MI作戦概要

[MI作戦の作戦目的] (『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』p92)

大海令第18号
 昭和17年5月5日     奉勅 軍令部総長 永野修身
山本聯合艦隊司令長官ニ命令、
一、聯合艦隊司令長官ハ陸軍ト協力シ、AF及AO西部要地ヲ攻略スベシ
二、細項ニ関シテハ、軍令部総長ヲシテ指示セシム
(註)AF:ミッドウェー島、AO:アリューシャン列島

大海指第94号
 昭和17年5月5日     奉勅 軍令部総長 永野修身
山本聯合艦隊司令長官ニ命令、
大海令第18号ニ依ル作戦ハ、別冊AF作戦ニ関スル陸海軍中央協定ニ、
AO作戦ニ関スル陸海軍中央協定ニ準拠スベシ

「ミッドウェー」島作戦に関する陸海軍中央協定
一、作戦目的
  ミッドウェー島ヲ攻略シ、同方面ヨリ来襲スル敵国艦隊ノ機動ヲ封止シ、
  兼ネテ我ガ作戦基地ヲ推進スルニ在リ

二、作戦方針
  陸海軍協同シテ、ミッドウェー島ヲ攻略シ、海軍ハ急速同島ノ防備ヲ強化
  スルト共ニ、航空・潜水艦基地ヲ整備ス

三、作戦要領
 1、海軍航空部隊ハ、上陸数日前ヨリ、ミッドウェー島ヲ攻撃制圧ス
 2、陸軍ハ「イースタン」島、海軍ハ「サンド」島攻略ニ任ジ、
   別ニ海軍単独ニテ、キュア島ヲ攻略ス
 3、攻略完了後、概ネ一週間以内ニ、陸軍部隊ハ海軍部隊掩護ノ下ニ
   イースタン島ヲ撤収シ、同島ノ守備ハ、海軍之ニ任ズ
 4、海軍ハ有力ナル部隊ヲ以テ、攻略作戦ヲ支援擁護スルト共ニ、
   反撃ノ為出撃シ来ルコトアルベキ敵艦隊ヲ、捕捉撃滅ス

四、指揮官並ニ使用兵力
 1、海軍
   指揮官 聯合艦隊司令長官
   兵力  聯合艦隊ノ大部
 2、陸軍
   指揮官 一木支隊長(陸軍大佐 一木清直)
   兵力  歩兵第二十八聯隊、工兵一中隊、速射砲一中隊

五、作戦開始
   6月上旬乃至中旬、アリューシャン作戦ト同時ニ、本作戦ヲ開始ス
六、集合点及日時
   上陸部隊及掩護隊ノ集合点ヲ、サイパント概定シ、日時は5月25日頃トス
   陸軍部隊乗船時ヨリ、集合点ニ至ル航海ハ、海軍之ヲ護衛ス
七、指揮関係
 1、集合点集合時ヨリ、第二艦隊司令長官ハ、作戦ニ関シ陸軍部隊ヲ指揮ス
 2、上陸及上陸戦闘ニ於テ、陸軍部隊及海軍陸戦隊、同一箇所ニ作戦スル場合ハ、
   作戦ニ関シ、高級先任ノ指揮官之ヲ指揮ス
八、通信
   AL、MI、F作戦通信ニ関スル陸海軍中央協定ニ拠ル
九、輸送及補給
   陸軍部隊ノ一部輸送ノ為、海軍ハ作戦期間、輸送船一隻ヲ供出ス
十、使用地図、海図
   2017号海図トス
十一、使用時
   中央標準時トス
十二、作戦名称
   本作戦ヲ、MI作戦ト呼称ス

(引用終わり)
第一機動部隊の任務は「ミッドウェー島航空兵力の無力化」と「米空母部隊の捕捉撃滅」です。
 

 

[MI作戦の作戦日程] (『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』p164)

