初めての…

こんなに近くでユウの顔を見たのは初めてで、それだけで心臓が高鳴った。
同い年とは思えないほど大人びたその表情。
強い光を持つその瞳は今は伏せられて、長い睫毛がその目元に影を作って、とても綺麗で見惚れる。
そっと額が合わさる感触、反射的に目を瞑ればただ感じるのは額から伝わる熱だけで。
鼻先を擦り合い、その感触に震えて身を竦める。
少しだけ身を離そうとした俺をユウは逃さない。
その大きな掌が俺の後頭部に回り、固定する。
ユウが、俺の名前を囁く。吐息が、籠る。

「ナツ」

初めて交わした口付けは、さっきまで食べていた水蜜桃の味がした。



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最終更新:2010年02月21日 20:54