131 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/16(土) 22:01:11 ID:zgaKPbCA0



132 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/16(土) 22:02:08 ID:sXdVFZZA0



133 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/16(土) 22:02:39 ID:Bs232D9M0



134 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/16(土) 22:29:49 ID:ebIGTKBs0


 不満そうに唇を尖らせている律に、紬は躊躇わずに声を掛けた。
律と近付けるチャンスを、逃す道理はない。

「どうしたの?何か嫌な事でもあったの?」

「宿題、出ただろ?分かんないから澪に教えて、って頼んだら。
偶には自分の頭で考えろ、だってさ」

 律は不満げに言うが、紬には分かっていた。
最終的に、澪は律を助けるだろうと。
澪は結局、律に甘いのだ。

 だが、その事を律に教えては、折角の機会を活かせなくなる。
紬は胸中で澪に詫びると、律へと親切な声を靡かせた。

「そう?だったら、私が教えてあげるわ」

 しかし、紬の期待に反して、律は首を横に振っていた。

「駄目だよ。ムギから教えてもらう事は、できないよ」

「あら?どうして?」

「だって、私以外の人に甘えちゃいけませんって、澪から言われてるから」

 嫌という程、律が誰のものかを思い知らされた。
澪という鎖は、律を心の奥深くまで縛り上げている。

「大丈夫、内緒にしてあげるから」

「でも……澪を裏切る事になるし」

「じゃあ、こういうのはどうかしら?
私と一緒に、宿題するの。実はね、私もこの科目、苦手なのよ。
だから、りっちゃんの手助けも欲しいな、って。
お互いに助け合うのなら、甘える事にはならないでしょ?」

 律は少し考える素振りを見せたが、結局首を縦に振った。

「そう、だね。それなら、澪の言い付けに背いた事にならないよね。
うん、一緒に宿題、考えよ?」

「決まり、ね。じゃあ、私の家に向かいましょ?」

 澪が自分以外の人と二人きりにならない言い付けをしていないか。
それが気になったが、律は逡巡する事なく同意を返してきた。
紬は少し安堵しながら、先に立って歩いた。

135 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/16(土) 22:34:36 ID:ebIGTKBs0





 一緒に勉強して、紬には気付いた事がある。
律は宿題に誰かの手助けが必要な程、勉強が苦手では無いという事だ。
恐らく、一人でもできるだろう。
実際に、宿題をしている最中、紬に対してほとんど質問してこなかった。

「ありがと、ムギのお蔭で、スムーズに宿題が片付いたよ」

 宿題が終わった後の礼の言葉が、紬には恐縮に感じられた程だった。

「お礼なんて、とんでもないわ。りっちゃん、ほとんど一人で解いたでしょ?」

 続けて、訊いてみたかった。
本当は、澪に宿題の教示を頼む必要など無かったのではないか、と。
ただ澪と一緒に居たいから、頼んだだけでは無かったのか、と。

「そ、そんな事ないよ。幾つか、教えてもらったし」

「数える程でしょ?
さ、おやつにしましょ。頑張った脳に甘いご褒美」

 紬は席を立つと、茶の準備を始めた。

「えへへ、ムギ、お菓子くれるから、だーい好き。
また一緒に勉強しようね」

 甘味目当てのような言い草だが、紬は敢えて反発しなかった。
律との繋がりを、大切にしたかった。

「ええ、しましょうね。でも、澪ちゃんには内緒よ?」

「んー?どうして?
甘えた事にはならないから、いいんじゃないの?」

 不思議そうに首を傾げる律に、「これも禁止になるから」とは言わなかった。

「ビックリさせる為、よ。
急に宿題を一人でやるようになったりっちゃんを見せて、喜ばせてあげましょ?
りっちゃんの成長を見て取って、きっと澪ちゃん、喜んでくれるわ」

 自分との秘密の時間を作らせる為に取った策だが、紬は切なかった。
律の澪を喜ばせたいという心理が、この策の起点となっているからだ。
事実、律は嬉しそうな笑みを浮かべている。
紬の胸を刺す程に、残酷な笑みだった。

「本当に?あはっ、澪の喜ぶ顔、楽しみだなー」

 自分に頼らなくなった律を見て、澪がいい顔をするはずも無かった。
それが分かっていながらも、紬はもう、胸中で澪に謝る事はしなかった。

<FIN>

139 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 00:03:05 ID:ds8sWltQ0



140 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 00:04:00 ID:4yDX0LvM0



142 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 00:22:36 ID:4yDX0LvM0


梓「純~?どこに隠れたのー?」ガッチャガッチャ

純「・・・!~~~~っ!」ブルブルガタガタ

梓「早く出ておいでよー?早く私にそのモフ毛を刈らせてよー?」ジャギジャギ

純(に、逃げなきゃ!逃げなきゃっ!)ダッ

梓「あ、いたー♪」バッ

純「ひ、ひぃっ!」ビクビク

梓「待てぇええええっ!!」ジャギジャギジャギジャギ

終!

