※ラファ、アルマ、メリアドール、アグリアス、レイプ物ss ダーク系ssのため苦手な方はご注意を



「ワタシノ… 復活ヲ… サマタゲル… ツモリ… カ……
 ソウハ…… サセヌ……
 イデヨ…… ワガ… シモベ… ドモヨ……
 ワタシノ… 復活ヲ… サマタゲル者ハ…
 何人タリトモ… 許シテハ… オカナイ!
 行クゾ…… 非力ナル者ドモヨ……!」


 死都ミュロンド、飛空挺の墓場。古に伝わる暗黒の地で、ラムザ一行と聖天使アルテマとの最終決戦が始まった。
「デーモンは引き受けたッ! 貴公は妹君をッ!」
 聖騎士アグリアスが弾かれた様に跳んだ。聖剣エクスカリバーに加速された肉体が、神速の速さで以ってアルテマデーモンに肉薄する。
「大気満たす力震え、我が腕をして、
       閃光とならん! 無双稲妻突き!」
 聖気を纏った雷撃の連続突きが、アルテマデーモンの身体を滅多刺しにする。確かな手ごたえをアグリアスは感じたが、瞬間、ぞわぞわとした殺気を感じて、エスカッションをぐるりと前方にかざした。
 ガキィィン! 耳障りな金属音と共に、正面のアルテマデーモンの腕とエスカッションが激突した。その激烈な衝撃に、アグリアスは「くぅ…」と苦悶の声を漏らした。
「…流石はデーモン、一撃では倒せぬか…」
 油断無く周りを見渡すと、聖天使アルテマによって召還されたアルテマデーモンが、次々と受肉を始めている。
(まずいッ 孤立してしまう!)
 アグリアスが慌てて後退しようとすると、それを読んでいたかのようにアルテマデーモンが前進し、大きく腕を振りかぶった。
「チィ、しまっ…!」
「地獄の鬼の首折る刃の空に舞う
       無間地獄の百万由旬… 冥界恐叫打!」
 突如、振りかぶったアルテマデーモンの腕が、爆発するように千切れ飛んだ。ホッとしたアグリアスが横を見ると、しなやかなフォームで巨大な騎士剣を逆袈裟に振り上げた神殿騎士メリアドールが、怒ったような表情でアグリアスを見た。
「先走りすぎよッ 加速(ヘイスト)の加護は慢心の根ではないでしょう!」
「すまないッ メリアドール!」
 体勢を立て直したアグリアスは、間髪入れずにアルテマデーモンの首を横薙ぎに刎ねた。頭部を失ったアルテマデーモンは数回力無く腕を振り回した後、どぉんと地面に倒れ伏した。 
「油断大敵、この戦いは負けられないわ。慎重に行きましょう…!」
「ああ、背中は任せる!」
 緑青の女性騎士は、互いに背中を預け合うと、じりじりとにじり寄るアルテマデーモンを睥睨した。
「アルマッ!」
 2人の女性騎士アルテマデーモンを引き付けたため、倒れ伏すアルマへの道が開けた。ラムザはこの機を逃すまいと、急いでアルマの側に駆けつけた。
「アルマ、しっかりしろ!」
 妹を助け起こすと、青ざめた顔付きではあるが、アルマはしっかりとした目付きで兄を見た。
「私は大丈夫… 早く、アルテマを…!」
 衰弱した妹を見てラムザは即座に「ラファ!」と叫んだ。
「任せてッ!」
 白魔道を極めし天道士ラファが高速詠唱で呪文を紡ぐ。
「空の下なる我が手に、祝福の風の
       恵みあらん! ケアルガ!」
 ラファが高らかに詠唱を終えると、柔らかな光がアルマに降り注ぎ、アルマの表情に生気が戻った。
「アルマは下がっているんだッ!」
「私だって魔法の援護ぐらいは…ッ」
 食い下がろうとする妹を突き飛ばすようにラファに預け、ラムザは神剣ラグナロクをスラリと鞘から抜き放った。
 相対するは聖天使アルテマ。長き眠りから目覚めた血塗られた聖天使は、無機質な双眸をラムザに向けた。
「愚カナ… 人間ノ分際デ私ニ逆ラウトハ…」
「愚かなのは貴様だッ! 人の生を弄び、イヴァリースに混沌をもたらした悪魔めッ! 今、ここで討ち果たすッ!」
 そう言うと、ラムザはラグナロクを正眼に構えた。
(ここで決着を付ける…ッ!)
