黄泉がえり ~リフレイン~
【よみがえり】
ジャンル |
ファンタジックサウンドノベル |
機種 |
プレイステーション2 |
発売元 |
D3パブリッシャー |
発売日 |
2004/3/25 |
メディア |
DVD-ROM1枚 |
プレイ状況 |
三周でギブ |
総合評価 |
D
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あなたに黄泉がえらせたい人はいますか?
熊本で、局地的に死者が蘇る現象が多発。老いも若きも、死んだ当時の姿そのままで生き返る。外見は間違いなく本人だが、どこか微妙に違和感が――。
喜びつつも戸惑う周囲と、困惑し混乱する行政。彼らはなぜ、どうして蘇ったのか?
概要
このゲームは原作者が監修、小説版の世界観をベースにした外伝作品。小説では描かれなかった「黄泉がえった他の人々」にスポットを当てた10の物語。
低価格ゲームで有名なD3パブリッシャー作だが、これはフルプライスなので注意。
システム
「取材システム」
ゲームは週単位で区切りが設けられている。
主人公は記者であり、一週間に三回の取材を行なう事ができる。一周するごとに二話ずつ増える。サブストーリーが全九話(メインストーリーは主人公とヒロインで自動的に進む)。
各シナリオは同じ時間軸で展開しているので、場所を考えて選んでいく必要がある。
何度もプレイして1つ1つ謎を解いていくことで、他のストーリーとのつながりができ、物語の本質に近づいていく。
「心情パラメータ」
主人公には「癒し」「勇気」など九つの心情パラメータがあり、これに影響されてストーリー展開が変化することもある。
問題点
各地を回って取材するため、一週間(一周)に三つの場所(ストーリー)しか選べない。そのうちどこを読んでフラグを立てるか自分が選ぶわけだが、あっちに顔出せばこっちの話が読めずと何かと苛立たしい。
ひとつのシナリオに集中してしまうと、他のシナリオが悪い方へ悪い方へ動いていたり、フラグを逃してしまったりする。
ただでさえ一周するごとに二話ずつ増えるというのに、一周でできることには限界があり、しかもマルチエンド(一話ごとにバッド、ノーマル、グッド三種)。
タイトルにある通り、「リフレイン」つまり周回プレイ前提(三回以上)なのは面白い一方、苦痛でもある。いややっぱり足かせに苛立ちを感じるだけ。
心情パラメータは一応大きな動きのある場所(話)で波状効果が出て目安にはなるが、選択によって何がどう変動し、どうシナリオに影響しているのかよくわからない。
セーブ画面からシナリオに入るまでのロード時間(5秒程度?)がとにかく長い。その上頻繁に入る。
セーブ画面でセーブを選択→ロード→メモカ選択画面→戻るを選択→ロード→セーブ画面でシナリオ選択を表示→ロード→シナリオ選択場面 この調子。
PS2でやってるとは思えないグラフィック。
登場人物は影絵、背景は粗い写真という、なんともやっつけ・・・いや手ぬ・・・いや簡素な佇まい。
話題作りのためか、ヒロイン役の声優に小倉優子を起用しているが大惨事。
そのあまりにフレッシュな演技のためか、ダブルキャストにしてある(そっちはまとも)のは前代未聞の事態ではないだろうか。
評価点
シナリオ自体は、コテコテのベタベタとは言え感動できるいいシナリオになっている。黄泉がえり本人たちや周囲の困惑や喜びなどの心情描写も細やかで、それでいてコミカルなギャグ描写を忘れない。
その感動的、あるいは悲しい結末を迎える物語は、どれも余韻を感じるような、丁寧な筆致である。
周回プレイをしている内に、「黄泉がえりである彼、彼女らには何が必要だったのか、また何をしてあげるべきだったのか」ということがわかってくるのは面白い。
取材しているだけの人間である主人公にできることには限りがある。しかし、少しでも手助けができれば、力になることが出来れば、と、いつのまにかプレイヤーが主人公になり、のめり込んでしまうようになる。
総評
評価D。
シナリオはかなり良い。文章力、内容、構成共に書籍と比較しても遜色ないレベルである。サウンドノベルゲームの中ではかなりの高水準であるといえる。
しかし、動作が(主にロード)があまりにも酷い。周回プレイ前提なのに周回プレイが苦痛なほどの酷さ。
全体的に漂う低予算臭を無視するとしても、ロードの酷さは無視できない。
DSかPSPあたりに移植して(もちろんロードなしにしてが前提)ならばそこそこ高評価を受けるのではないだろうか。
もったいない作品である。
最終更新:2012年02月26日 21:32