第82話 赤く白い決着!奇跡の勇者達


ワンセブンが発進した後のAPPLE日本支部の地下格納庫。
ハスラー教授「クソッ!」
ドクトルオーバー「これじゃ俺達のやってきた事は……!」
悔しがるハスラー教授とドクトルオーバー。

『うろたえるで無い……!』

その時、格納庫に一人の男の声が響き渡った。しかも、ワンセブン発進の喧騒をブチ破ってだ……。

ドクターQ「その声は……?」
鉄の爪「まさか…?」
聞き覚えのある声にドクターQも、そして鉄の爪ことアイアンクローも入り口方面に向き直る。
さらにはブライゾンガーもゴールデンモンス……魔神ゴーラもデスター一味も、アリンガム将軍率いる侵略ロボット軍団も一斉に振り向いた……。

その声の主は、ゆっくりと地下格納庫入り口から現れた。

スペードエース「ルチ将軍?!」
ショウ「いよいよ大ボスのお出ましって訳か……!」

その人物は、紛れもなくルチ将軍その人だった。
その容貌と異様な雰囲気は、まさに知能指数1300を豪語する史上最強の天才独裁者のそれであった……。

鉄の爪「おお、ルチ将軍!」
喜びの笑顔を見せるアイアンクロー。

ルチ将軍「心配をかけたな、アイアンクロー!それに魔神ゴーラ殿とブライゾンガー殿……」
ブライゾンガー「貴様も海蛇座第3銀河系から地球に舞い戻ってきたのか……?!」
Gモンス「これで我等も百人力と言う訳だな……」
同胞の出現に喜びをあげるブライゾンガーと魔神ゴーラ。

ルチ将軍「ハスラー教授!大原博士からディスクを取り返して来い!」
ハスラー教授「イエッサー!」
ドクトルオーバー「下手な真似するなよ、大原博士……!」
そう言いながらハスラー教授とドクトルオーバーは、呆然としている大原博士を横切るとコンソールにインストールされているディスクを取り出した。
そしてディスクを勝利宣言をするかのように振りながらルチ将軍に向かって駆け寄ってきた。

ルチ将軍「御苦労であったぞ、二人とも……!」
ハスラー教授「有り難き幸せです……!?」
そう言いながらディスクをルチ将軍に渡そうとするハスラー教授……。

アリンガム将軍「お待ちなされ、ハスラー教授!」
その時、遮るようにアリンガム将軍が叫んだ。

鉄の爪「何事じゃ!ルチ将軍閣下の前で失礼だぞ?!」
突然の部下の行動に、アイアンクローが怪訝な顔をする。
すると、アリンガム将軍が思いがけない事を口にした……。

アリンガム将軍「ハスラー教授の目の前の人物は、ルチ将軍閣下ではありません!!」
鉄の爪「何だと?!」

その時であった……。

『リフォメーション!』
『スタート・アップ!!』

その電子合成音と共に、一つの黒と銀の影が目にも止まらぬ速さで電光の如くデスター一味の上空に飛び掛かった。
甲高い駆動音と共に、無数の円錐状の赤い光がデスターロボ軍団と侵略ロボット軍団に降りかかる。

『3、2、1、0!タイム・アップ!!』

その黒と銀の影がデスター一味の前に降り立つと、彼らを背にしてデスターロボ軍団と侵略ロボット軍団が大爆発を起こした。その爆発の煙に浮かび上がる「Φ」の文字……。

ドクターQ「何が起こったんじゃ?!」
シルビア「デスターロボが、カッチュウナイトとコブラミサイル、ヘラクレス・ブラザースを除いて全滅……」
リタ「アイアンクローの侵略ロボットも、アリンガム将軍とアトミック魔女、キャプテンゴーストとイカルス大王を除いて全滅よ!おじいちゃま……!!」
ドクターQ「ドンと呼びなさい!ドンと……!!」
混乱するデスターの3人、呆然とするブライゾンガーとゴールデンモンス。

鉄の爪「仮面ライダー…ファイズ……?」
デスターロボ軍団と侵略ロボット軍団の大半を全滅させた張本人は、アイアンクローの言う通り仮面ライダーファイズこと乾巧その人であった。
ファイズは腕時計型の加速装置…ファイズアクセルを起動させてアクセルフォームと呼ばれる超加速形態に変身し、
僅か10秒の内に敵戦力の殆どをライダーキック…クリムゾンスマッシュで葬り去ったのだ。

ハスラー教授「すると、目の前の将軍閣下は……?」
目の前のルチ将軍は、不敵な笑いを浮かべると身に付けている軍服を放り投げるように脱ぎ捨てた……。

ブライゾンガー「何?!」
ゴールデンモンス「貴様は?!」
その姿に釘付けになる一同。怒りの眼で睨むアイアンクロー。

番場「ジャッカー電撃隊行動隊長、番場壮吉……!またお会いしましたね、アイアンクローさん……。」
鉄の爪「貴様……、ルチ将軍閣下をコケにして!!」
目の前のルチ将軍が番場の変装である事を見抜けなくて悔しがるデスター一味。

番場「忘れ物だ、ハスラー教授!!」
そう言いながらディスクを押しつけ、ハスラー教授を押し倒す番場。

スペードエース「隊長……」
シグ「何時もあんなノリなんですか?皆さん……」
ハートクイン「ええ……」
毎度の事ながら呆れているジャッカー電撃隊。

鉄の爪「貴様とファイズがいると言う事は……!」
番場「暗殺は失敗って事ですよ……」
ドクターQ「アンチラ星人と天海山3兄弟は?」
ドクターQが怒鳴りながら番場に言う。