 心中で覚悟を決めると、ラムザは大きく息を吸い込んで口を開いた。
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 腹の底から全身を鼓舞する雄叫びを上げる。立ち昇る闘気が不可視の守りとなってラムザを包み、ラグナロクを持つ手に力が篭もる。負けるはずが無いという自信がラムザの背筋を一直線に貫いた。
「でやぁぁぁぁ!!」
 裂迫の気合と共にラムザはラグナロクを打ち込んだ。目で捉えることができぬほどの鋭い斬戟だったが、アルテマの身体が一瞬ブレると、次の瞬間には硬質な刃と化した腕がラムザの斬戟を受け止めていた。
「くッ!」
「フン… 脆弱ナニンゲンガ…」
 アルテマは軽く笑うと、もう一方の手を刃に変えてラムザに無造作に振り下ろした。ラムザは素早くラグナロクを切り返すと、受け流すようにアルテマの刃を弾いた。
「ナニッ!」
「……ッ!」
 受け流されバランスを崩したアルテマの背に、ラムザは強かにラグナロクを打ちつけた。驚くほど固い手応えを感じながらも、一気に騎士剣を振りぬく。さらに畳み掛けるように袈裟切りに切り下ろすが、アルテマは瞬時にテレポを果たし後方へ逃れていた。
 油断無くラグナロクを構えるラムザの前で、アルテマは憎しみに歪んだ声を発した。
「矮小ナニンゲンノ風情デ、神タル私ヲ傷付ケルカ… 身ノホドヲ知レッ!!」
「何が神かッ! どこまで慢心するか、悪魔の化身めッ! 貴様はただの血に飢えた怪物だッ!」
 大音声と共に断ずると、ラムザは両足に力を込めて一足に跳んだ。数mの距離を一気に詰めると、そのまま体を預けるようにしてラグナロクをアルテマに突き込んだ。
 ガードする刃の腕を潜り抜けて、ラグナロクがアルテマの胸に突き刺さる。
「グァァァ!!」
「まだだッ!」
 ラムザは足をアルテマの身体にかけて素早くラグナロクを引き抜くと、突き、逆袈裟、袈裟切りの三連撃を、恐ろしいスピードでアルテマに叩き込んだ。
「ギャアアアアア!!!!」
 魂消るような悲鳴を上げてアルテマが地面に崩れ落ちる。好機と見取ったラムザは、ラグナロクを水平に大きく振りかぶった。
「とどめぇぇーーー!!」
 全身をバネとして放った一撃は、狙い違わずアルテマの首へと吸い込まれ、見事、一刀両断に切って捨てた。
「やった!!」
 後方でアルマを守っていたラファが喝采を上げた。ラムザが油断なくアルテマの身体を蹴ると、主を失った身体はばったりと地面に倒れた。
「倒した… 倒したぞ…!!」
 勝利を確信してラムザは右手を高々と振り上げた。その時、ちょうどアグリアスとメリアドールも最後のデーモンを倒してラムザへと駆け寄って来た。
「流石だ、ラムザッ!」
「こんな化物を1人で… 凄いわ!」
 未だ周囲を警戒しながらも、アグリアスとメリアドールは口々にラムザを称えた。
 激闘の緊張をようやく緩ませながら、ラムザは軽く笑って答えた。
「いえ、御2人がデーモンを引き付けてくれたからです。僕だけの手柄ではありません。ラファも…」
 戦闘が終わったと感じたラファは、ふらつくアルマを支えながらゆっくりとラムザの側まで歩み寄った。そして、ラファに促されるようにラムザの正面に立ったアルマは、感に耐えかねたようにラムザに抱きついた。
「ありがとう、兄さん!! 凄く、凄く怖かった…」
「もう大丈夫だよ、アルマ…」
 兄妹は、しばらくお互いの無事を確かめ合うように抱擁を続けた。周囲の3人の女性は、決して軽くは無い嫉妬の視線をチラチラと送りながら、それでも仕方ないという風に肩を竦めあった。

「でも、本当に凄いわ… 聖天使を打ち倒すなんて、驚いた…」
 相変わらず抱擁を続けるアルマがポツリと呟いた。
「うん…?」
 ラムザが聞き取れずに聞き返すと、アルマは伏せていた双眸を兄に向けた。
「本当、前回に受肉した抜け殻とはいえ、よくも倒せたですこと」
 ニヤリと笑うその笑顔に不吉なものを感じ、ラムザは慌てて身体を引き離そうとした。しかし、
(なんだ… 身体に力が入らない…!)