5月27日(N-11日)
  第一機動部隊、柱島を出撃
  対潜警戒を厳にしつつ、第一航路(資料無し)を採って進出する。
6月4日(N-3日)
  第二機動部隊、ダッチハーバー空襲
  機動部隊、攻略部隊、ともに敵哨戒圏(600浬)内に突入
6月5日(N-2日)
  第一機動部隊、黎明にミッドウェーの北西250浬付近に進出し、
  ミッドウェー攻撃隊を発進させて同島を奇襲し、所在の敵機、防備施設等を撃滅する。
  情況により、同島の北方から攻撃することがある。
  情況により、同日再度ミッドウェーを攻撃することがある。
  索敵はミッドウェー付近の広範囲を行い、警戒を厳にする。
  ミッドウェー島攻撃の間、母艦搭載機の半数は敵艦隊の出現に備えて艦上待機を行う。
6月6日(N-1日) 
  第一機動部隊、敵情に変化なければ敵艦隊の出撃に備えつつ、ミッドウェー島攻撃を続行
6月7日(N日)  
  攻略部隊、上陸開始
  第一機動部隊、敵情に変化なければ敵艦隊の出撃に備えつつ、ミッドウェー上陸作戦に
  協力の後、同島北方400浬付近に進出し、敵艦隊の出現に備う
  同島の基地使用可能の報を得ば、各空母に搭載中の基地航空部隊の戦闘機を同島に進出させる。
6月14日(N+7日)
  爾後、N+7日まで付近海面を機宜行動し敵艦隊の出現に備え、
  N+7日以後、命により同海面を離れトラックに向かう

(註)第一機動部隊のミッドウェー島空襲は、当初N-3日の予定だったが、
   出撃が遅れたためN-2日となった。
 

[飛行機隊の攻撃]
一、ミッドウェーに対する第一撃
  攻撃目標:空地の敵機、地上軍事施設
  攻撃隊の編制:当部隊戦策による第五編制(指揮官:飛龍飛行隊長=友永丈市大尉)

(註)第五編制とは、陸上基地攻撃編制のひとつ
  第一集団 第二群 第三攻撃隊(蒼龍艦攻18-爆装)
           第四攻撃隊(飛龍艦攻18-爆装)
  第二集団 第五群 第十一攻撃隊(赤城艦爆18)
           第十二攻撃隊(加賀艦爆18)
  第三集団 第八群 第一制空隊(赤城艦戦9)
           第二制空隊(加賀艦戦9)
       第九群 第三制空隊(蒼龍艦戦9)
           第四制空隊(飛龍艦戦9)

二、対敵艦隊攻撃待機
  当部隊戦策による第一?編制(指揮官:赤城飛行隊長)

(註)第一編制とは、艦船攻撃の編制のひとつ(推定)
  雷装 赤城艦攻17、加賀艦攻26
  爆装 蒼龍艦爆18、飛龍艦爆18
  戦闘機 各艦6(計24機)

三、爾後の攻撃は追って令する。
四、敵艦隊出現の場合は、当部隊戦策に基づき作戦する。
索敵偵察:追って令する。


[兵要地誌](『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』p64)
ミッドウェー
直径約11キロの環礁南部にイースタン島とサンド島がある。
イースタン島は東側。東西約3キロ、南北約1.5キロの三角形の島、
          平坦(最高高度13メートル)。飛行場あり。
サンド島はその西側。東西約3キロ、南北約2.5キロで、おおむね兵站
両島とその南の環礁との間は、約100メートル前後、水深は浅いが徒歩では渡れない。
二箇所の舟艇を通ずる小水路がある。
環礁の北西部は、大きく途切れているが一般に水深は浅いが、サンド島北方のウイルス港に
通ずる小水路があり、中型船舶の通航はできる。ウイルス港は港域が狭い。
同島とオアフ島の間には、海底電線が通じている。
同島西方約60浬にキューア島がある。

ミッドウエー島所在兵力は、次のとおり判断された。



[敵情判断の概要]

[MI作戦立案までの経緯](『戦史叢書(43)ミッドウェー海戦』p25~)
昭和16年
12月9日 
山本長官、宇垣参謀長に「ハワイ攻略作戦」と「セイロン島攻略作戦」の研究を命じる。
→ハワイ攻略作戦は、兵力不足により時期尚早と判断される。

昭和17年
1月12日
伊6潜が空母レキシントン撃沈を報告(実際はサラトガで被雷により損傷)

2月1日
米空母、マーシャル空襲

2月20日
ニューギニア沖海戦(米空母ラバウル空襲を企図するも、陸攻隊の反撃で避退)
大和艦上にて、セイロン島攻略作戦図上演習実施

2月24日
米空母、ウエーク島空襲

3月4日
米空母、南鳥島空襲

3月8日
陸軍の反対により、大本営海軍部はGFのセイロン島攻略作戦案を却下
→聯合艦隊は代替案としてミッドウェー作戦案を検討

4月1日
三和参謀が山本長官に、ミッドウェー/FS(フィジー・サモア)作戦を説明
<作戦概要>
 5月上旬 ポートモレスビー攻略作戦
 6月上旬 ミッドウェー作戦
 7月中旬 FS作戦(攻撃破壊のみ)
 10月  ハワイ攻略作戦

