207 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:01:08 ID:9fUVRvQI0
今更ながら23時の和梓が書き上がったので投下する
208 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:02:32 ID:9fUVRvQI0
【和梓】
コンコン、ガチャ
梓「失礼します」
和「あら、梓ちゃんじゃない」
梓「どうも」
和「珍しいわね。生徒会に何か用かしら?」
梓「はい。軽音部のステージ使用申請の用紙を持って来ました」
和「そう。わざわざありがとう。ところで本来これを提出すべき律はどうしたのかしら?」
梓「提出遅れたのを怒られるのが嫌だったみたいです。それで私が代理に」
和「はぁ、まったく・・・」
梓「うちの部長がご迷惑をおかけします」
和「ああ、いいのよ梓ちゃん。律にはあとで言っておくわ。たっぷりとね」
梓「お願いします!」
和「ふふ、わかったわ。
梓ちゃん、せっかく来たのだから何か飲んでいく?軽音部みたいに気の利いたお菓子なんてないけど」
梓「あ、お構いなく。・・・と、言いたいところですがいただいていきます
律先輩が、私が怒られてるんじゃないか不安になって迎えに来るまでここで待っててもいいですか?」
和「あなたも策士ね。
コーヒーでいいかしら?生徒会室には何故かコーヒーメーカーだけはあるのよ」
梓「いただきます!」
209 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:03:25 ID:9fUVRvQI0
コポポ、しゅー
和「少し待っててね」
梓「はい。時間ならありますから」
和「律が自分で来るまでどれくらいかかるかしら?」
梓「そうですね。30分も帰らなければ迎えに来ると思います」
和「ふふっ、そんなところね」
梓「律先輩は毎年遅れて書類提出するんだから、そろそろちゃんと反省するべきです!
そのために和先輩にご足労願うのは心苦しいので、自分で来させましょう」
和「確かに。そろそろ自分で期日を守って提出して欲しいものね」
梓「と言っても律先輩も今年で最後ですが・・・」
和「ええそうね、律の書類の遅刻は今年で最後の3回目
1年生で部を立ち上げて、書類の申請やらを教えてくれる先輩もいなかったから、みんな少しは大目に見てるのよ?」
梓「でも3年連続はあり得ないです」
和「その通りね。たっぷり叱っておくわね」
梓「お願いします」
210 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:04:17 ID:9fUVRvQI0
しゅーしゅー
和「コーヒー出来たわね」
こぽぽ
和「はい、梓ちゃんの分。砂糖は幾つ?」
梓「あ、ありがとうございます。和先輩はいつも幾つ入れますか?」
和「私はブラックでいただくわ」
梓「そうなんですか?」
和「うちはあまり砂糖を入れる人はいないわね。ミルクを入れる人に至っては一人もいないわ
だからごめんなさいね。ミルクは味気ない粉のミルクしか無いの」
梓「あ、いえ。大丈夫です」
和「さて、私は失礼して仕事に戻るわね。梓ちゃんはゆっくりしてて」
梓「はい。あの、見学しててもいいですか?」
和「生徒会の仕事に興味ある?」
梓「うーん、普段私たちが部活をしている時間に和先輩はどんなことをしているんですか?」
和「そうね。いろいろな書類の整理や予算の計上。そして学校内の見回りね」
梓「なるほど」
211 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:06:39 ID:9fUVRvQI0
和「書類の提出が遅れるのは軽音部だけではないから、その催促に出向くのも仕事の一つよ」
梓「大変なんですね」
和「まぁ、そうね。でも大変なだけでもないわ。こうして生徒会室でコーヒーを飲んだりもできるしね」
梓「はい。美味しいです」こくっ
和「おかわりはいかが?」
梓「あ、私がやりますね」
和「いいの。今日は梓ちゃんはお客様だから、座ってて?
いつも軽音部にはお茶をご馳走になってるし、せっかく来てくれた梓ちゃんにそのお返しよ」
梓「それでは、ありがたく」
和「ゆっくりしてて頂戴ね」
212 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:07:29 ID:9fUVRvQI0
しゅー、コポポ
和「あとは、進学するにも就職するにも、生徒会を経験しているというのは有利かもしれないわ」
梓「おお、それは美味しいですね」
和「梓ちゃんも、良かったらいかが?」
梓「はい?」
和「あなたが望むなら、生徒会はいつでもあなたを歓迎するわ」
梓「・・・へっ?」
和「もちろん軽音部はそのまま続けていいのよ?部活と掛け持ちしてる生徒会役員は多いし
あなたが生徒会に入る気があるのなら、後期の役員に私から推薦するわ」
梓「え?えっと、あの・・・」
213 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:08:01 ID:9fUVRvQI0
和「ああ、ごめんなさい。話が急だったわね」
梓「少し驚きました」
和「少し順を追って話すわね。さっきも言ったように生徒会経験は将来に不利には働かないわ
それに、来年梓ちゃんは3年生で軽音部の部長でしょ?
