第65話 動き出した帝国(前編)


バルカンベースに横浜でレギオンを倒したお茶ノ水たちを乗せた輸送機と、怪獣ランドを開放したバトルフィーバーの母艦、バトルシャークとジャイアントロボが到着した。

「嵐山長官、わしらの戦いどうじゃたか!?」
お茶の水博士が自慢げに高笑いする。
「博士、それは後で聞かせてください」
嵐山長官が苦笑する。
お茶ノ水博士たちが戦っていたとき、バルカンベースは洗脳されたジュウレンジャーたちに襲われていた。
「長官、先に着替えてよろしいでしょうか?」
三神博士が嵐山長官に聞く。
博士たちはRVロボに操縦した際、地球平和守備隊のパイロットスーツが支給されていたからだ。
「どうぞ、着替えが終わったら会議室に来てください」

「長官~ん!」
「何急いでいるんだよ!」
そこに青い服を着た青年と竜に乗った妖精が入ってきた。
「君はオーレンジャーか、既に星野君たちもいるから会ってきたらどうだ?」
嵐山長官は彼をオーレンジャーのオーブルーこと三田祐司だとわかった。
「はい、ありがとうございます!ベルベラ、行くぞ!」
「って急ぐなよ」
祐司とベルベラは急いで他のメンバー元へ向かった。

祐司は嵐山長官に教えられたとおり、会議室に入った。

「隊長ぅ!」
「祐司、お前も無事だったか。」
祐司が会議室に入るとオーレンジャーの隊長、星野吾郎に加え、四日市昌平とリキもいた。

「よかったぜ、お前が生きていただけでもほっとするぜ!」
昌平が祐司の肩をたたきながら喜ぶ。
「昌平、そんなに喜ばなくてもいいだろ」
祐司もそうはいっても再開はうれしかった。

「祐司さん、まだ樹里さんと桃さんは…」
リキの方は不安そうな顔だった。
「でも、こう四人がそろえたんだ、だから近いうちに戻ってくるよ」
祐司がリキを励ます。

「君たちがオーレンジャーか」
いつもの軍服姿に着替えた石室コマンダーが会議室へ入っていった。

「あなたは、XIGの石室コマンダー」
「ああ、君たちの活躍は常に聞いている」
「ありがとうございます!」
石室コマンダーと吾郎が握手をする。
「そろそろ嵐山長官が来るから席へつこう」
石室コマンダーに言われるまま、オーレンジャーたちも席についた。

一同が席へつき終わると最後に嵐山長官が入っていった。
「みんな、そろったか、早速だがミーティングに移ろう」
そして、メンバーが揃い、ミーティングが始まった。


008地下エリアのAPPLE日本支部には、ジャッカー電撃隊行動隊長の番場壮吉とマイティジャック隊の天田隊長、ブルースワットのシグと南三郎とガンテツこと岩山鉄五郎、
バイクロッサーの水野兄弟、そして青山ミドリと宝忍ジャンヌの9名が、大型スクリーン付きの会議室に集まっていた。
大型スクリーンにはバルカンベースの嵐山長官が映っており、バルカンベースの会議場と はオンラインで結ばれていた。

勿論、地下と言っても人工地盤の「地下」ではなく、正真正銘の大地の下であった。
そこに、APPLE最大規模を誇る巨大基地が展開されているのだ。言ってみれば空中都市008と言う街は、APPLE日本支部の上に構築された学術研究都市とも言えた。
その大型スクリーンを背に、眼鏡をかけた一人の老人が会議室にいる一同を見据えてた。
この老人こそが、マイティジャック隊とブルースワットを統括するAPPLE日本支部総司令=ゼネラル藤井こと藤井泰蔵であった。

ゼネラル藤井「嵐山長官、そちらの報告は一部始終聴かせてもらいました…」
嵐山長官「そちらの方も色々と報告があるみたいですが、是非我々にもお聞かせ願います…」
ゼネラル藤井「番場君や天田君のレポート…ジャンヌさんの件…それに佐原博士から預かった大鉄人ワンセブンの所在がハスラー教授に漏れた事…」
大原博士「そして、RS装置の設計データが奴らにコピーされた事…」
番場「さらに…008を襲撃した黒幕についてです…」

「黒幕…やはりバダムでしょうか?」
夢野博士が問いかける。
「今、管理センターの方で奴らが落とした通信機を解析しています。
やはり、あのバラノイアのジャミングがかかった状態で通信が出来るのでバダムだという事が分かりました」
大原博士が答える。
「やはり、それだけあのジャミングが協力だったわけですね。」
吾郎が大原博士に言う。
「バラノイアの霧吹山基地の破壊でなんとかジャミングは消えて通信網も回復しましたが、それでも完全に払いきったとはいえない」

「あ、博士…」
三郎がモニターを見て、佐原博士がいる事に気づく。
「三郎君か、久しぶりだな、ブルースワットの方はどうだ」
佐原博士が三郎に話しかける。
「訓練は厳しいですけど、それでもショウさんたちと仲良くやっています」
三郎が佐原博士に嬉しそうい言う。
「博士、ワシがいる事を忘れないでくださいよ!」
横からガンテツが顔を出す。
「ハハハ、君の事も忘れていないよ、二人ともブルースワットでの活躍は私も何度も聞いている」
「ありがとうございます!」
佐原博士のねぎらいに三郎が礼をいう。

