ラクスは、街中で寝そべっていた。街中というより、誰一人居ない、無人の街。 「……!?」 ラクスは起き上がった。ラクスの目に映ったのは、霧が凄み、誰一人居ない、ゴーストタウンだった。 「ここは……?」 ラクスは立ち上がり、周囲を見回した。すると、先に一つ、案内板が立っていた。 ラクスは案内板に駆け寄ると、案内板に置いてある、パンフレットを取った。 「サイレントヒル……」 そのパンフレットは、どうやら地図も何にもついていない、非常に不親切なパンフレットだった。だが、案内板にはきちんと記されている。 「……サイレントヒルへようこそ。サイレントヒルは、湖や、遊園地や、森など、観光スポットが盛りだくさんの町です。か……」 そう。ラクスには、ただの寂れた街にしか見えない。そして、ただのゴーストタウンにしか思えないのだ。 「……サイレントヒルか。山奥だけど、歩けば帰れるかもしれない」 ラクスは、取りあえず、自分の懐からノートを取り出すと、案内板に書いてある地図を写し、出口へと向かった。ラクスには物を書き写す癖があるのだ。 街の出口へ向かう道には、色々と面白い物があった。街が破壊され、道が途切れていたり、金網がぶち壊されていたりもした。 ラクスは、そういった物を写真に撮ると、あと僅かな距離の、出口へと向かった。 「そんな……馬鹿な」 出口は瓦礫や、岩や、色々な物で封じられていた。 ラクスは失望した。そして膝をついた。その時! 「うぅぅぅぅぅぅぅ……」 そう。生きた人間とは思えない表情をし、宙に浮き、気持ち悪い気を放っている、「何か」がこちらに向かってくる。それも、一体ではなく、三体。 「…………あ、あぁ……」 ラクスはかすれた声を出した。それも、言葉にはならず、ただ恐怖を表すだけだった。 逃げたい。だが、足が動かず、びびったまま、動けなかった。 ラクスは辺りを見回した。 するとすぐ横には死体が倒れていた。手には、拳銃を握っている。 ラクスは後ずさりながらも拳銃を取る。そして、銃のグリップを握りしめ、放つ。 が、効いている気がしない。もう一発、もう一発と弾を放つ。すると、一体の「何か」は地面に落ちる。 ラクスは安心した。が……何かは一瞬で起き上がり、また襲ってくる。 それに耐えられず、ラクスは逃げだした。