発生年月日 1979/8/11
発生地 ウクライナ・ソビエト社会主義共和国 ドニプロゼルジンシク
機体 両社ともTu-134A
機体記号 СССР-65816(アエロフロート・モルドバPRO GA7628便)
СССР-65735(アエロフロート・ベラルーシUGA7880便)
乗員乗客数 【7628便】94(うち乗員6)
【7880便】85(うち乗員7)
死亡者数 【7628便】94(全員)
【7880便】85(全員)
事案 空中衝突・墜落
原因 管制塔のミスによる空中衝突ルートの形成・及び交信上のミス


当時ハリコフ管制は多忙だった。元から最大12機に指示をしなければならなかったうえ、この日はレオニード・ブレジネフ書記長のクリミア旅行も重なっていた。

アエロフロートのもとで運用されていたモルドバPRO GA7628便は、ハリコフ管制へ、高度8400メートルを飛行していること、今後のポイント通過時刻を管制へ伝えた。
しかし管制でその情報を聞き取った管制官は誤って正しい時刻よりも2,3分早い時刻を記録してしまった。この管制官は新人であったが、あまりにも多忙だった管制塔の指示で、こちらに赴いていたのだった。
一方、こちらもアエロフロートが運用していたベラルーシUGA7880便は、管制の指示で一度高度を7200メートルに上げ、さらに追加の指示で7628便と同高度の8400メートルに上げた。
この2機のコースはドニプロゼルジンシク上空で交差していたが、時刻の取り違いにより管制官は、既に7628便は当該地点を通過したと誤認、またレーダを見間違っていたため問題ないと判断した。

と、別のベテラン管制官がこの状況に気づき、あわてた管制官によって7880便を安全な高度へ移動させようと試みられた。
まず、9000メートルを飛んでいたUSSR-86676機を9600メートルまで上昇させ、次に、空いた高度9000に7880便を移動させようとした。

13:34:07ATCから航空機86676 「9600へ上昇してください」
13:34:21ATCから航空機86676 「テイク9600」
13:34:23ATCから7880便まで 「 …そうしたら9を使用してくださいドニプロゼルジンシク上8400メートルでコースが交差しています」
13:34:25航空機86676からATC 「9600へ」
13:34:33(不明瞭・おそらく86676機)「了解しました… 8400


「了解」の返答は、実際は7880便ではなく86676機のものだったが、管制官はこの7880便だと誤認。事実、7880便に命令は伝わっていなかった。

この交信からおよそ一分後、2機は衝突した。7880便の右翼が7628便のコックピットを切り裂き、7628便は完全にコントロールを喪失。右翼を失った7880便も緊急着陸を試みたものの失敗し、両機は墜落した。この事故で乗客乗員全員が死亡した。この事故は世界で3番目に死者が多かった空中衝突事故であるという。


最終更新:2020年11月23日 00:00