4月3日
渡辺参謀が、大本営海軍部に作戦の説明するも、反対される。
<反対理由>
 「ハワイ空襲と同一方向から、同一要領の作戦を実施することは危険」
 「ミッドウェー島から大型機の哨戒が実施されるのに対し、我が方が基地航空隊の支援を受けられない」
 「米空母は不利となれば出撃せず、誘出の効果に疑問」
 「攻略後の維持が困難」
 それに加えて、「FS作戦は破壊のみではなく、攻略確保すべき」

4月5日
ミッドウェー作戦案が内定
<変更点>
 FS作戦では、サモアは攻撃破壊するが、フィジー、ニューカレドニアは占領確保に努力
 ミッドウェー作戦にアリューシャン方面の攻略を追加
第二段作戦第一期作戦(ポートモレスビー攻略)の兵力部署を予報

4月10日
聯合艦隊、第二段作戦第一期兵力部署発令

4月12日
大本営海軍部が陸軍部にミッドウェー/アリューシャン作戦を提示
(ALは陸海軍協同、MIは海軍単独で実施するが、できればMIも陸軍の兵力派出を希望)
→陸軍は難色を示したが、AL攻略は以前から必要性を認めていたので同意

4月13日
聯合艦隊が海軍部に作戦日程を伝達
 5月7日 ポートモレスビー攻略
 6月7日 ミッドウェー/アリューシャン攻略
 6月18日 ミッドウェー作戦作戦部隊はトラックに集結
 7月1日 機動部隊、トラック出撃
 7月8日 ニューカレドニア攻略
 7月18日 フィジー攻略
 7月31日 サモア攻撃破壊

