第85話 ハイトロンの行方


深遠なる闇を吸収した石堀は、監視をしていた部屋に戻って来た。
「石堀主任。ナハラ参謀がお呼びです。至急ミーティングルームに来て下さい」
「分かった」
立ち上がり、部屋を後にした。
そう、石堀は経歴を変え、TPC科学局の技官になっていたのであった。

「これは?」
ミーティングルームで、スターピースの一つを見せられた石堀は、ナハラに尋ねた。
「それが分らんから調べてもらいたいんだ」
ヨシオカ長官が石堀に答えた。
「バラノイアを撃退したコダラーが置いていったんだ、地球が『大いなる意志』に対抗するために呼び覚ました怪獣が置いていったんだから、この戦いに関係あると思うので調べてもらいたい」
「あのコダラーがですか(…んっ、これは?)」
スターピースを見ながら、石堀は、ほんの一瞬だが、自分の害にもなりえる光の波動を感じた。
「分りました。ではこれは、私が預かり調べさせてもらいます」
「頼んだぞ」
「はい」
(どうやら、面白いショーが楽しめそうそうだ)
石堀は、心の中でほくそ笑んだ。


咆哮を上げ、飛び立ったキングギドラに向けてバダムの母艦、戦闘機は一斉に攻撃を開始するもも傷一つ付ける事はできず、キングギドラの光線により次々と破壊されていった。
「味方になると、これ程、頼もしい物はないな」
「全くだ」
「一鍬、感心している場合じゃないぞ。こっちもお客さんだ」
キングギドラの暴れっぷりに感心している一鍬を兄者がたしめ前を指差すと地上にメカジャイガン、コングロボ、マシン獣が出現していた。

キングギドラとともに、母艦、戦闘機群と戦いを繰り広げるマシンバッファローの中では戦いを見ながら、席でそわそわしていた天宮がおもむろに立ち上がる。
「藤宮君、ここは頼む」
と言い、出て行こうとした。
「どこへ行くんです?」
「私も外へ出て一緒に戦う」
「副学長ダメです」
「立場をわきまえて下さい」
それを聞いた同乗していた職員達が一斉に止めに入った。
「そうですよ、それにもう歳なんですから」
「何を言う、失礼な!以前、ガオガオレンジャーに剣の手ほどきをしたこともあるんだ。
まだまだ、現役だ!」
藤宮の一言にムッとなった天宮はそう言うと、レッドファルコンに変身しジェトファルコンで出撃した。


「えーい、何をしている!早く星川達を見つけんか!!!」
地上で激しい戦いが繰り広げられているその頃、指令室では、メキドがシッポ兵達を怒鳴りつけていた。

助っ人に現れたハリケンジャー達の機転により、洗脳の解かれたライダー達を始末するべく出撃したメイスン達から逃れた星川、弦太郎達を完全に見失ってたのであった。
「メキド様、ライダーとハリケンジャーもこちらに向かっています」
「えーい、ユートムを向かわせて始末させろ!それより、星川達だ!!早く見つけだせ!」
「落ち着きなされメキド王子、ジャシンカの王になるお方が、そのような振る舞いをしてどうなさるのですか」
兜を被り戦装束に身を包みながらカー将軍はメキド王子を嗜めた。
「しかし、カー将軍」
「奴らを見失ったとしても、奴らの目的はただ一つ。指令室にいる我々を倒す事。こちらで探さずともここに来た時に倒せば済む事」
そういい、刀を抜き指令室の入り口を向いたその時。天井から、星川ことダイナブラック達が落ちてきた。

「貴様!」
それを見て武器を持ち構えるメキド、キメラ。ドクターマンをかばうように立ちファラキャット。
「よくぞ、ここまでまいった。敵ながら見事。だが、ここがお前達の墓場だ」
「へっ、その言葉、そっくりそのまま返すぜ!」
ムチを構えながら弦太郎はカー将軍に言った。
「星川、積年の恨み、今ここで晴らしてくれる!」
剣でダイナブラック達を差し叫ぶメキド。
その場にいたシッポ兵達も武器を構えた。
両者がにらみ合い、戦いが始まろうとした時であった。
「待てぃ!」
叫びながら、ダイヤモンドアイが弦太郎達の前に出てくるや
「邪悪なる者共に操られし者達よ、その呪縛から時放たれるがよい。怨霊逃散 洗礼光線!!」
と叫び、メキド達に洗礼光線を放った。