 先刻まで精気に満ちていた身体に、まるで力が入らない。しかも、声も出す事が出来ない。
「転生したばかりで力もないので、時間稼ぎに抜け殻を残しましたけど、正解だったみたいですね…」
 アルマは兄の耳に囁きかけた。妹に在らざる雰囲気を察して、ラムザは何とか身体を動かそうとしたが、その意思に反して、身体はピクリとも動かなかった。
「アルマ殿、そろそろ兄上を解放して差し上げたらいかがですか?」
 助け舟を出すつもりで、アグリアスがそう言葉を掛けた。しかし、アルマはそれには答えず、右手をスッと天に上げた。
「えっ…?」
「お馬鹿さんたちには醜い現実を…
 天空の時の手を掲げ
       星の裁き… グランドクロス!」
 アルマが凶々しく詠唱を終えると、天上に輝く北斗七星から妖しい輝きが飛空挺に降り注いだ。瞬間、3人の女性たちの身体が崩れ落ちて、真っ黒いオーラが彼女らを包み込んだ。
「これ、は…」
「なん、なの…」
「あぁ…」
 壮絶な脱力感と倦怠感が3人を襲った。身体を動かそうとしても、壊れた人形のように動かない。そのくせ、意識はいやにハッキリしていて、アルマがしなだれかかる様にラムザの身体を押し倒すのが見えた。
「なんの、つもりだ…! アルマ殿…ッ!」
 アグリアスが気力を振り絞って叫ぶと、アルマは可笑しそうに哄笑した。
「アルマ? この肉体の名は確かにそうね、でも今は…」
 アルマの身体を黒いオーラが包み込むと、次の瞬間には異形の怪物がそこには存在していた。
 顔や全体的な体型はアルマそのものだったが、その姿はまさに聖天使アルテマの姿だった。
「私は聖天使アルテマ。この地に破壊と殺戮をもたらす天使。ずいぶんと頑張ったようだが、無駄なあがきだったな」
 聖天使アルテマは、己の存在を誇示するかのように白い翼を勢い良く広げた。轟然と輝くその姿からは、先ほどの化身とは全く違う強烈な威圧感があった。
「これ、が、アルテマ…」
 ラファが呆然とした声で呟いた。元々臆病な彼女には、その存在感は強烈すぎた。完全に戦意を失っている。
「ラファ、諦めるな! クソッ! 身体さえ動けばッ!」
「そうよ! こんな異形の怪物に屈してはいけないわ!」
 2人の女性騎士は、それでも戦意を失わず気を吐いた、しかし、アルテマはさも馬鹿にしたような笑みを漏らすと、軽く腕を上げた。
「虫けらが良く吠える。では、その心がどこまで折れないか試してやろう…」
 不意に、飛空挺のいたるところに気配を感じて、3人は必死に首を巡らした。その視線の先には、様々な異形の姿をしたデーモンが受肉を始めていた。
「いやぁぁぁぁ!!」
 はっきりとした恐怖を感じて、ラファが甲高い悲鳴を上げた。アグリアスとメリアドールも、声こそ上げないものの内心の恐怖を抑えつけるのに必死だった。
「さて、お前たちには我が眷属の慰み者になってもらう。良い声で啼いてくれ」
 ヒュン、とアルテマが腕を振ると、完全に受肉を果たしたデーモンが、一斉に3人に襲い掛かった…!

ぐちゃ、ぐちゅ、ぐちゅ…
 先ほどまでは剣戟の音が響いていた飛空挺の墓場で、今度は淫らな水音が響いていた。
「もう、いやぁ… 許して、許してぇ…」
 白い装束を全て剥ぎ取られたラファが、四つん這いの格好で背後からアルテマデーモンに犯されていた。
 既に何度も射精を受けているヴァギナはデーモンの精液で溢れかえっており、激しく突かれる度にびちゃびちゃと間欠泉の様に噴き出ていた。
 恐ろしい事に、アルテマデーモンの性器は幾度の射精でも萎える事無く、それどころかさらに体積を増してラファの体内を蹂躙したいた。
「やめてぇ… もう出さないで、お願いだから… ああ!! 出てる、出てるぅぅ!!」
 まるで放尿するかのような激しい奔流が、ラファの子宮口にぶち当たった。直接体奥に精液が染み込む感触にラファは慄いた。また、それだけではない。射精される度に身体中をすさまじい快感が貫くのだ。
「どうして… 嫌、嫌…」
 もちろん、これはアルテマが仕掛けた淫靡な罠だった。グランドクルスによって支配した、ラファの精神と感覚を操っているのだ。
 しかし、そんな事は知らないラファは、己の肉体をただただ嫌悪するばかりだった。そして脳裏に蘇るのは幼少の頃より散々犯されたリオファネス城の夜。戦争孤児として自分を引き取ったバリンテン公は、当たり前のようにまだ幼いラファの身体を犯し抜いた。