ファイズ「アンチラ星人と言う奴か……?俺がこの手で倒した……」
番場「そしてバダムの極悪3兄弟さんは、今頃全宇宙同時中継で晒者になっている所ですよ……」
ファイズと番場が言う。

『僕達もここにいるぞ!!』

今度は轟音と共にケンローダーとギンクロンが飛び込んでくる。 そして、そこから跳び出し現れる2つの影……。

Gモンス&ブライゾンガー「貴様達……!」

「バイクロッサー・ケン!」
「バイクロッサー・ギン!」
『兄弟拳、バイクロッサー!!』
宿敵を目の前にして身構えるバイクロッサーの姿。

星夫&月子「パパ……!」
冴子「あなた……!」
大原博士「星夫、チコ、ママ!!」
感動の再会を果たす大原一家。それを見守る啓太郎と真里、木場勇治とミナ、ネムリンと大岩マコ、ジュリーとミーン……。

ショウ「どうやら運命の女神って奴は俺達を見放していなかったようだな……!今でのお礼は何百倍にして利子を付けて返してやるぜ!!」
今度はショウの怒りが爆発、スターフォートレスの力でハイパーショウに変身。
ブルースワットとジャッカー電撃隊の一同はスターフォートレスの光によって再び力を取り戻したのであった。

真里「巧、ファイズブラスター!」
ファイズ「ああ!!」
そう言うとファイズは、真里が投げたトランク状のデバイス…ファイズブラスターを受け取り、ダイヤル状のグリップにある10キーに「555」を打ち込み「Enter」を押す。

『スタンディングバイ!』
その始動コールと共に、ベルトからファイズフォンを取り出しブラスターに装填する。

『アウェイクニュー!』
ファイズブラスターのコマンドボイスと共に、ファイズの姿は黒と銀の通常形態から、全身がフォトンエネルギーで満たされた赤い戦士の姿…ブラスターフォームに変わっていった……。

ブライゾンガー「貴様達!!」
ショウ「お前達の野望もここまでだ!」
ケン「僕達がいる限り!」
ギン「貴様達の好き勝手にはさせない!」
番場「それが我々の答えだ、アイアンクロー!!」
そして番場が飛び上がり、ビッグワンに変身しファイズとバイクロッサー、ブルースワットとジャッカー電撃隊の一同の真ん中に降り立った……。

そして金色の輝きと共にヒーロー達に心強い味方が現れた。
それは、かつてブルースワットと共にスペースマフィアの壊滅に協力した黄金の戦士…ゴールドプラチナムその人であった。

ショウ「プラチナム!」
GP「合流が遅れて済まなかった……」
シグ「いいんですよ、プラチナム……貴方が宇宙刑事の皆さんとタイムスリップに巻き込まれていた事は知っています……」
ケン&ギン「貴方が……、伝説の宇宙戦士の……」
GP「そういう君たちは、守護神ペガサスの兄弟戦士だね?」
頷くバイクロッサー。


大原博士「本当ですか?ブラッドレー博士……!」
ブラッドレー博士「礼ならMACのミスター高倉に言って欲しい……彼は、実の兄がバダムの走狗になった事を何とか止めたくて、辛い思いで南太平洋国際本部奪還に協力してくれたのだ……」
ゼネラル藤井「それで、ルチ将軍は何処に?」
ブラッドレー博士「憑依能力を失って宇宙へ逃走、カリスマを失った軍が崩壊するのに時間はかからなかった……」
大原博士「独裁者の悲しき末路と言う事ですか……」
一方コンピュータールームでも、大原博士とゼネラル藤井、そして星夫や月子達もブラッドレー博士からの通信を食い入るように見ていた。


その横で青山ミドリは、握りしめていたドリームボールが仄かな光を放っていた事に気がついた。
それを見るや否や、ミドリはヒーロー達の元にへと駆け寄っていく……。

ビッグワン「ドリちゃん?」
ミドリ「ドリームボールに、みんなを応援する人々の思いが集まっています……!
これを使えば、あの2人の魔神達を必ず倒せます!!」
そう言うとミドリは、ドリームボールを空高くかざした。眩い光がドリームボールから発せられ、周囲にいるヒーロー達が光に包まれる。

スペードエース「この光は……。」
ハートクイン「とても暖かいわ……。」
ガンテツ「何だか力がみなぎって来てるワイ!!」
ビッグワンを含むジャッカー電撃隊の面々、ワンセブンと共に地上に出ている三郎を除く
5人のブルースワット達、そしてファイズやバイクロッサー、ゴールドプラチナムや木場勇
治までもがドリームボールからの光を浴びて身体中がオーラに包まれていく。

ビッグワン「よし、我々全員の必殺技を使って海蛇座の魔神達を倒すんだ!」
その詞に頷く一同。

ケン「ギン、ブレーザーカノンだ!」
ギン「おう!」
バイクロッサーが必殺のブレーザーカノンをスタンバイさせる。バイクロッサー・ギンがギンクロンに向かって駆け出していく。

『ブラスターモード!』
ファイズもファイズブラスターに「103」のコードを打ち込み、文字通りの大型ブラスターに変形させる。
さらに加えて背中に装着されているフォトンエネルギー砲…ブラッディキャノンを引き起こす。

