標本化(sampling)とは、ある連続信号を時間軸上の離散点ごとに抽出し、数列として並べ直すことで、量子化(quantization)とは、データのもつ量を整数化、もしくは量子の整数倍にすることをいう。
また、アナログ信号をディジタル信号に変換することをA/D変換といい、逆にディジタル信号をアナログ信号に戻すことをD/A変換という。
標本化定理
標本化元となるを信号(原信号)

、標本化関数を

とする。ただし標本化関数とは、離散値

に対してのみ1を返し、その他の

に対して0を返す関数をいい、一般に
が用いられる。さらに、標本化によって得られる信号

、すなわち
を考える。このとき、標本化周波数(サンプリングレート)

が
であったとき、
ということを保証した定理を、
標本化定理という。つまり、原信号のもつ最大周波数

に対して
>
の条件が満たされるとき、原信号の復元を保証する定理である。この条件を、ナイキスト条件という。
これに基づいて、例えば電話は

、CDでは

に設定されている。
A/D変換
A/D変換とは前述した標本化関数によって原信号

を離散化し、その出力信号を量子化することが主な機能となる。その際、ディジタルデータはビットと呼ばれる2進数データで表されることが多い。
D/A変換
標本化定理によると、サンプリングされた信号

は、

< S <

------★
を満たす周波数Sにおいて、原信号

と同じ周波数スペクトルをもっている。すなわち、

のフーリエ変換を

、

のフーリエ変換を

とし、★をバンド幅にもつ矩形窓を

とすると、
が成り立つ。従って畳み込み定理より、
が導かれる。ただし、窓関数

が矩形窓であるので、

はそれを逆フーリエ変換したsinc関数となる。この

を特に
補完公式ということがある。
この原信号復元の処理を行うのがD/A変換である。ただしsinc関数は収束が遅いため、復元の方法には様々な方法がとられている。
量子化誤差
ディジタル回路においては、データを表現できるビットの数は有限であるため、量子化を行ったデータでは最小桁において丸め誤差が発生する。
したがって、用途に応じてできるだけ高いビットレート(量子化レート)に設定する必要がある。
参考文献
- ディジタル信号処理 (森北出版)
- 音響用語辞典 (コロナ社)
- 標本化定理 - Wikipedia
最終更新:2009年01月22日 13:23