、と首をかしげていると...
  • ジェノギガ4
    ジェノギガ4 一万ヒットリクエストありがとうSS リクエスト栗那さま:ギガデリックが出る話 ※栗那さまのみ、ご自由にお持ち帰りください。 『空気』 澱みは揺るがすものがなければ平穏と偽ることができる。そのぬるま湯の如き闇の底で、ギガデリックは微睡む。少年の面は眠り顔であってもあどけなさというものが全く見当たらない。冷たい彫像のように見えた。 『可愛くない寝顔だねェ』 キャップの影になった顔を包んだ手。それは重力を無視して、天井から垂れ落ちてきた闇のように逆さになった男から伸びていた。 澱みを無遠慮に掻き回す手の主の名はジェノサイドという。 「…てめぇか」 『ご機嫌いかが』 「いつもどおり最悪だ」 薄い瞼があがり、三白眼がジェノサイドを映した。 『上のエグゼ君が頑張ってるみたいだね』 「ああ、あいつが制限コードを埋めるおかげで眠たくもねぇのに動きが鈍る。毎日毎日飽きないこ...
  • こたうじふぁみりー2
    こたとゆかいな北条家2 (捏造設定満載) どうも、北条氏直といいます。忘れられがちですが、一応嫡男です。いつも父がお世話になっております。 うちの城で最近起こったことをお話します。 父の雇った風魔忍軍の長、小太郎殿が日夜叔父や従兄弟たちに追いかけ回された後、『小太郎にやたら構わないこと』と言い渡して数日。やっと周囲も落ち着きました。 私もなにぶん忍びを見るのが初めてでしたので、目新しいものがありましたが日頃父と一緒にいる姿をよく見るので慣れたものがあったんでしょうね。弟や従兄弟たちのように小太郎殿を追い回すことはしませんでした。 その小太郎殿をよく見かけます。見かけるというか、見られていると言うべきでしょうか。たま~に柱の影とか、天井に張りついているのを見るにつけ何かの訓練かなと思っています。ですが視線がちくちくとあたるので、父が私の警護でも言い渡したのかと思っていました。 どうや...
  • 葉皆10
    葉皆10 はろうぃん 「トリィーックオアトリーット!」 扉の向こうにはカボチャがいたので即座に力一杯閉めた。 「ちょっ甲ちゃん!甲ちゃん!俺だよ俺!なんで声でわかんないのー!?」 「わかってっから閉めたんだろうがー!」 どうでもいいことに全力投球、パンプキンヘッドこと<宝探し屋>葉佩九龍がぎゃあぎゃあ喚く。あまり騒ぐのもうるさいので渋々皆守甲太郎は部屋にいれてやった。 「甲ちゃん、今日はハロウィンだよハロウィン」 「だからどうした」 「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!」 「帰れ」 「甲ちゃん~!」 うわぁんと泣きついてきた葉佩を素早く避ける。ご丁寧に黒いマントまで着込んで、怪しいことこの上ない。 「ケチ、夕薙先輩はお菓子くれたのに!」 「……大和はアメリカ出身だったか」 アメリカで言うところハロウィンは完全な子供のための祝日で、生まれがそちらである夕薙はフランクにつ...
  • 識柚3
    識柚3 ※パロディにつき注意 うちにメイドがやってきた。ぎっくり腰をやってしまった古参のメイドの親戚らしい。 「気ぃは強いけど、優しい子やからお願いします」 まったりとした彼女は京都育ちで、そうかそうか、じゃあその子もきっと京都美人に違いないと思いこんでいた。 …思いこんでいたかった。 「クソ、なんでわいがこないなカッコして庭掃除せなあかんねや…っ」 ひたすら悪態をつきながらザッザッと箒を振るう(ほとんど振るっていた。掃く、じゃなくて)我が家のメイドの誰もが着ている、ピンクの影。先代のレトロ趣味が変な具合に歪んで、ひらひらとした桜色の肩紐に、パフスリーブ、スカートは黒というスタイルが定着している。 そのくせ口には煙草。しかも、オヤジ好みのあの銘柄… 見た目は抜群。もしかしたらうちのメイドの誰よりもあの服が似合っているのに、中身はてんで… 「おっさん?」 「こぉぉるぁあ! 誰...