ショウ「行くぜ、プラチナム!」
GP「判った!」
ショウがドラムガンナーにディクティターを接続し、ドラムガン・ファイヤーを完成させる。
プラチナムも右腕に愛銃である「グラビオン」を空間生成させて身構える。

ビッグワン「こちらも行くぞ、ビィーッグ・ボンバー!!」
スペードエース「ビッグボンバーだ!」
『ビィーッグ・ボンバー!!』
そして大トリは、ジャッカー電撃隊のビッグボンバーであった。

が、デスター一味黙ってはいなかった。

ドクターQ「何をやっておるか!奴らに必殺技を使わせるな!!」
アリンガム将軍「承知した、ドクターQ殿!」
コブラミサイル「兄者には指一本触れさせはしない!」
残存侵略ロボ軍団とデスターロボ軍団も、ゴールデンモンスとブライゾンガーを守るために
兵力を再結集させてヒーロー達の反撃を阻止しようとする。

しかしその時、彼らの目の前に空飛ぶ火の車が現れた。火の車の頭の上には、角笛を構えたネムリンが立っていた…。

ネムリン「お前達に邪魔はさせないっちょ!!」
ネムリンがそう言うや否や、角笛をデスター一味に向ける。
空飛ぶ火の車から勢い良く火が放たれ、デスター一味を牽制する。

ネムリン「今だ、木場!仮面ライダーに変身するっちょ!!」
木場「有り難う、ネムリン!」
そう言いながら木場はオーガフォンに変身コード「000」を打ち込み「Enter」を押す。

オーガフォン『スタンディングバイ!』
木場「変身!!」
オーガフォン『コンプリート!!』
オーガフォンのコマンドボイスと共に、仮面ライダーオーガの姿に変身する木場。愛剣であるオーガストランザーを構え、ファイズに合流する。

ファイズ「木場……!」
オーガ「乾君……!」
スマートブレインライダー最強の2人が出揃い、地下エリアのヒーロー達の役者は全て揃ったのであった……。

その横でバイクロッサー・ギンがギンクロンに辿り着いた時、ジャッカー達もビッグボンバーの組立を開始する。

ダイヤジャック「セット1!」
クローバーキング「セット2!」
ハートクイン「セット3!」
スペードエース「行くぞコンバイン、セットオン!!」
殆ど瞬時に完成したビッグボンバーの砲台。

ケン「今だ、ギン!」
叫ぶケン。ギンクロンに飛び乗り、兄の元にフルスロットルで向かうギン。
そして、大ジャンプで向かってくるギンクロンを全力で受け止めるケン。

シグ「サラ、ザジ、ガンテツ君…!」
サラ「判ったわ!」
ザジ「OK!」
ガンテツ「任せんしゃい!」
シグを含めた4人のブルースワットがディクティターをフルオートに切り換えて身構える。

『イクシードチャージ!』
ファイズがブラスターの「Enter」キーを、オーガがオーガフォンの「Enter」キーを押して、それぞれの武器に最大出力のフォトンエネルギーを送り込む…。

そして、ヒーロー達の必殺武器の照準は2体の魔神に一斉に向けられた。

ギン「ブレーザーカノン砲、発射準備完了!」
ケンの目の前に照準スコープが飛び出し、そのターゲットにゴールデンモンスとブライゾンガーが映し出される。

ケン「OK!」
ケン&ギン『シューティング!!』
バイクロッサーのブレーザーカノンの咆哮が、2体の魔神に向かって突き進む。
それを合図にヒーロー達の必殺武器が一斉に火を噴いた。

ショウ「ドラムガン・ファイヤー!!」
そして今度はショウのドラムガン・ファイヤーとゴールドプラチナムのグラビオンが最大出力で発射
され、それに続くように4人のブルースワット達のエネルギー弾、ファイズのブラスターとブラッディ
キャノンの一斉射撃、オーガの必殺剣…オーガストラッシュが2体の魔神を襲う。次々と来る衝撃
に翻弄され、虫の息寸前の海蛇座の悪魔達…。

ガンバス大王『ドリちゃん、ドリームボールをビッグワンに渡すんじゃ…!』
その時、テレパシーでガンバス大王がミドリに話しかける。突然の事でビックリするミドリ。
ミドリ「でも…、そんな事したら…」
ガンバス大王『ワシを信じるんじゃ…!!』
大王の説得に、決意を固めるミドリ。

ミドリ「ビッグワン、これを!!」
そう言ってミドリはビッグワンに向けてドリームボールを投げた。それを受け取り、ビッグボンバーの弾丸に放り込むビッグワン。

『ビッグ・ワン!!』
ビッグワン「ジャッカー必殺武器、ドリームボール・ビィーッグ・ボンバー!!」
そう叫びながらビッグワンは、ドリームボールの入った弾丸をビッグボンバーに装填し発射した。
ドリームボールに込められた妖精達の魔力によって、虹色に輝く弾丸が2体の魔神に突進していく…。

そして……。

Gモンス&ブライゾンガー「グワァァァァァァァァァァッ!!!」

ヒーロー達の必殺技と、妖精達の魔力を込めたビッグボンバーによって、魔神ゴーラとゴーラゾンガーの2体の魔神は、
その身体であるゴールデンモンスとブライゾンガーと共に魂もろとも砕かれ、焼き尽くされたのであった。
断末魔の叫びと共に大爆発する海蛇座の魔神達……。

