| エリック | 両企業で拡大しつづける紛争のせいで、 |
| USEAってもの自体が危ないらしいって | |
| ニュースで言ってた。 | |
| パークのヤツ、UPEOどころか | |
| 国が消えたらどうする気なんだろうな。 | |
| それでも俺は、 | |
| 最後まで見届けるつもりだ。 | |
| そして、一体誰が、何の為に、 | |
| こんな事を始めたのか、知る。 | |
| それが、自分にとって現時点で | |
| SARFの持つ意味だと思う……。 | |
| レナ | 最近の命令って、 |
| 治安の維持としては変じゃない? | |
| こんな状況でそれって絶対おかしい。 | |
| 近いうちに必ず何かあるはず。 | |
| あの男……パーク司令には | |
| 気をつけたほうがいい。 |
| ニューコムのナノ・テクノロジー研究所で |
| 緊急事態発生! |
| 建設作業用に大量配備されていた |
| 実験中のナノバイトが |
| 原因不明の暴走を起こした。 |
| 現在も増殖を続けており、非常に危険な状態だ。 |
| ただちに対処しなければならないが、 |
| 目標のナノバイトは微小で目視する事が出来ない。 |
| レーダーで探知し、 |
| ナノバイト中和剤ANBを投下――駆除せよ。 |
| ERICH | ナノバイトの位置を送る。 |
| ポイントに向かって | |
| ANBを撃ち込め! |
| ERADICATE VIRUS |
| ERICH | あちゃー、なーにやってんの。 |
| (レナが飛行しているだけ) |
| (ERICH) | レナ! やめろ! 接近しすぎだ! |
| (RENA) | 心が……! |
| 来ないでっ! |
| RENA | 頭が……! や、やめてぇっ! |
| ERICH | レナがナノバイトに侵食されて危険だ! |
| 早く、彼女の機体にANBを! |
| UPDATE TARGET |
| ※二次目標出現 |
| RENA | わ……わたしの、身体。 |
| ERICH | レナっ! レナーっ! |
| (レナがナノバイトの群れに突っ込んで爆発) |
| ※ミッション失敗 |
| MISSION ACCOMPLISHED |
| RENA | あ……ありがとう。 |
| ニューコムのナノバイトの暴走は |
| 諸君の活躍により食い止める事ができた。 |
| レナ | いつもいつも、 |
| 何かあるとあなたに助けられて。 | |
| 今度も、あのままナノバイトに | |
| 機体をやられたら、 | |
| きっと心が機械になる痛みに | |
| 耐えられなかったと思う。 | |
| でも、子供の頃…… | |
| 私、機械になりたかった。 | |
| どんな病気も── | |
| 死でさえ、修理してしまえる、 | |
| そんな体になりたかった。 |
| (RENA) | わたしは、生まれた時から |
| 一度も太陽の光を浴びた事がない……。 | |
| そんな病気は、まだほんの子供だったのわたしに、 | |
| 生きる意味を失わせるには十分だった。 | |
| 近所の公園へ出るのに、まるで宇宙旅行にでも | |
| 出かけるような姿にならなければならなかった。 | |
| やがて、外の世界から隔離されたように、 | |
| 自分自身によって心まで閉ざしてしまうまで | |
| そう長い時間はかからなかった。 | |
| ──そんな時、あの人に出会った。 | |
| 電脳空間(エレクトロスフィア)の持つ力とその可能性を教えてくれた……。 | |
| その出会い──。わたしを普通の人間として | |
| 扱ってくれた最初の人の事を、 | |
| わたしは、心から信じていた。 | |
| 身体こそ触れ合うことは出来ないけれど、 | |
| だからこそ、心は電脳空間(スフィア)の向こうで | |
| 誰よりも分かり合っているつもりだった。 | |
| あの人のためだったら、何でもできた。 | |
| いつ滅んでもいいと思っていた肉体なんて、 | |
| どうなってもよかった。 | |
| たったそれだけの事で、 | |
| 彼が持っていた翼をわたしも手に出来るのなら、 | |
| でも、それは間違っていた。 | |
| わたしが始まりだと思っていた時こそ、 | |
| あの人にとっては終わりの時だった。 | |
| あの男、ディジョンが手にしたかったのは、 | |
| ──わたしなんかじゃなかった。 | |
| こんなにも弱いからこそ被験者となり得た、 | |
| わたしの身体だけ。 | |
| また、わたしは、わたし自身の身体に裏切られ、 | |
| その時、心に決めていたの。 | |
| 人間としての心まで捨てて手に入れたこの翼だけは、 | |
| 絶対に離さないって──。 |
| レナ | だけど……ね。 |
| わたし、少しわかった。 | |
| 今までずっとわたしにとって翼が、 | |
| 心のすべてだと思っていたんだ。 | |
| でも、それは違うよね。 | |
| わたしが人間でいる限り | |
| 心はちゃんとここにあるって。 | |
| だから……これからわたし、 | |
| 少し強くなろうと思う。 | |
| 翼がなくても空は飛べるってね。 | |
| 今日は、聞いてくれて…… | |
| ありがとう。 |
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