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ドアをはさんで背中合わせ ---- 逃げるようにして部室に入ると鍵をかけた。 と同時にノブを回しドアを叩く音と瀬田の声が聞こえる。 「先輩ここ開けてください、先輩?」 「嫌だ!絶対開けねー!」 「開けてくださいよ、どうして逃げるんですか!?」 「瀬田があんなことするからだろうが!!」 そう言うとドアを叩く音が止んだ。 俺は深く息を吐くとドアにもたれて座った。 「…すみません、でも俺…」 気配はするが、その後に続く声は聞こえない。 正面の窓から見える青空をぼーっと眺めながら考える。 瀬田の事は好きだ。 部活も熱心だし、賢いし、性格も良いし、話も合う、一番仲の良い後輩だ。 しかし、だからと言って、その、あんなことをする対象として見た事なんか無い。 「俺さ、瀬田のことそういう目で見たことないんだ。」 正直にそう話すとややあって「知ってます。」と答えが返ってくる。 瀬田も座っているらしく、その声はさっきより近くから聞こえた。 「なあ。」 「はい。」 「俺のどこがそんなに気に入ったわけ?」 「そういう所です。」 「『そういう所』ってどこだよ。」 「今、俺に話しかけてくれている所とかです。」 うーむ、さっぱりわからん。 人の好意は素直に受け取るべきだ。と、昔誰かに言われたことを思い出す。 しかしこれは受け取って良い好意なのか? でも嫌いでもない瀬田に嫌いと言うのは何か違う気がする。 いつまでもぐるぐると考えながら、俺は窓の向こうの青空を見た。 ----   [[ドアをはさんで背中合わせ>6-849-2]] ----

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