「ドクターマン様、危ない!」
アイから光線が放たれるや、ファラキャットは瞬時に動き光線からドクターマンを守った。
だが、メキド達は逃れる事ができず、光線を浴びてしまった。
そして…。
「うっうーん、ここは一体?」
「確か我々は、ゼーバとゼノビアに会っていたはずでは?」
「うむ…むっ星川、お前が何でここにいるのだ?」
「何だってーーーー!」
この様子に驚く一同。
「アイ、これは一体どう言う事なんだ?」
「ライコウよ。彼らは何者かによって操られていたのだ」
驚くライコウにアイは答えた。

「こんな馬鹿なことが…」
そして、弦太郎達と同様、共に地球侵略のために戦っていた仲間が操られていた事を知り、ドクターマンも驚きを隠せないでいた。
「ドクターマンよ。お前はバイオマンとの戦いの中で人間の心を取り戻したはず。そのお前が何故、再び世界征服を企むのだ?」
「えーい、黙れ!儂はメカ人間。人の心等取り戻してはおらぬ!」
アイの問いにドクターマンは叫んだ。

「一体何がどうなって…むっ星川、伏せろ!!」
と、その時、弦太郎達の背後の空間が裂けるの気付いたメキドが叫んだ。
「何?」
「星川さん伏せるんだ!」
「ほらおまえらも!」
メキドの声に聞き返す星川に弦太郎が叫びながら後ろも見ずに、五郎、イガムラと共に周りの者の頭を押さえ伏せさせた。
そこへ、背後から放たれた光線が、彼等の頭上を走り指令室の機器を破壊した。

「誰だ!」
背後を向く、ダイナブラック達。
そこには、右手にラクビーボール大のカプセルを持ったギロン人が立っていた。
「ギロン人!」
「ドクターマン、こっちだ!抽出したハイトロンも手に入れた」
「ハイトロンだと!どうしてそれを!?」
「それをこちらによこせ」
立ち上がるダイナブラック、イガム達。
「黙れ!」
薙ぎ払うかのように、光線を放つギロン人。
「うわっ」
「キャッ」
その隙をついて、ドクターマンはギロン人のもとに走り出した。
「待ちやがれ!」
それを見て、ドクターマンにムチを放つ弦太郎。
「ドクターマン様危ない!」
だが、そのムチは、ドクターマンを守るために盾となったファラキャットが受け止めた。
そして、ムチを受けたファラキャットは火花を散らし、その場に崩れ落ちた。

「ギロン人すまぬ」
「気にするな。メイスンとファラは先にヤプールの所にいっている」
「そうか」
「ハイトロンは手に入れた。今度あう時は、貴様らの最後と知るが言い!」
そう言いながら、ドクターマンとギロン人は空間の裂け目の中に消えていった。


洗脳の解けたメキドの命令により、ジャシンカは武装を放棄し戦いは終結した。
そして、全員が指令室に集合した。

「うむ。確かに我々じゃシンカは『大いなる意志に』よってに蘇った。しかし、先の戦いで、我々は戦いの空しさを知り、我々自身の力で新しい国を造ろ決意をした。
だから、ゼノビアの仲介で話を持ちかけてきたゼーバの地上侵略の話は会談で断ったのだが、その後の事が記憶になく気付いたらこうなっていたのだ…」
「なるほど、地上侵略を断ったから、ゼノビアと手を組んだゼーバによって操られていたと言う事か」
「ふざけおって、ゼーバにゼノビアめ!」
「メキド王子、ゼーバは我が国アバンとイーナスの連合軍によって倒しました」
岬はゼノビアとゼーバに怒りを現すメキド王子に答えた。
「王子。ゼノビアは、日本アルプス山中でジャガーバルカンによって破壊されたグランギズモに乗艦していたと思われます」
シュリケンジャーがメキドに言った。
「うーむ、そうか。しかし、俺の手で二人に裁きの鉄槌を下せなかったのは残念だ」
二人の説盟和聞き、メキドは少し悔しそうに言った。

と、そこへライダーマンこと結城丈二とレッドファルコンこと天宮勇介が指令室に入ってきた。
「転送装置はどうだった?」
「ダメだ。完全に破壊されていた。四幹部が後を追われないように破壊して行ったんだろう。とてもじゃないが修復できる状態じゃない」
一文字に結城は答えた。
「これで、バダム本部への手がかりはなくなった訳か」
兄者が呟いた。
「くそっ、これでおやっさんを助ける手かがりは無しか!」
そして、ライダー達は口を噛み悔しがった。
彼等はおやっさんがジェネラルシャドウ達に助けられ、アンチバダム同盟にいる事を知らないのである。

