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二人がかりでもかなわない ---- 闇の中、所々に炎が上がっている。 その炎に照らされて仲間の兵士の倒れている姿が浮かび上がる。 岩陰に二人の男が身をひそめていた。 「大尉、もうまともに動けるのはあなたと私の二人きりです」 「くそっ!後一発あいつの口の中にこいつをお見舞い出来たら倒せるのに」 「大尉、私が囮となって引きつけますから」 「馬鹿な事を言うな!君にそんな危険な真似はさせられない」 「あの怪物が私を襲う為に口を開けた所を狙うしかありません!」 「よせ!やめろ!少尉!」 少尉は大尉の腕を振り払い岩陰から飛び出した。少尉は動き回り挑発したが 怪物は中々口を開けなかった。 怪物が少尉を薙ぎ払い、地面にしたたかに打ちつけられて少尉は動きを止めた。 「少尉!」銃を構えたまま大尉は飛び出し少尉に駆け寄った。 怪物が二人を見すえ、炎を噴き出すためにその醜い大きな口を開けた。 銃声が鳴り響き怪物が大きな地響きを立てて倒れた。 二人の身体は紅蓮の炎に包まれた。 「あ゛ーもう!また相打ちかぁ。やっぱ二人がかりでもかなわないかぁ。このラスボス強すぎ!」 「何言ってんだよ。ここは少尉を犠牲にして倒すんだって何回言えば良いんだよ」 「だってさぁ、そんな見殺しになんか出来ないじゃん」 「たかがゲームに何言ってんだよ。馬鹿じゃねーの」 「だってさぁ怪物倒したって恋人死なせたら生き残る意味ねぇじゃん」 「お前やっぱ馬鹿だよ!勝手に恋人設定してんじゃねーよ。ただの戦友だろ」 「まぁ良いじゃん。次は昨日買ってきたこのゲームしよっか?」 「しねぇよ」 「何怒ってんだよぉ」 「怒ってねぇよ。……もっと良い事しようって言ってんの」 四つん這いになり、じりじりと近づきまるで獅子が獲物を威嚇するように大きく口を開け 噛みつく真似をした彼の唇は、怪物よりもずっと愛らしくそしてずっと恐ろしかった。 ----   [[二人がかりでもかなわない>24-279-1]] ----

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