(元ネタは勿論…)
~ラムザさんのエッチ!~

「ラ、ラムザ、まだ昼のさなかだぞ」
「時間なんて関係ありません。僕はアグリアスさんが欲しいんです」
「し、しかし野外でこのようなことを」
「僕が嫌いなんですか?」
「そんなことは無い!断じて無い。しかし、皆も見ているというのに…」
「それがどうしたっていうんですか?」

ある日を境に、ラムザは変わってしまった。女の身体を知ってから。
正確に言うと、初めてアグリアスと結ばれた、その日にだ。


ラムザ・ベオルブとアグリアス・オークスは、神ならぬ人の前で婚姻の誓いを交わした。
異端者の身では大々的に式を挙げる事など出来るはずも無い。
おままごとのような結婚式だが、隊の皆は祝福してくれた。
そしてその夜、宿屋の2階で二人は契りを交わすのだが…。

それからというもの、ラムザは事あるごとにアグリアスを求めるようになった。
最初はたしなめていたアグリアスだが、惚れた弱みと言うやつか。
熱に浮かされたように自分を慕うラムザを突き放せず、皆の目を盗んで逢瀬を重ねた。
幾度と無く肌をあわせてもラムザの熱は治まらず、やがてはその熱がアグリアスにも飛び火した。
その結果が今の惨状である。除名という最終手段までちらつかせて我を通すラムザに
意見できるものは誰もいない。オルランドゥ伯ですら、だ。

オルランドゥ伯はため息を付き、ムスタディオはうらやましそうに眺め、
ラッドは前かがみになり、クラウドは興味が無いといった風情だ。
アリシアは頬を染め、ラヴィアンは興味津々。メリアドールは嫌悪を表し、
ラファは嫌なことを思い出したような顔をする。そんな妹を守るよう肩に手を回すマラーク。

反応は様々だが、次に取る動作は一致している。皆無言のままその場を離れるのだ。
二人の痴態を覗き見するものは誰もいない。紳士淑女の集まりである。
ベイオウーフとレーゼの姿が見えないが、きっと遠くで見張りをしているのだろう。
ボコと鉄巨人、正体不明の生物であるビブロスだけがその場に残っている。

色魔に侵されたラムザだが、それ以外はいつもの通りである。
仲間への気遣いと優しさを忘れず、戦闘時はリーダーとして的確な指示を取る。
だから誰も離反できない。ラムザへの信頼が根底にあり、それが見えない鎖となって
心を縛っているのである。

そんなある日、事件は起きた。

マインドブラストにより、ラムザの脳みそが変色してしまったのである。
これ以上おかしくなっては一大事と心配する皆を他所に、ラムザは冷静に敵を屠って戦闘を完了させた。
しかし、マインドブラストの毒は、確実にラムザの脳を蝕んでいたのである。

その日を境に、ラムザは変わってしまった。
今までどおりアグリアスを求めるものの、その回数はめっきり減った。
町について宿に止まった時、しかも夜だけである。アグリアスと同じベッドにいながら
指一本触れずに寝付いてしまうことも珍しくない。

こうなるとたまらないのはアグリアスである。持ち前の精神力で不純な考えを振り払うも、
身体の芯にやどる火は消えてくれない。いきおい、アグリアスの方から誘いをかけることになる。

「大事な話ってこういうことだったんですか」
「し、仕方ないだろう。このところ野営が続いて、同衾することも無いのだから」
「テントは男性用と女性用しかありませんからね。町まで我慢できないんですか?」
「それが出来れば呼び出したりするものか……これ以上恥をかかせるな」

そんな中、他のメンバーは会議を開いていた。軍議ではなく、会議。
議題は、どうしたらアグリアスをもとのお堅い騎士に戻せるか、である。
ラムザと同じ方法を用いるのが最良策だが、必ずしもマインドフレアに出会えるとは限らない。
仮に出くわしたとして、そうそう都合よくマインドブラストを放ってくれるかどうか。
ピスコディーモンを仲間に加えて養殖するという案が出たが、問題が一つ。
パーティーメンバーに空きがない。

「いっそ誰か除名するか」

誰とも無くつぶやいた一言。小さな石がパーティー内に大きな波紋を起こすことになるのだが、
それはまた別のお話。
最終更新:2010年07月27日 01:21