  • エレシロ4
    エレシロ4 【「……におう」】 士朗がぐっと寄せた眉根を白々と見あげた。 「片づけ、兄貴がしろよ」 「…おまえもやれよ」 「俺はいいの」 ごろっとソファに寝転がって、雑誌をめくる。写真の綺麗な撮り方、撮られ方。むしろ汚いものを美しいと思わせる撮り方がしたいね。そのほうが生きているものの匂いを感じる。 「なんで」 「昨日の晩は俺がやったし。今日は兄貴」 兄弟で家賃も折半、ならお互い家事も当番なり役割振ったほうがいいだろ? 最初それでいいって言ったのをもう忘れてるなコイツは。 「ほっとくとハエがわくから生ゴミ早いとこ処理しろよ」 「…ゴミの日は」 「月水金」 引っ越したところのゴミ収集日くらい覚えろ。どうせこれから住み続けるんなら。 三角コーナーの水を切り始めた兄貴は頻りに臭い臭いと言う。 指と指で囲ったファインダーにげんなりした顔を収めながら、俺は自業自得だろと言った。
  • デラ小ネタ1
    小ネタ1 ・男DJで一番「早い」のは鉄火。「遅い」のはセム。 ・ナイアは貧乳を気にしているが、女DJはスレンダーで羨ましいと思っている。 ・鼻血噴出量が一番多いのはエレキ。妄想癖があるから。 ・このたびユーズは男DJの中で最小キングに。原因はダルマの成長期突入。ファーボは比較外。 ・リリスと彩葉がやってみたいこと。DJ全員で降霊会inゲーセン。
  • 逃亡者8
    オリジナル 逃亡者8 須磨ゼツ4 「夏空に黒く照りはえ焼きガラス」 「洒落になりません」 陽炎たちのぼる鉄板のごときアスファルトに投げ出すゼツの足は裸足。 「焼きたいの?」 「素直に地球の体温を感じようかと」 「そいなら海にでも山にでも連れてってあげるさ!」 こんなとこ勘弁といわんばかりに須磨は翼を広げた。 「あ、おまえが羽ばたくのが一番涼しいかも」 「俺は情報屋ですんで扇風機にゃなれませんね!」
  • セムリリ2
    セムリリ2 【「おやすみ」】 刻一刻と迫る、明日。今日はもう、あと数分。 それでも私は眠らない。一人きりの夜に怯えることはなくなった。 私を眠らせないのは、今必死でこの家へと向かっているただ一人の人。 私は目が覚めて、最初に言葉を交わすのがあの人であり。 目を閉じる間際、最後に言葉を交わすのがあの人であればいい。 それだけを待って、静かな部屋の中にいる。玄関から入ればすぐに見通せるソファで雑誌を広げるふりをして。 私は特別、五感が優れているとは思わない。第六感といわれる感覚も飛びぬけて優れているわけではない。 けれどあの人が、近づいてくる感覚は誰よりも敏感に察することができる。呼び合うように遠かったシグナルが近づくような、もとの形に戻ろうとするような動きを、感じる。 それが私とあの人をつなぐ糸であり、私とあの人を隔てる壁であることを、とっくの昔に知っていた。  がちゃん ドアノブを...
  • 葉皆13
    葉皆13 コーヒーゼリー 「じゃん!葉佩特製コーヒーゼリー!」 俺にも得意料理があるんだぞと凄んできたのでそれは何だときいてやった。行軍食か?保存食か? そしたらコーヒーゼリーだという。 「…あのなぁ九ちゃん、そりゃ料理じゃなくて菓子」 「いいんだよこれは料理だろ料理の一端だろ料理なんだよ!」 そうしたらこのガラスにいれられた黒褐色の「料理」だ。 なんだかダメな夫が一生懸命自分にできることを主張しているのを見ている主婦の気分になった。
  • 宝探し屋に50の質問
    宝探し屋に50の質問 ※1・2周目では若干データの違いがありますので注釈ついてます。(1)=1周目 (2)=2周目 1:貴方のお名前を教えてください   葉佩九龍。 2:失礼な事を聞くようですが、それは本名ですか?   …どこから情報が漏洩したんだ!? 宇宙刑事か!? 3:生年月日、本籍を教えてください   7月14日。広島のヒロシマリアン(1)、大阪(2) 4:身長と体重を教えてください   175cm・55kg(1)←すいません大分夢見ていました。177cm・66kg(2) 5:視力はいくらですか?   1.5(1)、1.0(2) 6:得意学科を教えてください。   国語(1)、地学(2) 7:ついでに、不得意学科もどうぞ。   …数学。鎌治に助けられて追試を免れました。 8:所属部はなんですか?   剣道部(1)、帰宅部(2) 9:貴方がトレジャーハンターになった...
