兎がいる

 支配者次第で各階層の生活は異なり、ガラパゴス化は進んでいて、世界線は混線していて、記録も記憶もあてにならない――
 このような状況下、初めて訪れた階層で認識の齟齬を起こさないことは難しい。

 記録や記憶が現実に反していたり、常識が通用しなかったりすることを「兎がいる」と言う。
 喪失時代の児童小説「不思議の国のアリス」になぞらえた言い方だ。

 アリスは兎に導かれて不思議の国に迷い込んだ。
 お前達も兎に惑わされて不思議の国に迷い込んだってわけだ。

 お前達が初めて訪れた階層で認識の齟齬を起こし、現実に反したことを言ったり、常識外れのことをしても、全て兎のせいだ。恥ずかしがったり、気に病んだりする必要はない。落ち着いて、その階層の現状を確認しよう。



最終更新:2015年06月07日 21:51