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第一章「ルートヴィヒ家の惨劇」

母なる大地エリンディル。

――のとある小さな街、メイセ。

そこが、この物語の始まりの土地。



メイセの酒場、《銀のアルテミス》亭。
上品そうな名前に反し、荒くれ者や貧乏人の集う下か中の酒場だ。
マスターはアルテミスよりはデミウルゴスと言った見た目のハゲオヤジであったし、
日々来る客はアルテミスなんざ求めていなかったし、それはそれで良いのだけれど。

ただこの酒場。 こと冒険者には中々有用だ。
何より飯が喰えるし、持込もOK(マスターに嫌な顔されるものの)。なんと、酒まで飲めちゃう。凄い酒場だ。
閑話休題、依頼も中々だ。大きな街はこの近くにはないから、ワケありの結構デカい山だって転がってくる。
そういう依頼を求めて、ここを根城にするギルドも少なくない。


《黒の契約者》。ここ、《銀のアルテミス》亭を拠点とするギルドの中の一つだ。
ドラゴンから不倫調査まで頼めば何でもやり、またこなして来た、――個性溢れるメンバーの揃う中々の連中。
そんな彼らに、今日も依頼は転がり込んでくる。


何やら分けあり顔の婦人が、そんな酒場の中にいた。
ギルドマスターは、今日もSENBEIと炒り豆にソイソースを塗した菓子に食いつきながら、
「どうしたんだい」と尋ねれば、帰ってきたのは胡散臭い依頼の内容。

今日も今日とで、一発アテて見せますか。
《黒の契約者》は、その依頼にパクッと食いついた。


嗤いながら黒の外套を翻すモノ。

狂気的な紅を弄び燻らす子爵。

灰に染まる大陸を迷走する少女。

蠢き出す陰謀。

廻らされた策謀。


銀剣は薄蒼く閃き、
月は妖しく魔性の横顔を見せ付けていた。



まるで、これからおこる運命を、
予言しているかの如く。

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最終更新:2010年10月26日 00:16