「星川さん、そっちはどうだった?」
先程の二人のすぐ後に戻ってきた星川に弦太郎がたずねた。
「どうやら、飛び散った破片を手に入れてハイトロンエネルギーを抽出したみたいです。
大きさから言って、オーストラリアの一つはつ消滅させる位の量はあるみたいです」
「そうか、それは不味い事になったな」

九州空母化計画は阻止できたが、転送装置が破壊されバダム本部への手かがかりは無くなり、さらにハイトロンエネルギーが奪われるという事態になった事を知り、重い空気が流れた。

と、その時である。

「おお、データーは無事だったぞ」
計器を修理していたカー将軍が声を上げると同時にモニターに世界各地に印のついた画面が写し出された。
「これは?」
「これは、本部転送装置と繋がっている世界各地のバダム本部ですな」
メキドにカー将軍が答えた。
「なんと」
「やったな」
その声に沸き立つ一同。
「むっ、あれは?」
そんな中、兄者は地図の中のあるポイントに目がいった。
「どうした兄者?」
「ヒマラヤの地点を見ろ。あそこだけ印の形が違っている」
「本当だ」
「確かあそこは…」
「そう、あそこは周辺の民族の者達がサンクチュリと呼び、誰も近付く事はない神域。そして、近付いた者達は誰も帰って来ていない」
同じく何かに気付いたシュリケンジャーは答えた
「…兄者!」
「間違いない、あそここそバダムの本拠地。バダムの大本部だ!」
それを聞き、その場にいた者達は歓声を上げた。

「やったじゃん、バダムの本拠地を叩けば奴らを倒せるぞ」
「ああ、これで一気に形勢逆転だ」
興奮気味に話す鷹介と吼太。
「一文字さん!」
「ああ、これでおやっさんを助ける事ができるぞ」

ライダー達も喜びあった。
「弦の字」
「ああ、向こうは、こっちが本拠地の場所を知った事は知らない。攻めるなら今だな」
戦いが終わった後、鷹介達から『大いなる意志』の野望の一翼を担うバダムの事を知らされた弦太郎と五郎は不適な笑みを浮かべた。
「五郎さん、また一緒にがんばろうね」
七海が五郎の腕にからめながら言った。
「むっ」
それを見てムッとした美穂は、七海を押し退けると、五郎の手を握り
「五郎さん、私もっとがんばりますね」
目を潤ませながら言った。
「ちょっと、どいてよ」
美穂をおしのける七海。
「何よあなた」
「私は、五郎さんと一緒に戦った仲間よ。そう言う貴方は誰?」
「わたし?私は五郎さんに命を救われたのよ。いわゆる運命の人よ」
「はぁ、助けられたのなら私だって、ついさっき助けられたわ。だったら私の方が運命の人ね」
「なによぅ」
「なによ」
「ちよっと二人とも…」
一昔前のラブコメ見たいな事をし始めた二人を、五郎がなだめようとした時であった。

「御主人さま~~~~~~」
そう言いながら、五郎に飛びついてきた者があった…それはファラキャットであった。
「わっ、と治ったんだね。しかし、なんでまた、御主人様なんだい?」
「はい、五郎さんが私を治してくれるように頼んでくれたおかげです。
ですから五郎さんは私の命の恩人です! 五郎さんは今日から私の御主人様です!これからは御主人様を私が守ります」
そういいながら、ファラキャットは五郎の顔にキスをしはじめた。
「わっ、こらこら、やめなさいって」
ファラキャットの猛攻にたじろく五郎。
『 あ な た は な れ な さ い よ ! 』
それを見て二人は怒りを込めていった。

「何なんだ、あのいちご100%とな展開は」
五郎達の様子を呆れつつ苦笑しながら弦太郎が見ていると
「いやぁ、こんな事になるとは」
いつのまにか、弦太郎の隣に来ていた藤宮が苦笑しながら答えた。
彼が五郎に頼まれて、ファラキャットを修理したのだった。
「どうなってんだい、一体?」
「修理した時に、コンピューターの服従プログラムを削除して自立思考に切り替えたんですよ。
そして、彼が治してくれるようにたのんだと 説明したら目を潤ませて顔を赤らめて飛び出して行って…」
そう言って、苦笑した。
「まぁ、それだけ人間近いロボットを作ったのは、流石ドクターマンと言ったところだな」
弦太郎も苦笑した。
そして、ラブコメの光景を見ながら涙を流す男が一人いた。
一鍬である。
「(嗚呼、七海…)」
「(一鍬よ、泣くがいい。心の泉が枯れ果てるまで。そして、涙が尽きた後お前は男として更なる成長を遂げるのだ!!!)」
一鍬が何で泣いているか分らない兄者は、とりあえず弟の成長を願った。