大原博士「それに、あの通信機のフォーマットですが…現時点で判る限りで言えば、あれは時空破断システムの原理を応用した通信システムを内蔵した物です…」

大原博士の詞に、一同がざわめく。

お茶の水博士「と、言いますと?」
大原博士「あの通信機の通信波は、電波やレーザー、それにブルースワットやAPPLEで使用している特殊通信回線のタキオン波ではなく、時空震動波そのものを通信波に使っているんです。
     既存のジャミングでは、まず彼らの通信を妨害する事は不可能に近いでしょう…他に…」
夢野博士「他に、何かあるのですか?」
大原博士「ええ…あの通信機のシステムですが、あれを応用すれば既存の通信システム全てに干渉する事が出来るのです。
     奴らがその気になれば、私たちの通信システムは勿論の事、テレビ、ラジオ、各種無線、携帯電話、インターネット…その全てをジャックする事が可能なのです…」
光明寺博士「それではまるで、時空破断システムそのものでは…」
大原博士「ええ…まさしくその通りです、光明寺博士…」
ドロシー「防ぐ手だては無いのですか?」
大原博士「現時点では、私たちが同じようなシステム…。仮に『超時空ネットワーク』とでも言うべきシステムを構築しない限り不可能です…」
ゼネラル藤井「そこで我々は、現時点で判明した超時空ネットワークの詳細をバルカンベースに転送いたします。
       我々の方でも解析作業を続行いたしますが、皆様の方でも独自に解析作業を進めてもらえませんでしょうか…?」
大原博士「それと、気休めですがブルースワットとAPPLEで使用してる特殊通信回線を皆様に開放いたします…超時空ネットワーク完成までの繋ぎにはなるでしょう…」
そう言うと大原博士は、バルカンベースに超時空ネットワークの解析データと、特殊通信回線のフォーマットを記したデータを転送したのであった…。

五郎「話は変わりますがゼネラル、先程大鉄人ワンセブンが008にいるとおっしゃいましたが…?」
渡五郎=イナズマンがゼネラル藤井に質問をかける。
すると、割り込むように佐原博士が立ち上がる。

佐原博士「それは私から説明いたします…ゼネラルのおっしゃる通り、大鉄人ワンセブンは008にて修復中です…」
佐原博士の詞に、バルカンベースの一同がざわめく。

三郎「どう言う事なんですか、博士?」
三郎が佐原博士に尋ねる。

佐原博士「実は、ワンセブンとブレインが相討ちになった現場を、あれから大原博士やAPPLEとで調査していたのだ、三郎君…」
大原博士「当時、未来科学研究所に所属していた私は、本郷博士やAPPLEの調査班と合同で、ワンセブンとブレインが爆発した現場を調査していて『ある物』を見つけました…」
三郎「『ある物』って、まさか?」
佐原博士「その通りだよ、三郎君…」
大原博士「私が見つけたそれは、ワンセブンの電子頭脳ユニットでした…しかもそれは自己再生していたのです…」
光明寺博士「自己再生…、と言う事は?」
佐原博士「ワンセブンが本来、ブレインの分身として作られたのは皆様もご承知でしょう…つまり、ワンセブンの電子頭脳ユニットは、 超生産能力で自己再生を始めていたのです。
     それを見た私は何か良からぬ事が起こるかもしれないと予測し、未来科学研究所やAPPLEと合同でプロジェクトチームを作り、ワンセブン再生計画を秘密裏に行ったのです…」
大原博士「そして、008が建設されたと同時に、ワンセブンは008地下エリアのAPPLE日本支部の管理下に置かれて、現在に至っています…」
ゼネラル藤井「三郎君…君をブルースワットに呼んだのも、この時に備えての為だったのだ。勿論、君の護衛も兼ねてガンテツ君にも一緒に来てもらったのも同じ理由なのだ…」
三郎はそれを聞いて納得し始めた。その横でガンテツが目を丸くして驚いている。

三郎「ところでゼネラル…ワンセブンの様子はどうなっているのでしょうか?」
三郎がゼネラル藤井に質問する。

ゼネラル藤井「ワンセブンの様子か…」
大原博士「それは私が答えます…ワンセブンの修復状況は99%までが完了…動力源は従来のプラズモイド型核融合炉に変えましてRS装置を主駆動源にしています。それによりワンセブンの能力は従来に比べて大幅にパワーアップしているのですが…」
大原博士が口ごもる。

お茶の水博士「何か問題でもあるのですか?大原博士…」
大原博士「実はそうなんです、お茶の水博士…」
夢野博士「RS装置に問題があるとか?」
大原博士「それはありません…」
三神博士「すると、何が…?」

