トワイライトシンドローム~再会~

【とわいらいとしんどろーむ さいかい】
ジャンル アドベンチャー
機種 プレイステーション
発売元 スパイク
発売日 2000/07/27
メディア CD-ROM1枚
プレイ状況 ほぼ全エンディングクリア済(バッド数種未見)
総合評価 C

恐怖が切なさに変わる時、あなたは人の真実を見る・・・。

そこはまるで、箱庭のような街だった。
中高一貫校・私立秀栄学園とその学園を中心として発展し、あらゆる施設は学園関係者しか利用しない。外界から隔絶されたかのような閉鎖的な環境にあるその街は、深い森の中に忽然と姿を現したかのようであった。

学園関係者は、この地に縛り付けられていると言ってもいいかもしれない。しかし、この地に縛り付けられているのは生きている者だけなのだろうか?
秀栄学園に通う安堂友里と姉の麻沙、麻沙と交際中の神谷敦史は、この街の忘れ去られていた過去を覗き込むことになる。

  • 「序章 招霊の儀式」
    • 雑誌の心霊写真の賞金のために、こっくりさんで写真を撮ろうと計画。
  • 「第一章 禁断のゲーム」
    • ユウリはオカルト部のミサキから血まみれの手というゲームを教えられる。
  • 「第二章 鬼遊び唄」
    • “メリーさん”という話を途中で遮るマサだが、留守番をしていると電話が。
  • 「第三章 テレフォンカード」
    • アツシの親友テツヤが飛び降り自殺。マサは、死者と話ができるテレカの噂を思い出す。
  • 「第四章 すれ違いの伝言板」
    • 駅の伝言板にメッセージを書くと会いたい人に会えるという噂をミサキから聞く。
  • 「第五章 死者の行方」
    • マサは貰った指輪を無くしてしまう。その晩“捜してよ”という電話がかかってくる。
  • 「第六章 オルゴール」
    • ユウリは露天商からアンティークのオルゴールを買う。その晩奇妙な現象が。
  • 「終章 この地に眠るもの」
    • 誰かに見られているという不安を訴える者が続出。それはこっくりさんで霊を呼び出した時期と一致している。
  • 「その後… 姉妹」
    • 「友里編」いつもつけているピアスが無くなっている事に気付くが気にも留めず…。
    • 「真沙編」学校からの帰路の途中、ミサキからユウリに関する警告を受ける。

システム

前作シンドロームを継承し、基本は横スクロールのAVG。
歩き回り会話の中で出現する選択肢を選び話を進めていくという、システム根幹部分はそのまま。

「写真撮影機能」の自由度上昇。いつどこでもカメラモードに切り替え、360度カメラ視点で自由に撮影することができるようになった。
校内で心霊写真取り放題をするだけの専用お遊び「撮影モード」も追加。

クリア済の章に限るが、数カ所設定されている途中ポイントから始めることができるショートカット機能が追加。


評価する点

  • グラフィック
イベントムービーが今から見ても綺麗な部類に入る。美しいCGで描かれる恐怖演出はなかなかのもの。

  • システム
ついにオートセーブ搭載。途中ポイントから始めることができるショートカット機能が追加。これでゲームオーバーになっても中間地点からやり直すことが出来るように。最初からやり直しではないだけでも嬉しい。

「写真撮影機能」の自由度が増した。構えて自分で角度などを微調整してシャッターを押す臨場感はなかなか。それになぜかファインダーを覗いている間は、たとえ敵に追われていても、時間制限がない。慌てず冷静に思う存分ファインダーを覗ける。

また、校内で心霊写真取り放題の専用モード、「撮影モード」も楽しい。怪音がしたから撮影、なんか見えたから撮影、なんとなくそこにいそうだから撮影!などテンション上る。特にゲームオーバーなどもないのでのびのび楽しめる。極めるのにも結構時間が掛かりそうでやりこみ要素もあり。