ショウ「やったか?!」
ドラムガン・ファイヤーを構えながら2体の魔神の最期を見届けるショウ。
すると、2体の魔神の燃え盛る骸の中から、キラキラと輝きを発しながらドリームボールが飛び出し、ミドリの手元に戻ってきた……。

スペードエース「これは?」
ミドリ「判らない、砕け散ったと思ったのに……」
そう言いながらミドリは、無傷で戻ってきたドリームボールを見つめる。

ガンバス大王『いいかね?ドリちゃん……。このドリームボールには人々の思いを力に変えてヒーロー達を助けるだけでなく、武器としても使用できるのじゃ……。
但し、一度武器としてドリームボールを使用したら、ドリームボールの魔力が回復するのに1日かかってしまうのじゃ……。から、ここぞと言う時に使うのじゃ……』
ミドリ「ガンバス大王……」
ガンバス大王の詞を聴きながら、ミドリはヒーロー達と共に海蛇座の悪魔達の最後を見届けたのであった……。


高倉(兄)「クソッ!何と言うザマだ……!!」

TACの裏切りと言う形でバダム帝国軍の崩壊を見せつけられた高倉長官……。
ジャンボーのオペレーター達も狼狽しながら、敵に回ってしまった自軍への対処に大童の状態であった。
対空ミサイル、CIWS(近接防御対空砲)等が「味方」の識別信号を拾ってしまっている為に、TACファルコンとTACアロー部隊への防御は緯度0原案のバラノイア製光波バリアーで何とか防いでいる状態であった。
更に追い打ちをかけるようにマイティ号からも無数のミサイルとレーザー、各種ビーム兵器が雨あられの如く降り注いでおり、幾ら光波バリアーが有るとは言え限界は徐々に迫りつつあった……。

自軍が崩壊しつつある姿、北斗星司と南夕子がウルトラマンエースに変身してしまった姿、
そして…大鉄人ワンセブンとガンヘッド部隊の迫りつつある姿を垣間見てしまった事により、高倉長官の心の中にある何かが壊れてしまったようであった。

高倉(兄)「かくなる上は……、陽電子砲発射準備!出力最大、目標は008だ!!」
オペレーターA「いけません、長官!」
オペレーターB「陽電子砲を大気圏内で使用したら、008が破壊されるだけでなく半径1万キロ以上のエリアが放射能汚染され……!!」
そう言い掛けた途端、2人のオペレーターが長官のタックガンで次々に射殺されてしまった。
既に高倉長官の顔に「理性」の二文字は無く、その瞳と表情は狂気の世界に突入した事を示すように血走っていた。

高倉(兄)「貴様ら!ここで殺されたくなかったら陽電子砲発射準備とコントロールをワシに回すのだ!!
グズグズするな!従わない者はこの連中のようにワシの手でブッ殺してやる!!!
早く回せ!ネオ・マキシマエンジンを陽電子砲に接続しろ!!!」
オペレーターC「い、イエッサー……!」
オペレーターD「ネオ・マキシマエンジン、陽電子砲に直結!」
オペレーターE「出力最大、完全広域破壊モード……!!」
高倉(兄)「フフフ、それでいい……。それでいいのじゃ、ワハハハハハハ……!!」
狂気に憑かれた長官を目の当たりにし、必死の思いでジャンボーの必殺武器…陽電子砲にエネルギーチャージを開始するオペレーター達。
そして、ジャンボーの艦底部から陽電子砲の本体がせりだし、黒光りする砲身が不気味な光を湛えながら顔を出す。

奈美「キャプテン、ジャンボー艦底部から陽電子反応!」
天田「何だと?!」
源田「正気か?!」
マイティジャック隊の面々も、高倉長官のジャンボーが破滅の一撃を008に向けて放とうとしているのに面食らっていた。
幾ら狂気に憑かれたとは言え、ここまで破壊する必要があるのか?と言う思いが、マイティジャック隊の全員の本音であった。

今井「キャプテン、提案があります!」
天田「何だ?今井……」
ずっとスクリーンに映っているジャンボーの姿を観察していた今井隊員が口を出す。

今井「ジャンボーが陽電子砲を使うと言う事は、それだけエネルギーを消費するって事ですよね……?」
天田「それは、そうだが……」
今井「その事に関してですが、ジャンボーが攻撃行動から光波バリアーを張るまでのタイムラグが2.8秒と言う事が判ったんです……!そしてその逆の行動も……」
源田「2.8秒?」
奈美「すると、今井さん?」
今井「そのタイムラグを狙って、ジャンボーに一斉攻撃するんです……!」
今井隊員が一同に言う。勿論、通信機越しでブラッドレー博士も今井隊員の詞を聴いている。

天田「だが、一歩間違えたら008を中心に、日本を含む西太平洋地域が草も緑も生き物もいない死の世界になってしまうんだぞ……!」
今井「判っています!でも、これしか方法が無いんです……!!」
奈美「今井さん……」
その時、ブラッドレー博士が一同に話しかけてきた。

ブラッドレー博士「判った、今井君の賭けに乗ろう……!」
源田「ブラッドレー博士……」
天田「私も同じです、博士……。我々マイティジャック……いえ、APPLEは例え1割の確率でも、それに全力で立ち向かうのが我々の信条です……。
かつて、ブルックリン君とガンヘッド部隊が示してくれたように……」
ブラッドレー博士「そうだ、全力で事に当たれば必ず奇跡は起こせる……その証がスターピースであり、ウルトラマンであり、仮面ライダーであったりするんだ……」
ブラッドレー博士がタックファルコンのコックピットで語っていた時、008から再び光が走った……。
ミドリのドリームボールから放たれた、人々の思いの力がマイティ号とTACの部隊に届いたのだ……。

