城内に怒号が飛ぶ。銀髪鬼と恐れられるエルムドアの一撃が、アリシアに致命傷を負わせたためだ。
それを見逃さず彼の部下であるレディが彼女の周りに残る敵を焼き払おうと
魔術の詠唱に入る。
皆がその場を離れ、起死回生を狙うなか、怒りに我を忘れたアリシアの上司が取り残される。
「アグリアスさん!」
彼女の名を呼んだ青年、ラムザが見せた表情をエルムドアは見逃さなかった。
そのままさらなる追撃を仕掛けてくる。
追撃に気がついたアグリアスが剣をふるより早く、エルムドアは彼女に接近すると
右手で剣をなぎ払い、左手で素早くアグリアスの細い首を捕らえた。
常人ならざる力が彼女の首に襲いかかるが、アグリアスは諦めない。
必死に抵抗し腰に隠していたナイフをエルムドアの腕につきたてた。
が、エルムドアは動じない。
脳に酸素を送る主要な血管、気管を封じられ何秒アグリアスがもつか試している。
次第に彼女が青ざめていく事を確認すると胸元からハンカチを取り出しアグリアスの顔に押しつけ、同時に首をしめつけていた左手をゆるめる。
アグリアスがハンカチごしに息を吸うのを待っているのだ。
「彼女を離せッ!」
ラムザが怒号ともにエルムドアに挑むが、その目前を魔法の炎が阻む。
ラムザがとどまって炎が消えた頃にはアグリアスからは力が抜け、だらんと腕がたれさがった頃だった。
「随分この女にご執心だな?」
エルムドアは興味深げに気を失ったアグリアスを眺めると、彼女の腰をもち、腹を肩に背負いあげる。
「こっちには気にも止めなかったのにね。かわいそうに。」
レディはぴくりともしないアリシアを蹴りつけるとエルムドアに歩みより突き刺さったナイフを引き抜く。
「良いことを思いついたよ、ラムザ君。」
エルムドアは大袈裟に手を広げ
「君を私のちょっとした研究所に招待しよう。一人で来い。その方が君のもっといい表情が見れそうだ…。」
と続ける。腕の傷はみるみる塞がり、エルムドアはそれをチラリと確認すると
ラムザに見えるようにアグリアスの尻に手を滑らす。
「服を破いたこの女にもお仕置きが必要そうだしな。」
「彼女になにをするつもりだ!」
ラムザの焦りをはらんだ叫びにエルムドアは満足そうに微笑み、
挑発するように柔らかい曲線に指を這わせる。
「そう、その顔だ。そこで君のそんな苦痛に歪んだ顔を見せてくれたまえ!」
エルムドアは満足そうに身を翻すとステンドグラスを突き破り外へ飛び出す。
すかさずレディとがあとを追いエルムドアを支えて空へ飛び立つ。
「待てッ!」
ラムザは追おうとするが駆けつけたアイテム師に咎められ足を止めた。
「隊長!アリシアさんが先です!」
「ッ!…ごめん…。」
ラムザはその場でかぶりをふり
「ごめん、アリシアさん…。僕は…。」
とそのまま言葉を失いうなだれる。
「北だ。やつら北に向かってる。」
ラムザに代わってエルムドアの飛び去った方角をムスタディオが報告しラムザの肩を叩いた。
隊員全員がラムザの心情を理解し、それ以上責める者はいない。
鉛の止め具を失ったステンドグラスが重力に耐え切れずに断続的に落ち、それだけが戦場の余韻を残していた…

娘達の泣くような声でアグリアスは意識を取り戻した。吸わされた薬のせいか
頭痛がしたがそれでも頭をもたげると首に抵抗がかかり、起きあがる事はできない。
首をしめられたからではなく、首を含めた体のいたるところに拘束具がはめられ、寝椅子の様なものに固定されているからだった。
一糸纏わぬ裸体の上から縛り上げられた拘束具はそのままでも息苦しさを伴うものだったが、ただの拘束部屋や拷問部屋にしては不気味な雰囲気を漂わせている。
アグリアスは自分が横たわったような姿勢でその椅子に磔られているのだと気がつくとかろうじて見渡せる範囲で素早く辺りを見回し状況を確認する。
