粘質な水分を含んで重くなった布は、ゴムの特性だろうか、
肌に馴染むように吸い付き、にちゃにちゃという耳障りな水音を発てている。
 狭いロッカールームに響く卑猥なそれに耳朶を犯されながら、
僕はひたすらこの行為に没頭していた。
 大きく息を吸い込めば、鼻腔一杯に広がるのは、僕自身の精の匂いと、饐えた汗の香りだ。
「ふぅ…ぁ!は…っ!!」
 堪らなくなり、胸に抱いていた体操着を口元まで持ち上げて、更に深呼吸する。
 肺の中を満たす男の汗の匂いに、僕の性器が更に質量を増した。
 止め処無く滲み出すカウパー液が、陰茎を覆う布に更に染み込む。
「あぁ、はぁ…はっ、はっ…」
 犬のようにはしたなく開いたままの口から唾液が溢れて、
口元に当てた体操服を汚す。
 僕の口から漏れる卑猥な吐息は、物欲しげな響きをもって部屋に霧散した。
 下半身に視線を落とせば、穿き古された靴下は、僕の精液でぐちゃぐちゃに濡れ、
布越しに性器を扱く手を動かす度、先端に泡が立ちプクリと盛り上がる。

 つい先程、体育の授業を終えたばかりだ。
 汗にまみれた靴下や体操服など、汚いものの筈なのに。

 そして、本来ならば足を覆うべきもので、自慰を行う背徳感が、
僕の興奮を更に煽り、行為をより大胆なものにしていく。
 精と汗にまみれながら、彼の匂いのする体操服を噛み締めて、僕は射精した。

「靴下なんかでイくなんて、とんだ変態だな」

 目の前で、素足の彼が僕を嘲笑うかのように零す。
 更に、熱が込み上げ、僕は精液で濡れた靴下を食んだ。

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最終更新:2008年02月28日 10:56