「おい、五郎。ラブコメはその辺にしときな」
「あっ、おお」
「で、皆はどうする?」
「もちろん、バダムの大本部に行きますよ!」
弦太郎の問いに、興奮気味に鷹介は答えた。
「天宮さん」
「ああ、もちろん我々も協力するぞ。マシンバッファローに君達のマシンを乗せていこう」
藤宮に頷くと、天宮は皆に言った。
「我々も行くぞ、おやっさんを助けバダムを倒す」
一文字とライダー達も力強く言った。
「ライダーの皆さんがいると頼もしいな」
吼太はうれしそうにいった。
「それに、本郷達も助けなればならないしな」
「俺も、もちろん行くぜ!」
「いや、民間人はこれ以上は危険だから、遠慮させてくれ」
意気顕揚のライコウに、弦太郎は冷たく言った。
「またかよ!」
「ははは、冗談、冗談。ライコウさん、アイと一緒に頼むぜ」
「おお」
「弦太郎、星川。私も力を貸すぞ」
メキドが、弦太郎達に申し出た。

「メキド!」
それを聞き、驚く星川。
「昨日の敵は今日の友と言うしな。それに俺の心の中はバダムに対する
怒りの炎で燃え上がっている。我々を利用しようとした事は断じて許せん!」
「メキドーーー。一緒にがんばろう!!」
感動した星川はメキドの手を両手で握りしめた。
「こらっ、離せ。気持ち悪い。止せ!」
「メキド王子・・・否、帝王メキド。このカー将軍。あなたについて行きます」
「いや、カー将軍。お前は、キメラと共にはシッポ兵達を連れて、一度地底に戻ってくれ。俺はメカクローン達とグランギズモ2で星川達と戦う」
「なんと」
「これは、俺個人が言い出した事。これ以上、民を戦いに巻き込む事はしたくない」
「おお、なんという立派な事を…これをアトン様がご覧になっていたら…」
カー将軍は感動し涙を流した。
「そこでだ、出発までに何体か進化獣とメカシンカを作っておいてくれ」
「はっ、かしこまりました」
そう言うと、カー将軍はシンカ獣製造工場に向かって行った。
「ちょっと、何かっこつけてんの?。私も一緒に付いて行くわよ」
「何だってダメだ。お前もカーと一緒に地底に戻れ」
「ダメと行ってもついて行くわよ。メキド一人じゃ頼りないからね」
そう言いながら、ニコリと笑った。
「えーい、好きにしろ」
ムッとしながら、メキドはソッポを向いた。

「イガムとふーみんはどうする?」
「もちろん、私も最後まで戦おう」
「イガム様に最後までついていきまか。それと弦太郎ふーみんって言うな!」
弦太郎にイガムとフーミンは答えた。
「私はカー将軍達と一緒に一度地底に戻ります。今回の件をアバンの長老達に
報告しないといけないので。そのあと、駆け付けますので」
岬はみんなに行った。
「よし、決まりだな。じゃあ、嵐山長官に報告して、準備が整い次第出発しよう」
「おう」 け声と共に皆は出発の準備に入った。

シュリケンジャーのか
『大いなる意志』の野望の一翼を担う組織バダムの本拠地を見つけだす
ことが弦太郎達。
今、戦いは一つの山場を迎えようとしてた。

♪砂荒らし 吹き捲く中に 思い出の涙かくして 喜びを知らぬ男が
つむじ風 飛ばして行くよー らーららーららららーらーらーらー♪


バダム日本本部の一室、1号、V3、X、アマゾン、ストロンガー依然として活動停止であった。
しかし、その場所に不気味な足音と共にシャドームーンがやって来た。
シャドームーンは現われるなり「RX、これで貴様と戦える…あの二人はどう動くか…キングストーンフラッシュ!」
声と共にまばゆい光があたりを包みこんでゆく。
光のなかでライダーたちは徐々に意識をとりもどしていった。

バダムの日本本部にてキングストーンフラッシュを浴びた五人ライダーは変身が解かれ倒れていた。
「ここは一体…」
本郷猛は目を覚ますと辺り一面を見回した。
「先輩、俺達は一体…」
「アマゾン、ワカラン…」
志郎とアマゾンも立ち上がり猛の方を向く。他の二人も立ち上がった。
「ところで一文字先輩達は?」
敬介が辺りを見回しながら聞く。
「まさかあの時別れ別れになって!?」
茂が事実に気づいて驚く。