143 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 00:29:32 ID:ds8sWltQ0


 登校した梓の目に、早速憂と話し込む純の姿が目に入った。

「おはよー」

 梓は大きな声で挨拶すると、二人の間に割り込むように座る。
恋人の純を、憂から隔離するように。

「おはよ、梓」

「おはよう、梓ちゃん」

 純がまず挨拶を返し、憂も続いた。

「ところで、純。
昨日貸してくれたラムシュタインのライブ映像だけど、とても良かった。
火炎放射カッコいいよね」

 梓は挨拶が終わるとすぐ、憂が関わってこないであろう話題を振った。
排他的な話題で、純を独占したかった。

 だがその話題には純よりも早く、憂が食い付いてきた。

「あ、私も知ってるー。純ちゃんからこの前、借りたんだ。
ちょっと過激かな、って気もするけど、歌自体は悪く無かったよ」

 自分と純だけの話題だと思っていた。
だが実際には、憂の方が一歩先んじて純からメディアを借りている。
純と憂だけの話題だったものに、自分が後発で入り込めたに過ぎないのだ。
その事が分かって、梓は不機嫌になった。

「借りといてネガティブな評価とか、
憂ってちょっと配慮に欠けるところがあるよね」

 梓は不機嫌を発散するように、言葉へと刺を込めた。
憂の戸惑った顔つきに、少しだけ胸がすく。

 梓の憂に対する対抗心は、純との交際が始まった時から芽生えたものだ。
憂と純は中学時代からの友人という事もあり、二人だけで経験してきた事が多い。
梓にはその事実が、どうしても許せなかった。

 だから、純が憂にだけ見せる弛緩した態度に、苛立ちを伝えてきた。
憂の部屋で漫画を読み始めた純へと、注意をした事もその一環だった。
自分の部屋のように振る舞える関係の証左として、梓には映っていたのだ。

「ちょっ、ちょっと梓。何言ってるの?」

 純が慌てたように、梓を窘めてきた。
やはり純は、梓よりも憂を大切にするのだろうか。

「へぇ、純ったら、憂の肩持つんだ?
恋人の私より、憂の肩持つんだ?
純に対する失礼な態度、窘めただけなのにね」

 梓の声は自然、挑発するような語調となった。

「梓っ、いい加減にしてよ。梓が変な絡み方するから」

「あ、純ちゃん、いいの、私が悪いから。私が謝るから」

 純の言葉を遮って、憂が割り込んできた。
そうして梓へと向き直ると、しおらしく頭を下げながら言う。

「ごめんね、梓ちゃん」

 ただ、憂の謙虚な態度よりも、純の視線の方が梓には気になっていた。
純の視線は怒気を孕み、自分を射ぬいている。

144 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 01:02:18 ID:ds8sWltQ0


「私に謝ってどうするの?失礼な態度は、純に対して取ったんでしょ?」

 純の視線を逃れるように、梓は憂へと言った。
とにかく、憂が悪いという既成事実を作ってしまいたかった。

 梓の指摘を受けた憂は、素直に純へと向き直った。

「あ、そうだった。ごめんね、じゅ」

「いいよ、憂」

 純は憂の言葉を遮ると、梓の手を掴んできた。

「梓、おいで」

 梓が返事をする間もなく、そして憂が何か反応する間もなく。
梓は純に、廊下へと連れ出された。

「ちょっ、純。ホームルーム」

 純の強引な態度に、梓はふと不安を覚えて慌てたように言う。
時間の逼迫を伝える事で、純の行動を一旦止めたかった。

「いいっ。大切な、話があるから」

 だが純は取り合わず、そのまま早歩きを続けた。

 漸く純が梓の手を離したのは、ジャズ研の部室に入ってからだった。
ホームルームの時間帯という事もあり、室内には誰も居ない。

「じゅ、純。話って、何?」

 流石に、憂に対する態度を怒っている事くらい、梓にも察しが付く。
問題は、それで純がどういう措置を取るか、だった。
梓は不安になりながら、問い掛ける。

145 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 01:02:46 ID:ds8sWltQ0



「いや、その。教えて欲しい事があって。
実は、前々から気付いてたんだよね。
梓が何か、憂を嫌ってるんじゃないかって事。何が、あったの?」

 激昂するだろうという梓の予想に反し、純の声は穏やかだった。

「別に。憂を嫌ってる訳じゃ、ないよ。
ただ……純が、憂と仲が良すぎるから……。
過去を共有してるだけあって、私が入り込めない空気を、二人が形成しちゃってて。
それが、恋人の私には悔しくて……。
うん、憂が悪い訳じゃないよ、勝手に嫉妬してる、私が悪いんだ。
憂には謝っておくね。もう、嫉妬心を露わにしたりもしないから」

