小指と小指
ゆびきりげんまん うそついたらはりせんぼんのます
ゆびきった
幼い頃の約束。
交わしたあいつは、結局蜂の巣にしかならなかった。
親父は、あいつのことを「何の役にも立たない奴だった」と、罵った。
ぼんやりと、冷たくなった身体を想像してみる。
うそついたからだ
はりせんぼん のんだから
からだじゅうが あなだらけになったんだ
こっそりと、激怒する親父を置いて、自分の部屋に戻る。
机の引き出しを開けて
中から、新聞紙にくるまれた固まりを引き抜いた。
「いっしょにいるっていったのに
うそつきは だめだよ
こんどこそ うそついたら はり いちまんぼん のませるからな」
久しぶりにした指切りは、酷く冷たかった。
最終更新:2010年10月21日 18:02