「どうやらお目覚めのようだな…」
「アポロガイスト…どうしてお前が。」
敬介が五人の目の前に現れた男、アポロガイストの名前を呟く。
「敬介、俺はお前達を倒すためにブラックサタンのジュネラルシャドウとゴルゴムのシャドームーンと組んだ」
「ジュネラルシャドウも、じゃあなんで今なんで俺達を倒そうとしない」
アポロガイストに茂が叫ぶ。
「理由を知りたいのか、ならば付いて来い」
アポロガイストは五人をある場所へと連れて行った。

アポロガイストが案内したのはカプセルのような装置が置かれている部屋であった。
「このカプセルは?」
「これはバダムの大本部に繋がれている転送装置だ」
志郎に聞かれるとアポロガイストは答えた。
「そこへ行けば何か分かるのか?」
「その通りだ、もしかすると他のライダーもいるかもしれない」
アポロガイストは猛に答えた。
「ならばその大本部に乗り込もうぜ!」
「よし、今から転送装置を起動させる」
茂に言われるとアポロガイストは転送装置を起動させた。

「アポロガイスト、死ぬなよ」
「ああ、何とかしてバダムの野望を砕け」
敬介とアポロガイストが互いを称えあうと五人は転送装置へ入って行った。


宇宙某所にて…。
宇宙警察の極悪特凶部隊「ブラックシープ」の宇宙船「ビッグ・クラスター」の中では、地球からの通信を傍受してキリエル人らブラックシープメンバーが有頂天になっていた。
それと言うのも、大いなる意志が人間たちに接触したと言う事と、大いなる意志がこの世界に降臨するのにウルトラマンの肉体が必要であると言う事が分かったからだ。

キリエル人「フフフ…、やはりウルトラマンは偽りの光の巨人と言う事でしたね」
ハルカン「これで、我等のこれからの行動が決まったと言う事だな…」
宇宙忍デモスト「このためにウオノメ・マナコとか名乗る奴らに宇宙警察の情報を流した価値はあったと言う物…」
薄ら寒い台詞が宇宙忍デモストの口からこぼれた。
ウオノメ・マナコの宇宙警察襲撃は、会長であるベンゼン星人の奪還と報復が主な物だったが、半分はアブレラ商会の闇情報網経由の物もあったらしかった。
そのどさくさに紛れて地球の通信を傍受し、大いなる意志に関する情報を入手したのだ。

エージェント・アブレラ「こちらとしても脱獄した宇宙犯罪者があちこちに散らばってくれれば、商売の種は無限だ…」
ハルカン「すると、いよいよお前さんの新製品のデモンストレーションか?」
アブレラ「左様…。星系破壊ブラックホール爆弾『バスターマシン666号』と新型戦闘強化服『ネオマッスルギア』のデビューだ…」
キリエル人「こちらが確保した傭兵の宇宙犯罪者はハルカン殿のビッグ・クラスターで待機中ですしね…」
ハルカン「目標は決まっているのですか?キリエル殿…」
キリエル人「ええ、これからウルトラの星をこの宇宙から浄化しに行きます…」
満面の笑みを浮かべながらキリエル人は、ハルカンに攻撃目標を指示した。

デモスト「それと、ショッカー大首領とか言う奴が元地球署のデカレッドに憑依して地球に向かったようだが…」
キリエル人「それに関しては手配はしておいた、地球署の連中にデカレッドの即時デリートを指示しておいたよ…」
アブレラ「そして、地球署の連中には宇宙警察に配備した私の新製品『デカマッスルギア』の使用を命令しておいた。
命令違反した場合は、宇宙正義の名の下に太陽系全てをデリートするとドギー・クルーガーの奴とヌマ・Oの奴に釘を刺しておいたよ…」
ハルカン「かつて、苦楽を共にした物同志が殺し合う姿か…。極上のショーになりそうだな…。」
デカレンジャー同士の殺し合う姿を想像し、ハルカンがほくそえんだ。
しかし、それも二人の刑事の救援により大事に至らなかったことは彼らには想像できなかった。

キリエル人「ハルカン、コースセットだ。目標はウルトラの星…。これより大いなる意志をこの宇宙より浄化する!」
ハルカン「おう!!」
そう言うとハルカンはウルトラの星に自分の愛船のコースをセットし、オーバードライブ航法でウルトラの星に向かっていたのであった…。