源田「これは?」
奈美「キャプテン!マイティ号の動力が通常の何百倍の出力になって、計器が全て振り切っています……!!」
天田「オーバーロードか?」
今井「いえ、システムは正常です!008からの光がマイティ号に干渉して、普通ではあり得ない出力を保っています……!!」
ブラッドレー博士「こちらも同じだ!モニターが全てグリーン発光している……!!」
今井「キャプテン……」
そして、暫くして天田隊長が言う。

天田「よし、天のくれたチャンスをここで逃すな!ブラッドレー博士、総攻撃の準備を!!」
ブラッドレー博士「SMJ!全機、マイティ号と同時に攻撃開始!目標は、バダムの叛徒どものジャンボーだ!!」
タックファルコンのミサイル発射管が全開になる。タックアローとタックスペースの部隊も、ミサイルの照準をジャンボーに向けてロックする。

天田「今井!コバルト・ミサイル以外の兵装を全て解除だ!!ありったけの弾丸(タマ)を、あのオバケ鯨にブチ込むんだ!!」
今井「SMJ!!」
そしてマイティ号も、高威力の熱核兵器であるコバルト・ミサイルを除く全ての武器のセイフティロックを解除した。
勿論、目標はジャンボー只一隻である……。

高倉(兄)「毒リンゴどもが……!!」
一斉攻撃の体制を整えたマイティ号とTAC部隊を見て、高倉長官は唾を吐きながら悪態をついた。

オペレーターC「陽電子砲、発射準備完了……!!」
高倉(兄)「そうか、御苦労だったな……!!」
そう言いながら高倉長官は、次々とタックガンでオペレーター達を射殺して行った。信じられない表情をしながら絶命していくオペレーター達……。
高倉(兄)「よくもワシの計画を台無しにしてくれたな……!だがもう全て終わりだ!!」
そう言いながら光波バリアーを解除する高倉長官。

奈美「光波バリアー、解除!」
天田「よし、全艦一斉射撃だ!今井、撃て!!」
今井「SMJ!!」
今井隊員がトリガーを引き絞る。同時にブラッドレー博士率いるTAC部隊も一斉にトリガーを引く。

すると、人々の思いの力を込めたミサイルとレーザーとビームの嵐が、ジャンボー目掛けて一斉発射された。その弾道は一直線にジャンボーへと向かっていく……。

高倉(兄)「何だと?!」
信じられない表情を見せる高倉長官、一瞬理性が戻る……。
が、その直後にマイティ号とTACの攻撃がジャンボーの艦体を次から次へと蜂の巣にして行った。穴だらけになりながら次々と誘爆を起こし、爆発炎上していくジャンボー……。

高倉(兄)「これが、人の『思い』の力か……?!」
詞にならない詞が、高倉長官の口から出た。が、それが聞こえる間もなくジャンボーが大爆発を起こす……。

天田「やったか?!」
今井「ええ!!」
奈美「ジャンボー、反応消失!」
源田「やったじゃねぇか、今井!!」
喜びに沸くマイティ号ブリッジ。

ブラッドレー博士「ミスター高倉……。あなたの代わりに、我々があなたの兄上を葬りました……」
その横でブラッドレー博士は、タックファルコンのコックピットからジャンボーの最後と、復讐に散ったTACの元長官に思いを馳せながら静かに敬礼をした……。


ウルトラマンエースとモチロン、ガンヘッド部隊を加えてのマザロン人率いる超獣軍団との戦いの横では、ワンセブンがギルハカイダー操るジャイアント・デビルとの死闘が続いていた。
両者とも動力にRS装置を搭載、スペック上では全く互角だったが、操縦が脳と直結のジャイアント・デビルが若干有利であった。

ギルハカイダー「どうした?貴様の力はその程度か?!」
せせら笑うギルハカイダー。

しかし、ワンセブンはブレインの作り出した侵略ロボットを悉く打ち倒した猛者である。
その中で人間の癖や、そして機械の癖もデータに取り込んでいたのであった。
更に冬眠中の状態に於いても、スーパー戦隊と呼ばれる5色の仮面の戦士達の操る巨大ロボットの戦闘データやジャイアントロボ、レオパルドン、ダイレオン等の巨大ロボの戦闘データも吸収していたので、
それを元にワンセブンはジャイアント・デビルへの対策を計算していた。

ワンセブン『ワンセブン、負ケナイ…!』
自分に言い聞かせるようにワンセブンが呟く。七色に点滅する眼でジャイアント・デビルを睨み返している。

ギルハカイダー「それはどうかな?!」
ジャイアント・デビルが、眼からフラッシュを焚いたような光を放った。RS装置のシステムを応用した分子破壊光線だ。強いショックで背中から倒れるワンセブン。

ワンセブン『コレシキノ事デ…!』
再び起き上がるワンセブン。

その時、地下エリアで青山ミドリのドリームボールから放たれた光が、地上エリアにいるヒーロー達を包んだ。
その影響で上空のマイティ号とTACの航空部隊がオーラに包まれていく。

