人間解剖島/ドクター・ブッチャー

「人間解剖島/ドクター・ブッチャー」とはまた張り切った邦題だが、原題は「Zombi Holocaust」。1979年のイタリア映画で「Zombie 3」という題で公開された地域もあるそうだ。なお本稿は「人間解剖島/ドクター・ブッチャー」の内容に触れています。

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なるほど、イアン・マカロック扮するピーターという主要人物がニューヨークでの事件をきっかけに女性とともに熱帯の島に調査に向かうという設定は「サンゲリア(Zombi 2)」をなぞっている。同じ教会が出てくるかと思えば、その教会が燃え上がるシーンなどは「サンゲリア」のために撮られたフィルムの流用でさえある。要は同じプロデューサーが同時期に立てた企画という背景があります。

しかしゾンビの存在感は「サンゲリア」に比して格段に薄い。本作のゾンビはオブレロ博士(ドクター・ブッチャー)が死体に脳を移植し生み出したもので、あまり覇気はなく、博士に従僕として仕えている。食欲もないらしく、人を捕らえはしても喰いつかない。

本作で縦横無尽に躍動するのはゾンビではなく、食人族なのだ。男が一人になった隙にわらわらと群がり、胸を刀で切り開き、ほうぼうから手を差し込んでは内臓を取りあげ、その場で立ち食いする。奇声を発しながら群がってくる彼らの独特のリズムに巻き込まれてしまったらもうなすすべはない。

ピーターは食人族の襲撃からは何とか逃れたものの、オブレロ博士に捕らわれ脳移植実験を待つばかりとなる。ピーターに同行した医学研究生ローリーは食人族に捕らわれる(女性の場合は少なくともすぐには食べてしまわない模様である)。ところが、シンデレラの靴ではないが、岩に穿たれたひとがたに彼女の体がすっぽりと納まったのを確認するや食人族は歓声を上げる。彼女はどうやら食人族の女神たる資格を得たようだ。ローリーは食人族を率い、ピーターの救出に向かう。

と、ローリーと食人族のその後の関係の行方も気になるところだが、やはり食人族の躍動ぶりを第一の見所にあげるべきだろう。(2013-10-26)

最終更新:2013年10月26日 18:01
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