  • 識柚19
    識柚19  ※わんにゃんより派生。ふつうの人間飼い主の識と耳尻尾つきのゆずにゃん妄想 「…どうしようかな」 腹の上でぬくぬくすやすや安眠をかます子猫を見おろした。生後一年も経っていない子猫は軽くて、まさにぬいぐるみを乗せているような気持ちになる。 「んぅー…」 ぽてりと頭がずりおちても眠気に勝てないのか絶妙のバランスを保ちながらまだ目をあけない。 「もしかして俺のこと、エサくれて構ってくれるクッションくらいにしか思ってないんじゃないのか…」 ソファに自然にもたれていた体を持ち直すと「いやいや」とばかりに服にちっちゃな爪をたてて体勢を保とうとする。 「やれやれ」 体を腕で支え直し、さわさわと撫でてやると猫はふんにゃりと口元をゆるませた。 いつのまにか同じように俺もやにさがっていた。
  • ちかなりちか8
    ちかなりちか8 「チカー!チカー!モトチカー!」 元親の肩でわめく鳥を元就は睨みつけた。 「やかましい」 「珍しいだろー人の言葉を覚えるんだぜ」 眩しい黄色の羽根をばたつかせ、なおも鳥は「モトチカー!」と鳴く。 「こいつの躾は信がやってなぁ。言葉もスラスラ覚えさせるんだぜ」 「ふん」 信親の名前を聞いて、元就の目がすぅっと細くなる。信親は実父より長身でさわやかな好青年だが、元就を見る目はアニキ親衛隊が浮かべるものと大差ない。 「この世で海が似合うオトコは?」 「モトチカー!」 「よーしよく出来たなー。な!すげぇだろ元就!」 「ナリ!」 鸚鵡はバサバサ飛んで元就の前に飛んでくると一言言った。 「カバチタレ!」 「!?」 「お、おいおい」 「ナリ!カバチタレ!イナカモン!」 「貴様…今すぐその舌を引っこ抜いてくれる!」 「うわ!元就!やめやがれ!」 なぜ鸚鵡が元就にそんな...
  • デニク3
    デニク3 together 「やっぱり降ったじゃねえか」 「うー…」 天気予報を信じなかった。そうしたら雫がアスファルトに跳ね返って白むほどの土砂降りとなっていた。 「…何も、今降らなくてもいいだろぉ…」 珍しく、本当に珍しくニクスの方がその気になってくれていざウチへ、と駅をでようとした矢先だった。 「こういうの、バケツだかタライだかをひっくり返した雨っていうんだよな」 気まぐれなニクスのこと、お気に入りの靴が濡れるとかそういう理不尽極まり無い理由で帰る、と言い出しそうなのに、意外と落ち着いた目で叩きつける雨を見ていた。 「あの、ニクスさん?」 「ああ?」 「か、帰るとか言わないよな」 「帰ってほしいのかよ」 ぶんぶんぶん!と勢いよく否定すれば、ニクスは「走ればすぐだろ」と言い出した。 「今の時期なら濡れてもどってことねえさ」 それはそうなんですけど、アナタは前科があ...
  • エレグラアミ3
    エレグラアミ3 【不実な飼い主】 オレやアーミーの身上は至ってシンプルだ。なにせ、量産品のイレギュラーが勝手に自我を持って逃亡したっていうクチで。語ってしまえば10秒で終わってしまうストーリーだからだ。オレはそう。アーミーはもう少し違うかもしれない。 でもアイツは違う。オレは言葉にしたことはなかったけれど、アイツがオレ達とは違うことに気づいていた。 アーミーはまた別口でアイツの不自然さに気づいた。エレクトロという名前の量産品が、データの海のどこにも存在していないことに気づいたからだ。 「戦略兵器の一端であるグラビティやブレインタイプのオレのデータがあるのは、わかっている」 「所詮、オレらは替えの利く銃のタマみたいなもんだもんなーリロードすればオッケーって感じ?」 「もう少し金がかかっている」 「…否定ぐらいしろっての」 愛用のノートパソコンには、アーミーの調べ上げた文章がずらずらと...