ギルハカイダー「何だ、今の光は?!」
マザロン人「まさか…、『光を導く者』?!」

そうしている間に高倉長官のジャンボーが撃沈される。

三郎「ワンセブン、今だ!」
ワンセブン『イエス!!』
そう言うとワンセブンは、身構えながら胸のシャッターを全開にした。そこから9基のエネルギー発生機が顔を出し、ジャイアント・デビルに狙いを定める。

ワンセブン『グラビトォォォォン!!』
人工地盤を揺るがすような声が響くとともに、ワンセブンの胸からミニ・ブラックホールの固まりが放出された。
白熱するミニ・ブラックホールはジャイアント・デビルに命中し、その機体を超重力で圧縮し「爆縮」させることによって、クシャクシャのアルミホイルの如くジャイアント・デビルを破壊していく。
爆縮の勢いの凄まじさだろうか、ジャイアント・デビルからの煙が勢い良く上がり、ボロボロになったジャイアント・デビルを隠すように包む…。

マザロン人「ギルハカイダー殿!!」
喚くマザロン人。

モチロン「よそ見するんじゃねぇ!鬼モドキ!!」
そう喚きながらモチロンはサボテンダーの腕をつかみ、フルスイングでマザロンとブロッケン目掛けて投げつけた。
その横ではウルトラマンエースが、額のエネルギーホールを輝かせながら睨み付けている。

エース「これは、ここにいる人々と月の人々…そして、この世界に住む人々の『思い』だ!!」
エースのエネルギーホールの光が両手に集まっていく。その光を両腕に合わせ、光の球を形成する…。

そして。

エースは人々の思いの力を込めた必殺技…スペースQを放った。
本来はウルトラ戦士のエネルギーチャージによって使用可能になる技であるが、ドリームボールに集まった人々の思いが、単独でスペースQを使えるようになったのだ…。

マザロン人「グワァァァァァァァァァァッ!!!」
断末魔の声と共に、マザロン人はブロッケンとサボテンダーの2大超獣と共に散ったのであった。ヤプールの期待は、いまここで裏切られたのだ…。

ダン「やったぁ!」
ジャンヌ「勝ったわ!!」
喜びの声を上げるダンとジャンヌ。

ブルックリン「いや、まだだ…!」
ガンヘッド507『グラビトン爆心地点に、エネルギー反応!!』
その時彼らは、信じられない光景を目の当たりにした…。

それは、ボロボロになりながらも歩みを止めないジャイアント・デビルの姿であった。

ギルハカイダー「フフフ…流石はワンセブン。見事な戦いぶりだ…」
一方コックピットの中では満身創痍のギルハカイダーが、ギル教授の脳を納めた頭部ケースから培養液を滴らせながらヒーロー達を睨み付けていた。

ギルハカイダー「だがワンセブン、貴様の弱点はハスラー教授から聴いているぞ?グラビトンの連射が不可能だと言う事がな…!」
薄笑いを浮かべながらギルハカイダーが、RS装置をオーバーロードさせようとする。恐らくはワンセブンもろとも自爆するつもりなのだろう…。

三郎「ワンセブン!!」

その時、信じられない通信がワンセブンに割り込んできた。

大原博士「ワンセブン、グラビトンをもう一度撃つんだ!」
三郎「何ですって?」
ワンセブン『イエス!』
そう言うとワンセブンは、大原博士の言うように再びグラビトンをジャイアント・デビルに向けて放つ。

ギルハカイダー「何っ…!!」
信じられない表情をうかべるギルハカイダー。しかし、彼の悲鳴は聞こえる事は無かった。
ジャイアント・デビルとギルハカイダーは、2度目のグラビトンで今度こそ本当に息の根を止められたのだ。
爆縮と同時の再度の大爆発は、バダムが空中都市008で敗北した事を示す狼煙でもあった…。

三郎「どう言う事ですか?博士…」
大原博士「実はワンセブンにRS装置を搭載した時に、グラビトンを連射可能に改良しておいたんだ…。本当は役に立って欲しくなかったのだが…」
エース「役に立った、と言う事ですね…」
大原博士「うむ…。だが、連射は3回までが限度だ。それ以上はエネルギー発生機がオーバーロードして、再使用に24時間の猶予が必要になってしまうのだ…」
静かに大原博士が言う。

ヤプール『フフフ…、流石だなウルトラマンエース…!』
エース「貴様は、ヤプール!」
その時、ヤプールの声が008に響き渡る。

ヤプール『ウルトラマンエースよ、今回は貴様の復活と奮闘に免じて我々はこの空中都市から一切手を引く!貴様以外にも厄介な敵が現れたのでな…!!』
三郎「何だって?」
天田「どう言う事だ?」
驚く三郎、そして天田隊長以下マイティジャック隊の面々…。

ヤプール『大サタンの魑魅魍魎どもやカオスヘッダー、それにウオノメ・マナコとか言うふざけた連中だ…奴らに地球を盗られてはこちらも厄介だからな…』
ショウ「大サタン?」
ケン「カオスヘッダー?」
シグ「ウオノメ・マナコですって?」
地下エリアでデスター一味の残党と睨み合いを続けているブルースワットやジャッカー電撃隊、仮面ライダーファイズとオーガ、バイクロッサーやネムリンらもヤプールの声に驚きを隠せない。