 毎夜繰り返される、あまりに幼い身体に課せられた調教の数々。胸の奥底に封印していたはずなのに、デーモンの精液はその記憶すらも否応無く引き出していた。
「ああ!! おじ様もう出さないでッ!! もうおなか一杯なんですッ!」
 半狂乱で叫ぶラファに、それまで無言で行為を行っていたアルテマデーモンが低く唸る声を発した。
「グググ… サア、ワガ子ヲ孕メ…」
 その言葉に、ラファは卒倒しそうなほどの衝撃を与えた。そういえば、怪物の中には人間の腹を借りて子を成すモノも居る。このデーモンはそこらのゴブリン等とは比較にもならない高位のモンスターだ。まさか、そんな…
「嫌ッ!! 怪物の子供など孕みたくないッ!! お願いします! それだけは許してくださいッ!!」
 ラファは大粒の涙を流して懇願した。しかし、デーモンは「グググッ」と笑うとさらに大量の精液を放出し始めた。
「嫌ーーーーーッ!!」
 戦場にラファの悲鳴が木霊した。


「あらあら、魔導師はすぐに音を上げたみたいね。我が眷属の一員になれるというのに、贅沢な娘」
 聖天使アルテマは倒れたラムザの鎧をゆっくりと解きながら嘲るように笑った。
「クソッ… アルマ、目を覚ませ、アルマ…!」
 身体の自由は奪われたままだが、なぜか声が出せるようになったラムザが必死に叫んだ。
 アルテマは呆れたような表情を表したあと、ラムザの頬を愛しそうに撫ぜた。
「お馬鹿な兄さん、転生を何だと思っているの? 私はアルマよ。ほんの少しカタチは変わってしまったけど、貴方の愛したアルマ・ベオルブよ」
 そう言って妖艶に微笑むアルテマの表情に、確かに妹の面影を感じてしまって、ラムザは慌ててその思いを打ち消した。
「違う! お前はアルマなんかじゃないッ!」
「ふん… まあ、良いですけど。段々とわかって来る事ですから… おや?」
 露出したラムザの肌を淫靡に愛撫しながら、アルテマは視線を横にやった。
「ふふふ、神殿騎士もだいぶ限界のようね。さあ、一緒に見物しましょう、兄さん…」
「異形の怪物などに、屈してたまるもんですかッ!」
 緑色のローブを引き裂かれて、半裸の姿を晒しながらもメリアドールは気丈に言い放った。
 遠目にはラファが陵辱され、哀願する姿が見える。情けないとは思わなかった。ただ、神官騎士たる自分は絶対に異形の悪魔には屈するわけにはいかなかった。
「さあ、犯すなら犯しなさい化物。あなたたちがいくら私の身体を汚そうと、私の信仰までも汚す事は出来ないわ!」
 毅然としてメリアドールは宣言した。神殿騎士としての矜持がメラメラと燃え上がっていた。
「グググッ、威勢ノ良イコトダ…」
 しかし、デーモンはそんなメリアドールの意地すら可笑しそうに笑うと「オマエヲ犯スノハ、我々デハナイ…」と不気味に言った。
「何ッ!」
 いぶかしむメリアドールを、まるで幼女が用を足す時のように背後から抱え上げて、アルテマデーモンは短く何かの呪文を呟いた。
 その瞬間、メリアドールの目前に淡い光と共に、1人の騎士が出現した。その姿を認めた途端、メリアドールは驚愕と共に叫んだ。
「イズルートッ!」
 それはまさしく、リオファネス城でルガヴィに殺された、実弟イズルートの姿だった。しかし、様子がおかしい。眼光は光を失い、艶の無い肌からは死臭が漂っていた。
「まさか、まさか…ッ」
 メリアドールの脳裏に恐ろしい推理が過ぎる。その姿は、聖ミュロンド寺院で遭遇した、アンデットと化したラムザの実兄ザルバックと全く同じモノだった。
「何てこと、何てことを…!」
 メリアドールは滂沱の涙を流した。イズルートは「おお…」と呻き声を出すと、たどたどしい足取りでゆっくりとメリアドールに近寄った。
「イズルートぉ!! しっかりして! 私よ! 姉さんよ!!」
「姉、さん…」
 イズルートの口から、何年もかけて錆付いたような声が漏れ出た。その声に感情の欠片も感じる事が出来ず、メリアドールは深い絶望を味わった。
「姉、さん… 怖い、寒い… 何もわからない…」
「イズルートッ!!」
「ぬくもりが、ほしい…」
 イズルートは一瞬動きを止めてメリアドールの姿を見ると、邪まに歪んだ笑いを漏らした。
「姉さんの、ぬくもりが、ほしい…」
「ヒィッ!!」
 それまでの鈍重さが嘘のように機敏にメリアドールに接近したイズルートは、服が破けて露出したメリアドールの乳房を両手で揉みしだいた。
「あ、あ…」
 肌に触れたイズルートの手があまりにも冷たくて、メリアドールの全身が総毛立った。イズルートの瞳は何も写さないのに、その表情だけは醜く歪んでいた。