そして、間を置いて大原博士が答えた。

大原博士「ワンセブンの電子頭脳ユニットが、再起動しないのです…」
その詞に一同がざわめいた。

お茶の水博士「電子頭脳が、再起動しないですと…?」
佐原博士「問題はそこなのです、お茶の水博士…」
大原博士「私も、佐原博士と連絡を取り合い、何度も何度もチェックしてみたのです…。しかし、どこにも異常箇所は見られなかったのです…」
ドロシー「異常箇所が無いのに、どうして再起動しないのでしょうか?」
疑問げにドロシーが言う。
するとマリが、思いもかけない事を言った。

マリ「もしかしたら、ワンセブンの電子頭脳は何らかの理由で冬眠状態に入っているのかしら…?」
イチロー「冬眠状態?」
マリ「イチローさん、貴方も作られてから冬眠状態だった事、覚えているでしょう?」
イチロー「ああ、僕は光明寺博士に作られてからすぐ、仁王像の中に冬眠状態になっていたんだ…」
マリ「もしかしたらワンセブンは、仁王像の中に眠っていた時のイチローさんと同じで何かが来るのに備えて冬眠しているのかもしれない…」
同じロボットであるマリが、ワンセブンの電子頭脳の中を見透かすように語る。

大原博士「マリさん、恐らく貴女の言う通りでしょう…恐らくワンセブンは、最大の危機に直面した時にならないと覚醒しないのかもしれません…」
お茶の水博士「それがいつ何どきなのかが、判らないと言うのですね…?」
大原博士「その通りです…」
うつむきながら大原博士が一同に言った…。

バンドーラ「そういや行動隊長さん?」
番場「何でしょうか?バンドーラさん…」
大原博士のワンセブンに関する報告が終わった時、バンドーラが番場に質問する。

バンドーラ「そこにいるジャンヌって娘の事さ…」
彼女が言っていたのは、生還に「大いなる意思」が関わっていないと言う宝忍ジャンヌの事であった。

番場「彼女ですか…。確かに、彼女を助けたのは『大いなる意思』とやらじゃ無いですねぇ…」
天田「その件については私から話します…。彼女の証言によれば、かつて宇宙忍デモストの奸計で自爆した時に…。
   と言うよりは自爆寸前に爆弾を残してアクタ王国にテレポートさせられていたって所が事実です…信じられない事ですが…」
ベルベラ「それを行ったのが、ガンバスの親父と…?」
天田「ここに在籍してる水野兄弟にバイクロッサーの力を授けた、海蛇座の守護神ペガサス…。そして、我々がアンノウンと呼称している未確認生命体の主と言う訳です…」
天田隊長が言う。さらにベルベラも茶々を入れている。

番場「実は、それに関してですが自分の方もその3名に会っていたんです…。夢の中で、ですが…」
バンドーラ「夢の中?」
すると今度は番場が、自分の体験した不思議な出来事を語った。
番場「それは自分が…、友人である皆様もご存じの私立探偵の依頼でダッカーの動向を内偵していた時の夜でした。その夢の中で自分は彼らに出会い、大いなる意思を打ち砕く『光を導く者』の内二人を護ってほしいと依頼されたのです…」
石室コマンダー「『光を導く者』ですか…?」
番場「ええ…。それで彼らから、その『光を導く者』が一人は砂漠の国に、そしてもう一人は大地に浮かぶ街に現れると…黒服の男が言っていたのです…」
譲「砂漠の国?」
カブタック「大地に浮かぶ街カブ?」
番場の詞に、譲とカブタックが何かを考えている…。

カブタック「もしかして…?」
譲「砂漠の国が、アクタ王国で…」
シャークラー「大地に浮かぶ街は008って事なのか!?」
蔵之助「そう言われてみればそうだね…」
小百合「008って、知らない人が見たら大地に浮かぶ街って言うでしょうし…」
譲、蔵之助、小百合の仲良しトリオと、カブタックとシャークラーが妙に納得する。

天田「そして、その『光を導く者』の内二人と言うのが、ここにいるジャンヌさんと青山ミドリさんと言う訳らしいんです…」
天田隊長の詞と共に、ジャンヌとミドリの顔がスクリーンに大写しにされる。

伊賀電「みゆき…?!」
シャリバンこと伊賀電が、スクリーンに映ったジャンヌとミドリが自分の知っている少女に余りにもよく似ていた事から、一瞬驚きを見せた。
烈「どうした、電…?!」
電「ギャバン隊長…」
沢村大「あの二人の女性が、みゆきさんに似ているって事ですか…?」
電「え、ええ…」
烈「そんな事言ったら俺だって、番場って人を見て『アランか?』ってビックリしている位さ…」
三人の宇宙刑事が、自分たちの知り合いにそっくりな人物がスクリーンの向こう側にいる事に驚きを見せていた…。

バンドーラ「それにしても何でだろうね…?」
再びバンドーラが一同を見回す。

バンドーラ「この中にも、大いなる意思って奴のおかげで生き返った奴がいると言うのにさ、何でジャンヌって娘は大いなる意思が介在していないって事だよ…」
改めて一同が考え込む。

