世間知らずの天然美人×面倒見のいいガテン系

 お高いピアノでも弾いてそうな指が俺の頭に伸ばされる。
「アキラさん」
 小奇麗な顔に似合いの澄んだ声が――今日は少し掠れて、俺の名前を呼ぶ。
「こっち、向いて」
 俺は顔を俯かせたまま横に首を振った。細い指が俺の髪を優しく梳く。
 掌に覆われた左耳が熱い。
 床に転がったDVDのパッケージに目を走らせて、話題を逸らせないかと思考を回転させようとするけれども
混乱した頭は考えを纏めてはくれなかった。
「こういう時は相手の目を見ろ、って、アキラさんが教えてくれた」
「……そりゃ女相手の話だろ。俺は男だ」
 口説き方を知らないと言われた時、こんだけ綺麗な顔してりゃ目ェ見るだけで一発だとは確かに言った。
 その時は女に不自由しないとは嫌味な奴だとムカついたりしたもんだったが、抱き方も知らねェとかほざくから、
俺はいろんなもんを貸してやって、教えてやった。
 漫画やら映画のDVDやら、AVやら――その結果がコレだ。
「関係ない。アキラさんだから、言うんだ」
 俺の髪から首筋へ、そして唇へとエロくせェ触り方で指が辿る。
「勘違いじゃ、ねえの」
 女みてえに震えそうになる体を必死で抑えて逃げの一言を口にする。
「絶対違う」
「なんでだよ」
「勘違いでこうなったりしないでしょ?」
 片手を引かれ、掌でケイゴの腰に触らせられる。そこは確かに、制服のズボンの下でかたくなっていた。
 喉がきゅっと締まる心地がする。
「ねえ、アキラさん。俺、アキラさんの事が欲しいんだ。アキラさんを気持ちよくさせたい。
 チンポ扱いて、いっぱいザーメンで濡らして、俺のを突っ込んで喘がせたい」
「お…ッまえ、どこで、そんな……!」
 殴られた事もねえってツラしてすげえ言葉吐くから、思わず顔を上げてしまった。
 しまった、と思ったが遅く。
「アキラさん、だよ」
 男の俺でも見惚れるような笑顔浮かべて。
「…愛してるんだ」

 ――ホラ、一発だ。

 視線を逸らせない俺に顔を近づけて、唇が触れそうな距離で首を傾げる。
「ねえ、アキラさんの…気持ちいいところ、教えて?」
 綺麗な顔でねだられると俺はもう、こう言うしかねえんだ。
「……――しかたねえな」
 昔っから、コイツは何も知らない癖に俺をほだすのだけは上手かったんだった――――


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最終更新:2012年03月04日 23:59