「あたたかいよ… 姉さん…」
「やめて、やめて…」
 メリアドールが弱々しく首を振った。突き飛ばそうと思っても、身体に力が入ってくれない。
「姉さんの、…が欲しい」
「え?」
 ぼそりと呟いたイズルートの言葉を聞き逃し、メリアドールは思わず聞き返した。
「姉さんの、血が、欲しい…!」
 今度はハッキリと聞こえた。メリアドールが制止する間もなく、イズルートは口を大きく開けた。その中には、通常ありえないほどに発達した犬歯がヌラヌラと光っていた。
「ま、待って… きゃッ!!」
 姉の言葉などお構い無しに、イズルートは牙をメリアドールの乳房に突き立てた。途端に溢れ出た鮮血をイズルートは音を立てて啜った。
「ああ…」
 メリアドールの口から掠れるような喘ぎ声が漏れ出た。乳房の痛みや行為への嫌悪感だけで出たのは無い。牙が肌を食い破った瞬間、恐ろしいまでの快楽がメリアドールの脳髄を直撃したのだ。
(どうして… なぜ…?)
 もちろんアルテマの精神操作のせいではあるが、混乱したメリアドールにはただただ恐ろしさを加速させるだけであった。
「じゅるじゅる… はぁはぁ… あたたかい、姉さんの血はあたたかい… もっとだ、もっと僕をあたためて…!」
 イズルートは己の腰帯を引きちぎるように破り捨てた。その中から雄雄しく起立した男性器を見て、メリアドールの顔が恐怖に歪んだ。
「ッ! 駄目よ、イズルートッ! 私たちは姉弟なのよッ! 駄目よ! 駄目ぇぇぇ!!」
 声を枯らしてメリアドールが叫ぶが、イズルートは止まらない。メリアドールの股布を破り捨てると、ピッタリと閉じた姉のヴァギナに己のペニスをあてがった。
「駄目ェェェェェーーーーーーッ!!!!」
 メリアドールは大絶叫を上げた、しかし、それが皮肉にも合図となって、イズルートは強引にペニスをヴァギナに根元まで突き刺した…!
「ああああぁぁぁぁ!!」
 その瞬間、メリアドールはおとがいを反らして絶叫を発した。尋常でない激痛がメリアドールに襲い掛かる。さらに2人の結合部から、数条の血がたらたらと流れ落ちた。
「そんな、弟に… 非道い…」
 メリアドールは呆然と涙を流した。敬虔なグレバドス教の信者であるメリアドールは処女であった。その処女を、よりにもよって血を分けた弟に散らされたのだ。深い絶望と諦観の念がメリアドールを支配した。
「あたたかい… もっと分けて… 姉さん…」
 姉のショックなどお構い無しで、イズルートは腰を強引に振り始めた。異常に冷たく巨大なペニスに処女地を蹂躙され、メリアドールは再び起こる激痛に顔を歪めた。
「痛い… うぅ、許して…」
「あたたかい… 出すよ、姉さん…」
 イズルートが呟いた瞬間、ペニスから氷水のような冷たさの精液が迸った。体奥を冷水で叩かれる感覚に、メリアドールの中で何かがポキリと音を立てて折れた。
「あ、は… 出てる… イズルートの精が私の膣内に… あはは、出ちゃってる…」
 メリアドールの瞳が焦点を失った。冷たい精液を散々に注ぎ込まれて、メリアドールの心は完全に凍りついた…

「神殿騎士もあっけないわね。グレバドスなどという、居もしない神に縋って滑稽だわ。ねぇ、兄さんもそう思うでしょ?」
 完全にラムザを裸にしてアルテマは嘲る様に笑った。ラムザは血走った憤怒の表情でアルテマを睨み、唯一自由に動く口は、唇を噛み切ってだらだらと血を流していた。
「…もうやめろ。僕たちを殺すならばさっさと殺せ。これ以上人の尊厳を辱めるな…!」
 ラムザが軋むような声でアルテマに言った。
「尊厳?」
 アルテマはそう言うと、可笑しそうに「クスクスクス」と笑った。
「何が可笑しい!」
「いーえ、兄さんらしいと思いまして。潔癖症で理想主義者、そんなんだから、妹の気持ちに気付かないんですね」
「何だと…!?」
 誰何するラムザに構わず、アルテマはまだ小さいままのラムザのペニスをつまみあげた。
「やめろ!」
「い、や」
 短く答えて、アルテマはラムザのペニスを咥え込んだ。そのまま軽く刺激を与えながら精神を操作する。強制的に発情させられたラムザのペニスは、あっという間にはちきれんばかりの太さに勃起した。
「わあ、すごい。これで妹の処女を貫いてください… でも、その前にお口に精を頂こうかしら…?」
 アルテマは妖艶に微笑むと、明らかに喉奥まで届くラムザのペニスを、易々と根元まで咥え込んだ。
(なんだ、これはッ…!)
