第64話 東京包囲網


まだ日本に大いなる意思の影響が出始める前のフランス。
インターポール所属のウィンスペクター隊長香川竜馬は今まさに出勤して、司令部の所定の席に着いたところだった。
ここのところ、幸いに出動回数の少ないウィンスペクターであったから、自然、竜馬の顔も穏やかだった。
「隊長、アールグレイをお持ちしました」
竜馬が顔を上げると、緑色のアンドロイド、ウォルターが湯気の立ったカップをトレーに載せて立っていた。
ほんのりと良い香りが周囲を包む。
「おはようウォルター。いつもすまないな」
「いいえ。十年以上一緒に居るのです。隊長の嗜好は大体分かっています」
竜馬が言うと、ウォルターは固い言葉で返した。竜馬はカップを手に取り、アールグレイを少し口に含んだ。
「ところで、バイクルのオーバーホールの件だが、最新の進行状況はどうなっているかわかるか」
「はい、先程東京から連絡が入りまして、88パーセントまで完了。あと数日以内にチェックが完了し、帰還可能だそうです」
「そうか。それは良かった」
竜馬の顔が綻ぶ。
名古屋弁の陽気な声が聞かれなくなってから、今日で実に2週間になる。
バイクルの居ない基地内は、やはりどこか活気がなく、改めてメンバー達は彼のもつ力の強さを知ったのだった。
「さて、性に合わんが報告書作りでもするか」
そう言って竜馬が自分用の特殊ノートPCの画面を見た瞬間、竜馬の顔が凍りついた。
「どうしました、隊長」
ウォルターが訪ねる。
竜馬は何も言わずに、ウォルターにPCの画面を見せた。そこにはこう表示されていた。

「特警ウィンスペクター隊長、香川竜馬殿。本日午後2時、日本大使館前に来られたし。 メサイヤ」


フランス パリ 午後2時

街角のカフェではフランス人のカップルや外国人観光客が午後のひとときを過ごしていた。
竜馬もそうした人々に混じってカフェの椅子に座っている。向かいに座っているのはフランス人女性。だが、どこか仕草が男くさい。
「改めて、来てくれたことに礼を言うわ」
女は竜馬に向かってフランス語でそう言った。
「そんなことはどうでも良い。それよりも…」
「分かってるわ。何故破壊されたはずの私がここに居るのか。目的は何か、でしょ」
女が竜馬の言葉を遮って言う。
「そうだ。単刀直入に言って欲しい。お前は何故ここに居る」
竜馬は強い目で女を見つめた。女はそれにまったく動じなかった。そして、淡々と語り始めた。
「確かに、あの時私はあなた方に破壊された。だが、大いなる意思の元に蘇った」
「大いなる…意思。一体何者だ」
竜馬が訳が分からないという顔になる。
「私にも詳細は不明だ。だが自爆した次の瞬間、内容はよく覚えていないが大いなる意思と名乗る不思議な声に導かれ、気が付いた時には自爆装置が解除され、現在のフランスに居た」

竜馬は最初、信じられなかった。だが、メサイヤは人間の脳を利用したサイボーグであり、世界に1体しか存在しないことはすでに知っていた。仮に複数体存在したとしても、
メサイヤ事件でその存在がウィンスペクターレベルの階級まで知れ渡ってしまった以上、破棄されていると考えるのが論理的である。
また、当時の記憶を竜馬以上に詳細に覚えていたことから、結局竜馬は彼女が本物であると結論付けた。
「疑っているのでしょう。確かにでき過ぎた話だとは思うわ。だが、私がここに居ることは事実よ」
女が竜馬の表情を見て言う。竜馬は紅茶を少し口に含んだ。
「わかった、信じられないが、まあ百歩譲って信じよう。それで、目的は何だ」
「大いなる意思から家族を守ることだ」
女の口調が次第に男っぽくなってきた。
「何だって。大いなる意思というのはお前を復活させた、いわば恩人ではないのか。それから家族を守ると言うのは一体」
竜馬が理解できないといった表情をする。女は表情ひとつ乱さずに言った。
「大いなる意思は私の知る限り、多くの危険な存在をこの世界に復活させてしまった。大いなる意思が何を企んでいるのか私にはわからないが、この危険な存在に私の家族が脅かされる可能性も否定はできない」
「危険な存在だと」
竜馬が驚いた表情で声を荒げる。
「そうだ。それもあなた方が知っているものだけではない。あなた方も私も知らないような様々な存在が復活し、野望を成し遂げる機会を伺っている」
「そんなことが…」
「私はそれを伝えるためにあなたをここへ呼んだ。私はこれから日本へ行くが、近いうちにあなた方かそれ以外の組織に、NATOから私の破壊命令が下るだろう。
自爆装置自体もいつ再起動するか分からない。あるいは大いなる意思によって破壊されるかもしれない。もし、そうなった場合、頼れるのはあなた方だけなのです」
それだけ言うと、女は何も言わずに立ち去った。
竜馬はただ、深く考え込んでいた。
その時、通信機の音が鳴った。竜馬はパトロールと称してメサイヤのことは隠してウォルター以外には街に出ていたことを思い出した。
通信機に応答する。そこから聞こえてきたのは、彼の上官であるロバート=ピカード司令官の声だった。
「竜馬か。たった今、緊急指令が下った。メサイヤが復活して日本へ向かったらしい。それを破壊せよとのことだ。至急帰還しウォルターと日本へ向かって欲しい」