  • 九龍
    小ネタ集 小型削岩機 まりやん 部屋 次の… バディ 葉皆 美食 煙ひとゆら 4/12 【自虐にしか…】 ヒロシマリアン2 【生憎の…】 【シュレー…】 シンキングタイム シンキングタイム2 はろうぃん 天然 煙草 コーヒーゼリー エビフィレオ ケーブルテレビ 葉取 独白 ヒロシマリアン葉佩 夜の底 あめふるよる 【君を守る…】 目をあけて最初に君を見たい ヒロシマリアン3 さゆり姉さん  プレーヤー設定 葉佩九龍 宝探し屋に50の質問 
  • 美食
    葉皆 美食 「俺さーとある漫画を読んで思ったわけ。俺ってけっこう何でもできるじゃない? 自分でいうのも何だけどさ、だったらさ、そこの本みたいにもっと専門的なハンターになれると思うんだ。秘宝探しオンリーもおいしいんだけどさー」 「……」 「トレジャーハンター兼美食ハンター、よさそうな肩書きだよなー」 「いいからとっとと作れよ」 「はいはい。わかりました甲ちゃん」  部屋に置いてあったハン○ーハ○ターを読む皆守に苦笑しつつ、葉佩は地上最強カレーをつくる手を再開した。
  • けいゆき1
    けいゆき1 「夢吉殿は何とも愛嬌のある顔であるな」 「きき?」 「夢吉見るなら俺も見てよ」 「首が痛くなるのでイヤでござる」 「ひどっ!好きででかく育ったわけじゃないのにさ。あんたがちっこいのも悪いんじゃねえの?」 「な!某はこれから大きくなる!」 「どーかなー、この薄っぺらい体で」 「某はすれんだあなんだ!政宗殿が言ってた!このまま伸びるのだ!縦はともかく横の太い慶次殿に言われたくないっ」 「なーんだってー!?」 渚さんと以前お話したんですが、ボインはアニキで慶次はぷちマッチョ。太りやすいので慶次は踊って必死でカロリー消費してる!
  • こじゅまさ3
    こじゅまさ3 生誕記念 パーリィin奥州 いつでもテンション高めの伊達軍だが今日は天井知らずの様相だ。 「筆頭ー!誕生日おめでとうございますー!」 「おう!」 「筆頭!俺ら死ぬまでついていきますぜ!」 「そいつは頼むぜ」 誰が何を言っても政宗は飽きずに応えた。不器用な連中の心尽くしの言葉は何よりの贈り物だ。 「政宗様、北から米が届きました」 「いつきからか?あいつらも大変だろうに…」 「あと長曾我部軍より船五隻分の魚が」 「はは、…返礼の文頼むわ小十郎」 伊達政宗、性格は好戦的だが人間が悪いわけではない。少なからず交流のある武将からも種々祝い物が届く。 「あと甲斐より…」 「あん?」 甲斐といえば虎、虎といえば暑苦しい、暑苦しいといえば真田幸村。奴からも何か届いたらしい。 「『燃えよ闘魂、お館様ファンクラブ謹製風林火山グッズ』が」 「……どーしろってんだよ、これ武田軍の旗...
  • 識柚5
    識柚5   ただいま修羅場中ですがテキトーに読み流してください。原稿の現実逃避中。 9/29 20時頃。 ♯シーン414 識とユーズうっふん中、ベッドに押し倒した識が(以下略) 識「師匠…」 ユ「…」 識(あれ?師匠セリフ…) ユ「識、許せ」 識「え?」(ていうかカット喰らうよ?)  メッキャ! 識「ふごぉっ!?」 ユ「待っとれO田監督、わいは今から行ったるでぇ…」 識「し、師匠まさか…っ」 ユ「阪神リーグ優勝おめっとさーーん!!!!」(爆走) 識「あぁっ師匠!! どこいくんですかー!!」 ユ「今から大阪行くんじゃボケー!!」 識「うあぁああ誰か師匠止めてぇ!!!!師匠本気で行っちゃうからー!!」  そんな識柚が大好きです。ドラマ撮影中だったりしたらきっとやりかねん(ホモドラマかよ!)