すると大原博士が切り出す。

大原博士「これは私のあくまでも個人的な推論ですが、この戦いは大いなる意思を統制者とする、一種のバトルファイトなのでは無いのでしょうか?」
一同「バトル…ファイト…?」
大原博士の突拍子のない言い回しに、一同が驚く。

大原博士「ええ…。恐らくこの戦いは、大いなる意思がこの世界を統べる唯一にして絶対なる存在…。すなわち『唯一神』を決めるバトルファイトではないのかと思うのです。 つまり我々は…、言い方が悪いですが大いなる意思のゲームの駒なのでは無いのでしょうか?」
ブライ「ゲームの駒…」
ドラゴンレンジャー=ブライが愕然とした表情で絶句した。その顔に弟であるティラノレンジャー=ゲキの顔が曇る。

しかし、大原博士の詞は続く。

大原博士「考えても見てみてください…。大いなる意思は、かつて幾人ものヒーロー達が倒してきた怪獣や怪人もそうですが、我々の側の殉職者までも蘇らせています。その事を疑問に思った私は、みなさんもご存じの本からヒントを得て、この戦いが一種のバトルファイトだと推論したのです…」

ユウコ「『仮面ライダーと言う名の仮面』…」
村上ユウコが呟いた。4年前、未確認生命体グロンギ族と並んで世間をパニックに陥れた不死生命体「アンデッド」と戦った、
仮面ライダーブレイド、ギャレン、レンゲル、カリスの4人のライダー達の戦いの記録を綴った、現在でもベストセラーを誇るノンフィクション本に、1万年前のアンデッド同士のバトルファイトがあった事を思い出したのだ。

それによると、万年前に54体のアンデッドが己の覇権を争って、「統制者」と呼ばれる存在をゲームマスターとしてバトルファイトを行い、
その結果人類代表のアンデッド=ヒューマンアンデッドが勝利して残りの53のアンデッドと、自分自身を封印したと言う物であった…。

大原博士「これは元々、4年前に不慮の死を遂げた人類史基盤研究所=BOARDの烏丸所長の理論ですが、現在の状況が余りにもよく似ていたので、改めて調べ直したら上記のような恐ろしい推論に至った次第です。実際、似たような古代のバトルファイトを綴った伝説は各地にありますし、現実にこの地球上でも宗教が絡んだ紛争もあります…。宗教紛争が『唯一神』を決めるバトルファイトであるように、この戦いもその延長線上にある物なのです…」
アマギ「宇宙規模の…バトルファイト…」
絶句するアマギ隊員。

大原博士「しかし、中にはその狂ったバトルファイトを良しとしない者もいたのも事実です。神崎士郎と言う人物もその一人ですし、守護神ペガサスやガンバス大王、それに白服と黒服の人物、そしてユウコさんとモモコちゃんの『神様』も恐らくそうです。彼らは…いえ、我々の信ずるべき『神々』は、それを止めるために『光を導く者』の種を撒いたのだと思うのです…」
嵐山長官「それがアナザースターピースであり、ジャンヌさんやミドリさん、と言うわけですか?」
大原博士「恐らくは…。ですが、アナザースターピースは12個ですが、光を導く者もジャンヌさんやミドリさんだけでは無いと思うのです…。
皆様の中にいるのかもしれませんし…、あるいは別の場所で…」
番場「その…、光を導く者を見つけ出すのを手伝ってはもらえないでしょうか?」

改めて、番場が一同に提案した。


変わって008近海のジャンボーではルチ将軍から決起を今まさに受け取ろうとした
オペレーター「長官、南太平洋国際本部のルチ将軍から暗号電文です!」
高倉「内容は?」
オペレーター「『リンゴハオチタ』です…!」

その内容を聞いた高倉長官は、悪意のこもった薄ら笑いを浮かべた。

高倉「サー・カウラーとやらめ…奴もバカな事をしてくれたが、こちらにとっては好都合だ…」
勿論高倉長官も、サー・カウラー一味の放送を視聴していた一人である。

高倉「仮面ライダーギャレンとか言ったな…。奴はまるでTAC時代の北斗星司そっくりだな…。
   だからこそ奴のほざいた台詞を、今ここで帳消しにしてくれる!奴の語る正義なぞ、ワシの味わった屈辱の怨念で粉砕してくれるわ!」
高倉長官が吠える。あの時、超光速ミサイルによるゴルゴダ星爆破計画に反対した北斗星司が、自ら志願したのでミサイルに乗せたのは正しかった。
しかし竜隊長は司令官である自分に反抗し、あまつさえ殴り飛ばすと言う上官侮辱罪を犯した…。
が、結果は超光速ミサイル計画の失敗は高倉長官の責任とされ、竜隊長の上官侮辱罪は不問に付されたのであった。
当然高倉長官は南太平洋国際本部司令長官の役職を首にされ、南極基地の警備隊長に降格と言うかつてない屈辱を味わったのだ。
そんな彼に手をさしのべたのが、ダッカーの首領Lと異次元人ヤプールであった。

