89船は超空間を抜けると、ようやく管理センターのドッグへと戻って行った。
「どうやら戻ったようだな」
「ああ、みんな、出るぞ!」
創介が外を確認すると、南條の掛け声と共に船を出た。
「江口君、みんな!」
「橘さん!」
南條達を向かえたのは橘秘書官であった。
「何とかして綾さんは救い出せました」
「ええ、これもみゆきさんがいてくれたからよ」
みゆきが橘秘書官に綾を救い出せた事を話すと橘秘書官は労いの言葉を掛けた。
「南條、創介、戻ってきてくれたのね」
「香織…」
「ああ、戻って来たさ」
デブリの回収作業を終えた香織も管理センターに戻っており南條と創介との再会を果たした。
「香織、もうデブリの回収は済んだのか」
「ええ、スペシャルポリスの地球署の人達も協力してくれたからすぐ終わったわ」
創介に聞かれると香織は地球署の協力があったと答える。
「でもそれだけじゃないぜ、お前達CRの力があってこそだ」
「南條…」
「南條の言う通りだ、お前もエンジェル275のリーダーだからもっと自信を持て」
三人は会話に華を咲かせていた。
一方の綾はまだ気絶したままであった。
「江口君、綾さんの事は頼んだわ」
「ああ、目が覚めたときには記憶が戻っているといいけどな」
江口は綾を担ぎ上げながら橘秘書官に頷く。
「付き添いは私がやります」
「ええ、頼むわ」
みゆきは綾の付き添いをする事になり二人は医務室へ向かって行った。
一方のバッカス三世号の船内でももう一つの再会があった。
デブリの回収作業を終わらせた新星拳がデカレンジャーの5人と訪れていた。
「キャプテン、お久しぶりです」
「拳、お前の活躍は良く聞いている」
拳とキャプテンがしっかりと握手をした。
「拳、約束を果たしくれてありがとう…」
「ヒメ、俺も忘れていなかったさ!」
握手を終えるとヒメが拳に近寄ってきて思いっきり抱きしめた。
「再会か、先輩は元気っすかね」
「テツ、あいつは戻ってくるさ」
その光景を横から見ていたホージーとテツが地球署にいるバンの事を思い出していた。
しかし、拳にもう一つの意外な再会が待ち構えている事を彼本人も知る由も無かった。
そのとき、管理センターを突如、謎の揺れが襲った。
「一体何が起こったの?」
「モニターに映します!」
モニターに映ったのは一台の戦闘機が管理センターの周辺を攻撃していた。
「戦闘機一機で何をしようと言うの…」
橘秘書官は驚きを隠せない。
一方の医務室も揺れに襲われていた。
「綾さん!」
みゆきがベッドの綾を抑えていた。
「みゆきさん、俺が外を見てくるから綾ちゃんを頼むよ」
「ええ!」
江口は外を確認するため医務室を出た。
「あれはウルフクロー、奴が生きていたのか!?」
拳がその戦闘機、ウルフクローを見ると船を出ようとする。
「拳、何処へ行くんだ!」
「俺があのウルフクローを叩きます!」
リュウに言われると拳は叩くことを告げると船を出た。
「みんな、教官を追うぞ!」
ホージーに促されデカレンジャーは拳を追う事になった。
拳は管理センターの近くまで来ると目の前でウルフクローがVTOL方式で着陸した。
「モーガン…会いたかったぜ」
ウルフクローからスサンダーが飛び降りた。
「スサンダー、生き返ったのか!?」
「ああ、貴様を始末する為に地獄から帰ってきたのさ」
「ならば俺も容赦はしない、これを見ろ」
『ジャッジメントタイム』
「スペシャルポリスにでもなったとでもいうのか、その正義面が気に入らないんだよ」
拳はスサンダーにSPライセンスを見せる。