  • 鋼小ネタ1
    小ネタ1 ・スカーは猫愛あふれる人だが、そもそも鋼キャラの中で動物に一番好かれている。野性の人だから。 ・スカーの性感帯は傷。皮膚薄いし!皮膚薄いとこは全部(以下略) ・あんな神の代行人でも寂しい時があるので、手近な猫に慰めて貰っている時がある。誰もいない時は自分の右腕抱いてたり。 ・極秘裏に手に入ったスカーの調査書は大佐が手書きで写してコレクションに追加。追ってる途中で手に入った証拠物品(サングラス、服の切れ端)もどうにかしてゲットする。根性。 ・指パッチンする大佐。親指と中指の皮が厚い。面の皮なみに。手袋は保湿クリームを塗ってつけるとケア万全。(それを知ったのは何番目かの彼女のおかげ)発火布だから乾燥が必要なんじゃないか?内側と外側では違うんだ、きっと。
  • 英鉄1
    英鉄1 【言の葉の自負】 「いっつ…」 人差し指の腹にざっくり入った切り傷が開いた。やめておけばいいのについついゲーセンにきてコインを豆乳してから気づく。そういや俺、指切ってたんだった。 じいちゃんが聞いたら未熟モン!って一週間はまな板取りあげそうだから言わないでおくけど……学校で調理実習があって、自分が寿司屋だからってついつい調子にのっていた矢先、ザックリやっちまった。 慣れた包丁じゃないからだーなんて言い訳はしねぇけど、実際授業だからって舐めてたのはホント。これは俺が悪い。自業自得ってやつ。 指先ってデラでは力使うから傷口開いちまったみたいだ。ボタンに血がついてないかとヒヤヒヤしたけど、次にプレイしはじめたニクスは何も言わないし大丈夫っぽい。 あ~今日はこれで帰るっきゃないかな。ウチで毎朝研いでる包丁と違って、安物の包丁だから切れ味が悪い。治るのもきっと遅い。それまではあんまり激...
  • 学園バサラ2
    学園バサラ2 さすけ 「はいはいどーも、今日も始まりましたよお昼の放送、木曜の担当は俺様、猿飛佐助ね。彼女とラブレターは随時募集中~時間までしばしゆるーく参りましょ。リクエストは廊下のリクエストボックスに放り込んで頂戴ね、今日の一発目は1年2組の……名前言っちゃっていいの?こういう時はペンネームとかで隠しちゃうもんだけど、あ、じゃあイニシャルね、Y.Sさん。俺としては別に名前でもいいんだけど言ったら恥ずかしがりそうだからねーリクエストは「燃える闘魂のテーマ!」でした。いや、暑苦しいぐらい元気な字のリクエストありがとねー。じゃー恒例のお便り読みまーす。放送委員会の独断と偏見で選んだお便り、読まれたい人は同じく廊下のリクエストボックスに放り込んでちょーだい。あ、読まれたい曜日の人を書いててくれたら、助かっちゃうね。ちなみに俺様は木曜日だから!そこんとこヨロシク!……え?早く読め?もーわかっ...
  • セムリリ5
    セムリリ5  二人で古い洋画を見た。 モノクロの世界でも銃という凶器は黒々としていて、精悍な男達の命をあっさりと奪っていく。 妹は視線をそらさず、集中して見ているようだったが、俺のほうは少し飽きてきていた。SFXやらそういう小細工をしていないだけ、古い映画というものは見る価値があるけれど、妹が見るには西部劇というジャンルはちょっと食い違っているような気がする。 「面白いか」 「うん」 出てくる男共が揃いも揃って髭面だからだろうかと一抹の不安にかられたが、妹の次の返答でさらにこんがらがった。 「銃が、面白いの」 どうしよう。妹が銃器に興味を持った。 そんな危ないものは日本では持ってはいけないんだと諭すべきなのか。いやいや、年頃になって銃なんて物騒なものより、もうすこし棘とか可愛げのあるものを見た方がいいんじゃないか。待て、棘は俺の趣味であって妹はこういうものよりは同級生たちが持っ...
  • デラ小ネタ7
    小ネタ7 事務所 「一段落しよか」 「…これどう考えても今日じゅうには終わらんぞ」 「ええやろ、ケイナはその気になりゃ歩いて帰れるし。何なら泊まるか?」 「だぁほ、新妻が待ってるのに事務所泊まりなんかできるか」 這ってでも帰る、と豪語するケイナにユーズは生温かい目でみる。 「それにしても腹減ったわ」 「こういう時はおもくそ甘いもんか塩っ辛いもんほしくなるわ」 「あ、俺マックシェイク欲しい」 「…ジャンク飯狂い」 「孔雀の手料理が食えへんのやったらカロリーメイトでもモスのライスバーガーでも同じや」 「ま、気持ちはわからんでもないわな。…あーマクドが出前サービスせえへんかな、24時間体制で。あとは銀だこ」 「ユーズ、それも大概やで」 「でもちょっとエエなーって思ったやろ」 「そりゃまあ」 「……あのなあ」 事務所のキッチンスペースから地獄の底から響くような声が二人の呑気な会話を断ち切...