 梓は今まで抱えてきた胸の痞えを、一思いに吐き出した。

「そう……。なら私から、梓に言っておきたい事があるんだ」

 純はそう言うと、続きを躊躇うように俯いた。
それが別れを切り出す前兆に見えて、梓は慌てて言う。

「い、いや。後でいいよ。ほら、ホームルームまでもう、本当に時間がないし。
憂にだって、早く謝りたいし」

「ま、待って。今、聞いて欲しい話なんだ。
こういう話は一旦言うタイミングを逃すと、ちょっと言い難いから」

 ならば、このタイミングからさえ逃れてしまえれば。
別れ話を切り出されずに済むのだろうか。
そう思った梓は、踵を返して言う。

「いや、本当に時間ないから。早く、戻ろうっ」

「ちょっ、待って」

 歩き出そうとした梓の肩を、純が掴んできた。
そのまま、純が続きを放とうとする。

「いや、聞きたくないっ、別れたくないよっ」

 梓は涙交じりに叫んだ。

「そういう、話じゃないよ」

 対する純の声は、あくまで優しかった。
梓を逃がすまいとする腕の力とは、対照的なまでに。

「あのね、梓が憂に嫉妬する必要なんて無いんだよって事、教えてあげようと思って」

「え?」

 続けられた純の言葉に、梓は顔を上げて応じた。

「私と憂の過去に梓は嫉妬してるみたいだけど。
私と梓はさ、これから未来を共有するんだから、嫉妬する必要なんてないでしょ?
その未来には、その、梓以外には見せられないもの、
梓以外とは経験できないもの、あるんだし」

 純はそこまで言うと視線を逸らし、顔を羞恥に赤らめた。

「それって……つまり……」

「ハジメテ、とか」

 純は顔の紅潮を深めると、慌てたように歩き出した。

「さぁ、話は終わり終わり。ホームルームが始まっちゃうから、戻るよ」

 今度は、梓が純を引き留める番だった。

「だーめ、今度は私の用事があるから。
えっと、まずは、ありがとね、純。
これで、心の底から、憂に謝れそうだよ。
憂に醜い思いを抱く事なく、友達やってけそうだよ」

「そ、そう。それは良かった。じゃあ、戻ろ」

「だから、用事があるんだって。
今から行っても、どうせホームルームには遅刻確定だし。
憂に謝ろうにも、私語と見做されて先生に注意されちゃうし。
だから、午前中いっぱいはここで、二人っきりで時間潰してよ?」

 純は時計と梓を見比べた後、頷いた。

「まぁ、そうだね。私も、梓と二人っきりで、居たいし。
憂には開口一番、謝ってもらいたいし。
それに幸いここには、時間潰す物、いっぱいあるものね。
音楽機材は色々あるから、練習でも」

「何言ってるの、純」

 梓は妖艶に笑うと、純を近くの机へと押し倒した。

「あ、梓……?」

「時間は、純と私のハジメテで、潰そう?」

 純は何も言葉を返さなかった。
ただ、制服のタイを緩めただけだった。それだけで、答えは十分だった。

<FIN>

146 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 01:04:09 ID:4yDX0LvM0



147 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 01:04:50 ID:ADrrE2Rw0



148 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 02:33:42 ID:4yDX0LvM0


ガチャ
憂「あれ?今日はスミーレちゃんだけ?」

菫「はい。直は弟さんが風邪引いちゃったらしくて部活お休みです」

憂「そっかぁ。純ちゃんは今日は塾だし、梓ちゃんは進路指導受けるから今日は来れないんだって」

菫「皆さん受験生ですものね。仕方ありません」

憂「なるべく誰かは来れるようにはするけど、全員揃うのは滅多になくなっちゃうかもしれないね」

菫「そうですか・・・」しゅん

憂「んー、とりあえずティータイムにしよっか?」

菫「はいっ」

149 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 02:34:23 ID:4yDX0LvM0


憂「はい、今日のおやつはクッキーだよ~」

菫「わぁ、私憂先輩のクッキー大好きです!」

憂「ありがと菫ちゃん」

菫「お茶は私が淹れますね」

憂「菫ちゃんが?」

菫「はいっ!こう見えてメイドなんですよ?任せて下さい!」つるっ

憂「あ」

菫「あ」

ガチャーン!

憂「菫ちゃん、怪我無かった!?」

菫「は、はい。すみません。私から言い出しておいて、皆さんのカップを・・・」

憂「ううん。気にしないでね」

菫「い、今片付けっ・・・痛っ!」ザクッ

憂「菫ちゃん!?」

菫「あ、あはは、指切っちゃいました」ポタポタ

憂「菫ちゃ、血がっ!」

菫「えとっ、そんなに大げさな傷でもないですよ?あはは、舐めておけば治っちゃいます!
もう、自分から言い出してこの様なんだから本当に私って・・・」

憂「あむっ」ちゅぱっ

菫「ひゃっ!?」

150 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 02:34:49 ID:4yDX0LvM0


憂「ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅ」れろっ

菫「うううう憂先輩!?」ドキドキドキドキ

憂「んっ・・・これで大丈夫かな?」

菫「あぅ、あ、あの、はい」
菫(う、憂先輩に指舐められちゃったよぉ)ドキドキドキドキ

憂「菫ちゃんはあわてんぼうだね。気をつけないとダメだよ?」なでなで

菫「・・・はいっ」

その時以来、憂先輩のことが気になって仕方ありません


「いつもの時間にお逢いしましょう。待っています。xxx」 7

最終更新:2012年06月20日 22:27