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―――――――――ヘブン学園、開校式・第一期生入学式――――――――――――――







校長が、初めてお目にかかる生徒達の名を読み上げていた。


『五右衛門くん』

『はい』

『平幸くん』

『は、はい』

『えー・・・銭くん』

『ハイ(ハスキーボイス)』

『・・・ガールちゃん』

『男ですわ』

『・・・・・・・・・ヒレー君』

『ちなみに、俺はまだホモ属性じゃないぞ』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・熊くん』

『フンゴッ』


『以上三十三名、貴方達はこれよりヘブン学園の名誉と自らの将来の栄光に向かって勉学に励む優良な生徒となり、またいずれこの星を導いていく才能が開花していく事を祈ります』

校長が壇上から三歩で降りた後に拍手が起こった。





ヘブン学園はこの星で最初に出来た学校であった。
なので入学式の段階ですでに年齢に開きがあり、成人を迎えた者もまだ幼い子供の姿も見えた。

銭少年もその中の一人であった。

少年は机に向かって熱心に絵を書いていた。
それは彼の信じた妖怪の面であった。
丁寧に切り取って組み立てるとヘルメットのような形状になり彼はそれを被った。

外界の見えない暗闇が突如開けて、野獣が目の前に立っていた。

『フンゴッ』

『返せよ(ハスキーボイス)』

銭少年は大きな熊に向かって悠然と言った。

しかし熊は仮面が大層気に入ったようで返す素振りも見せず立ち去ろうとした。

そこで銭少年は頭突きを繰り出したがそれがいけなかった。

熊の一振りで少年が突き飛ばされると、近くに居た男が大笑いした。

『俺も混ぜろよ』

少年の頭上で、男と熊の大怪獣大決戦が繰り広げられて、大きい物同士のぶつかりあいはなんてロマンに溢れているのだろうと銭少年はしみじみ思っていた。






銭少年が五右衛門くんに連れられ、夕暮れの空き地に出向くと、成績優良の平幸くんが照れくさそうに立っていた。

『面白いものってなんなの?(ハスキーボイス)』

『これだよ』

空き地の真ん中には、大きな角を天に突き出した巨人の姿があった。

『これは・・・(ハスキーボイス)』

『俺たちが考えたんだ』

『それで、それだけじゃ済まず、結局作ったんだ』

『こいつはいずれ、俺たちの野望の根幹になるぜ』

『野望じゃないけどね』

『校長先生の言ったとおりだ!五右衛門くんたち、きっとすぐにでも卒業できるくらいの評価がもらえるよ!(ハスキーボイス)』

『おっと大人には言うなよ、これはまだ完成じゃない、完成してからこの世を驚かしてやるんだからな』





その夜、三人はへんな夢を見たのだ。



校長の友だちだというおじさんが耳元でささやく。













枕にするなと。
















それはともかく、次の日にヴァイスくんが(他に学校はないのに)転校してきて、ヘブン学園は大きくなっていったのでした。

日に日に成長していく生徒達を見て、校長はにやにやしていました。
生徒達はみんなヘブン学園が復讐の為にあることを知らないからです。

校長の自転車は事故にあってからずっと車輪を失ったままでした。





                                  ―――12年55組1番 半滑宮







『へんなレポート出すなよ』

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最終更新:2011年10月03日 17:57