 ねっとりと絡みつくアルテマの口腔が、凄まじい快感をラムザに与える。脳髄と感覚が直結したかのような快感に、ラムザはあっと言う間に登りつめて、アルテマの咥内に精液を噴出した。
 アルテマは突然出された精液にも戸惑う事無く、見せ付けるように音を立ててそれを飲み干すと、ラムザと目を合わせてニタリと笑った。
「ごちそうさま。兄さんの精液はおいしかったですよ。尊厳のある人間が、妹の口に射精してどんな気分ですか?」
「貴様…ッ」
「ふふふ… そうそう、尊厳と言えば、いかにもそれを大事にしてそうな女性が居ましたね。あちらはどうなっているのかしら?」
 アルテマがそう言って、強引にラムザの首を曲げて視線を変えた。変えた視線の先には、聖騎士アグリアスが散々にデーモンに犯されている姿があった。
「んー、1本縄では堕ちてくれそうにないですね。では責め方を変えてみましょう」
 妖艶に微笑んだアルテマが軽く手を振った。ラムザはアグリアスの無事を祈る事しか出来なかった。

(耐えてみせる、絶対に耐えてみせる…ッ!)
 アグリアスの責めは単純に苛烈だった。経験の浅いヴァギナに強引に挿入され、未開発のアヌス、口と散々に精を注ぎ込まれた。だが、瞳の光は失っていない。
「ふん、そんなものか、化物め…ッ!」
 股間の激痛に苛まれながらも、アグリアスは気丈にそう嘯いた。彼女を犯してたデーモンが、忌々しげに「グゥゥ…」と唸った。
(耐えていれば、いつかはチャンスが巡って来る…)
 その希望を糧に耐えていたアグリアスだったが、とある瞬間、突然デーモンが動きを止めてアグリアスから離れた。
(なんだ、終わったのか…?)
 微かな希望を抱いて、アグリアスは力の抜けた身体に活を入れて立ち上がろうとした。今のうちに、ラファかメリアドールを助けねばならない!
 しかし、そんな覚悟のアグリアスの前に、闇の中から染み出るように新たなデーモンが現れた。
「モル、ボル…?」
 新しく現れたデーモンは、確かにモルボルに似ていた。ただ、モルボルと違うのは触手が異常に長い事と、触手に産毛のような繊毛が生えている事だった。
「い、いやぁぁ!!」
 生理的な嫌悪感からアグリアスは悲鳴を上げ、逃げようとした。しかし、デーモンは素早く触手を伸ばすと、アグリアスの四肢を捕らえて、彼女の身体を中空に大の字に固定してしまった。
「や、やめろ! 何をする気… ぐぼぉ!!」
 叫び声を上げるアグリアスの口に、一際形の違う触手が突っ込まれた。
「おごぉ!! おぉ!!」
 噛み千切ろうとするが、喉奥まで突っ込まれて上手く顎が動かない。そうこうしている内に、触手は咥内で痙攣して先端からまるで射精するかのようの白い粘液を噴出させた。
「ごぼッ! ぐふッ…」
 喉奥に粘液が直撃して、アグリアスは激しく咽せた。そのままだと息が出来ないので、仕方なしに嚥下する。意外なことにその粘液は、飲み込むとするするとアグリアスの喉を滑り落ちて行った。
「ごほッ! 貴様、何をのま、せ… んあっ!!」
 言葉の途中で、アグリアスはあられもない嬌声を発した。アグリアスの乳首に近付いた触手が、その繊毛で優しく乳首の頭を撫ぜたのだ。
「何の、つもり… ひゃあん!」
 今度はお尻を撫ぜられた。くすぐったいような刺激がアグリアスを貫いて、思わず鼻にかかった声を出してしまう。決して認めたくは無いが、それは心地よい感触だった。
「貴様、もしや媚薬の類を… んんッ!!」
 もう一度乳首を撫ぜられてアグリアスは確信した。体中が恐ろしいほどに敏感になっている。今ならば吹く風にすら感じてしまいそうだ。
「や、やめろ! 触るなッ!! …うぁ!!」