首領L「(貴様…、幸せそうな奴らに復讐したいか?)」
ヤプール「(竜隊長に…、北斗星司と南夕子に復讐したいのだろう?)」

首領Lとヤプールの誘いは、まさに高倉長官にとって天の声であった。たとえ彼らが悪魔だったにせよ、ダッカーとヤプールは高倉長官の救いの神となったのだ。
そして、晴れてダッカーのバックアップで高倉長官はTAC南太平洋国際本部長官に返り咲き、ヤプールが紹介したルチ将軍の協力もあってTPCや地球防衛軍の司令長官の座も得たのであった。
その後は反対勢力の粛清と軟禁で足場を固め、バダムの決起と共に自分をないがしろにした者達への復讐を遂げようとしていた…。

今、決起の時は来た。サー・カウラー一味のフライングと言うハプニングはあったにしよ、ついに高倉長官の待ち望んだ戦いが始まるのだ…。

「艦内に伝えよ!ルチ将軍の宣戦布告放送と共にTAC…いや、我等『バダム帝国軍』は008公開虐殺作戦を開始する!いいか?008の連中は何も知らぬ幸せな奴らだ!
 幸せそうな奴らは全て皆殺しにし、大いなる意思に選ばれた強者である我等がこの世界を…そしてこの宇宙を思いのままにするのだ!」
「イエッサー!」
高倉長官の吠えまくる姿に、ジャンボーのブリッジクルー達は歓喜の声を上げる。

「ジャンボー浮上準備!放送開始と共に浮上する!!」
「イエッサー!」
オペレーター達がジャンボーの浮上準備を始める。後は、ルチ将軍の放送を待つだけである…。

一方待機室では、ドクターQと助手のシルビア、孫娘のリタ、ハスラー教授とドクトルオーバー、鉄の爪ことアイアンクローが008への御礼参りの準備を整えていた。
が、何故かプロフェッサーKとレディMは、その様子を見守っていたのであった…。

ドクターQ「やはり、行かないのか…?」
プロフェッサーK「ああ、余りにも事が大きくなりすぎたのでな…」
ハスラー教授「いまさら、逃げ出すと言うんじゃないだろうな?」
ドクターQ「言うな、ハスラー!」
ハスラー教授の暴言をドクターQが諫める。

あくまでもプロフェッサーKとレディMがバダムに参加したのは、星雲仮面マシンマンへの復讐のためである。決して世界征服ではない。
第一プロフェッサーKとレディMは、世界征服には全く関心が無いのだ。肝心のマシンマンが008に現れない以上、長居は無用と判断したのだ…。

ドクターQ「それで、これから戦闘アンドロイドを連れて、何処に隠れる?」
プロフェッサーK「とりあえずは、ロボット学校のある御多良市の秘密のアジトに身を潜めようと思う…。
あそこにはワシの嫌いな、いじめ甲斐のある子供たちが大勢おるし、それにアンドロイドの製造と改造に必要な部品も容易に手に入る…」
ドクトルオーバー「また、子供いじめか…?あきない奴だな…」
あきれ返るドクトルオーバー。

プロフェッサーK「じゃが、死人の出るような子供いじめは最早ワシの望むものではない!ドクターQ、貴様ならワシの気持ちは判るじゃろう?」
ドクターQ「判っている…、貴様はそういう男だからな…」
レディM「それと、これを持って行って…」
そう言うとレディMは、ドクターQとハスラー教授、アイアンクローにシャープペンシル状の物を渡した。

鉄の爪「これは…?」
レディM「叔父様が作った物体転送機…いざという時はこれを使って脱出するといいわ…」
ドクトルオーバー「物体転送機?」
プロフェッサーK「ワシとレディMがマシンマンから逃れる時に使った物の改良型だ。ここまで小型化するには苦労したワイ…」
苦笑いしながらプロフェッサーKが言う。 すると、ハスラー教授が切り返した。

ハスラー教授「貴様は気に入らない奴だったが…、死ぬんじゃないぞ…」
そう悪態をつきながらも受け取るハスラー教授。その眼に何故か涙が浮かんでいた。
鉄の爪「確かに受け取ったぞ、プロフェッサーK!」
プロフェッサーK「達者でな…、番場壮吉との決着がつくのを祈っている…」
そして次はドクターQであった。

プロフェッサーK「ドクターQ…」
ドクターQ「なんじゃ?」
プロフェッサーK「ゴールデンモンスの奴を、宜しく頼む…」
そう言いながらプロフェッサーKは、ドクターQと固い握手を交わす。

プロフェッサーK「死ぬんじゃないぞ…」
ドクターQ「貴様もな…」
何故か友情の芽生えた二人の老人が、お互いに別れの手を振る。

そして、プロフェッサーKとレディMは小型物体転送機を使ってジャンボーを後にした。
同時にオニ男を除く残存戦闘アンドロイドも、物体転送機でジャンボーを後にする。

すると、入れ違いにブライゾンガーが入ってくる。

ブライゾンガー「ドクターQ…、別れは済ませたのか?」
ドクターQ「ああ、もう既に済ませておる…」
ブライゾンガー「こちらの方も…。アイアンクローの侵略ロボット共々一切の準備は完了済みだ…」
鉄の爪「そうか…、ブライゾンガー殿の新型デスターロボも準備は出来ていると言う事か?」
ブライゾンガー「その通りだ…」
シルビア「ギルハカイダーの方も、ジャイアント・デビルの出撃準備が整っているし…」
リタ「後はあたし達が突入するだけよね?おじいちゃま…!」
ドクターQ「ドンと呼びなさい!ドンと…!!」
リタの相変わらずなおじいちゃんっ子ぶりに、ドクターQが怒鳴りつける。