時は現在に戻り横浜市、八千代区…
何の変哲も無い小さな都市であるこの町に、何の変哲も無い男がいた。
「…おはようございます…」
疲れているのか、それとも何も考えていないのか、どこか気の抜けた声が小学校の教室から聞こえる。
教師の声に耳を傾ける生徒は少ない。いや、まったくいないわけではないのだが、たいていは一瞥して終わりである。
生徒達からも家族からも空気のように扱われている男…市川新市は、今日も何事も無く、無難に仕事をしていた。
かつてゼブラーマンとしてこの町を救い、この国を救い…ひいては地球全体を救ったことが、まるで夢物語であったかのように。

「ふう…」

市川は深いため息をつき、数少ない話し相手…同じ趣味を持つ生徒、浅野と寂しく昼食をとっていた。
「…先生」
「…はい?」
「今日やってるニュース、見ました?」
「…ああ…すいません。あんまりニュースとかは…」
「裏山に隕石が落ちて、TPCが調査してるって…」
「…へぇ…」
「…先生!!!」
少し声を荒げ、浅野が市川の目をじっと見つめる。
「はっ…はい…」
「…先生はゼブラーマンになって調査しないんですか?」
「…ボクは…もう……………やめたんです」
「…やめた?」
「はい…せっかく宇宙人を倒したのに…なんか、みんな僕のことを…ゼブラーマンを忘れてしまってて…
 僕は所詮、その程度の人間なんだなって…わかったんです」
市川の言葉は嘘ではなかった。
謎の宇宙人による地球侵略計画を阻止したゼブラーマンは、最初は八千代区のヒーローであった。
連日のようにマスメディアがゼブラーマンを取り上げ、狂ったように紙面を賑わせた。
「新たなるヒーロー・ゼブラーマン!!」「正体は誰?謎のニューヒーロー」といったオーソドックスなものから、
「今年の流行語確実!」「ゼブラーマンに学ぶファッションチェック」などわけのわからないものまで…
コンビニや書店の棚にはゼブラーマンがところ狭しと並び、バッタモンの店やいかがわしい屋台までできて社会問題になった。
だが…

「この八千代区にはもうインベーダーは来ない。 それに最近はバダムも怪獣も出ない…平和だと言う事が分かって、誰も騒がなくなって…」
そう…マスメディアにとって、大衆にとって、ゼブラーマンは一種のブームでしかなかった。
新たなヒーローが登場し、新たな事件が勃発するにつれ…ゼブラーマンを特集した雑誌は一つ減り、二つ減り…
そして、ついに誰もがその名を口にすることは無くなった。

「試しに、妻に聞いてみたんです…『最近、ゼブラーマンを見なくなりましたね』って…」
「なんて言ったんですか?」
深い沈黙の後、重い口から出た言葉は…あまりにも冷酷で、無味乾燥なものだった。
「『ゼブラーマン?あんたまだそんな話してるの?』って…」
市川の目頭に熱い物がこみ上げる。
年下の浅野のほうが、まるで保護者のようだ。
「先生…」
「…すいません。だけど…ボクはもうゼブラーマンには…」
ならない、と言おうとしたそのときである。
「あーっ、よかったよかった。ここにいたんですね先生!」
妙に明るい声が響き渡る。
声の主は一本木先生。名前のとおり明るくまじめな男である。
「あ…一本木先生…」
「お客様が見えてるんですよ。それでどこにいるのかなぁと思って探したんですが…いやーまいったまいった…」
「ボクに…ですか?」
「はい!あ、職員室に待たせてますんで…早く言ったほうがいいですよ!!」
親指を立ててサムズアップのポーズをとる一本木。まるで一昔前の青春ドラマのようだ。
誰だろう…そう思いながら重い腰を上げ、市川は職員室へ向かった…