異次元空間のヤプールの下にハイトロンを手に入れたドクターマン達四人が到着した。
「どうやら九州空母化計画は失敗に終わったようだな」
「はい、仮面ライダーを味方に付ける所まではうまく行きましたが思わぬ邪魔が入ってしまって」
メイスンがヤプールに結果を説明する。
「ヤプール殿、代わりに物凄い代物をお持ちいたしました」
ドクターマンがハイトロンの入ったカプセルを差し出す。
「ふっふっふ…」
「ヤプール殿、何がおかしいのですか?」
突如としてヤプールが笑い始めドクターマンが不思議がる。
「このハイトロンさえあれば我々が宇宙の覇者となるのだ!」
ヤプールは高笑いしながら自慢げに語った。
「何をおっしゃるのですか!?」
「ヤプール様は今までお前達を利用していたのさ」
ファラが戸惑うとギロン人が説明する。

「さあ、ドクターマン殿には消えてもらおうか」
ヤプールの言葉と共にドクターマン達三人を囲むように三体の超獣、ブラックサタン、スフィンクス、マザリュースが現れた。
「ドクターマン様、ここはひとまず逃げましょう!」
メイスンはドクターマンに脱出を促されるが、異次元空間の為脱出は不可能だった。
「無駄だ!喰らえ!」
ヤプールの声と共にマザリュースがファラに光線を放った。
「ど、ドクターマン様…」
「ファラ!」
光線の直撃を受けたファラはドクターマンの名前を呟きながら爆発した。
「あとはドクターマンとメイスンだけだ!」
三体の超獣達が二人を砲撃し始めた。
「おのれ…ヤプールめ。」
二人はそのまま爆発の中へ消えていった。

「ヤプール様、このハイトロンをどうしますか?」
「このハイトロンを使って手始めにウルトラマンAのいる008を明日、バラノイアの総攻撃と同時にの襲撃する!」
ヤプールはギロン人に008の襲撃を告げる。
「フハハハ、これさえあれば憎っきウルトラ戦士など一捻りだ!」
ヤプールがハイトロンのカプセルを眺めながら高笑いした。彼がバダムを利用していたのは憎っきウルトラ戦士、特にウルトラマンAを倒す為であった。


ドクトルオーバーとハスラー教授は無事ゴメスと合流しバダム日本本部へと戻っていた。
「くっ、高倉長官の部隊が壊滅したとは…」
「その通りだ、あの高倉もデカイ口を叩いていたが情けなかったな」
ハスラーが大笑いしながら高倉を罵った。
「おい、ハスラー、そこまでにしろ。アイアンクローがどんな思い出俺達をゴメス殿の元へ向かわせたと思っているんだ!」
オーバーが感情的になるハスラーを宥める。
「ハスラー教授、それにオーバー殿、我々は凄い収穫を得たのですよ」
ゴメスが二人に対しニヤリとした表情になる。
「収穫?」
「もったいぶらないで言えよ」
「いいでしょう、実は大いなる意思と会ったのですよ」
ゴメスは二人に語り始めた。
「何だと!?」
オーバーが大いなる意思の名を聞いて驚く。
「と言う事はブレインが完成したのだな!」
ブレインの建造の事を知っていたハスラーが驚く。
「その通りですよ、興味深い事をたくさん聞きましたのでね」
「奴はどんな事を言っていたんだ?」
ハスラーはゴメスに聞く。

「大いなる意思が善悪問わず様々な命を蘇らせたのはご存知ですよね。あれは自らの肉体を手に入れる為なのですよ」
「肉体?奴は幽霊だとでもいうのか?」
オーバーが大いなる意思を幽霊の類と見抜く。
「そこまでは分かりません。ただ大いなる意思はウルトラ戦士の肉体を理想としているようです」
「OH!そんな事ならウルトラの星へ行けば良いものの」
「いえ、ウルトラ戦士というのはウルトラの星から来た者達だけではありません。地球の力で変身した者もいます」
興奮気味のハスラーにゴメスは丁寧に説明する。

「ゴメス殿、あんたに渡したい物がある」
と、オーバーはとあるディスクをゴメスに渡す。
「ほう、このディスクは」
「008の都市管理センターで手に入れたRS装置とジャイアント・デビルのデータの入ったディスクだ」
そのディスクは実は番場によってすり替えられた偽のディスクであった。
「では、このディスクを見てみましょう」
と、ゴメスは近くにあったコンピューターにそのディスクを起動させた。
「おい、何も表示されないぞ」
「OH!どういう事だ!」
起動させたものの何も表示されず感情的になりやすい二人はあせる。