石畳の狭い部屋にはたくさんの小さな扉と鏡が付き、それは天井等にも備え付けられている。アグリアスからみて正面の壁は一面大きな鏡で彼女のあられもない姿を映し出していた。
アグリアスの足は大きく広げた状態で固定され、鏡を使わなくても彼女から自身の折り曲げられた膝がみえるくらいだった。
アグリアスは裸体はもとより誰にも見せた事のない恥部を大映しにする鏡に躊躇したものの、すぐに彼女の意識を取り戻させた娘達声の主を探して鏡に視線を走らせた。
先ほどよりも娘達の声は数が増え、悲鳴のようなものから歓喜の叫びまで様々だったが少しずつアグリアスの方に近づいてきている。
鏡から見える情報から察するに、自分の右手側は一面鉄格子でどうやら螺旋状の地下牢獄らしいとアグリアスは気がついた。
向かいの独房にも小さくだが娘が裸で同じような椅子に固定されているのが見えたからだ。
地下の方から少しずつ娘達の悲鳴とあえぐ息遣いが増え、それはじわじわと近づいてくる。
この声の主の娘達が全員自分と同じように拘束されているのだとしたら…。
アグリアスはそこまで考えると、背筋に走る悪寒と言い知れぬ恐怖に震えながら、
地下牢の底の様子がわからないか伺う。
ずるっ―
自分が固定されているすぐ近くで物音がする。
アグリアスははっとして物音のする方にある、正面の小さな扉を凝視する。
なにかが扉の向こうで作業しているらしい。
かすかにぺち、ぐちゃ、と音をたてている。
スピコデーモンか?アグリアスは戦場で対峙した経験もある、そのイカの化物を思い出す。
彼らは全身が白い粘膜で覆われ、イカ同様吸盤のついた触手を持った生き物でありながら
人と同じように衣服を着、魔法を操るが、醜悪な上に知能はイカよりすこしある、ずるがしこい生き物だ。
アグリアスがそこまで思い出すと、すぐそばから娘の声が上がった。
「嫌ッ!止めて!止めてよ!」
真下の房の娘だろうか、ぎし、ぎしと椅子を揺らしている音やなにかが唸るような音も聞こえる。
「イヤッ!もうやめてぇっ!」
そこまで聞き取ってアグリアスは思わず身を固くした。やはり拷問やただの監禁目的の部屋ではない!
アグリアスは鏡を使って向かいの部屋を確認すると大きく広げられた娘の秘部に壁から繰り出され器具が挿しこまれてゆく最中だった。娘に挿し込まれたそれはゆっくりとピストン運動を繰り返しており、娘は必死に抵抗しつつもされるがままにされている。
戦場とは違う種類のおぞましい光景にアグリアスはぞっとして身を固める。
(では、この扉の向こうで行われてる作業は…!?)
「いい声で鳴くだろう?」
不意に声をかけられアグリアスはびくんと体を震わせて辺りをみるとエルムドアが不敵な笑みを浮かべて通路に立っていた。
「ささやかな私のたのしみなのだよ、気に入ったかね?」
エルムドアの頭の先から爪先まで舐めるようにのびる視線にアグリアスは羞恥心で耳まで真っ赤になる。
「な、何をするつもりだ!」
「おや、声に興奮してしまったのか?」
噛み付くように強がるアグリアスをエルムドアは鼻で笑うと格子の外にあるレバーを引く。
がしゃん、という機械音と共にアグリアスは椅子ごとエルムドアの方へ回転してしまう。
ぱたたっと水滴が床に落ちる音がし、エルムドアはそれを一瞥すると格子から手を差しこみ指先でアグリアスの入り口でくりくりと円を描く。
「えっ?ひあッ…?!」アグリアスは未経験の感覚に恐怖を覚え身をよじるが逃げられない。
「もうこんなに手袋が染みているぞ…?」エルムドアが蜜で濡れた手袋で
そのまま指先を奥へねじこもうとする。
アグリアスが反射的に体を硬くして目をつぶると指は糸を引いて離れた。
「なんだ?期待したのか?」
エルムドアはそう吐き捨て指先から体液の滴る手袋をちらつかせた。
アグリアスはキラキラと光る糸が手袋と自分の秘部を繋いでいるのを見て自分がどうかしてしまったのではないかと恐怖し、何も言い返せない。