「デリートの許可は出た、貴様はもう終わりだ」
「終わりだと、それは貴様の方だ!」
「おのれ…」
スサンダーは自信に満ち溢れたように高笑いし始めた。
「俺は新たなる力を手に入れた、ウルフアタッカーなんぞ一緒にするな!」
「スサンダー、何が起こるんだ!?」
突如としてスサンダーの体が青白い光に包まれ巨大化していった。
江口は橘秘書官に会うため管制室へと入った。
「橘さん!」
「江口君、ちょっと大変な事になったの」
「大変な事って…怪獣!?」
江口がモニターを見るとそこには管理センターを襲う改造オニデビルが映っていた。
「きゃあ!」
「うわわっ!」
管制室を再び大きな揺れが襲った。
その揺れは改造オニデビルが角からの光線で管理センターを襲っていたのであった。
「スサンダー、貴様はヴァルナの戦士である事を忘れたのか!?」
「ヴァルナだと、俺はそれを遥かに超える超獣人間となったのだぁ!」
改造オニデビルは拳に光線を放つが、拳は素早くかわす。
「もう貴様はヴァルナでは無い、悪魔に心を売った愚か者だ!」
「何度でも言え!」
改造オニデビルは再び拳に光線を向ける。
「ぐわぁぁぁ!」
その時、四機の戦闘機が改造オニデビルを攻撃し、改造オニデビルは吹き飛んだ。
「あれはパトウイング!」
拳がその戦闘機、パトウイングを見て確信する。
「おのれぇ、うるさい蝿めが、うわっ!」
立ち上がる改造オニデビルにデカバイクが突進した。
「特捜変形!」
デカブレイクの掛け声と共にデカバイクはデカバイクロボへと変形した。
デカバイクロボと四機のパトウイングは改造オニデビルの前に並んだ。
綾は突如として暗闇の中にいた。
「望月綾…君は光を導く者だ」
「あなたは…」
彼女の目の前には黒い服の青年が立っていた。
「君に光を導く者としての力を与える為にここへ来たのだ…」
「光を導く者…」
「今、君が守りたい人の為にこの力を使うがよい」
「ええ…」
すると、綾の体が光り輝き始めた。
「君の操作されていた記憶も元に戻った…頼むぞ」
「はい!」
綾は強く頷いた。
医務室では記憶を取り戻した綾が目を覚ましていた。
「あっ、ここは…」
「綾さん、気づいたみたいですね、あなたは月の管理センターに戻りましたよ」
「って私、誰かにリロコボイって星に連れ去られた筈じゃ…」
「でも南條さん達があなたを助け出したんですよ」
みゆきは綾に事情を話す。
「私、不思議な夢を見ていたのです」
「不思議な夢?」
「夢に黒い服を来た人が私に対して君は光を導く者だと言ってきました」
綾もみゆきに夢に黒い服の青年が出てきた事を話す。
「きゃっ!」
「何があったの?」
と、その時、医務室にも改造オニデビルの攻撃による揺れが起こった。
「くっ、もう奴はヴァルナの戦士である事を忘れたのか」
拳はオニデビルを見て怒りに燃え上がった。
「喰らえ!」
「ぐわぁぁぁ!」
オニデビルがデカバイクロボの足元にビーム攻撃を放つ。
「テツ!」
それをパトウイング2から見ていたホージーが叫ぶ。
「ま、負けられるかぁ…」
「そうほざいていられるのもそれまでだ!」
デカブレイクがオニデビルに対し見得を切るとオニデビルが再びビームを放とうとした時…。
「ぐっ…」
パトウイング達とは別の方向からオニデビルを遅い、吹き飛ばした。
「くぅ、俺をじゃまする奴がいるのか…」
オニデビルがその方向を向くとその方向にはレオガイアス2と宇宙巨獣デフロッグが立っていた。
「まだこれだけの敵がいるなんて…」
「そんなぁ、勝てるのぉ」
