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「…じゃあ、いくね」
「…うん」
ドアを半開きにしたまま、こちらを振り向いて微笑んだ後、
彼女は出て行った。
なんでこんなことになっちゃったんだろう、
と僕はドアを閉めた後がらんとしたリビングの床に直接座り、
発泡酒を開ける。
毎月増える請求書、カードの督促、果ては職場への電話。
全て僕には身に覚えのないことだったけれど、
彼女の持っている服が日増しに増えていくことに、
高そうなアクセサリーや鞄が増えていくことに、
僕は気づかないふりをしていた。
頑張れば、なんとかなる。月の残業をもうちょっと増やして、
夏のボーナスまで耐えられれば、なんとかなる。
でも、僕の思いは呆気なく打ち砕かれた。
ある日ミサトさんに呼ばれて、現実を突きつけられた。
そこには300万を超える僕名義のカードローンと
山のような督促状と
どこから用意したのか、きちんとした身なりの弁護士さんが1人。