 クリトリスを軽く弾かれて、アグリアスは軽くイッた。半開きになった口から、唾液がだらだらと落ちる。
「はーッ、はーッ… ヒッ!」
 荒く息をつくアグリアスの目の前で、数え切れないほどの触手がうねるように現れた。そのまま触手はアグリアスを囲むと、渦巻くようにじりじりとアグリアスに近付いてきた。
「そ、そんな… 一斉に来られたら…」
 一箇所であの快楽なのだ。同時に複数箇所を責められたら、どんな快楽に襲われるかわからない。アグリアスは大の字になった身体を震わせて執行の瞬間を待った。
 ところが、触手はアグリアスの身体に触れるか触れないかのところで、ピタッ、と止まると、逆回転に渦巻くように離れていった。
「なん、だ…?」
 覚悟が外れて、アグリアスは呆然と呟いた。しかし、次の瞬間にはまた触手が渦を巻いてアグリアスに迫った。
「くッ!」
 アグリアスは身を固くしたが、またもや触手はアグリアスの身体に触れずもとの位置へと戻った。
「ふ、ふん…! 焦らしているつもりかッ! だが、残念だな! そんな化物の挑発に乗るほど私は愚かでは、…はぁん!!」
 毅然とした表情を取り戻したアグリアスだったが、背面の死角から近付いていた触手に背中全体を撫ぜ回され、またの言葉の途中で嬌声を上げるハメになってしまった。
「馬鹿に、して…ッ!」
 アグリアスは悔しげに歯を噛み締めた。触手がまたもアグリアスに接近する。アグリアスはどうせ触れる事は無いとタカを括った。しかし…
「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 触手は止まる事無くアグリアスの身体中に巻きつき、繊毛で肌を擦るように激しく蠢いた。
 永遠にも感じる快楽の数瞬後、触手はまたもアグリアスの身体を離れた。
 激烈な快楽を突然叩き込まれたアグリアスは、連続する絶頂に全身を震わせて白眼を剥いた。
 しゃああああああ…
 あまりの快楽にアグリアスの身体が弛緩して尿が零れた。その感覚でアグリアスは正気に戻ると、焦点の合わない瞳で触手を見た。
「駄目… 駄目… 駄目… 耐え、られない… こんなの、耐えられるはずが、ない…」
 しかし、無常にも触手はまたアグリアスに近付いてきた。イヤイヤとアグリアスは首を振ったが、触手は再びアグリアスの身体中に巻き付くと、同じ様に擦りながら離れた。
「いやあぁぁぁーーーー!!」
 限界まで背を弓のように反らしてアグリアスはイッた。股間からは、今度は愛液がぷしゅと音を立てて噴き出した。
「はぁはぁはぁはぁ…」
 荒い息をつきながら、しかし、アグリアスは二度目の絶頂である確信を得た。
(大丈夫だ、このまま快楽漬けにされていても、意識は保っていられる… 心をしっかり持て、アグリアス。私はまだ頑張れるッ)
 心の呟きと共に、アグリアスの瞳に理性の光が宿った。快楽は確かに凄まじい。だが、それは媚薬によって無理やり引き出されたものだ。心まで犯されたわけではない。
 そう、アグリアスは心中に活を入れた。そうして、次の触手の責めを待ったが、触手はなかなか動こうとしなかった。
「どうし、た…?」
 いぶかしげに呟くアグリアスの目の前で、ゆらゆらと近付いた1本の触手が、まるでやる気を見せない動きでアグリアスのおなかを、ツン、と突付いた。
「んッ! 何のつもりだ…?」
 触手の意図が掴めずアグリアスは呟いた。しかし、触手は不定期に、しかも敏感でない部分を、ツン、と突付くだけだ。
 突付かれるだけでも刺激は刺激だ。アグリアスは浮かんではすぐに消えてしまう官能の刺激を、甘んじて享受しなければならなかった。
(まさか、これを続けるつもりなのか…?)