デカグリーンとデカピンクがそれぞれ絶句する。
「ならば今のうちに大鬼さんを攻撃するわよ」
「ああ」
デカイエローがオニデビルの攻撃を促すとそれにデカブルーが答え、
パトウイング達とデカバイクロボはオニデビルに攻撃を始めようとした。
一方、管理センターの内部では警備兵とCRの隊員達が突如現れたザコール兵達を迎え撃っていた。
「動くな!でなければ撃つぞ!」
「まあよい、こいつらを始末しろ!」
ザコール兵の指揮をしていたのは綾を連れ去った有働貴文であった。
彼は転送装置を使い再び管理センターに現れたのであった。
そしてザコール兵達は手持ちの武器ザコンボーからの光線で次々と警備兵を倒していく。
「よし、管制室を抑えろ!」
警備兵を全て倒すと有働はザコール兵達に管制室へ向かう事を指示した。
「おおっ、凄い力がみなぎってくるぞ!」
オニデビルの体が青く光りだした。
「一体何が起こっているの!?」
デカピンクがそれを見て絶句する。
「そんな、時空震動波が!」
デカグリーンがレーダーを見ると物凄い時空振動波をキャッチした。
「グギャァァァ!」
その掛け声と共に上空がガラスの様に割れその赤い空間から火炎人ファイヤー星人と信号超獣シグナリオンが出現した。
「オニデビルよ、今ヤプール様がハイトロンエネルギーを注入した。今まで以上のパワーが出るぞ」
「ありがたい、その力で邪魔者どもを粉砕してやる」
オニデビルはファイヤー星人からハイトロンの事を聞かされる。
一方の監理センターにもハヤテ隊長達ガロワ基地の隊員達が救援に駆けつけた。
「隊長、この辺りの宇宙人はあらかた片付けました。」
「よし、管制室へ向かうぞ!」
「はい!」
ハヤテ隊長がキシナガ副隊長らに管制室へ向かう指示を出した。
「隊長、見てください…!」
「何があったんだ…まだいたのか!」
キシナガ隊員が指を刺した方向にはもう一人宇宙人が立っていた。
「何者だ!?」
「俺はヤプール様の腹心、レボール星人だぁ!」
ハヤテ隊長が叫ぶとレボール星人が襲い掛かってきた。
「くっ、ならば容赦はしないぞ!」
ハヤテ隊長は銃を構えレボール星人を迎え撃つ。
その時、レオガイアス2がオニデビルにワープウェイブ砲を放った。
「ギャァァァオ!」
オニデビルの前にシグナリオンが立ちはだかると頭にある三つの信号が同時に輝き始め光の壁の様なバリアがワープウェイブ砲を跳ね返した。
「ぐおぉぉぉぉぉ!」
レオガイアス2に跳ね返ったワープウェイブ砲が命中し宇宙の果てまで消えていった。
皮肉にも自らの最強攻撃で散ってしまったのであった。
「次はお前だぁ!」
ファイヤー星人が炎の剣を振りかざし、一気にデフロックを真っ二つにした。
「くっ、何て強さだ…」
「万事休すね…」
デカグリーンとデカイエローが超獣達の強さに圧倒される。
その頃、地球署では監理センターの橘秘書官とパンゲアで通信していた。
「月にバンを向かわせます」
「ええ、頼みます」
ドギーがバンを向かわせる事を告げると橘秘書官は強く頷いた。
「ボス、もう準備は出来ていますよ」
「バン…」
指令室にバンが入ってきた。
「パトストライカーがあれば月まで一飛びですよ」
「パトストライカー?パトウイングじゃなくて」
「やっぱり俺には宇宙一のスピードのパトストライカーが似合いますから」
スワンの疑問にバンが答えた。
彼にとってはそれだけは無さそうだ。
「では、早速月へ向かってくれ」
「ロジャー!」
バンは指令室を離れデカマシンのドッグへと向かって行った。
