情報通りだ、テロリストの攻撃をあえて放置したのはスカージの力を内外に示すためである。
スカージはスターシステムの他に強化装甲マーダーマスターを装着したフルアーマーモードである。
アームコア反応は2,3,7,4,1,3,2といくつかバラけて複数。

ヴァントーズと弥生の混成部隊、テロリストが旧型機体を奪い武装。
スカージは両肩のサブアームを展開、二機を先端で挟む、そして持ち上げ二機をぶつけお互いの角でアームキルさせ破壊。
放り捨て、さらにほかの反応へ向かう。次は七機集まっているところだ。七つの反応とあった他の反応が同時消失。

五機のレギオス、弥生、ヴァントーズの部隊に衝突。スターシステムを発射せずそのまま回転させアームキルする。
磁力制御によりスターシステムを回収していると不振な音。パチパチパチ。

――セイントメシアだ。

セイントメシアと対峙するスカージ。
「拍手うまくなったろう、マキータ」
「貴様は村井...?社長自らアームヘッドにのっているとはな」
スカージがスターシステムを展開する。セイントメシアが迫る。
十年前の機体ながらセイントメシアのスピードはスカージより上だ。
「なぜ我々が戦う?」
奴の問いには答えない!
ホーンスラスターソードの二本を両手に持ち迫るセイントメシアに構える。
だが二機の間に一機のアームヘッドが割り込む。灰色のアームヘッドだ。

「皇帝?」村井が驚愕した。

大きく飛び出た一対のアームホーンを持つ機体から声。
「なぜ戦うのだ、我々はもはや敵同士ではない」
「そうだ、我々の敵はブラザーフッドだ」と村井。
そのときだった。冷たい声がした。

"ククク、そうだなあ。敵はブラザーフッドだなあトーア。 そう――そいつがブラザーフッドだぞ"

"久しぶりだなあ兄弟"
「影の者か...」皇帝が言う。
「どういうことですか?このアームコアは一体...」村井が戸惑い声に疑念が宿る。
"おやおやトーアに伝えてなかったのかあ?我々はリズ連邦が見つけた七つのアームコア、セブンシスターズだ"

頭のなかでごちゃごちゃと五月蝿い。
俺はスラスターソードを灰色のアームヘッドに叩きつける、灰色のアームヘッドは倒れる。これで邪魔ものはいなくなった。
"いいぞおテーリッツ、このままとどめを"
「黙っていろ、セイントメシアは俺が倒す」
セイントメシアはいったん距離をとる。だがそのまま離れさせない、ソードを三本とも飛ばす。

一本目、足のアームホーンで落とされる、二本目、鎌に落とされる、三本目、いける!
だが、不自然に落ちる。

「――"アボーキー"」

急に……なんだ?これは?
俺はいったいどうしたのだ。ヒレーの仇が目の前にいるのに。
"テーリッツ"
確かに復讐はなにもうまない。
"テーリッツ"
ヒレーは、セイントメシアを殺すことを望むか?
"テーリッツ"

ヒレー...。
急に意識が、闇に沈んだ。



「……マキータ」
小賢しいトーアの声がする。惰弱な人間とは違う、余にはアボーキーなど効かぬ。

「余はダークハンターの皇、マキータなどではない」

久しぶりに体を手に入れた、我が体は徐々にバイオニクルの肉体を取り戻す、装甲が割れ剥がれ落ちる。
「アームヘッドと融合をしているのか!?」
「――"ヘルヴィジター"」
余の影から手が延び、一本の大剣をとる。
トーアが迫る、だが、影の手の剣が払い落とす。
いいぞお、馴染んでくる、やはりテーリッツが余の触媒に相応しかった。
かわいいあやつには余の復讐に付き合ってもらおう。
せめてもの礼だ、まずはあやつの復讐から片付けてやろう。

ヒレー...。


「まずは世界征服だ、次は世界を救ってやろう!」トーアはもうたてまい。
「世界を救う...?」
「知らなかったのかトーア?我々を呪う存在、そこで倒れているものが警告した敵の存在を聞かされていなかったのかあ~?」
「ブラザーフッドではないのか?それは...?」

「違う。奴の名は――エクジコウ」

「エクジコウ...?」
「ふん、もうたてまい、さあ楽にしてやる。……うっ」なんだ?体が動かぬ!
「今だ!」
...テーリッツ!
トーアが最後の力で突進、頭部の角で余の体を貫いた。

「まだだ、これでやつは倒せない、俺が動きを封じている間に頭をねじきれ!」

セイントメシアが影の者の首をつかんだ。
そして――

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

...こんなたくさんのドーナツ食べられないよお。

「ゆっくり食べていけ、時間はたっぷりある」

ヒレー、元気だったのか?
「ああ、向こうでよろしくやっている」
それはよかったぜ。いっしょにドーナツどうだ?

「いやもう時間がない。どうせなら、あのこといっしょに食べなさい」

――ヒレーが消えた。



「大丈夫か?」

俺は目をさます。
「スカージは...?」「やっつけたぜ」相手の顔を見る、村井幸太郎だ。
「終わったのか?」
「まだまだ終わりじゃない、お前の復讐もな」
「...いや」
「え?」
「俺は、ドーナツを食べて楽しく暮らすぜ」
「え?」


「いっしょに食おうぜ、幸太郎」



<ザ・リベンジ> 完

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最終更新:2014年07月16日 10:03