生徒会で書類提出の手順を把握しておけば、何かと都合が良いと思ってね」
梓「ああ、なるほど。それもそうですね・・・」
梓「そっか。来年、私部長なんだ」
214 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:09:59 ID:9fUVRvQI0
和「そうよ。来年はあなたが軽音部の部長。そして、部員をあなたを含めて4人集められなければ、それで廃部
それがこの学校の決まりよ」
梓「廃部・・・」
和「・・・本当はあなたとこんな話をするつもりでコーヒーを勧めたわけでは無かったのだけれどね」
しゅーしゅー
和「ちょうど新しいコーヒーが出来たわね」
梓「あ、ありがとうございます。いただきます」
和「ええ。どうぞ」
コプッ
215 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:10:47 ID:9fUVRvQI0
和「・・・そこで、さっきの話に戻るのよ。
梓ちゃん、あなた生徒会の仕事に興味は無い?」
梓「と言うと?」
和「万一軽音部が廃部になった場合、あなたが在学中は軽音部は同好会という形で残るわ
でも、書類上梓ちゃんは3年時に部活を辞めた形になってしまうの
だったら、今のうちに保険として生徒会に所属しておくのよ、
そうすれば最悪の場合でも、あなたは生徒会にそのまま所属できる。あなたの内申の印象はそれほど損なわれないわ」
梓「最悪の場合、ですか?」
和「ええ。軽音部が廃部になった場合よ」
梓「・・・。」
和「・・・。」
216 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:11:41 ID:9fUVRvQI0
梓「・・・和先輩が私の事を心配してくれてるのはわかります」
和「生徒会長として、あなたも私の大事な後輩の一人よ。心配もするわ」
梓「生徒会長は大変なんですね」
和「・・・今のはただの建前よ。梓ちゃんは唯たちにとってだけでなく、私にとっても大切な後輩なの
あなたの高校生活最後の1年を考えないわけがないわ」
梓「・・・。」
和「そして、これは個人的なお願いなのだけれどね。
もしあなたが、軽音部の部長になって、軽音部の継続を望むなら憂を誘ってあげて欲しいの」
梓「憂をですか?まぁ、もちろん真っ先に誘うと思いますが」
和「それは良かったわ。
私がね、始めに梓ちゃんの、軽音部の来年の事を気にかけたのは憂と話をしたからなの」
梓「・・・?」
217 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:12:26 ID:9fUVRvQI0
和「憂が私のところに相談に来たのよ?本人には口止めされたけどね
来年梓ちゃんが一人になっちゃうのが心配だ、って」
梓「憂が・・・」
和「あの子、軽音部に入る事に興味が無かったわけでは無いのよ」
梓「そうなんですか?」
和「ええ。憂は自分自身でもそうは思ってないようだけれど、心の奥では唯と同じ部活をしたがってるわ」
梓「・・・さすが幼馴染ですね」
和「わかりやすい姉妹なのよ」
梓「なんとなくわかります」
和「生徒会の話。憂の話。気が向いたらで良いから、考えておいてね」
梓「はい」
218 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:13:22 ID:9fUVRvQI0
梓「あ、そうだ」
和「何かしら?」
梓「いえ、大した話では無いのですが、私はコーヒーをブラックで飲んだ事が無いんです」
和「あら、そうなの?」
梓「和先輩、さっきから美味しそうにブラックのコーヒーを飲んでいたので」
和「ああ、コレね。苦くても美味しいと感じるようにまったのは最近ね。
始めは毎日飲むコーヒーの砂糖のカロリーが気になっただけだったけれど、今ではブラックが美味しいわ」
梓「私も試してみて良いですか?」
和「もちろんよ。どうぞ」
梓「はいっ!」ぐいっ
219 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:13:53 ID:9fUVRvQI0
梓「ゴクゴク、ぷはっ!」
和「どうかしら?」
梓「に、苦っ!うぅ、美味しいです・・・」
和「嘘ね」
梓「いえ、美味しいです。和先輩のコーヒーは最高ですね。だから、また飲みに来てもいいですか?」
和「・・・それは、生徒会に入ってくれるという意味かしら?」
梓「いいえ。和先輩とまたコーヒーを飲みながらお話がしたいから、来るだけです」
220 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:14:38 ID:9fUVRvQI0
和「・・・そう」
梓「美味しいコーヒーをご馳走さまでした。和先輩の真心だけで充分満足です」
和「ええ。頑張ってね次期軽音部部長さん。憂の件はよろしくお願いします。」
梓「もちろんです!和先輩、またここに来てもいいですか?」
和「もちろんよ。生徒会は常に生徒に開かれていりわ。いつでもいらっしゃい」
梓「生徒会に用事が無くても、構いませんか?」
和「梓ちゃんなら良いわ。またコーヒーを飲みにいらっしゃい」
梓「はいっ!」
221 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:15:32 ID:9fUVRvQI0
その直後、律先輩がおずおずと申し訳なさそうに生徒会室に顔を出した
入れ代わるように私は生徒会室を後にし、和先輩の律先輩へのお説教が始まったようだった
その後は先輩方が卒業するまで私が生徒会室を訪れる事は無く、
和先輩とのコーヒーの約束は、結局私の口約束に終わってしまった
翌年、軽音部の部長となった私は憂や純の支えもあり、無事に後輩を迎え入れてひとまず軽音部の継続に成功した
今となっては、もっと和先輩とお話したかったと思い後悔している
ほんの少しほろ苦いコーヒーの思い出だ
終
222 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/18(月) 01:21:34 ID:9fUVRvQI0
おまいらも時間の都合とかで書き込みそびれたSSあったら投下しちまえ!!
224 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/18(月) 05:57:33 ID:VLmaLRkQ0
まだ投下あるかもしれないけどみなさんお疲れ様でした