「エマージェンシー、デカレンジャー!」
バンはパトストライカーに着くとデカレッドへと変身した。
「疾風怒濤、宇宙最速、行くぜぇぇぇ!」
パトストライカーにデカレッドが乗り込むとドッグの扉が開き、
パトストライカーは全速力で月へと向かって行った。
「行くぞ!」
レボール星人は猛スピードでハヤテ隊長達に迫ってくる。
「ぐっ…追いつけるのか!?」
ハヤテ隊長が気を取られた隙に隊員の一人がレボール星人倒にされる。
「見たか、ハイトロンの力で猛スピードで動けるのだぁ!」
レボール星人はハイトロンの力で猛スピードを手に入れたのであった。
「勝てますかね…」
「何とかして奴を倒すぞ」
キシナガ副隊長が不安がるとハヤテ隊長が銃を構えながら指示を出す。
その時、何かがレボール星人に迫りかかってきた。
「あれは、綾さんを連れ去った」
キシナガ副隊長が確認すると紛れも無くザ・ワン・イドロビアであった。
「き…貴様はウオノメ・マナコの手の者か?」
「その通りだ」
ザ・ワン・イドロビアはレボール星人の首を掴みあげながら答えると、レボール星人を軽々と振り投げる。
「う…なんて強さだ…」
壁に叩きつけられたレボール星人はザ・ワンを見ながらガクリと倒れてしまう。
「くっ、どうやら今度は俺達のようだな…」
「隊長…」
ハヤテ隊長は目の前に落ちていたレーザーライフルを手に取るとザ・ワンに構えた。
「グォォォォ!」
ザ・ワンがハヤテ隊長に迫るとレーザーライフルの銃身を叩き折る。
「ここまでか…」
「ぐわぁぁぁぁ!」
ハヤテ隊長が覚悟を決めたその時、ザ・ワンの足元をディクテイターの銃弾であるハイパーブリット弾が撃ち込まれた。
「ハヤテ隊長!」
「南條君達か!」
そのディクテイターを撃ったのは南條と創介であった。
「はい、俺も南條さん達と無事合流できました」
「よし、これで人数は揃ったか」
プラグローダを構えた江口がハヤテ隊長に事情を言うとハヤテ隊長は余裕の笑みを浮かべた。
「私達もいます!」
「綾さん!」
別の方向からは綾とみゆきがいて、嬉しそうにキシナガ副隊長が叫ぶ。
一方のデカレンジャー達は超獣の攻撃により苦戦していた。
「くっ、なんて奴だ!」
パトウイングの攻撃をシグナリオンのバリアで防がれ、デカグリーンが絶句する。
「喰らえぇ!」
「テツ! 」
オニデビルとシグナリオンのビーム攻撃でデカバイクロボは一歩も動けず、それを見たデカブルーが叫ぶ。
「こ、このままじゃ…。」
『何弱音を吐いているんだ!』
「その声は…先輩!」
その時、デカバイクロボにデカレッドからの通信が入りデカブレイクが確信する。
「バン…」
『どうしたんだよ、相棒!』
「相棒か…久々に聞けて嬉しいぜ」
デカブルーもデカレッドの通信を聞いて嬉しそうに頷く。
「何処を見ている!」
ファイヤー星人がデカバイクロボに炎の剣を振りかざしたその時…。
「うぉ、何だ!?」
パトストライカーが猛スピードで横切り派手なドリフトを決めでデカバイクロボの目の前に止まった。
「先輩!」
「テツ、俺が来たから安心しろ!」
デカレッドがデカブレイクに自身満々に頷く。
「バン、無事だったのね…」
「まさに友達の輪ね」
「来てくれて嬉しいよ」
「頼むぜ…俺の一番の相棒!」
ピンク、イエロー、グリーン、ブルーの順にデカレッドに声を掛ける。
「ああ、みんな行くぜ!特捜合体!」
デカレッドの叫び声と共にパトストライカーと四機のパトウイングが一点に集まった。
それを見たシグナリオンがパトストライカー達にビームを放とうとしていた。