「失礼します…」
恐る恐る職員室に入る市川…そこには見慣れない女性がいた。
モデルのようなスタイルの良さ、小動物のような愛くるしい顔…
どこかとぼけた雰囲気のその女性は、ある意味市川の波長に近いものがあった。
「あ、こんにちは…あの、市川先生ですか?」
「はい…ボクが…市川ですが…」
「よかったぁ♪あの、私如月ハニーって言います!」
「きさらぎ…?…えっと…どういったご用件でしょうか?」
「実は…あの…隕石が落ちましたよね?裏の山に」
「隕石…あ、ああ…ハイハイハイハイ…なんか、ニュースでやっていたそうで…」
「そうですそうです!!その隕石が、実は…」
「防衛軍が処理してるんですよね」
「あ。…それを言おうと思ってたのに…」
「っ…!!すいません!すいません!」
「あ、違うんです、そういうつもりじゃ…」
「でも、その、あの…」
…話が進まないのでかいつまんで説明するが、
 要するに市川は隕石の調査に協力してほしい、ということをとある人物から頼まれたそうである。
「そのとある人っていうのは…」
「よくわかりません…ごめんなさい…」
「そうですか…で、ボクは何をすれば…」
「…あの…その……に…」
「えっ?」
「ゼブラーマンになってください!!」
「ゼブラーマンに…?」
思わず目をぱちくりさせる市川。
「やっぱり…ダメですか…?」
「い…いいえ!!是非!是非!!お願いします!!」
「良かった…じゃあ行きましょ?」
「はい!あっ…でも、授業は…」
「大丈夫です、あの元気な先生がやってくれるって」
「元気な…ああ、一本木先生ですか?」
「はい!!だから、早く行きましょう!」
 予想外だった。
再びゼブラーマンになれる…あのコスチュームを着て…
それだけでいてもたってもいられなくなった市川は、廊下で小さくガッツポーズをとり…
「やったあああああああああああああああああああああああ!!」
力の限り叫んだ…まあ、もっともその声は、何も知らない生徒達にはただの騒音なのだが。
それでも、その叫びの意味を理解している一人の生徒がいた。
「先生…がんばって…」
小さく浅野が呟く。その声が、市川に聞こえた気がした。

数十分後…家に戻り、カバンを取り出し、ハニーと二人で裏山へ向かう市川。
防衛軍とTPCの物々しい警備に一瞬たじろぐが、ハニーの「行きましょ?」という声であわててついていく。
「あの…隕石っていったいどんなものなんでしょうか?」
「私も良く分からないんですけど…隕石っていうか…カプセルみたいな感じみたいですよ」
「カプセル…?じゃあ宇宙船かもしれませんね」
「はい…だからTPCは、このことをトップシークレット扱いにしてるんですよ。
 下手に公表すると、また宇宙人が攻めてきたんじゃないかって勘違いするかもしれないから…」
「なるほど…あっ…もしかしてあれですか?」
 市川が指差した先には…人が一人入れるほどの白いカプセルがあった。
表面は卵のようにすべすべで、大気圏を突入したにもかかわらず傷一つついていない。
「うわぁ…確かにこれは…ちょっと公表しないほうがよさそうですね…」
「はい…それにしても一体何なのかな…」
試しに近寄り、二、三度ノックをするハニー。
「あっ…うかつに触ると危ない…」
「…キャッ!!」
ノックをした場所から、水蒸気のような煙が噴出す。
驚いて尻もちをつくハニーを尻目に、カプセルがゆっくりと開き始めた…
「「あっ…」」
ほぼ同時に声を上げる二人。その中には…ボロボロの人間がいた。
だが、普通の人間と何かが違う…まるで宇宙服のスーツのような服を着込んでいるのだ。

「宇宙船に乗ってきたのかな…?」
「かもしれませんね…でも一体なんのために…」
今度は市川が手を伸ばそうとする。とそのとき、藪の中から足音がした。
「二人ともご苦労さまです…」

声の主は内藤。若くして政府の要職に就いているエリート中のエリートだ。
「内藤さん…」
「あっ…ど、どうも…」
「ご苦労様でした。二人とも」
「ありがとうございます…あの…ちょっとお聞きしたいんですけど…」
「どうしました?ハニーさん」
「この人…一体誰なんですか…?どうしてここに…」
「それはトップシークレットということで…お答えできません」
「あ…そ、そうですよね…あともう一つ質問があるんですけど…」
「手短にお願いします」
「ハイ…あの…どうして市川さんも一緒なんですか?
 このカプセルを開けるだけなら、私一人で…」
「彼がゼブラーマンだから…」
「それは分かります。だけど、ゼブラーマンを呼んだ理由は…?」
「理由…理由ね…クスクスクスクス…」
不気味な笑みを浮かべる内藤。顔を見合わせ、眉をひそめる二人。
「あの…ボクが呼ばれたのは…いったい…」
「…邪魔だからですよ」
「えっ?」
「あなたたちは、我がバダムの計画にとって邪魔だ…だから三人を一つの場所にまとめる必要があったんです」
「内藤さん…あなた一体…」
「愚かな奴…一度戦った相手の顔を忘れたか」
内藤の体が闇に包まれ、次第に本性を現していく。
その姿を見て、ハニーは驚愕した。
「まさか…お前は…」
「そう…我が名はブラック・クロー!シスター・ジル様、バダムのために戦う究極の戦士!!」

