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「Ivalice……おれたちのworld……
醒めちまったこの世界に……熱いのは……おれたちのcrystal……
獅子戦争に……とびきり強い騎士がいた……そいつは……王都ルザリアをMove3で抜けていったんだ……
一緒に戦っていたやつら……口を揃えてこう言ったね……
あいつはHoly Knight……
鈍足の異名を持ち、聖剣技を自在に操る、高貴なる女性騎士……
剣術、格闘、魔法の全てを使いこなす戦闘のexpert……
元々、王女オヴェリアの近衛騎士だったが、それが一転、現在は異端者ラムザを守護している……
性格は高貴といえるが、決して高飛車な訳ではなく、誰もいない所で、ふと和らかい表情を見せる一面もあるようだ……」
「なにを書いているのだ?」
 ランプの明かりに照らされて独りごちながら原稿に筆を走らせるアリシアに、アグリアスは訊ねた。
「ひああああっ!?」
 だが、アリシアは、アグリアスの問いに答える代わりに悲鳴をあげて椅子から転げ落ちた。
「アグリアスさま、驚かさないでください」
 椅子から転げ落ちた時に打ったらしい尻を摩りながら、アリシアが言ってきた。
「すまない」
 とにもかくにもアリシアに謝り、アグリアスは続ける。
「おまえは私室にいると、ラヴィアンに聞いた。
扉を叩いたが、応えはなかったし、扉に鍵が掛かっていなかったし、
礼節を失することだが、部屋に入らせてもらった」
「あら、わたし、本を書くのに夢中になっていたので気がつきませんでした」
 立ち上がって可憐に微笑むアリシアを、アグリアスは羨ましく感じた。
 騎士の家系とはいえ、箱入り娘として育てられたアリシアは、文学、音楽、美術を嗜む。
 辺境で暮らさなければならなかったオヴェリアを、誰より楽しませたのがアリシアだった。
 些か夢見がちなきらいはあるが、アリシアの、かわいらしさと淑やかさに惹かれる男は多い。
(わたしには得ることのできないものだ)
 アグリアスは自嘲しつつ、アリシアに請う。
「以前に話した、古書を貸してもらいたいのだが」
 アリシアが集めている本の中に、イヴァリースの伝説の偽典といえる書物があり、一読しておきたかった。
「はい。お貸しします」
 快諾するアリシアに、ふと気になってアグリアスは訊く。
「本を書いていると言ったな?」
「『アグリアス・オークス記』といいます」
 本の題名に眩暈を覚え、再び問う。
「なんだと?」
「『アグリアス・オークス記』です。アグリアスさまの軌跡を伝える為のものです」
 呆気に取られるアグリアスに構わず、アリシアは恍惚として語る。
「王女に誓った忠義……異端者に捧げた情愛……騎士として……女として……アグリアスさまを伝説に……」
「ああぁぁ………」
 強い羞恥に、アグリアスは呻いた。

 アリシアが『アグリアス・オークス記』とやらを夢物語のように書きあげるのが想像できた。
最終更新:2010年03月26日 15:25