低血糖の救急
経口糖尿病薬(特にアマリール,オイグルコンなどのSU剤)やインスリンの過多で低血糖になることがある.特に食事が取れなかったり,運動をしすぎた場合に起こりやすい.経口薬は2日くらい効果が持続するので,特に注意.
臨床症状
- 交感神経亢進による症状:蒼白,発汗,動悸,脈圧拡大,悪心,不安,空腹感など
- 中枢神経の糖欠乏による症状:思考障害,行動異常,頭痛,知覚障害,視力低下,片麻痺,失語症,低体温,痙攣発作,昏睡など
- 低血糖発作が長期にわたると,性格,人格の変化,記銘力低下,片麻痺,運動失調,精神障害,失語症などの不可逆的変化をきたすことがある.
- 低血糖発作を一度経験すると,低血糖症状をきたす血糖値が低下し,中枢神経の糖欠乏症状を生じる域値を下回る場合がある.すなわち,交感神経亢進症状がみられずに,いきなり中枢神経の糖欠乏症状が出現する危険性がある.
身体診察
- 昏睡状態になれば,頻脈から徐脈になる.
- 皮膚は冷たく湿潤,顔面蒼白,呼吸が浅くなる.
- 筋肉は攣縮するが,次第に弛緩してくる.
治療
1.グルコースを投与する
意識があれば,砂糖を10 gくらい経口させる.なければ下肢でも可.15分して効果がなければ,再投与.
意識がなければ,50%グルコース20 mL静注.またはグルカゴン1 mg筋注.(グルコースで反応しなければグルカゴンを投与する.)
2.脳浮腫に対する治療のため,グルココルチコイドやマンニトールを投与することもある.
参考文献
- 内科診断学 第2版(医学書院)
- 内科レジデントマニュアル 第7版(医学書院)
最終更新:2010年03月17日 14:55