「ブラック・クロー…生きていたなんて」
「フン…大いなる力を得た我々の前では、貴様等など所詮ただのクズだ」
「何度よみがえっても同じよ…市川さん!」
「…はいっ!!」
「ハニー…フラァッシュ!!!」
光に包まれ、艶やかにキューティーハニーに変身するハニー。それに対して…
「わっ…ちょ、ちょっと待って…」
カバンからゼブラーマンの衣装を取り出し、着替えだす市川。実に好対照である。
「ある時はナースハニー…ある時はストリートシンガーハニー…そしてまたある時は女教師ハニー…
 しかしてその実態は…愛の戦士!キューティーハニーさ!!」
「おおっ…かっこいいなぁ…よし、ボクも…」
ゼブラーマンが名乗りを上げようとしたその時…ブラック・クローがキザに指を鳴らす。
「お前たちの相手は私ではない…こいつだ!!」
そう言って杖を振るブラック・クロー。その先からは、同じ四天王のゴールド・クローが現れた。
「ゴールド・クロー!」
「フハハハハハ…久しぶりだなキューティーハニー。ゼブラーマンともども片付けてくれるわ」
「後は任せたぞゴールド・クロー」
「待てブラック・クロー…あのカプセルは良いのか?」
「あれは所詮ただのガラクタ…おそらくもはや動くことはあるまい」
「フム…それもそうだな…いずれにしてもこやつらを始末し、シスター・ジル様への生贄にしてくれるわ!」
「頼んだぞ…」
笑みをこぼし、消え去るブラック・クロー。
「待てっ!!」
追いかけようとするゼブラーマン。しかし…
「お前たちの相手は私だと言ったはずだ!」
辮髪を振り乱し、ゼブラーマンに立ちふさがるゴールド・クロー。
「くっ…」

「ゼブラー・キーック!」
「ハニー・ブーメラン!!」
二人が同時に攻撃を放つ…が、ゴールド・クローにはまったく利いていない。
「フン…なんだそれは。蚊でも止まったかと思ったぞ」
「何だって!?」
「そんな…私たちの攻撃がきかない…」
「今度はこちらの番だ!せえええええええいっ!!」
鉄の爪を振り乱し、二人につかみかかるゴールド・クロー。
両腕で必死に受け止める二人だが、こらえているのがやっとである。
「うぐっ…つ、強い…」
「なんなの…これが大いなる意思の力?」
「フン…無様だな、キューティーハニーにゼブラーマン。あのガラクタともども、葬り去ってくれるわ!!」
とどめをさそうと辮髪を再び振り回すゴールド・クロー。しかし…彼女は気づいていなかった。
カプセルの中の人間が、ゆっくりと動いていることに…
「ぐわあああっ!!」
「きゃあっ!」
二人の体に少しずつ辮髪が近づいていく…
「楽には殺さんぞ…フフフフ…さぁて、どちらから始末しようかな?」
勝利を確信したゴールド・クロー。だが、その余裕が破滅を招いた。
「あれっ…?」
「とどめをささない…」
驚く二人。ゴールド・クローの顔を見ると、目を見開き断末魔の表情を浮かべている。
「うううううっ…」
「どうして…きゃあっ!!」
何気なくゴールド・クローの腹に目をやるハニー。すると、胴体を何者かの腕が突き抜けていた。
「これは…」
「なっ…なんだと…貴様…ぐうっ…何者だ…」
「…キャシャーン…」
男はそれだけ言うと、腕を引き抜く。
「ぬうううっ…おのれキャシャーン…だがこれで済むと思うな!!」
「無駄だ…あんたの体はもうボロボロだ…」
「なにっ!!」
キャシャーンが腕を引き抜くと、がくりとゴールド・クローが崩れ落ちる。
「フフフ…見事だキャシャーン…そしてゼブラーマンにキューティーハニー…
 だが貴様たちはまだ知らぬ…シスタージル様の大いなる計画を…」
「大いなる計画だと!?」
「どういうこと?説明しなさい!!」
「フフフフフ…もうすぐだ…もうすぐ日本は…いや、世界は終わる…
 ふふふふふふふ…ふはははははははは!!」
笑いながら血を吐き、息絶えていくゴールド・クロー。
その術を、三人はただ黙って見ているだけだった…

「フン…役立たずめ」
ゴールド・クローが死ぬ様を、ジルタワーで見つめる内藤。
その後ろにはコバルト・クローとスカーレット・クローがいた。
「所詮はただの力馬鹿…あの程度の者だったという事ね♪」
「しょのとおり。それにしても…あのキャシャーンとか言う者は…ただのガラクタではないかもしれぬぞ」
「まあ、楽しみ♪」
「気にすることは無い。それより…私は次の作戦に移らせてもらうぞ」
一人ジルタワーを後にする内藤。向かった先は…東京都庁だった。


大いなる意志により蘇った悪の組織、怪人、怪獣達による被害は日本国内に留まらず世界各地及び月面にも及び、被害は増大の一途を辿っていた。
そんな中、地球防衛軍極東エリアの最高責任者、ナンゴウ長官を乗せたウルトラHSTは統合会議が開かれるスイスを目指して飛んでいた。