  • 学園バサラ4
    学園バサラ 鬼と竜 そろそろ次のしけこみ場所を探さなくてはならない。 人気がないとはいえ、屋上のコンクリートに直に座るのは寒くなってきた。 「よう」 「おう」 錆びた扉を半ば蹴り開けるようにやってきた元親を政宗は見やる。お互い、目立つので顔見知りだ。 なんとなく広い屋上で隣あってフェンスを背にする。 暮れ始めてオレンジ色の太陽がものさみしい光に照らされる。 「あのよ」 「なんだ」 「今日、てめぇんちに泊まらせてくれ」 「それ、人に物を頼む態度かあ?」 にやっと笑った元親が煙草をくわえ、政宗の隻眼が一本寄越せと訴える。 「泊めてやりたいのはやまやまなんだがな、…俺もちっとばかり、家にいたくなくてな」 実家の親父がやってくるんだわと煙草もついでに渡して言う。 「…奇遇だな。俺もそうだ」 元親の父親は、近所でも有名な「綺麗なお母さん」だ。趣味と実益をかねた女装がすっかり板につ...
  • 葉皆7
    葉皆7 【シュレディンガーの猫 】 擦りよる生き物には卑屈が見えるようで、近寄りたくない。手をさしのべてしまえば、一抹の期待で自分を売り込もうとする軽々しさに嫌気がする。 そうすれば己もまた他者に受け入れられるのだという処世術をつきつけられているような気がして、余計に皆守は生き物をつきぬけて生態だけを見つめてようとしているからやけに成績が良いのかも知れない。 「うう、ニポンゴわからない…」 「都合のいい時だけ帰国子女になるな」 「問題文が読めない時はどうすればいいんですか皆守先生!」 「小学生からやりなおせ」 「ひっどーい!」 返された生物の小テストは教科書を流し読みしていればできる問題ばかりだが、まず葉佩は日本語を形から覚えようとするので切りがない。アルファベットと違って膨大な文字量を誇る日本語に、その勉強法は非効率的だ。 今日も今日とて、見事な赤点をいただいたテスト用紙をくしゃ...
  • ムビキャラ設定1
    ムビキャラ設定1  ・ジェノサイド (キラーって感じじゃないような。こっちのほうがしっくり来るので以下ジェノ)。神出鬼没の半物質体。幽霊でもなければ実体でもない。「間(はざま)の人」。精神世界も間の人。狂っているのか正気なのかは誰にもわからない。趣味はお節介と口出しと干渉。自分が関わることで「何か」が変わることに興味を持っている。最近はギガデリックとエレグラアミにちょっかいを出すのが楽しくて堪らない。 ・ホリック マシン・ゴースト。機械あるところに奴あり=大自然あるところに奴はない。ムビキャラの中では比較的常識人。機械の意志が具現したようなものなので知識もある。ただしエレクトロが絡むと変態路線一直線。エレクトロ以外に関心がないための良識か。エレクトロの創造主。嫌いなものは水とエレクトロに近づく者。 ・トラン ホリックと同じマシン・ゴースト。だがどちらかと言うと「ゴースト」より「フェ...
  • ホリチュン4
    ホリチュン4 それはヒトで言うところの「フラッシュバック」というものに近い。 それらは、エレクトロがきちんとした自我を持つ前の時期に見たと推定される記憶の映像だ。洗い出された記憶に、エレクトロ自身はただただ既視感に苛まれる。 草の海に立ち尽くす。白い花が揺れている。 風が頬を髪をなぶり、空も大地も夜に浸食され、足をつけているところが地面であるかという確信も薄い。 誰かに呼ばれているという激しい感覚に全身を支配され、行かなくてはという強い意識に支配されていた。 脳が焼ききれるようなメモリーの氾濫。 覚束ない足取りで草を踏む。緑の海をかきわけどれほど歩いたのか。 陽炎のように揺らめく人影を見つける。 『……!』 その人影の名前をエレクトロは誰よりも知っている。 くらりと訪れた、目眩のような揺れ。 「エレクトロ?」 「めまったかあ、だっせー」 可愛くないことを言うのはグ...