「全艦、浮上準備!突入要員は転送室にて待機…!」
オペレーターの艦内放送が響き渡る。

ドクターQ「よし、ワシ等は転送室に向かうぞ!008へ御礼参りじゃ!!」
そう言うとドクターQは、一同を率いて物体転送室に向かって行った。


月から無事008に脱出に成功した北斗星司と南夕子、梅津ダンと加代子の姉弟、ミーンは、到着するや否や008最大の総合病院である「スカイ総合病院」に入院していた。
星司の場合は異次元脱出時の怪我の治療、夕子以下ムーンタウン組は身体を地球重力に馴らすために、008で開発された新治療法=ナノマシン新陳代謝制御治療を受けていた。
これは、ナノマシンと呼ばれる細胞サイズの分子機械を打ち込んで、新陳代謝機能をコントロールすると言う新しい治療法であった。
これを使えば異なる重力環境に慣れた人間が新陳代謝を狂わせないようにコントロールできるため、宇宙を行き来する者にとって朗報ともいえる治療法と言えた。

そして、病室には星司&夕子の2人を含む計5人が、見舞いに来ていた大原星夫、月子の兄弟とジュリー・ワイズ
マン、そして大岩マコとネムリンと世間話に興じていた所であった。

「そう…、大変だったのねお二人とも…」
そしてもう一人、008の街ではごく普通の…。未来風のワンピースを身にまとった主婦が星司と夕子に話をしてした。
彼女の名前は大原冴子、星夫と月子の母であり、大原雄介博士の夫でもある人物であった。
星夫と月子が自慢してたように、手料理の得意な優しそうな雰囲気の女性であった。
自動調理マシンの普及している008では、手料理の作れる女性はある意味ステイタスシンボル的な存在であり、最近では手料理づくりがブームであるためジュリーも時たま彼女から手料理のイロハを習っているのだ。

「でも、あそこで寝ている人の方がもっと大変だよ…」
星夫が向こう側のベッドに顔を向ける。向こう側のベッドには梅津ダンと加代子の姉弟、そしてもう一人の患者が四人の男女に囲まれるようにしてうなされていた。

「たっくん…、死んじゃダメだ!!」
「巧…!」
「隆…」
「乾君…」
加代子の隣の患者の名は乾巧…ウルフオルフェノクであった。
彼は、地の帝王のベルトを入手したホースオルフェノクこと木場勇治とミナと共に、命からがらの思いで008に辿り着いたのであった。
しかも巧の身体は灰化進行が酷くなっており、スマートブレインの目が届きにくく、そしてスマートブレイン以上の医療技術を持つ008のスカイ総合病院に木場が入院させたのだ。
そしてその事を一番信頼できる二人の人物…菊地啓太郎と園田真理に知らせたのであった。
彼らもまた、スマートブレインの追手を何とか振り切って、やっとの思いで008に辿り着いたのだ…。

「済みません…、よろしいですか?」
冴子が巧の横たわるベッドに近づいた。

真理「貴女は?」
冴子「私は大原冴子、ここにいる子供たちの親です」
啓太郎「北斗星司さんと南夕子さんの知り合い…です?」
冴子「そう言う事みたいですね…」
微笑みながら冴子が言う。

冴子「そこの人は…、オルフェノクですね?」
木場「怖く…、無いんですか?」
冴子「この街には人間以外にも、異星人の人やサイボーグ、ロボットやアギト、ギルス、オルフェノクの人達が暮らしてます。ですから、安心してください」
その詞に木場はホッとする。

冴子「この人も、仮面ライダーだったんですね?」
真理「ええ…。人間とオルフェノク、その双方の橋渡しになるために戦った人です…」
ミナ「でも隆…いや、巧は…」
冴子「灰化現象ですね?」
科学者である夫からオルフェノクの事を聞いていた冴子は答えた。
オルフェノクはその進化が、同じ突然変異進化体であるアギトやギルスに比べ急激すぎるため、細胞の灰化現象と言う形で身体機能の破壊が急激に進んでしまうのである。
それに関してはスマートブレインでも現在の所どうする事も出来ず、そして008でも同じであった。ナノマシン治療でも灰化現象は食い止められず、遅らせるだけが精一杯だったのだ。
その時、巧の視線が冴子に向いた。

巧「あんたは…?」
冴子「大原冴子ですわ…。」
真理「この人はね巧と同じように人々の平和を守るために戦っている人の奥さんなのよ…」
冴子「夫をご存じですの?」
真理「義父さんが話していました。出来ればスマートブレインに、大原博士のような人を招きたかったと…」
冴子「お父さん?」
真理「義理の父です…スマートブレインの先々代の社長でした…」
真理が義理の父の事を冴子に話す。