「俺がいる事を忘れるな!ソードトルネード!」
シグナリオンにデカバイクロボが高速で近づいて一気に必殺技ソードトルネードで切り裂いていく。
「ギャァァァァ!」
デカバイクロボが止まりシグナリオンの方を向くとシグナリオンはそのまま爆発と共に砕け散った。
そしてパトストライカーと四機のパトウイングが上空で合体した。
「ビルドアップ!ウイングデカレンジャーロボ!」
新たなる巨大ロボ、ウイングデカレンジャーロボはムーンタウンの大地に降り立った。
「よし、ここはデカレンジャーに任せて俺は管理センターに向かおう」
デカレンジャーに任せると拳はハヤテ隊長達の援護の為、管理センターに向かって行った。
「そんな玉ごときで…」
「させません!」
ザ・ワンが綾に爪を向けようとした時、ドリームボールが輝き、綾の周辺にバリアを貼った。
「ぐっ…」
攻撃を防がれたザ・ワンが立ちすくむ。
「ここで一気に止めを…」
「南條君、待つんだ、ここは通路だから攻撃して爆発が起こったら我々も巻き込まれるぞ」
「くっ…」
南條がディクテイターをザ・ワンに向けるとハヤテ隊長に止められる。
「このままではやばい…」
その隙にザ・ワンは外の方へと逃げて行った。
ザ・ワンが撤退したのと同時に拳が南條達と合流した。
「君は?」
「俺はスペシャルポリスの新星拳です」
ハヤテ隊長に聞かれると拳はSPライセンスを見せて証明させる。
「新星君、我々は管理センターを襲った怪物を追っている、君も協力してくれないか」
「勿論です、ヴァルナの力を奴に見せてやります」
ハヤテ隊長に頼まれ拳は頷く。
「ハヤテ隊長、ザ・ワンが向かった所はドリームボールが教えてくれます」
「よし、頼りにしているぞ!」
「はい、行きましょう!」
綾がハヤテ隊長にドリームボールがザ・ワンを感知している事を言う。
一同は綾を先頭にザ・ワンの追跡を始めた。
「よし、我々もデカレンジャーには負けてはいられないぞ!」
「はい!」
バッカス三世号のブリッジではキャプテンがクルーに対して決意を話しリュウが頷く。
「発進準備が出来ています」
「よし、これよりデカレンジャーの援護に入るぞ、発進!」
ヒメが発進準備が終わった事を伝えるとキャプテンは発進の指示を出す。
そしてバッカス三世号はデカレンジャーと超獣達の戦いに向かって行った。
「そんなこけおどしが通用するか!」
ファイヤー星人は炎の剣を振り回しながらウイングデカレンジャーロボに向かってくる。
「行くぜぇ!パトマグナム乱れ撃ち!」
デカレッドの一声でウイングデカレンジャーロボが二丁のパトマグナムをファイヤー星人に連射した。
「何故だ…この俺が…」
銃弾が次々とファイヤー星人に命中し爆発と共に砕け散った。
「おのれ、よくもファイヤー星人を!」
オニデビルがウイングデカレンジャーロボにビームを放つが、飛行してそれをかわす。
「バン、一気に決めるぞ」
「OK!行くぜぇ!」
デカブルーに促されるたデカレッドの叫びと共にウイングデカレンジャーロボがオニデビルを蹴り上げる。
「喰らえぇ!」
「ぐおっ!」
蹴りをまともに喰らったオニデビルはそのまま吹き飛んでしまう。
ウイングデカレンジャーロボがムーンタウンが見えなくなる位の高度まで飛んだ。
『よし、超獣を一気に月から引き離すんだ』
「OK!行くぜ!」
リュウからの通信にデカレッドが答える。
そしてウイングデカレンジャーロボがオニデビルを月の外側へと投げ飛ばし二丁のパトマグナムを構えた。