ヤプール『だから、貴様との決着は一時預けるとしよう…こちらも戦力がガタ落ちになってしまったからな…』
自嘲気味にヤプールが言う。

ヤプール『だが忘れるな…!貴様達が邪魔者どもを片付けた時、貴様達を倒すのが我等ヤプールだと言う事をな…!!』
その台詞と嘲笑いの声を008に響かせながら、ヤプールの気配は008から消えたのであった。

エース「ヤプール…」
沈む夕日を見上げながら、エースが呟いた。

モチロン「エース、TACの援軍だぜ…!!」
その時モチロンが、夕焼け空をバックにして迫ってくる無数の航空機の大群を指さした。その殆どはTACファルコンとマッキー1号、そしてAPPLE北米支部所属の超大型輸送機であった。
それらは008の上空に差しかかると、次々とカーゴルームからガンヘッドの大群をパラシュートで降下させたのであった。

ガンヘッド507『003所属の、300番代のガンヘッドです…』
ブルックリン「本当に、助かったな…」
パラシュートで下りてくる無数のガンヘッドを見て、ブルックリンは戦いが終わったのだと安堵の表情を浮かべていた…。


ハスラー教授「Oh!No!!」
ドクトルオーバー「何つーこったい!」
ドクターQ「ヤプールめ、勝手に終了宣言しおって!!」
思いがけないヤプールの撤退宣言を聴いてドクターQらデスター残党一味がブーイングをあげる。
確かにブライゾンガーと魔神ゴーラを失い、そして超獣軍団とジャンボーとジャイアント・デビルを失った今、彼らは袋のネズミ同然であった。
が、そんな彼らを見捨ててヤプールが008から一切の手を引くと宣言した事が、彼らのプライドを著しく傷つけたのだ。

しかしそんな中、鉄の爪ことアイアンクローがヒーロー達に向かって吠えた。

鉄の爪「まだ終わってはいない!あれを見ろ!!」
突如アイアンクローが入り口前の黒光りする物体を指さした。

ビッグワン「あれは?」
鉄の爪「こいつは陽電子爆弾だ!ジャンボーに積まれている陽電子砲と同じ威力を持っている!!もしこいつが爆発したらどうなるか…判っているだろうな?!」
ショウ「何だと?デタラメ言うな!!」
GP「ショウ、奴の言っている事はデタラメじゃない…。あれは、本物だ…」
ゴールドプラチナムが一同に言う。
歯噛みしながら悔しがるヒーロー達…。

鉄の爪「こいつの起爆装置を解除する方法を教えてやろう…それはワシとアリンガム将軍を倒す事じゃ!但し、条件がある…!!」
ケン「条件だって?!」
ギン「何なんだ?!」
条件掲示に疑問符をつけるバイクロッサー。

鉄の爪「一つは、ドクターQ殿とワシの部下の脱出を見逃す事…。もう一つは、ワシとビッグワン、アリンガム将軍とスペードエースの一騎討ち…。
その条件が飲めぬのなら今ここで陽電子爆弾を爆発させる!!」
ネムリン「卑怯だっちょ!!」
アリンガム将軍「なんとでも言うが良い!ここで白黒ハッキリつけるかつけないか…、ただそれだけだ!!」
一同に向かって吠えるアリンガム将軍。その気迫に押されてネムリンの顔が恐怖に引きつる。

そして、一瞬の沈黙の後ビッグワンとスペードエースが口を開いた。

ビッグワン「判った、条件を飲もう…」
スペードエース「それでいいんだな?アリンガム将軍…!」
アリンガム将軍「良く言ったスペードエース…私はこの時をどんなに待ち望んでいたか…」
そう言いながら剣を抜くアリンガム将軍。

ドクターQ「アイアンクロー殿…」
呆然と見つめるドクターQを見ると、アイアンクローが怒鳴りつけた。

鉄の爪「ドクターQ殿!ワシの部下の事は頼んだぞ!!それに、ハスラー教授もオーバー殿も達者でな!!」
ドクターQ「承知した!」
ハスラー教授「アイアンクロー!!」
アリンガム将軍「今のうちに脱出しろ!生き延びて、己の目的を果たせ!!」
そして、アリンガム将軍も叫ぶ。その声を聴くとドクターQ達は地下格納庫を後にする。それを只見送るしかないヒーロー達…。

ビッグワン「満足だろうな、アイアンクロー…」
鉄の爪「ああ、貴様にはマトモな形で負けた事は無かったからな…」
アイアンクローが2度死んだ時の事を思い出した。一度はビッグボンバー「ドブネズミ」で、2度目はすり替えられた鉄の爪の暴走と言う形で…。

鉄の爪「だが、ワシにはマトモな形で死ぬ権利がある!!」
そう言いながらアイアンクローがマントを放り投げる。すると、ドクトルオーバーの如く全身が銀色に輝く姿のアイアンクロー「戦士鉄の爪」の姿に変身したのであった。

鉄の爪「勝負だ、ビッグワン!!」
ビッグワン「望むところだ…!!」
そして、ビッグワンもステッキを構える。

アリンガム将軍「貴様も剣を取れ!スペードエース…」
ケン「エース、これを!」
そう言ってバイクロッサー・ケンがクロスブレードをスペードエースに向けて投げる。それを受け取り構えるスペードエース。

そして、両者の一騎討ちの火蓋は切って落とされたのであった…。

スペードエース「行くぞ!」
アリンガム将軍「来い!」
剣を構え、互いに向かって駆け出していくスペードエースとアリンガム将軍。鉄の爪を振りかざすアイアンクローと、ステッキを構え駆け出すビッグワン。

