ゆりかごの詩。
『ゆ~りかご~のう~たを~…』
『カ~ナリアがう~たうよ~…』
聞こえてくるのは小波の音と
アスカの子守歌。僕の視界には青い空が広がっていた。
『シンジ』
アスカが呼び掛けてくる。いつものツンツンした声じゃなく、柔らかく優しい音色。
僕はその音色に答えようとした。
『シンジ』
なぜだろう。
あの時聞いた母さんの声と被って聞こえる、懐かしい母さんの声だ。
『シンジ、アンタの選択は間違っていなかったのよ』
『アタシはアンタと一緒に居られた』
『それだけでも素晴らしいことよ?』
アスカ。
僕は…君を守れなかった。
『シンジ、アタシが居なくても浮気しちゃダメだからね。したら絶交よ、離婚よ』
僕はそんなことしないよ、…怖くて出来ないよ。
『シンジ。』『ありがとう。』
アスカ…アスカ!
僕は、僕は…アスカがいないと…!
アスカァァァッ!
「…シンジ?」
…ゆっくりと目を開ける、そこにはアスカの顔があった。
どうやらアスカの膝で居眠りをしちゃったみたいだ。
夢だった、僕は夢を見ていたんだと確信した。
そしたらふと涙が零れる、ポロポロと止めどなく涙が溢れる。
まるで子供が母に泣きつくかのように顔を押しつけた。
「変な夢でも見たの?」
僕は声を上げ泣き続けた。ひとしきり泣くと僕はアスカに顔を向ける。
ねえアスカ、僕はどんなことがあっても君を守るから。
僕はもう臆病者なんかじゃない、絶対に君を守るから。
そう心に誓い、僕はアスカの頬に唇を添えた。
アスカ、これからも一緒に居て良いかい?
結婚記念日、おめでとう。
そして、ありがとう。
補完
最終更新:2007年04月23日 11:48