「長官、どうやら当初の予定通りに到着できそうです」
「そうか、それは良かった」
ナックル星人の襲撃により出発が遅れていたので、それを聞いたナンゴウは少し安堵の表情を浮かべた。
出発してからもナンゴウの元に入ってくる情報は良い知らせよりも悪い知らせの方が多いのであった。
確かに平和守備隊・嵐山長官がヒーロー達を取りまとめ、各所で敵を撃破してはいるが、
それは、あくまでも防戦であって、大局的には状態は良くはなっていないのであった。
だからこそ、地球防衛軍も各エリア毎に対処するのではなく、全エリアが一体となり大いなる意志に対抗しなければならないのであり、そのためにも早く会議を開かなけ
れぱならないのであった。
「大河内君のスーパー轟天もあと僅かで完成する。そうすれば壊滅した防衛システムに代わって外宇宙からの侵略もなんとか阻止できる。そうすれば大いなる意志に対して防衛軍全体で対処できる…」
『大いなる意志』の正体探査、各国と連係した救済活動、敵撃破等、防衛軍としてやらねばならない事は山積みであった。
それらの今後について思案するナンゴウであったが、
防衛軍は既に高倉の手に落ち、スーパー轟天もバラノイアの襲撃を受けているとは思いもよらなかった。

「長官、大変です。この機に向かってくる物があります。その数3!」
様々な考えを巡らせていたナンゴウの耳に操縦士から声が聞こえた。
「何だと!正体は!」
「分かりません!」
「構わうな、振り切れ!ウルトラHSTなら振り切れるはずだ」
その報告を聞き慌てる命ずる副官達
「ダメです。振り切れません」
「何だと!」
「HSTで振り切れないと言うのか?」
それを聞き、驚きと共に立ち上がるナンゴウ。
次の瞬間、ナンゴウ長官を乗せたウルトラHSTは空中で大爆発を起こした。



東京都庁の地下深く。陽の光も届かぬほどの地下室に、政府の要人や著名な博士たちが囚われていた…
将軍と呼ばれ、自らも前線に立ったBF隊司令官、倉馬鉄山。
一切の経歴は不明ながら、日本の警察に太いパイプを持つ男、通称暗闇指令。
暗黒科学に対抗すべくゴーグルファイブを結成、縁の下で彼らを支え続けた本郷博士。
ヒース星人ユイ・イブキとして電撃戦隊を指揮した伊吹長官。
オーラの力を持った若者たちを光戦隊へといざなった姿長官。
そして…非凡かつ柔軟な発想で数々の事件に挑んだ渡来角之進教授。

文武に長けた者もおり、脱出しようと思えばいつでも出来る場所である。
だが、誰一人としてここから抜け出そうとはしなかった…いや、出来なかったと書くほうが正しいのかもしれない。

「やあ、人質の皆さん…ここの暮らしには慣れましたか?」
皮肉めいた口調で内藤が尋ねる。が、誰一人として答えるものはいない。
「…都庁の地下でありながら皆様が逃げられない理由…忘れてはいないでしょうね?」
「…もちろんだ」
最初に口を開いたのは、暗闇指令だった。
「中性子爆弾を我々に埋め込むなど…古臭い手だ」
「確かに。ですがその古臭い手を、どうすることも出来ないのは事実でしょう?」
「くっ…」
「こうでもしなければ、たちまちこの場所から逃げられてしまいますからね…
 取り外そうとすればどうなるか…本郷博士や渡来教授はお分かりでしょう」
「爆弾が反応してドカン…そうなりゃ都内全域がおじゃんだね」
 とぼけた口調で渡来が答える。
「対した余裕ですね…まあ、ここでの生活ももうすぐ終わりますが」
「どういう意味だ!」
 姿長官が尋ねる。その問いに、醜く唇を歪める内藤。
「あなたたちは日本中に散らばっていただきます…文字通り人間爆弾としてね」
「なにっ!!」
「この東京もか…」
さすがの倉馬将軍の顔にも動揺が走る。そして、姿長官が誰もが思っていることを口にした。
「いいえ。さすがにこの東京は…我々の前線基地になりますしね」
「前線基地?」
「その通りですよ伊吹長官。この東京都を…独立させます」
全員の顔に戦慄が走る。
「馬鹿な!!!」
「厳密に言えば、東京23区以外の日本が独立するというべきでしょうか…
 いずれにしても、これだけ多くの防衛基地が存在する場所を失うのは、我々バダムとしても惜しいですからね。
 では、また後ほど…」
部屋を後にする内藤。その後を、日本の指導者たちはただ黙って見るだけだった…
「なんということだ…このことを誰かに知らせなくては」
 将軍の顔に怒りの炎が宿る…が、今はもどかしい思いでただ立ちすくむのみだった。


