黒い海に浮かぶ砂浜のような砂漠の島。ほとんど水平線の彼方までそういった地形が広がっている。地形改造の失敗のつけは大きくこの世界は死につつある。この星の名はトンドル。ここは死にゆく世界だ。
唯一残された空。青々と広がるその空間には白い雲が浮かんでいた。そこを一筋の黒い物体が横切っていく。黒いウサギだ。少なくともそう見えた。長い耳が頭から生えたそれはどこかへ向かっていく。
ふとそれがひとつの島に降りた。ウサギの胸が割れ、その内部が露出する。そこから一人外に出てくる。滅びつつあるトンドルであったがまだその空気は汚染されておらず生身で外出はまだ可能であった。人影はヘルメットを脱いだ。その人物の薄い茶色の髪が風に揺れる。
『来る・・・』
そうつぶやくと彼女は空を見上げた。水平線の向こうから赤い光がやってくる。
『決着をつけよう、ヴァーミリオン』
そのアームヘッドを見上げウサギの中でニキータは言った。
最終更新:2012年10月26日 20:28