4月15日
第二段作戦計画を上奏裁可(p50)
<概要>
一、作戦目的:太平洋及び印度洋の敵艦隊・航空兵力を捕捉撃滅
       帝国不敗の戦略態勢を確立する
二、作戦方針:
 印度洋:英国艦隊撃滅、セイロン島攻略、独伊と連携
 豪州:米豪連絡線を遮断し、屈服を図る
 東太平洋:敵機動部隊の奇襲、特に本土に対する空襲を警戒
 米国:太平洋において決戦を強要し、捕捉撃滅
 支那:ビルマ作戦と連携して蒋介石政権の屈服を促進
三、兵力部署:
 南方占領地域:第一/第二/第三南遣艦隊
 内南洋、南太平洋:第四艦隊、第十一航空艦隊
 本土東方海面:第五艦隊
 太平洋、印度洋:第六艦隊
 本土近海:聯合艦隊主力
 支那方面:支那方面艦隊
四、作戦要領:
(一)速ニ印度洋ニ在ル英国艦隊ヲ索メテ、之ヲ撃滅シ、且ツ独伊ノ
   西亜作戦ノ進展ト呼応シテ、情況之ヲ許ス限リセイロン島ヲ攻略シ、
   英印間ノ連絡ヲ遮断シテ、独伊トノ連携ヲ確保ス
(二)濠州ニ対シテハ、米英トノ遮断作戦ヲ強化スルト共ニ、
   濠州方面敵艦隊ヲ撃滅シ、其ノ屈伏ヲ促進ス
   之ガ為、左ノ作戦ヲ実施ス
 (イ)基地航空部隊並ビニ、機動部隊ヲ以テ、豪州東岸及ビ北岸要地イ在ル
    敵兵力軍事諸施設ヲ撃砕シ、敵ノ反撃作戦ヲ封ズ
 (ロ)機動部隊及ビ潜水艦ヲ以テ、濠州方面敵艦隊ヲ撃滅スルト共ニ
    敵海上交通線ヲ破壊ス
 (ハ)陸軍ト共同シテ、フィジー・サモア及ビ、ニューカレドニアヲ攻略シ、
    右地点ニ、潜水艦及ビ航空基地ヲ整備シ、米豪間ノ海上交通及ビ、
    航空路ヲ遮断ス
    但シ、サモアニ対シテハ、之ガ攻略後、基地施設ヲ徹底的ニ破壊シタル後、
    撤退スルコトアリ
    支那事変解決スルカ、又ハ、対ソ関係閑話セル情勢トナリタル後、
    諸般ノ情勢、之ヲ許セバ、濠州攻略作戦ヲ企図スルコトアリ
(三)東正面ニ対シテハ、左ニ依リ作戦ス
  (イ)主トシテ、敵ノ奇襲作戦ヲ困難ナラシムル目的ヲ以テ、ミッドウェーヲ攻略ス
  (ロ)敵ノ奇襲作戦ニ対シ、適宜所要ノ兵力ヲ配備哨戒シ、特ニ本土空襲ニ対シ
     警戒ヲ厳ニシ、敵ノ企図ヲ未然ニ偵知スルニ努メ、適時兵力ヲ集中、之ヲ捕捉撃滅ス
  (ハ)潜水艦、航空部隊等ニ依ル奇襲攻撃ニ依リ、敵兵力ノ減殺、並ビニ主トシテ
     布哇(ハワイ)其ノ他太平洋方面敵作戦基地ノ破壊ニ努ム
  (ニ)成ル可ク速カニ、アリューシャン軍群島ノ作戦基地ヲ破壊、又ハ攻略シ、米軍ノ
     北太平洋方面ヨリスル作戦企図ヲ封止ス   
(四)印度洋方面作戦及ビ豪州方面作戦、概ネ一段落セバ、全力ヲ東正面ニ指向シ、
   米艦隊主力(英ノ聯合勢力モ含ム)ニ対シテ決戦ヲ強要シ、之ヲ撃滅ス
   之ガ為、我準備完成ヲ待チ、左ノ作戦ヲ実施ス
 (イ)布哇ノ外郭基地(ジョンストン、パルミラ等)ヲ攻略ス
 (ロ)機ヲ見テ、布哇ニ対シ大規模ノ奇襲作戦ヲ実施シ、所在航空兵力ヲ撃滅ス
 (ハ)聯合艦隊ノ大部ヲ以テ、前二項作戦ヲ実施シツツ、敵海上兵力ヲ捕捉撃滅シ、
    極力敵主力ニ決戦ヲ強要ス
 (ニ)前諸項作戦ト関連シ、情況之ヲ許セバ、敵前進根拠地ノ覆滅、通商破壊戦
    及ビ米西岸要地ノ奇襲攻撃ヲ強化スル目的ヲ以テ、陸軍ト協同シテ布哇ヲ
    攻略スルコトアリ
(五)作戦全期ヲ通ジ、印度洋及ビ太平洋ニ於テ、有効ナル通商破壊戦ヲ実施スルト
   共ニ、帝国所要ノ海上交通線ヲ確保ス
(六)速ニ南洋群島及ビ占領地域ノ防備ヲ強化シ、敵ノ攻略奪回作戦ニ備フ
(七)支那ニ対シテハ、印度・緬甸(ビルマ)方面ノ海上封鎖ヲ厳ニシ、陸軍ノ作戦ト
   相俟テ蒋政権ノ屈服ヲ促進ス

[補足]
○聯合艦隊が、ひとたび東に向かって積極作戦を開始し、主敵米軍との間合いを詰めれば、
 徹底的な勝利を得ない限り、西方に主力を振り向けることは難しい。
「印度洋の英国艦隊撃滅」など、望み得ないであろう。(p53)

○ミッドウェー作戦について、
「主トシテ、敵ノ奇襲作戦ヲ困難ナラシムル目的ヲ以テ、ミッドウェーヲ攻略ス」と
 ミッドウェー島を攻略して、哨戒基地を前進させることを主目的としているが、
 同時に「敵艦隊・航空兵力を捕捉撃滅」と敵空母撃滅も企図している。(p54)

4月16日
大海指第85号発令
(第二段作戦方針を示したもので、詳しい資料は残されていない)

機密聯合艦隊訓示第二号(p58)
「第二段作戦開始ニ際シ、各級指揮官ニ訓示」
○征戦ココニ五箇月、聯合艦隊ハ、今ヤ第一段作戦ヲ概成シテ、将ニ第二段作戦ニ移ラントス
 御稜威ノ下、各隊ノ善謀勇戦ニ依リ、戦果大イニ挙ガリ、戦勢亦有利ニ進ミ、
 克ク所期ノ目的ヲ達成シ得タルハ、本職ノ真ニ欣快トスル所ニシテ、各隊ノ偉功ヲ奏シ、
 赫赫タル武勲ヲ揚ゲツツアルハ、同慶ニ堪ヘズ