「行くぜ!コスミックシュート!!」
「よし、一斉発射だ!」
オニデビルがかなりの距離から離されるとウイングデカレンジャーロボがパトマグナムを連射し、
バッカス三世号も全ての砲門を開きオニデビルに向け一斉にミサイルとレーザー砲を放った。
「うぉぉぉぉ、リージャぁぁぁ…」
オニデビルは最愛の妹、リージャの名を叫びながら爆破と共に散っていった。
「ウォンチュ…」
ウイングデカレンジャーロボがポーズを決めるとバッカス三世号と共にムーンタウンへ向かって行った。
何とか外へと出たザ・ワンを南條達が追い詰めた。
「くっ、ここまで追い詰めるとは…」
「ここまでだ、観念しろ!」
たじろぐザ・ワンに江口がプラグローダを向ける。
そこにデカバイクロボから降りたデカブレイクもザ・ワンの後ろから現れた。
「おっ、デカブレイクか!」
「新星教官!」
「よし、あの化け物に一発お見舞いしてやれ!」
デカブレイクが拳に頷く。
「行くぜ、電撃拳エレクトロフィスト!」
デカブレイクが左腕を地に叩き付けザ・ワンに向かい電撃を放った。
「よし、俺も行くぞ!」
江口もプラグローダを撃ち、そこから放たれたグレネード弾がザ・ワンに命中し、炎と電撃に包まれた。
「ぐぉぉぉぉぉ!!」
炎と電撃に包まれたザ・ワンは唸り声を上げながらその炎と電撃を吸収していく。
「何が起こっているの…」
それを見たみゆきが絶句する。
それは南條達も同じであった。
「ギャァァァァオ!!!」
ザ・ワン・イドロビアは炎と電撃をエネルギーとし、ザ・ワン・ベルゼブアへと巨大変化した。
本来、ザ・ワンは動物を吸収して変化するのだが大いなる意思の力で復活した彼は様々なエネルギーの吸収で変化する事が可能となった。
「奴に餌を与えたとでも言うのか…」
ハヤテ隊長がザ・ワン・ベルゼブアを見て呟く。
それと同時にオニデビルを倒したウイングデカレンジャーロボとバッカス三世号が戻ってきた。
「げっ、まだ怪獣がいたのかよっ」
ザ・ワンを見てデカレッドが驚く。
「そんな、パトマグナムの銃弾も超獣との戦いで使い果たしているのに」
デカグリーンがパトマグナムの残量表示を見て唖然とする。
「どうすればいいだんだよ!」
「ダン、落ち着け。今、奴を俺とヒメで解析を行う」
慌てるダンをリュウが落ち着かせる。
しかし、ザ・ワン・ベルゼブアの火炎弾がバッカス三世号を襲い、ブリッジで大きな揺れが起こる。
「ぐっ、解析も許さないのか…」
キャプテンが揺れの中で悔しそうな表情になる。
「あっ、あの人達が…」
「綾さん!」
綾がウイングデカレンジャーロボデカレンジャーロボに駆け寄る。
それに気づいたみゆきが叫ぶ。
「頼む、あの人達に力を貸してあげて!」
綾はドリームボールをウイングデカレンジャーロボに向けると、ドリームボールから光が放たれウイングデカレンジャーロボとバッカス三世号が輝き始めた。
「この光は…」
デカブルーがその光を感じ取る。
「あっ、パトマグナムの銃口に光が集まっている」
デカイエローがモニター越しからパトマグナムの銃口を見るとドリームボールの輝きを感じ取っていた。
「キャプテン、ビーム砲の銃口に何か凄いエネルギーが集中しています」
「よし、今から勝てそうだ」
一方のバッカス三世号でもビーム砲にもドリームボールの光が輝いていた。
ヒメの報告を受けキャプテンは勝利を確信するかのように促した。
「こうなりゃこの光をあの怪獣にぶつけるぜ!」
デカレッドの叫びと共にパトマグナムの光を撃ち込んだ。
「よし、一気に光を撃つぞ!」
「了解!」