  • ニクシロ3
    ニクシロ3 鍋 「鍋しよう、鍋」 無邪気に誘う士朗の言葉にうっかり乗って、エレキと同居だというアパートにやってきたのはいいが。 玄関で猫同伴で笑顔で迎えてくれるポニーテールは俺も大歓迎だが。仏頂面で迎えるマゲはいらない。 「誘ったのはあいつだぜ? いい加減兄離れしろよ」 「うるっせぇんだよ!」 ムキになって俺に噛みつくエレキの頭をぽんぽん叩いて俺は玄関をあがった。嫉妬と羨望の視線は気持ちがいいもんだ。 鍋はサイレンが少ない食料をやりくりしてウマいことやってのけるので、俺にはけっこう馴染みが深い。どっぷり濃い味で育った俺には薄味なのは否めないが風味の良さというのが最近わかるようになってきた。あくまで気のせいの範囲だが。 「肉入れるぞー」 「こら、豆腐が崩れる」 「タレどこだタレ」 思えば珍しい構図だ。この兄弟の人の出入りはあって、招かれたのが俺だけっていうのは初めてじゃない...
  • 滑空請求1
    滑空請求1 【ISOLATION】 本日も元気快活ご飯は山盛り二杯、滑空請求のタロウとアーティーは速やかかつスムーズな返済を求めて取り立て中。 「そんな俺らを人でなしよばわりするなんて悲しいよなー借金したほうが悪い。返さないのが悪い。なーたろ」 本人は知らないことだが取り立て屋の影がビル街に落ち、それを見たものは身に覚えがあってもなくても不安になり身近な人間に「おまえ金借りてないよな!? 保証人にしてねえよな!?」と一気に不安になって携帯電話に飛びつく次第なのだが、前述したようにまったくといってアーティーは知らない。 特にタロウは上空にいられるならどこでもよさげ。この時期はよくバテるので。 「本日のお客はーミッシェ街のクラブづとめクラウディア・デニー」 なんだか場末の娼婦にしてはちぐはぐな名前だ。ミッシェ街コーポレビン12号室。下の中あたりがみっしり詰まっているあたり。 「…...
  • ホリチュン2
    ホリチュン2 【ミザントロープの夕暮れ】 俺は健やかに寝息をたてるアーミーとグラビティに毛布をかけ直してやりながら考える。アーミーはどちらかといえば浅い眠りを繰り返すタイプで俺が身動ぎするだけでも反応する、ブレインタイプとしては過敏な反応を返すが、連日難解なプログラミングに取り組むせいかここのところは熟睡している。 こちらが気持ちがいいほど爆睡してくれるのはグラビティ。寝起きの重力制御の暴走が堪らないが、寝付きの良さはピカイチなうえ、疲労を数時間の深い眠りで解消してしまうのは実戦投下型の性質なのかもしれない。 かく言う俺は、充電が必要とされるまでは眠らなくてもいい。こいつらが安眠できるように寝ずの番ができるし、きちんと電力消費のスケジュールをたてておけば昼間俺が眠っている間に二人が活動したり、その逆ができたりとなかなか都合がいい。 よくも悪くも俺達は均一とまではいかないが、バランスのと...
  • sing for me1
    オリジナル sing for me1 ステージの上は真っ白だった。 照り映える舞台下の観客の姿は波のようにさざめき、一心に俺達の名前を叫び、リズムを取り、一体となる。 ライトの真ん真ん中で俺は同じように真っ白だった。 ステージにあがるのは好きだ。 そこには、俺ではない俺が歌っている…… 【現在インディーズ界で急上昇中なのは、4人組の実力派バンド・【イノセント】だ。 メンバーは作詞とドラムの由規(ユキ)、男も惚れる重低音ベース・紅一点の藍(アイ)、ギター・作曲を手がける天才肌、一清(イッセイ)、そして一清自らが見出した2代目ヴォーカル晶(アキラ)。 無口でクールな晶が歌う最新曲【ハイリスク】は、イノセントを脱退した前ヴォーカル貴喜(タカキ)と入れかわり、晶を本格起用した意欲作。深夜ラジオでのリクエストがきっかけとなってブレイクしたナンバーをひっさげた新生イノセント、今後の期待が高まる…...
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