巧「あんたの旦那さんも…知り合いに仮面ライダーがいるのか?」
冴子「いいえ…でも、仮面ライダーを導いた人とは知り合いがいるみたいですわ…」

巧「そうか…、そしたら聴いてくれないか…?」
冴子の顔を見て、苦しそうな声で巧が言う。

巧「俺はあの時…、テレビに映ったギャレンと言う仮面ライダーの詞を聴いた時…。ライダーを応援する奴らの声が聞こえたんだ…」
冴子「テレビを見ている人達の声…、ですか?」
巧「ああ、子供や大人の声で『頑張れ』『負けるな』『僕達を護って』と…」

それを聴いて、星司と夕子もピンと来ていた。そして星司の向かい側にいるダンも同じようであった。

ダン「北斗さん…」
星司「ダン…、あの時俺も心の中に響く子供たちの声を聴いた…」
夕子「私もよ…、星司さん…」
星司も夕子も、そしてダンも、巧と同じように子供たちの声を聴いていた。側に居た星夫たちの声以外の「声」を、彼らも聴いていたようだったのだ…。

星司「もしかして…?」
ふと星司は、ウルトラマンエースの遺言を思い出した。

『(君が夕子と再び出会い、そして志を同じくする仲間たちと出会い、この世界の生きとし生ける者たちの『声』を君が再び聴く事が出来た時…本当の『大いなる力』が復活する…)』

夕子「大いなる…、力…?」
ネムリン「何の事っちょ?」
それが何なのであろうかと、夕子は思いを巡らしていた…。


再びバルカンベース。
山長官「やはり、あの放送は超時空ネットワークによるものですか…」
大原博士「ええ…。SS-17が時空震動波をキャッチしています…」

バダム対策会議が開かれていたバルカンベースと、008地下エリアのAPPLE日本支部でも、サー・カウラー一味の電波ジャックをキャッチしていた。
そのような事もあってか、集まった科学者グループや防衛組織関係者は皆渋い顔をしていた…。

しかし一方では、セーラー戦士と村上姉妹、さらにはカブタックやシャークラーを含むビーロボキッズ達が、仮面ライダーギャレンこと橘朔也の魂の叫びをきっかけにライダー談義に花を咲かせていた。
それにベルベラやウルトラマンナイスこと夢野銀河までもが加わってちょっとした騒ぎになっていた…。

ベルベラ「でもあいつ、人間にしては一本筋通っていたよな…」
美奈子「でしょ?あの時の橘さん、カッコ良かったな~」
ユウコ「私は剣崎さんがいいな…」
カブタック「僕も同じカブト虫のブレイドがいいカブ~!」
シャークラー「サメの仮面ライダーは無いのか?」
モモコ「私、始さんがいい~」
ちびうさ「私も始さん~」
まこと「あたしは、睦月君がいいな…。母性本能くすぐりそうだし」
レイ「私は嶋さんがいいな、本体は怖そうな姿だけどね…」
銀河「僕はあの、虎のお姐さんがいい!」

その姿を、スクリーンの向こうで青山ミドリと宝忍ジャンヌが見つめていた。

番場「どうしたんだ?二人とも…。」
番場が向き直って二人に言う。

ミドリ「みんな、とても楽しそうで…」
ジャンヌ「あの笑顔、アクタ王国を発つ時に手を振っていた子供たちの事を思い出したんです…」
番場「その時の笑顔…、ですか?」
ジャンヌ「ええ、それに…」
番場「それに?」
ジャンヌ「ギャレンって仮面ライダーがテレビでメッセージを送っていたでしょう?
     その時私は、ライダーを応援する子供たちの声を聴き、笑顔を見たんです…」
ミドリ「実は私も、ジャンヌさんと同じように子供たちが声援を送る姿を見ていたんです。幻じゃありませんでした…」
番場「そうですか…」

ふと番場は考えた。「光を導く者」の事である…。

(もしかしたら…、彼女達は黒服やガンバス大王の言っていたように「覚醒」しつつあると言う事なのか?)
しかし、今はその事ではなくサー・カウラー一味が超時空ネットワークを起動させた事の問題が先であった…。

番場「話は戻りますが、サー・カウラーは部分的にしかあのシステムを始動させていません…本来の力はあの程度のものではないでしょう…」
お茶の水博士「と、言いますと?」
番場「008襲撃グループを操っている黒幕は…、あの程度のレベルの事をしないと言う事です…」
ドロシー「じゃあ、大原博士の想定していた最悪のシナリオが…」
番場「進行する可能性があります…」
番場がシリアスな顔で一同に言う。

番場「それに、人選です…。今回の主犯であるプロフェッサーKとドクターQは、子供相手の愉快犯を主体とするスケールの小さい犯罪組織の首魁ですが…、
   奴らの科学力は本気になれば世界中の軍隊をも…。いえ、全宇宙の軍隊ともサシでケンカできるほどの力と資金を持っています…」
本田警部「テンタクル、オクトパス、デスター…。あの連中がねぇ…」
本田警部があきれ顔で言う。