エルムドアの背後では先ほどの娘が身体を弓なりに反らし自ら腰の動きを壁から繰り出されたものに合わせ、うわずった声で喘いでいる。
「はじめる前からよく薬が効いているようだ、心配せずとも君もすぐああなる。」
薬、という単語にアグリアスは毒のようなものを想像するが、おそらくもっと陰湿なものだろう。
意識を失っている間に何をされたのかはわからなかったが、それ以上は考えたくも無かった。
生かされている以上、きっとラムザをおびき出す材料に使われてしまう…。
エルムドアはアグリアスの狼狽を楽しそうに眺めながら、まだ体液で糸を引く手袋をその場に丸めて捨てる。
と、壁の向こうで物音をたてていた何か…スピコデーモンが正面の小さな扉をあけ、顔を覗かせる。
「そろそろヒルをなじませておけ。もうじき開演だ。」
エルムドアはスピコデーモンに指図するともう一度レバーを引きアグリアスをスピコデーモンの方へ向ける。
アグリアスは扉から見えるスピコデーモンとそれが用意している器具を目の前に不本意にもガタガタと震えた。
それは己の手首程の太さの器具で機械特有の唸りをあげて震えており、器具は全体的に凹凸がある上に、先端は鏃のようにくびれたあとまた張る形をしている。
しかも生きているかのようにぴくぴくと動いていた。

アグリアスは動かしうる箇所をばたつかせて少しでも拘束が緩まないかともがくが、そうこうしている内にスピコデーモンはいいつけどおり「なにか」の用意をすすめている。
いくつかある触手の8割は皮袋から巨大なヒルのようなものをつまみ出すのに使われ、
2割はエルムドアが投げ捨てた手袋を拾い上げて、しゃぶるのに使われている。
スピコデーモンはつまみあげたヒルのようなものをアグリアスの胸元に放り投げると、別の場所から
白濁した液体の入った大きなシリンダーを取り出し、器具に取り付け始める。
「嫌だッ!!来るな!!」
アグリアスは体をよじってそのヒルを落とそうとするがヒルは無数の触手を持っており、
振り落とされるどころか、役割があらかじめ決まっていたかのように分かれ、アグリアスの双方の乳房を覆い、触手を絡ませた。
残されたもう1匹も器用に暴れるアグリアスの腹を這うと、下半身の恥丘に覆いかぶさる。
恥丘に至ったヒルの方は遠慮なくその触手でアグリアスの蕾をいたぶると、
反射的にあふれ出る愛液をすすりだした。
「あぅ…っ!?」
ヒル達の陵辱が始まりアグリアスの体は意思とは無関係にがくがくと腰を震わせ、
もうアグリアスが思うようには動かなかった。
スピコデーモンはそのころあいを見計らうと袋の中からひときわ大きいヒルを取り出し、
アグリアスの口に押し込んだ。
「ひぃ…ンッ!!」
ヒルはすばやくアグリアスの口内に触手を這わすと歯や舌にからみつく一方でしきりに喉の奥のほうまで侵入し、何かを冷たいものを流しこむ。
アグリアスはヒルを噛み切ろうと試みたが強い弾力ではじき返され、
結局は流し込まれた何かを吐き出すこともできずにそのまま飲み込まされた。
冷えているはずなのに体内の粘膜に触れると火のように熱いそれを
吐き出さねばと懸命になっているにもかかわらず、拘束された体がそれを許さない。
飲み込まされた「何か」の効果はすでに現れてきていた。
恐怖と反射的な反応しかなかったはずの体が経験したことの無い快感を訴えはじめたのだ。
押し殺しても漏れる甘い声に反論するように
いやだ、こんなのは違う、まやかしの感覚だ、とアグリアスの意識は最後までもがいていたが
玉のような汗が吹き出て、次第に視界の焦点があわなくなっていく。
体にこめていた力が抜け、口に収まっていたヒルがアグリアスから離れる。
アグリアスはぼうっと虚空を見つめたまま無抵抗になり、ヒル達だけが活発にアグリアスの体を弄んでいた。
最終更新:2010年04月08日 21:12