警視庁のとある一室。
古ぼけたコンピューターの前に、一人の男が立っている。
彼の名は、正木。かつてウィンスペクターとソルブレインの初代本部長を任された人物である。
ここはかつて彼が指揮を執った司令室である。
ソルブレインの創設から既に10年以上が経過し、司令室が別の部屋に移転したため、この司令室は使われなくなって久しかった。
正木は、埃をかぶったかつての自分の椅子に座ると、目の前にあるモニターの埃を払い、そっと言った。
「マドックス」
その声に反応して、壊れかけたスピーカーから声がする。
「マドックス…起動しま…す」
少しのタイムラグを置いて、再び声がする。
「マドックス、正常に起動しました。命令をどうぞ」
「そうだな。まずは日付のデータを修正してくれ」
正木がかつてと同じ声で言う。
「了解・・・修正完了。」
「では次に、重要な命令を下す。都庁のコンピューターにアクセスできるか」
「可能ですが、第一級の命令コードが必要です」
「正木、WSP、α1」
「命令コード、声紋、共に正常に認識しました。アクセスしますか」
「いや、待ってくれ。状況を説明する」
「了解しました。どうぞ」
正木は、軽く息を吐いて呼吸を整えると、咳払いをしてマドックスに話しはじめた。
「良いか、良く聞いてくれ。現在、大いなる意志と名乗る謎の集団によって日本中がパニックになっている。そして、都庁に対策会議の為に招集されたメンバーがもう一晩も連絡を寄越さない。
 攻撃を受けた可能性もある。よって、彼らが今どこに居るか調べたいのだ」
「了解しました。作業を開始しますか」
「まだだ。今、警視庁をはじめ色々な場所のコンピューターが都庁に探りを入れようとしている。彼らの動きをくれぐれも妨害しないでくれ。では始めてくれ」
「了解。アクセスを開始します」
その声と共に、マドックスがフル稼働状態になる。
正木は、机の上の埃を払うと、ドアの外に立っている1体のロボットに気が付いた。
「入ってくれ。君をここに呼んだ理由は、わかるな」
「ええ、わかりますわ本部長」
ロボットは頷くと、テーブルを挟んで正木の前に立った。


「人質の皆様、こんにちは」
鉄山将軍たちが捕らえられている都庁の地下室に眼鏡をかけた長身の男が現れた。
「あの男は…」
暗闇指令がその男が誰か気づく。
「これは暗闇指令、あなたも内藤さんの人質になっていましたか」
「田崎、貴様はドールハウスに始末されたはずだか!?」
暗闇指令が田崎に叫ぶ。
「私はあの時、私の邪魔をするドールハウスによって投獄されましたが、内藤さんの仕事を手伝うのを条件に釈放されました」
「内藤め、そこまでしていたのか!」
鉄山将軍が怒りをあげながら叫ぶ。
「他にも元月面基地の冴島長官も内藤さんの手ほどきで防衛軍の月面支部の長官となりましたし、地球は内藤さんに委ねられました」
「こ、こいつ…」
一同は内藤と田崎に怒りを隠せなかった。

「では、おしゃべりはここまでです、あなた方に紹介したい人を呼びましょう。よし、入れ!」
田崎の合図でパンサークローの戦闘員に取り押さえられた軍服姿の初老の男が入ってきた。

「ナンゴウ長官!」
伊吹長官がその人物の名前を叫ぶ。
地球防衛軍極東ゾーンのナンゴウ長官であった。
「すまなかった、私はスイスの統合会議に向かう途中にバダムに襲われてそのまま捕らえられてしまった」
「まぁ、これで地球防衛の要であるメンバーはここに集いました、 既にナンゴウ長官にも中性子爆弾を埋め込みましたのでこれであなた方も逃げ場はありません」
「おのれ…チェンジマンが戻ってきてくれれば…」
伊吹長官の言うとおり、彼らが束ねるヒーローたちも各地でそれぞれの戦いを行っていた。
このまま、中性子爆弾は爆発してしまうのか?

同時刻…
本郷博士等を取り返すべく必死に走るゴーグルブラック、黒田官平とニンジャブルー、サイゾウ。
官平はゴーグルファイブ解散後は東都大学の未来科学研究チームに所属しながら本郷博士の研究の手伝いをしていた。
その本郷博士が都庁に捕らえられていると聞いて、官平に弟子入りを志願したニサイゾウと共に救出に向かうことになった。

「はあはあ…都庁の地下ってこんなに深いのね」
「しゃべると余計に疲れるぞ!」
「ヒイ、ヒイ…あっ、もしかしてあの部屋…」
「間違いない…行くぞ!」
ドアを急いで蹴破る黒田。しかし、中には誰もいない。
「…これは…」
「はあ…はあ…アレ?この部屋じゃないの?」
「そんなはずは…あっ!」
黒田がふと手紙を発見する。その中には、内藤の字でこう書かれていた。
『お馬鹿な侵入者さん達へ。まんまと罠にはまりましたね。残念ながら本郷博士等はもうここにはいません。一足先に、日本各地に散らせておきました』
「何だって!」
「トホホ…ボク達無駄足だったの?」
『この手紙を読んでいる頃には、部屋のセンサーが働いて、貴方達はレーザーで黒こげになっているでしょう。
 せいぜい無駄な足掻きをして下さい。では、この胸のときめきを、あなたに。
 内藤薫』
「か~っ、キザな手紙!」
「それどころじゃない!レーザーが来るぞ!」
部屋の上から、レーザー光線がスコールのように降り注ぐ。
流石の攻撃に、二人も変身する暇がない。「スーパー変化…熱っ!熱っ!」
「くっ…万事休すか…」
最早これまで…そう思った時である。
「チュチューン!こっちだ、こっち!」
コンクリートの壁を破り、大きなモグラのような怪人…モグラ獣人が現れる。
「も…モグラ?何でモグラがここに…」
「今はそんなこと気にしている場合じゃない!逃げるぞ!」
「う…うん」
モグラ獣人の掘った穴に逃げる二人。間一髪で、部屋は炎に包まれていった…