○然リト雖モ、既往ノ成果ハ未ダ以テ、戦争ノ全局ノ態勢ヲ制スルニ足ラズ
 敵ハ驕傲、備ヲ怠リ、緒戦ニ於テ、我ガ電撃ニ潰滅シタリト雖モ、依然強大ナル武力ヲ擁シ、
 軍備増強ノ規模、亦大ニシテ、既往ノ敗戦ヲ意トセズ、
 或ハ長期持久ヲ策シ、或ハ大挙反撃ヲ企図シ、以テ頽勢挽回ニ努ムベキヤ必セリ
 
○此ノ敵ヲ討チテ、征戦究極ノ目的ヲ達成センニハ、其ノ軍容成ルニ先ンジ、
 敵海上武力ノ中核ヲ撃摧シ、併セテ我ガ攻防自在ノ態勢ヲ確立セザルベカラズ

○戦局決戦段階ニ入ル、即チ聯合艦隊ハ新部署ニ就キテ、其ノ陣容ヲ整ヘ、今次戦訓ヲ加ヘテ
 益々鋭鋒ヲ磨キ、決戦兵力ヲ挙ゲ、東西両大洋ニ敵ヲ索メテ、之ヲ捕捉撃滅シ、以テ戦局ノ
 大勢ヲ海上ニ決セントス

○皇威ノ下、天祐既ニ我軍ノ上ニ在リ、
 本職ハ聖旨ヲ体シテ、前途ノ大成ヲ期シ、益々奮励努力、護国ノ華ト散リタル在天ノ英霊
 ト共ニ、飽ク迄、頑敵ヲ剿滅(そうめつ=残らず滅ぼす)シ尽サズンバ、息マザアラントス
 各員、本職ト思ヲ一ニシ、粉骨砕身、以テソノ任ヲ完ウスベシ
(解説)
「この訓示には、よく山本長官の思想が表されている。
 まず敵は、なお強大な武力を持ち、軍備増強の規模が大きく、必ず頽勢挽回を図るであろう。
 我が方としては、敵の軍容が整う前に、その中核兵力、すなわち米国兵力を撃砕せねば
 ならないと述べている。
 聯合艦隊は、ここで一息入れることなく、思い切った積極的な作戦を続けて、一挙に
 戦局の大勢を決めようとするもので、海軍部などの考えていた、長期不敗の態勢を固め、
 主として欧州戦局の進展に依存して、英国の崩壊から米国の戦意喪失を図ろうとする
 方針でないことを示している」

4月18日 ドゥーリットル隊による帝都空襲(p59)
[聯合艦隊の反応]
「この空襲を受けて同(山本)長官は、空襲成功による米海軍および米国民の士気の高揚を重視し、
 再度彼の奇襲を許さず、また高揚した彼の士気を阻喪させるため、ミッドウェー作戦を急ぎ、
 敵空母を捕捉撃滅する必要を痛感したようである」(p62)

[軍令部の反応]
「海軍部は早くから、米海軍が早期決戦を強要する方策として、わが本土を空襲することは
 ありうると判断していた。しかし同部は、その可能性や空襲を受けた場合の精神的影響など
 については、山本長官ほど深刻には考えていなかった。同部は現実にこの空襲を受けて、
 にわかに米機動部隊に対する関心が強まったようである」(p63)
「さらに米空母がB-25を使用したので、その対策としては、現に計画中のミッドウェー、
 アリューシャン両作戦の実施を急ぎ、哨戒基地を進めて、米空母のわが本土近接を困難と
 するよりほか方法はなく、さらにこの作戦を契機として米空母を捕捉撃滅できれば、一層
 効果を確実にできるとみて、同作戦の重要性に関する認識を深めた」
「そのため当初あれほど強く反対を唱えた海軍部第一課も本作戦の実施に積極的となった。
 これにより第一課と聯合艦隊との間の感情的疎隔は解消され、聯合艦隊に対する風当たりは
 一挙に好転したと、黒島・佐々木両参謀は回想している」

[陸軍の反応]
「陸軍部は、米空母に対する作戦は海軍の担任なので、当然その機動についての関心が
 薄かったと言えよう。ところが現実にこの空襲を受けて、同部の関心はにわかに高まった。
 当時陸海軍協定により、本土の防空は一部を除くほか陸軍の担任であった。そこで
 同部は海軍が企図しているミッドウェー、アリューシャン両作戦の重要性を認識し、
 その攻略を確実に成功させるため、陸軍兵力を両作戦に派遣する案を、20日海軍部に
 打診している。
 陸軍兵力の派遣は、海軍部の希望するところであったので、翌21日、その派遣が決定した」

4月28日 第一段作戦戦訓研究会
 

 

 

 






















 




        
 

 

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