番場「笑い事ではありませんよ、警部…。プロフェッサーKはアイビー星人である星雲仮面マシンマンを苦しめていますし…、
   ドクターQに関してはここにいる水野兄弟…。バイクロッサーがいなかったら今頃は連中の天下だったんですよ…」
水野拳「特に、デスターの影にいた魔神ゴーラとゴーラゾンガーは非常に危険な奴だったんです…」
銀次郎「魔神ゴーラは人々の悲しみの精神エネルギーからダイヤモンドを作り出し、ゴーラゾンガーは行く先々の星々を悉く滅ぼしてきた惑星キラーなんです…」
バンドーラ「知ってるよ…。海蛇座第3銀河系の悪魔、魔神ゴーラとゴーラゾンガーと言ったら、あたしら魔女の間でも有名だったからね…」
拳「僕達が008に来たのは、ペガサスから『魔神ゴーラとゴーラゾンガーが、もう一人の石の悪魔と共に復活する』とメッセージが送られたからです…そして、僕達の部屋の洋服ダンスを開けたら…」
銀次郎「失っていたバイクロッサーの力が戻って、008のスカイ考古学研究所に来ていたんです…」
水野兄弟が、何故008に来たのかを言う。洋服ダンスと聴いて、セーラー戦士と村上姉妹とビーロボキッズ達の間に笑みがこぼれる…。

大原博士「恐らく、悪事のレベルが小さかったので、バダムの主要構成組織の殆どが見逃していたのでしょう…。
     高円寺博士が半ば埋もれていたように、プロフェッサーKとドクターQも暗黒世界の埋もれた天才だったんです…」
ゼネラル藤井「その埋もれた天才科学者二人とハスラー教授、ドクトルオーバー…。
       さらに鉄の爪ことアイアンクローに、ギルハカイダー…。以上の六名が実働部隊で、同時に陽動部隊でもあったのです…」
ゼネラルから出た「ギルハカイダー」の名前に、イチロー、マリ、ジローの三名が反応する。

イチロー「ギルハカイダー…、奴まで生き返ったんですか?」
信じられない表情をするイチロー。そしてマリとジロー。

番場「ああ、信じられないかもしれないがな…」
大原博士「大いなる意思の前ならギルハカイダーとサブローが同時に存在できても、何ら不思議は無いですからね…」
拳「それにギルハカイダーは、自分の事を『プロフェッサー・ギルの化身』だと言っていました…」
銀次郎「もしかしたらギルハカイダーは、大いなる意思の力で蘇ったと同時にプロフェッサー・ギルの記憶を取り戻したのではないでしょうか…?」
水野兄弟が考古学研究所で遭遇した事の状況を改めて説明する。その詞を聞いてジローがハッとなる。

ジロー「だとすると、都市管理センターにハスラー教授とドクトルオーバーが忍び込んだのは…?」
番場「9分9厘、ギルハカイダーのライフワークである究極兵器『ジャイアント・デビル』の動力源にするため、RS装置の設計データをコピーしたのでしょう…」
イチロー「ジャイアント・デビル…」
イチローが絶句する。

ジャイアント・デビルとは、史上最高の天才ロボット工学者にしてダーク破壊部隊の総帥であったプロフェッサー・ギルのライフワークとも言える、史上最強の巨大ロボットの事である。
ダーク破壊部隊が(半分は)自らの生み出したジロー=キカイダーに次々と潰されて行った事に危機を覚えたギル教授が、その頭脳をフルに駆使して設計した最終兵器であった。
完成後は身長50mにも達する巨大ロボットとなり、ダーク破壊部隊のシンボルになるはずだったのだが、
ダーク破壊部隊の崩壊と共に計画は頓挫、後にサブローの身体に自らの脳を移植したギルハカイダーとして蘇った時、
自ら作り上げたハカイダー部隊を率いて再建造を行おうとしたが、それもキカイダー01ことイチローの介入で失敗、
最終的には大犯罪組織シャドウが頭部を建造した所をイチローとジローが乗り込んで破壊した事によって、ジャイアント・デビル計画は事実上終止符が打たれたのだ…。

マリ「でも、イチローさんの話では設計図は…」
番場「ギル教授の二人の息子、アキラ君とヒロシ君の背中に特殊インクで書かれているはずだったでしょう?」
マリとイチロー、ジローが頷く。

番場「ですが、今のギルハカイダーはギルハカイダーで有ると同時に、悪のロボット工学の天才ギル教授でもあるのですよ…」
光明寺博士「そうしたら、ギルハカイダーが設計図を頭の中に刻み込んでいても不思議は無いと言う事ですか…?」
光明寺博士の詞に番場が頷く。

番場「恐らく…奴はジャイアント・デビルを既に引っさげて008に現れたのかもしれません…」
ゼネラル藤井「そして、オーストラリアにも目撃されました万能戦艦ジャンボー…」
そうゼネラルが言いかけた途端、バルカンベースの大型スクリーンにノイズが走った…。

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最終更新:2013年03月07日 01:54
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