ぶる、と腰骨が震えた。性器を銜え込んでいる後孔がきゅううと絞られ、
その内部の肉が粘液を伴い熱く蠢く。
俺は、意識を薄める急激な快楽を、深く息を吐いて逃がし、
もう一度小作りな頭に口を寄せる。
夜の中、肌は青めいて光り、柔らかい髪の奥からは馨しく甘い匂いが振り撒かれる。
それをうっとり眺めてから、熱を発する頬に頬をつけて、耳元で低く。
「古泉」
また秘部が収縮する。抱きこむ体が熱くなり、ああ、感じてるんだな。
そしてまぶたが再度見開かれる。涙が、睫毛の先端できらきらと輝く。
涙が、目尻からしとしとと流れる。
俺が耳から注ぎ込んだ言葉は、古泉の口から子どものような喘ぎとして出てきた。
涸れた喉から、搾り出すように。
「あぁぁぁぁっ……」
悲鳴は細い。唇をはくはくと震わせている。湧き上がる過剰な熱から逃げるという
概念自体忘れているのか、ただ快楽に溺れている。
まあ、逃げようとしても、逃がすわけはない。
男にしてはふっくらとした頬に鼻先を擦り付けながら、古泉の腰を両手で抱え直し、
体内を繰り返し穿つ。小刻みに揺らしたり、ねっとりとかき回したり。
頭の一番近くで、ずっと「古泉」と囁きながら。
そしてずっと古泉は泣いている。首が力なく振られる。
「はあ、あ、や、やあっ……やめて、やめて、もう」
もう、何だろうか。
おかしくなってしまうと言うのなら、おかしくしてしまいたいのだ。
俺だけに名前を呼ばれて何度もいっちまえばいいのに。
そんな悪意を込めた睦言にさえ、忠実に反応する体。液体音をそこここで鳴らしながら、胸を上下させている。
お前が俺のものだと知るたび、お前はこんなにも悦ぶんだ。
最終更新:2010年07月04日 16:18