そして番場壮吉の顔が映し出される。
「あれは番場壮吉!」
ハスラーが番場男を見て叫ぶ。

『ふっふっふ…まんまと騙されたわけだが。これからあなた達の身に何が起こるか分かりませんよ…』

画面の番場が大笑いしながら一同を挑発すると画面が消えた。
俗に言うかどうか分からないがこれが番場ウィルスである。
「オーバー殿、ハスラー殿、RS装置とかと言っておりましたよね…」
ゴメスの表情は怒りに燃え上がっていた。
「ひ、ひぃ…」
「こりゃヤバイな…」
二人が逃げようとした時、無数の戦闘員が二人を囲んだ。
「オーバーとゴメスを岩本博士達のいた牢獄にぶち込め!」
「ご、ゴメス殿、それには理由があって…」
「OH!貴様とワシの仲じゃないか、おい!」
ゴメスによって二人は牢獄にぶち込まれた。
ハスラー教授とドクトルオーバー、二人は二度とバダムでの信頼を得る事は無かった。


バルカンベースの医務室で静養していた鏡京太郎がようやく目を覚ました。
「京太郎君気がついたか」
看病していたPATの村上隊長が声をかけた。
「ここは?」
「ここはバルカンベース。京太郎君は負傷したんでここで治療していたんだ」
「そうですか。そうだ!村上さん。ナオキ君のことについては何か対策は立てたんですか!」
京太郎が質問すると村上は
「いや対策を立てようにも現場を目撃したのが京太郎君だけだったので何も対策が立てていないんだ」
「やっぱり…村上さん。ナオキ君は二次元界に飛ばされたんです。
僕は格納庫いったいに歪みが発生していたのを見ました。あの歪みは僕が二次元界に向かう時に発生する歪みと同じでした。間違いありません」
「ナオキが二次元に!?なるほどだから探しても見つからないわけだ」
「村上さん。僕を嵐山長官に会わせてください。すぐにでも対策を立てないとナオキたちが危ないんです!」
「無茶を言うな!君の体はまだ完治していないんだ。今は静養しているんだ」
「村上さんお願いします!」
京太郎の真剣な目を見た村上は
「わかった。なんとか長官に会ってもらえるよう頼んでみよう」
「ありがとうございます!」
「ただし昔の君の様に無茶な行動はするなよ」
そう言うと村上は京太郎の肩を担いで長官の元に向かった。

村上隊長の交渉によりなんとかTAC基地壊滅事件に関わった者たちによる会議を開くことができた。
会議に出席したのはなんとか出席してもらえた嵐山長官と小野寺参謀。
科学特捜隊のムラマツキャップ、チームEYESのヒウラキャップ、MYDOの薩摩隊長、そしてPATの村上隊長と鏡京太郎である。
まず初めに京太郎とナオキが何故TAC基地に向かったのか。
そして行方不明のTACとナオキは何処にいるのかなど自分の素性も含めて全部話した。
皆は京太郎が二次元人と地球人のハーフであること、TACと立花ナオキが二次元にいることに驚きを隠せなかった。
「まさかTACと立花ナオキが二次元にいるとは…とても信じられん!」
さすがに驚いている長官に村上は
「無茶は承知でお願いがあります長官!実は二次元に行くことを許可して欲しいんです」
「村上君!本気で言っているのか!」
驚いて小野寺参謀が聞き返すと
「参謀。私は本気で言っています。京太郎君の言った通りインベーダーとグロース星人が鏡の国を攻めているのならば大変な事態です。
もし仮に奴らが鏡の国を占領すればもう我々に安全な所はありません。奴らは三次元のあらゆる場所から攻めることが可能になるからです」
「しかし万が一二次元に行くことが失敗したら君たちは…」
「参謀!もう万が一などなんだも言っている暇はありません!長官!許可してください!お願いします!」
村上が頭を下げるとムラマツ、薩摩、ヒウラの3人も
「私からもお願いします」
「お願いします」
「お願いします」
長官と参謀は黙って彼らを見つめた。

しばらく黙った後長官は
「わかった。許可しよう。その前に村上君。どういうメンバーで二次元に行くつもりなんだ」
長官が聞くと村上は
「京太郎君と我々PATが行きます」
その返事を聞いたムラマツとヒウラは
「村上隊長。我々もいっしょに行きます」
「しかしムラマツキャップもヒウラキャップは…」
「自分たちの機体がなくてもPATの戦闘機に乗せてもらえば結構です。
それにPATの機体は合体と分離する機体が多いので人数が多い分その特徴を活かせるじゃないですか」
「もうしわけありません。協力してもらって」
こうして二次元に行くメンバーは決まった。そのやりとりを見ていた長官は
「よし!メンバーは決まったな。次は村上君。どういう方法で二次元に行くつもりなんだ」
「まずは我々の戦闘機のある格納庫にTACが使用した異次元転送装置を取りつけます。
こうすることで短い時間で出発することができます」
「つまり村上君。君は格納庫一つを転送装置にするということだな」
参謀が聞くと村上は
「その通りです。後は京太郎君に調整を手伝ってもらえば、明日のお昼前には出発できます」
村上から説明を聞いた長官は
「村上君と京太郎。君たちは現場の指揮をしてくれ。そしてSGMのみんなに懐かしい顔ぶれが来ている」


