大奥記

【おおおくき】
ジャンル 権謀術策アドベンチャーゲーム
機種 プレイステーション2
発売元 グローバル・A・エンタテインメント
発売日 2008/6/5
メディア DVD-ROM1枚
プレイ状況 全エンディング制覇(3種)
総合評価 E

「大奥」を舞台に、うら若き乙女の復讐の宴が始まる…。

幕府の不興を蒙り、理由もわからず切腹となった小椋修康の一子「時子」。家臣に引き取られ美しく成長した「時子」は、事件の真相を知るため、亡き父の復讐を果たすため、憎しみを胸に大奥へと出仕する。

概要

主人公はお取り潰しの上切腹になった藩の娘。大奥で出世して近づいて上様ぶっころしてやんよ!が目的。しかし美人で利発な主人公は妬まれ事件に巻き込まれまくる。逆転裁判式で証拠を集めて容疑を晴らしたり犯人を見つけよう!!証拠集めるためなら夜中にスネークミニゲーもしちゃうぜ!無実証明を足がかりに出世もするぜ!そんなゲーム。

システム

「札」
証言や証拠は「札」として入手できる。
この「札」を集めるためには、大奥内をまわり、廊下を歩く人物や個室内にいる人物に証言を求める必要がある。証言のために夜中に忍者みたいに盗み聞きまでするミニゲームあり。

「申し開き」
裁判のようなもの。
自分を陥れようとする敵に対し、証言をうまく使い相手を追い込み反論し、自爆させるのが目的。申し開き中、一定回数失敗を重ねると相手の言い分が通ってしまいゲームオーバーとなる。ゲームハイライト。

基本的には
プロローグ→事件→言いがかりか疑いがかかる→無実証明のための証拠集め→申し開き→エピローグの流れ。分岐は即死以外、最後のシナリオで3つのEDに分かれるのみである。

問題点

  • グラフィック
ポリゴンやばい。このゲームで一番やばいのはグラフィックだと思う。主人公の時子はともかく、その他大勢の女性の顔が半漁人状態。眼の焦点があっていない。しかも全員無表情。というか、このゲームに表情は存在しない(時子含む)。
主人公はお行儀悪くも、ドスドス音を立てて廊下を歩く。しかも×ボタン連打でホバリング移動する。個室にある机はホログラムか何からしく人が突き抜ける。襖も障子も触れもしないのに「ガー」って音を立てて開閉する。なにこれ近未来?
グラフィックは全体的にPS後期くらいの出来。これPS2末期のゲームなんだけどなあ。

  • システム
またシステム面でもグラのフォローが出来てない。簡単な流れのゲームなのに…。
ザ☆ロード地獄!!
部屋を出た後、一時停止みたいな感じでちょつとブレて画面がフリーズ。フリーズかと思いきや、ロードしてるだけだったので安心した。そして絶望した。
その上、一日単位でしかセーブできない。当然のようにバックログはない。
証言集め中、エリア切り替えの度に見張りに話しかける必要があるが、立ち位置の判定がおかしい。一歩引いたところでないと反応しない。微調整がめんどい。

証言獲得がめんどくさい。規定期間内に証拠を得る制限があるが、女中達は偶数・奇数日で配置が違い、その上朝とか昼とか夕方と言った時間も条件に入る
。声を掛ける必要がある人間が廊下にいる人間だけならいいのだが、多くの場合無数の部屋をノーヒントで探しまわらねばならない。しかも部屋を出入りする度にフリーズロード。おまけに部屋の大半が無人状態となるともうね…。

  • シナリオ
時代考証滅茶苦茶。御台所と側室が京に帰郷とかもう設定からしておかしい。普通女中でも、帰郷は退職までできない掟がある。ましてやお手つきとなればもう一生ダメ。大奥は女の牢獄でございます(岸田今日子声で)。
こんないい加減な時代考証だから言葉遣いもご覧の有様だよ!
敵「ふふふふふ…バーカ!!誰があんたなんかと仲良くするかよ。甘く見るんじゃないわよ。あたしは直参旗本の娘よ。くっくっく・・・アーッハッハ!!」
時を超越したとしか思えない。時を越える大奥…。

評価点

  • 音楽
申し開きで流れる曲は素晴らしい。大河ドラマOPでも違和感なしの壮大さで否応無しにも盛り上がる。平時ののんびりした音楽、不穏な空気の音楽などの和風曲もマッチ。これ以外の他に曲が殆どないとも言うが。

  • シナリオ
シナリオ「だけ」はなかなか頑張っている。矛盾点とか「おいおいそれでいいのかよ!」感をおいてけぼりにする勢いの力強い脚本。容赦のないハードな展開。
王道昼ドラ展開を見よ。

風呂に入った時子「きゃあああ!水風呂じゃありませんか!」
その時
「時子様・・・御湯加減はいかがで御座いますか?」
とライバルの女がぬうっ、と戸から顔を…

ぎゃああああああああああああああああああああああああああ
心臓に悪すぎる!!一瞬ホラーゲームかと思ったよ。ゲーム始まって以来の一枚絵がこれとはね

会話パターンは無駄に多い。うろうろしてる人たちに話しかけまくると、事件に特に関係ない人は大奥内での噂やら年中行事やら自分の仕事やらについて教えてくれる。単なる雑談だが、豆知識的で面白い。四季の移ろいとか行事についてとか。
キャラの濃い同僚も印象的。べらんめぇ口調のおきゃんな女とか中間管理職とかミーハーとか。ライバルも敵もみんなキャラが濃く実在感がある。表情パターンの無い人面魚の癖にキャラが生き生きとしているのはよい。

申し開きは分岐も無いワンパターン進行だが、いじわるな上司やライバルを追い詰めて、きりきり舞いさせるところは気分爽快。

総評

間違いなくクソゲー。ただし自分は楽しめたし、迷いなく好きなゲームだと言い切れる。シナリオが面白ければいかにシステムがクソ以下でもなんとかなるという好例だと思う。後半の盛り上がりと時子の成り上がりぶりがすごく気持ちいい。
心残りは、発表当時の予告では大奥総取締りとか側室とかマルチ展開っぽい感じだったのに、発売されたこれはほぼ一本道だったということ。予告通りならばさぞかし面白かっただろうと思われるのが惜しい。
最終更新:2012年02月26日 20:45