同様にキャプテンの指示でバッカス三世号から光が放たれた。
「グォォォォ!」
ザ・ワンは火炎弾で対抗するが光にかき消されてしまう。
「ギャァァァァ!」
ザ・ワンに光が命中し、ザ・ワンは光の中へと消えてった。
「やったぞ!」
「おおっ!」
ザ・ワンを倒した事により一同が大歓声をあげる。
超獣やザ・ワンとの戦いが終わり月に再び平穏が訪れた。
「市長、冴島がバダムから得ていたデータをまとめたディスクです」
「ご苦労、これは通信網が完全回復したら008の大原博士に届ける事にするが異論は無いかね?」
「勿論です。バダムの技術を何とかして我々の方で活用すればこの戦いも早く終結できます」
管理センターの市長室では橘秘書官が冴島が得ていたバダムのデータを集めたディスクを市長に渡す。
そのディスクの中には先のリロコボイ潜入に一役買った転送装置のデータだけでなくバダムに関する様々なデータが詰まっていた。
「防衛の方は当面はガロワ基地とスペースコマンドの皆様に任せます」
「うむ、キララもムーンサンダーもいない今、彼らしかいないな」
橘秘書官の報告に市長に頷く。
「市長、ですが先程の戦いが終わった今、また一歩平和に近づきました」
「そうだな」
橘秘書官の言葉は確かな物があった。
ムータウンの宇宙港では輸送用のウルトラHSTとバッカス三世号が停泊していた。
「拳、俺達の元に戻ってきてくれて嬉しかったぞ」
「キャプテン、俺もです」
キャプテンと拳がガッチリと握手をする。
「拳、スペシャルポリスの方でも頑張ってくれよ」
「はい、リュウさんもお元気で」
リュウも労いの言葉を掛ける。
「また私達の前に戻ってきてね」
「ああ、今度は平和が戻ってきた時にな」
「ええ!」
拳はヒメに平和と共に戻ってくる事を誓った。
「新星教官、行きましょう!」
「おっ、もうデカレンジャーの来たので俺はもう行きます」
拳が声が聞こえてくる方向を向くとデカレンジャーの6人がいた。
「ああ、地球の平和は頼んだぞ」
「はい、それでは地球署に戻ります」
キャプテンと再び握手をすると拳はデカレンジャー達と共に地球署へと戻って行った。
(スサンダー、リージャと一緒に宇宙で眠れ…)
拳は広がる宇宙を見ながら散っていったスサンダーと、その妹リージャの事を思い出していた。
一方、南條達89師団とみゆき達が地球へ向かう為ウルトラHSTに乗り込もうとしていた。
南條達は地球にいる澤田と弥生を助ける為、地球へ向かう事になった。
「綾さん、本当に君も地球に向かうのか」
「はい、澤田さんと弥生さんを助けたいのです」
「ああ、それなら無理はするなよ」
綾はハヤテ隊長に決意を話す。
「南條、創介、必ず戻ってきてね」
「ああ、約束は守るさ」
「月は任せたぜ」
南條と創介も香織との再会を誓い合っていた。
「みゆきさん達もお元気で。」
「ええ、絶対に平和と取り戻してみせます。」
キシナガ副隊長がみゆきに労いの言葉をかけた。
「みゆきさん、厳しい戦いになるだろうけど大丈夫?」
「ええ、平和の為に戦います」
「よし、その目は確かだ。頼むぞ」
みゆきはシーマに聞かれるとすぐに答えを出した。
ブーバもみゆきを見てその決意を感じ取る。
「ハヤテ隊長、俺達は一路、ウルトラHSTでMACの東京支部に向かいます」
「ああ、もし澤田君が見つかったら伝えてくれ」
「はい」
江口はハヤテ隊長に今後の事を話す。
南條達が乗るウルトラHSTはMAC東京支部に向かう事になった。
最終更新:2013年08月24日 00:51