一方、メルカ共和国の自治都市ジーザスタウンでは、グルジェフが光明寺ミツコを招き、晩餐会を開いていた。
「いかがですか…?この街は。まるでエデンの園のようでしょう?」
護衛ロボット・ミカエルにワインを注がれ、自分に酔った瞳でミツコに話しかけるグルジェフ。
「え、ええ…まあ…」
「全てにおいて世界一といわれるメルカ共和国の中でも、このジーザスタウンはとりわけ素晴らしい。
 犯罪も公害もなく、人々は平和に暮らしている。…あなたの父上がミカエルを作ってくれたおかげでね」
「いえ、父はデザインを提案しただけです。プログラミングなど具体的な部分は、この国の技術者達が作ったんでしょう?」
「ええ。ですがプロフェッサー・コウミョウジがいなければここまで精巧なものはできなかったはず」
「そうですか…ところで、ジーザスタウンで作られたロボットはもう一体いると聞いたのですが…?」
グルジェフの顔が曇った。
「…そんな奴はいない。何かの間違いでしょう」
「でも、確かにお父様が…」
「ミズ・コウミョウジ。グルジェフはお疲れのご様子です。今日はここまでにしましょう」
「は、はい…失礼します」
ドアを閉め、元老院から市内のホテルへ向かうミツコ。
その様子を見送ったグルジェフの目に、明らかな殺意が芽生えていた。
「…何故だ!!!何故あの女があいつのことを!!」
「取り越し苦労ですよ、グルジェフ。あの女は何も知らないはずです」
「…だが、念には念を入れたい。あの女の監視を怠るな」
「はっ」

ホテルの一室で休むミツコ。ふと、窓の外を見つめる。
『この街はたしかに平和だ。だけど…何かがほかの世界と違う。なんて言えばいいのかしら…生気がない』
と、そこへ間の抜けた声が響いた。
「いやー、ミツコ殿。失礼しますぞ」
「? どうぞ?」
声の主はハンペンこと服部半平。どこから持ってきたのか、浴衣姿でご満悦だ。
「あ、これはこれは失礼。もうお休みでしたか」
「気にしないでハンペンさん。それにしても…そのカッコどうしたんですの?」
「いやー、たった今ホテル・ジーザスの大浴場に入ってきたんですが、いやこれが得もいえぬ快楽でしてな。
 極楽浄土とはまさにこの事。ミツコさんも入ればよかったのに」
「そうなんですか?それより…」
「…どうしましたミツコ殿?」

「この国は確かに平和で華やかです…だけど…なんていうか…すごく変なんです」
「変…と申しますと?」
「上手くいえないけど…生気がないみたいなんです。まるで機械のような」
「ハハハハ、考えすぎでしょう。いくらなんでも生気がないなんて…
 それがジーザスタウンの人たちの生き方。言うなれば『ジーザス気質』とでも言いましょうかね」
「だけど…」
と、突然窓が割れ、中に黒い影が入り込んできた。
影の主はグレイサイキングとグリーンマンティス…ダークの破壊ロボットだ。
ミツコ「!?」
ハンペン「やややや…お前たちは!!」

グレイサイキング「久しぶりだな…光明寺ミツコに服部半平!!」
グリーンマンティス「グルジェフ様の命令でお前たちを始末しに来た!」

ミツコ「なんですって!!」
ハンペン「うぬぅ…なぜグルジェフ殿がミツコ殿を…」

グリーンマンティス「お前がそれを知る必要はない…死ねっ!!!」
ミツコ「キャアアアアッ!!!」
ハンペン「あぶなあああああい!!」

鎌を振り下ろすグリーンマンティス…だが、次の瞬間彼の鎌は宙を舞っていた。
グリーンマンティス「ぐおっ!!」
グレイサイキング「だ、誰だ!!」
ミツコたちの前に立ちはだかる人影…銀の顔に黒い体…
その姿に、誰もが驚嘆した。
「拙者の名はワルダー…お前たちを成敗いたす!!」