  • 操作性
ポリゴン化で操作性が向上。登場人物が走って移動出来る。また「調べる」行為の位置判定が親切になった。


問題点

  • グラフィック
通常操作画面のグラフィックが2Dからフルポリゴンに。公式曰く「前作以上に恐怖の演出の幅を広げ」たらしいのだが、どう見ても失敗。ペラペラカクカクで情けない。前作で特徴的だった各キャラクター特有のしぐさもない。みんな同じような感じ。あれがキャラクターの個性を強調してたと思うのだが。CGムービーで力尽きたのかもしれないけれど、それにしてもひどい。

  • システム
不親切さがなかなかのレベル。またもやバックログはない(そろそろ装備されてもいいはずなんだけど時代的には)。また任意の箇所でセーブすることが出来ないのはなかなか不自由。オートセーブなのにポイントも結構少ない。

既読%が表示されるが、どういう基準なのかいまいち良く分からない数値。しかも別に攻略にはあまり関係しない。

グッドエンドで出現するその話の「後日談」を各話設定でON、OFF出来るってのもなんかよくわからないシステム。最後に出現する「その後」編の展開に関係するなんて普通ならわかるわけがない。しかもハッピーエンド以外のバッドにたどり着く為の条件が無茶苦茶に複雑。第何話の後日談がONで第何話がOFFならどうとか…。

  • シナリオ
シナリオが感動狙い過ぎで怖くない。最初だけ怖く、段々怖くなくなるのはホラーゲームとして致命的。第一章の「血まみれの手」が一番怖い(高クオリティCGで滴る血とか…自分はTVの前で叫んだ)。
そのシナリオは典型的「怖い話」してるので期待感は否が応にも高まるわけなのだが、その後は感動話ばかり。ホラーゲーで基本的にいい話ばっかというのはどうか?しかも稚拙すぎて感動がついてこないという…。小学校低学年向けの「学校の怖い話」とか「本当にあった怖い話」とかそれ系のレベル。あーはいそうですかーよかったねー。と冷めてしまうというか。
感動を狙っているはずなのに滑ってギャグにしか思えないネタが多いのも困る。ギャグとしか思えないというかシナリオライターの正気を疑っちゃうから困る。(まさかホラーゲームでアーッ!!が登場でしかもその恋が事件の原因とか伝説過ぎるだろ)。
特に全体のオチのしょーもなさはある意味必見。これだけいい世界観を用意しておいて、あれだけ用意周到な前振りしといてあれはない!!全クリア後には悪い意味で恐怖が切なさに変わってしまったのであった。

一番痛いのは、ベストED見ていく度に「ああこれが伏線だな…いい話的なオチの予感」と思ってしまう所。次の話、またはラストに向けての伏線が丸見え。伏せてない。その後編はどうでもいい上に怖くないし取ってつけたような感動話。
グラフィック技術が向上したためか、その数少ない怖い話さえも、「ジャーン!!」という視覚的な恐怖に頼りすぎてしまった感があるのも痛い。

総評

どうしてこうなった。
ガッカリゲーに分類されると思われる。
単品ホラーゲーとしてはそれほど悪くはないのだ(いいとも言わないけど)。
しかし「前作と比べると」シナリオの不出来さが目立つ。グラフィック・システム面で言えば前作より格段に上でありながら、前作を超えられなかったのはこの点に尽きる。設定だけを読めばいい感じにトワイライトしてるというか魅力的な世界観なのに、どうしてその設定を最大限に活かしてシナリオを書けなかったのか。素材がいいのに調理を間違えた典型的な例と言える。
ゲーム性は向上していただけに残念。前作が偉大すぎたのも比較されすぎて可哀想な作品なのかもしれない。第一章だけは出来がいいし、いい話系としては第五章が美麗グラフィックと相まって探索するワクワク感がなかなかのもの。
機会があり安価に購入できるのなら。プレイしてみてはどうだろうか。
最終更新:2011年10月22日 21:15