アリンガム将軍「アリ地獄!!」
スペードエースの目の前に、アリンガム将軍が作り出したアリ地獄が現れる。床が直径数mに渡って陥没し、スペードエースの姿がアリ地獄に消えていく。

ファイズ「?!」
ミドリ「スペードエース!!」
スペードエースの姿が消え、悲鳴を上げるミドリ。

アリンガム将軍「やったか?!」
思わずアリ地獄の底を見るアリンガム将軍。
だが、底にスペードエースの姿はなかった…。

アリンガム将軍「何処だ?!」
スペードエース「ここだ!!」
その声に思わず天を見上げるアリンガム将軍。目の前にはクロスブレードを振りかざしたスペードエースのシルエットが映る。
アリ地獄と同時に加速装置を作動させて、一瞬の隙にジャンプしたのだ。

アリンガム将軍「ぬぉぉぉっ!」
スペードエース「もらった!!」
突如、クロスブレードの刃先が照明に反射し、アリンガム将軍の複眼を突き刺した。一瞬目が眩み、よろけるアリンガム将軍。
それを見逃さずに切り付けるスペードエース…。

一方アイアンクローは…。

鉄の爪「うぉぉぉぉぉっ!」
喚きながら鉄の爪を振りかざし、ビッグワンに飛び掛かるアイアンクロー。無言でステッキに原子、電気、磁力、重力の4大エネルギーを集中させるビッグワン。

ビッグワン「ビィィィッグワン・フィニッシュ!!」
その叫び声と鉄の爪がクロスする…。

ビッグワンが膝を付く。それを振り返るアイアンクロー。その横ではクロスブレードを構えながら降り立ったスペードエースと仁王立ちするアリンガム将軍の姿…。

アリンガム将軍「私は…、満足したぞ…!!」
鉄の爪「これで、マトモに死ねる…!感謝するぞ!!」

そう言いながらアイアンクローとアリンガム将軍が爆発四散したのであった…。

ビッグワン「アイアンクロー…」
スペードエース「アリンガム将軍…」
両者は天敵とも言えるクライムの首領と将軍の最後を、複雑な思いで見届けたのであった…。
そして、陽電子爆弾の起爆装置も同時に停止したのであった。


APPLE日本支部の地下通路を全速力で走っているデスター一味の残党は、アイアンクローとアリンガム将軍が戦っている事を思い出しながら後方を振り返った。

ドクトルオーバー「まさか…アイアンクローの奴。死ぬつもりじゃ?」
ドクターQ「恐らくな…奴は初めから死ぬつもりでワシ等を逃がしたんじゃ…」
無念そうな表情でドクターQが言う。

ハスラー教授「このまま尻尾を巻いて008から逃げ出して、後はどうするんだ?」
ドクターQ「ハスラー教授、お前さんは行く所があるのか?」
ハスラー教授「一応な!ゴメスの奴と合流する事になっている…RS装置の設計データと、ギルハカイダーから預かったジャイアント・デビルの設計図がある…!!」
そう言いながらディスクを見せるハスラー教授。先程ビッグワンが突き倒した時に持っていたディスクだ。

ハスラー教授「貴様の方は当てがあるのか?」
ドクターQ「ワシか?ワシは一端、ブライゾンガーから預かったデスターロボを連れてダマスクセに行くつもりじゃ!!」
イカルス大王「ダマスクセ?!もしやドクターQはMr.怪人ランカーを御存じで…?!」
ドクターQの逃亡予定地の街の名前を聴いて、イカルス大王が声を荒らげた。

ドクターQ「ああ、奴とは古い付き合いでね…」
シルビア「デスターがバイクロッサーに壊滅させられた時、私たちはやっとの思いでダマスクセまで逃げて行ったの…そしてランカー商会で力を蓄えていたのよ…」
リタ「イカルス大王は、Mr.怪人ランカーとどういう関係?」
イカルス大王にリタが尋ねる。

イカルス大王「実はな、ダマスクセに我等クライムの4大幹部が集まっているのだ…アイアンクローが、自分の身に何かあったらダマスクセに向かえと言っていた…」
ドクターQ「そこで、どうするんじゃ?」
イカルス大王「俺は、アイアンクローに取って代わってクライムの首領の座を狙っていたが、今はドクターQ殿…貴殿に協力しよう…」
アトミック魔女「賛成だね、デスターロボの生き残りもいるみたいだし…」
コブラミサイル「ドクターQ!兄者の敵を討つには協力者は多い事に足した事は無い!!」
ドクターQ「なら、決まりだな!」
そう言うとドクターQは、プロフェッサーKから託された物体転送機を取り出した。スイッチを入れ転送座標をダマスクセに設定する。

ハスラー教授「オーバー、貴様はどうする?」
ドクトルオーバー「俺か?貴様に付き合わせてもらうぜ…!ブレイン党にも、医者は必要だろう?」
ハスラー教授「Oh!それは心強い!!」
そう言いながらハスラー教授も、物体転送機の座標をゴメスとの合流ポイントに設定した。

ハスラー教授「生き延びろよ!」
ドクターQ「貴様もな!!」
口調は悪態であったが、その声は半分涙声であった。互いが転送機の発する光に包まれ、その姿が薄れていく…。

そして、彼らはお互いの向かうべき場所へ消えて行ったのであった。

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最終更新:2013年03月14日 02:55
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