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あなたの願いをどうぞ
言って下さい。
誰かの為に自分を抑えてしまう貴方の、本当の思いを知りたいから。
寡黙で勤勉でゆがみのない貴方は、どこまでも透徹した空気をまとう。それゆえに、貴方が僕達と同じ年の、まだ大人とは言えない時代を生きる者である事を忘れがちだけれど。
僕は知っている。優しくて、優しすぎるせいでどこか救われない貴方を。
わがままだなんて思わないで。負担になんて思わなくていいから。
ただ、ひとつの、貴方の譲れないものを、どうか。
言葉にして下さい。
その時僕も願いを言います。
『どうか離さないで』
言葉にしなくてもそばに居てくれる貴方へ。
大切な、かけがえのない貴方へと、僕もわがままを言わせて下さい。
言葉にしなくては、大事なことは分からないから。
二人の、これからの為に……僕達は願う。
あなたの願いは何? ささいな事でもいいから。
僕に出来ることなら何でも貴方にしてあげるから。
幸せを、願うから。
最終更新:2013年08月08日 06:24