 アグリアスは、絶望の味を知った。
「はぁぁぁぁぁ… はぁぁぁぁぁぁ…」
 深く、長い息をアグリアスは吐き続けた。
 軽く1刻は時間が過ぎた。そして、その間中アグリアスは触手に突付かれ続けていた。
「うっ、うっ、うっ…」
 刺激と言うにはあまりにも頼りないその感触に、アグリアスは涙を流して耐えていた。
(イカせて欲しい… もっと刺激が欲しい…)
 それが、偽らざる彼女の本音だった。もちろん、アグリアスは自覚した瞬間から、強い克己心でその本音を抑えつけていた。これは悪魔の誘惑なのだと、きつく唇を噛んで快楽を欲する身体を抑えていた。
 そんなアグリアスの心中を知ってから知らずか、それまでずっと突付いていただけの触手が、出し抜けに動きを変えてアグリアスの股間にもぐりこんだ。そして、だらだらと愛液を流し続けるヴァギナを、ちょん、と突付いた。
「…え?」
 アグリアスが気の抜けたような声を出した。触手はなおもヴァギナをちょん、ちょん、と突付いている。その様は、まるで挿入を懇願しているかのようだった。
「入りたい、のか?」
 アグリアスが呟いた瞬間、まるでその言葉を肯定するかのように触手がヴァギナをちょんちょん、と突付いた。
「嬲りたいのなら、勝手に嬲って蹂躙すれば良いだろう!」
 アグリアスは毅然と言い放った。しかし、触手はその言葉に力を失うと、あっさりとヴァギナからその身を引いてしまった。
「あ…」
 アグリアスは思わず残念な声を漏らしてしまった。そして、ようやく快楽が与えられると期待していた自分を自覚し、情けなくて死んでしまいたくなった。
 触手はまたアグリアスを突っつく作業へと戻った。アグリアスはもはや涙を堪えようともせず、ひたすらにその瞬間を待ち望んでいた。

 そして、また1刻ほど時間が過ぎた。アグリアスは既に涙も涸れ果て、小さく「はっ、はっ…」と呼吸するのみだった。
 再び、触手が異なる動きをしてアグリアスのヴァギナへと伸びた。窺うように、またちょんちょんとヴァギナをノックすると、アグリアスは完全に脱力した身体をビクリと動かした。
「あ… あ…」
 固まった唇が震えて言葉を出す。アグリアスは視線を天上に向けて、涸れた筈の涙を一筋流した。
「すまない…」
 唇が震える。
「すまない、ラムザ… 申し訳ありません、オヴェリア様… 許してくれ、みんな…」
 悔恨の涙をさめざめと流してアグリアスはぶつぶつと呟くと、濁った光を宿した視線を触手に向けた。
「入れて、くれ… 入れて、動かして、気持ちよくして、くれ…」
 言い終えたアグリアスがそっと目を閉じると、待ってましたと言わんばかりに触手がアグリアスのヴァギナを貫いた。
「………………ッ!!」
 もはや声にならない。圧倒的な快楽に見も心も支配され、何も考えられなくなる。
 責めはヴァギナだけでは留まらなかった。アヌスにも細い触手が侵入して直腸を蹂躙し、口腔にも最初の触手が侵入して、またも粘液を噴出させた。
 全身の穴という穴。全ての性感帯を同時に刺激されて、アグリアスの意識はぷっつりと途切れた。
「だーいぶ掛かったわね、さすがは聖騎士殿。良い根性をしているわ」
 アルテマがラムザのペニスを手に握ったまま、楽しそうに言った。
 既に最初の射精から2刻と少し。その間にラムザは数え切れないほどの射精を繰り返していた。
 聖天使の邪悪な守護を受けたラムザの身体は、射精する毎に精気を取り戻し怒張が萎えることは無かったが、それでもラムザの肉体そのものは度重なる射精で疲労困憊していた。
「これでようやくみんな堕ちてもらえた。あとは兄さんだけよ」
 アルテマは妖艶に微笑むと、いよいよとばかりに天を向くラムザのペニスに跨り、ヴァギナと軽く触れ合わせた。
「兄さん、私の処女を捧げます。兄さんを堕とすのは時間がかかりそうだから、それはゆっくりやる事とするわね。今は、妹の処女を心ゆくまで楽しんで…」
「アル、マ… よせ…」
 ラムザがようやくそれだけ絞り出すと、アルテマはニヤリと笑って腰をゆっくりと降ろした。濡れてもいない処女穴に、ラムザの怒張がメリメリと音を立てて沈んでいく。
 途中、引っかかるような感触に一息つくと、アルテマは淫靡な笑みで「はい、どうぞ」と呟くと、一気にラムザの怒張を根元まで飲み込んだ。
「ウァァァ!!」
 結合部から破瓜の血液が流れると共に、ラムザはアルテマの体奥で精液を噴出させた。
「あは! 兄さんったらもう出してる! 良いわよ、どんどん出して!」
 アルテマは狭い膣道を縦横無尽に蠢かせて、大きくグラインドする様に腰を振った。再び、ラムザの怒張が精を吐き出す。
(アルマ、アルマ…)
 薄れいく意識の中で、ラムザは愛する妹の名を叫び続けた。そして、自分の上で狂乱して腰を振る異形がその妹なのだと理解すると、ラムザの意識は絶望の中に深く沈んで行った…
最終更新:2010年04月08日 21:06