すると小野寺参謀が村上隊長が入ってきたほうに目をやり
小野寺「お入りください」
するとドアが開き数人の人影が入ってきた。
それを見るなり開口一番、
村上「先生、藤本、野村君どうしてここに」
そうそれは元SGMメンバーの御手洗博士、藤本武、野村由紀の三人だった。

御手洗「うむ、京太郎君がここにきていると聞いてね来てみたんだ。そしたら村上君、君にも会えるなんて
藤本「チーフずるいですよ。俺を置いてけぼりにして安田や野村君とグロース星人を相手にするなんて」
村上「すまんな藤本、だが、先生の護衛として君を残したんだ解ってくれ・・・しかし、参謀、長官これは」
嵐山「募る話もあるようだが本題に入ろう」

小野寺「村上隊長、野村隊員を除く、元SGMメンバー御手洗博士、藤本隊員、御手洗朝子隊員の3名は本日付けでPAT特別隊員とした。
    すでに4人の承諾は得ている。そして、パリ支部の岸京一郎隊員を加えた5名をPAT日本支部に編入した。異存は無いかね」
村上「ありません。しかし、なぜ急に…」
御手洗「簡単なことさ、また京太郎君や村上君と一緒に戦いたいのだよ。地球のために。」
藤本「チーフ、いや村上隊長、またよろをくお願いします」
御手洗「村上君、今は村上隊長だったなよろしく頼むよ」
村上「しかし先生、朝子君の姿がありませんが」
御手洗「朝子なら、こちらに来るなり京太郎君の下に向かったよ」
一同「わはははは」
こうして地球人が二次元に行くという計画が始まった。


バダム大本部。
『大いなる意志』によって蘇った悪の者の中で、バダムの旗の元に集った者達が活動の拠点とするこの施設の地下深くに、「黒の間」と呼ばれる誰も存在を知らない一室があった。

その暗い闇に包まれる、この部屋の中で空間の切れ目の中で光る物と対面している一人の男の姿があった。

暗闇の中で顔を見る事はできないが、マントを身にまとっているこの人物こそが“ こちらの世界 ”で『大いなる意志』で蘇った者達の受け入れるための組織“バダム”を作り上げたバダム大首領であった。
だが、その存在を知り姿を見た者は、世界が重なる直前に追い詰める事ができた10人ライダー達のみであり。
基本的にバダムに参加したものは、施設等を自由に使い各々が個別に活動しているので蘇った悪の者達は、『大いなる意志』が全て整えていると思っているのであり、
「もしかしたら『大いなる意志』とは別に首領がいるのでは?」とおぼろげに思っている者は、わずかにしかいないのであった。

「貴方様と直接コンタクトを取った者がいると聞きましたが」
「ああ、キャプテンゴメスがブレインを使ってな」
空間の割れ目から光りが答えた。
そう、この光こそが『大いなる意志』なのであった。
「して、どのような事を尋ねられたので?」
「何故善悪問わず多くの死んだ者達を蘇らせている?と聞いてきたのでこちらで使う肉体を望んでいると答えておいた」
「また、お戯れを。時が満ち全てが整った暁には、貴方様はこちらの世界に降臨されるではありまらんか」
苦笑しながらバダム大首領は言った。
「混沌が深まり、“ 奴ら ”の私を封じる力も弱まってきている。仮の肉体を借りてそちらの世界を覗く事もできそうになったのでな」
「左様で」
「バッカスフンド、ダダロイドのような機械や機械生命体、バルガイヤーの様な生命体
等で乗り移れるか試したがダメだった。まぁ、奴らも私の血肉として役には立つがな…それはいい、そこで、光の巨人・ウルトラマンのような肉体を望んでいると答えておいた…
奴らはどう動くかな。フフフ」
『大いなる意志』は静かに笑った。
「貴方様が、こちらにこられるならば深度はさらに進みますな。
光と闇が造りだす深き混沌。混沌が深まるのは、もはや誰にも止める事はできませぬ。
あれがその深き混沌の中から生まれる、その時こそが!」
「ああ、奴らに復讐を果たし、世界を還る時だ」
大いなる意志は 静かに言った。

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最終更新:2013年04月18日 22:13
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