537 名前: 1/2 [sage] 投稿日: 2006/09/26(火) 13:40:44 ID:Kd9J3orw0
このスレ初めて来たので記念に書き込んでみる

うちのじいさん(明治の終わりの生まれ)の話。
じいさんとばぁさんからちょくちょく話を聞いていたが
じいさんの父方の家と母方の家は文句無くでかい家だったらしい
で、じいさん兄が父方を継ぎ、跡継ぎのとだえそうな
母方を次男のじいさんが継ぐという話になっていた。
だがじいさんは、東京の学校に来てそのまま
分家のいとこだった許婚のばぁさんと結婚し、田舎との
関わりを一切絶ってしまったんだそうな。

そんなで俺はずっと都会暮らしで、田んぼや
護岸工事されてない川なんか見たことなかったから
じいさんの小さいころ育った母方の大きな家と
自然に溢れた場所でのやんちゃを楽しく聞いていた。
蛇をつかまえた話、家よりもでかい木から落ちて
納屋の屋根に穴を開けた話、刈り取った後の稲穂に
火をつけて怒られた話、中庭をかこむ回り廊下を
ぞうきんがけしてた女中さんを池に突き落とした話など
じいさんは跡継ぎということで甘やかされていたようだ。

で、俺は一度「そんなにいい所なら一度遊びに行きたい」と
じいさんにだだをこねたら黙られた、それを怒られたと
思った俺はじいさんの昔話をせがむこともなくなった。

538 名前: 2/2 [sage] 投稿日: 2006/09/26(火) 13:42:11 ID:Kd9J3orw0
それから何年か経って、多分俺が中学の頃にじいさんが
腸の病気か何かで倒れた。
そのときに俺一人枕元に呼ばれ、じいさんは苦しそうに話した。
「俺があの土地に戻らないのはな、××(じいさんの母方)の家が
怖かったからなんだ、戻ったら俺はあの家を継がなきゃいけない」
以下じいさんが語った内容。
××の家にはやはり開かずの間があったようで、だけど
家の構造からすると他の部屋や物置部屋に
かこまれた真ん中にあるが、扉が見つからない、でじいさんは
天井裏から忍び込んでその中を見てやろうと思い立ったらしい。
大工道具をかかえて蝋燭持って忍び込んで、迷いながらも
目的の場所の上にたどりついて、そっと縄にくくった蝋燭を
その暗い部屋に垂らして下を覗き込んだ。

たたんだぼろ布の上に人の頭の骨をのせたものが
部屋に等間隔で並んでいた。

じいさんは急いで蝋燭を引き上げ、天井裏から逃げ帰った
その後に東京の学校に行きたいと無理を言って
××の家から逃げたと、そう話した。
「俺はあんな因果まで背負い込めないから逃げた
だから戻れない」と話すとまた黙り込んだので俺は部屋を出た。
それがじいさんが話してくれた最後の田舎の話だ。
だがじいさんは腸の病気から持ち直し、90近くで
老衰で亡くなった、因果から逃げ切ったせいかもしれない。

思ったより長くなってしまってスマン。

542 名前: 537 [sage] 投稿日: 2006/09/26(火) 21:25:52 ID:Kd9J3orw0
レスもらえてうれしかったので補足
  • 誰の骨とかは全然わからん、家を継ぐ時に教えてもらえたのかも。
  • 稲穂っていうか、わら山に火をつけたときは、何かこっぴどく
 折檻されたらしい、本当に灸すえられただか蔵に閉じ込められたか。
  • 母方の家は…どうなったか知らないんだ、じいさんは九人兄弟
 だったらしいから他の誰かが継いだかも知れない、俺の知る限り
 じいさんは他の血縁と交流は一切なかったからそのへんは推測。
 ひょっとしたら断絶してるのかも知れない。
最終更新:2008年10月06日 22:02