ハンペン「ワ、ワルダーですと?」
ミツコ「ワルダー…?」

グレイサイキング「おのれい!!なぜここに!!」
ワルダー「風の向くまま気の向くまま…足に任せて歩いていたら、悪の気配がしたのでな…」
グリーンマンティス「ふざけたことを!!」
ワルダー「御免!!!」
鮮やかな刀さばき…グリーンマンティスの体がなますのように切り刻まれる。
グリーンマンティス「ぐおっ!」
グレイサイキング「な、何っ!?」
ワルダー「次はお主だ!!」
一振り、二振りと刀で斬りつけるうちに、追い詰められていくグレイサイキング。
ワルダー「とどめぇい!!」
必殺の袈裟懸けがグレイサイキングの体を引き裂く…
真っ二つに裂け、機械の部分を剥き出しにして果てるグレイサイキング。
ワルダー「さあ…ここは危険でござる。早く町の外へ」
ミツコ「あ、ありがとう…でも、いったい何故ここが?」
ハンペン「そうですぞ!!それに、君は一体何者なんだね!!」
ワルダー「ついて来れば分かるでござる…」
ワルダーに誘われるままに、ジーザスタウンの裏路地を歩く二人。その先には…

「やっ、ども~☆」

派手な服装の男…高円寺博士がいた。


ジュウレンジャー達が爆弾の摘出手術を行っていた頃、バルカンベースではキカイダー達が戻ってきた。
彼らは丁度、帝王ゲンバーと戦っていた頃、バダムによって怪物化されたが、マザーの力によって元に戻った。
「そんな事があったのですか…」
「でも、また味方が増えたとはいえ、焼け石に水だったよ」
三人が嵐山長官からゲンバーやバラノイアがバルカンベースを襲撃したことを聞かされ驚きを隠せなかった。

「長官、高円寺という人物から通信が入っています」
と、その時オペレーターから通信が入った事を伝えられる。
「高円寺…今すぐつないでくれ!」
「かしこまりました!」
嵐山長官の指示で即座に回線を開いた。
何と、そこには派手な服装のかなり年のいった男が映っていた。

「は~い、嵐山長官、こんばんは~!」
と、男が軽い口調で嵐山長官に話しかける。
「高円寺博士、スターピースが見つかったのですか?」
嵐山長官がその男、高円寺博士に話しかける。
「メルカ共和国にスターピースがあるって聞いてね、来たんだけど、そこであるロボットに出会ってね」
高円寺博士がすばやく答える。
「ロボット…?」
一同が疑問に思う。
「ささ、みなさん入ってきて」
と、高円寺博士が手招きするとロボットと二人の若者がやってきた。
「ワルダー!」
「ミツコさん、それにハンペン!」
イチロー達が入ってきた三人を見て喜ぶ。
「イチロー殿、マリ殿、久しぶりでござる」
入ってきたワルダー達も喜んだような表情だった。
「ワルダー、あなたも大いなる意思の力で蘇ったの?」
と、マリが聞く。
「偶然、高円寺殿がメルカで拙者の残骸を見つけて修理してくれたのでござる」
と、ワルダーが答える。

「ジロー、お父様は元気なの?」
ミツコがジローに聞いてくる。
「博士なら僕と同じバルカンベースにいるけどメカの修理で急がしいけど、元気だよ」
ジローの言うとおり光明寺博士は洗脳されたジュウレンジャー達が操縦した鉄面党ロボットを修理していた。
「いや、ジロー君も元気で何よりだ!」
ハンペンが安堵の表情を浮かべる。
「ところで博士、スターピースは見つかりましたか?」
「スターピースならここにあるよ!」
博士はポケットからスターピースを出してきた。
「手に入れるまで色々大変だったけどワルダーがいたから助かったよ」
博士はスターピースをしまいながら話している。
「では、我々からイチロー君達を明日メルカに送ります、待っていてください」
嵐山長官が博士と合流する事を即座に提案した。
「じゃ、楽しみにしているよ~じゃぁねぇ~」
と、通信は切れた。

「長官、僕達にメルカに行って欲しいのですね」
ジローが嵐山長官に問いかける。
「ああ、どうやらメルカでは君達の戦ったダークロボットが高値で流れているという情報があるので君達に調べて欲しいのでな」
嵐山長官の言うとおり、メルカ共和国ではダークロボットの設計図が何者かによって多数発見され、再生産されていた。
「きっと俺達が来てくれればワルダーも喜んでくれます」
イチローが嬉しい表情になる。
「よし、スターピースと高円寺博士の護衛も忘れるなよ」
嵐山長官が博士の護衛を促す。

「長官、防衛軍の統合会議に向かったナンゴウ長官が行方不明という連絡が入りました!」
その時、あまりにも悪い知らせが入ってきたとは誰一人とも考えていなかった。
「何、長官が誰かに襲われたのか!?」
嵐山長官が通信兵に聞く。
「はい、ナンゴウ長官の乗ったウルトラHSTが何者かの攻撃で破壊されたそうです」
「ナンゴウ長官…我々はどうすればいいんだ…」
嵐山長官は余りにも多すぎる問題に対処できるかという不満で心がいっぱいだった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月07日 01:53
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。