◎The After Wonder◎
◎Alter◎
「……キミは、それを選んだんだね。セント」
錆色の残骸の中で眠り続ける、少女のような少年に、「それ」は語りかけた。
まるで結晶のような透き通る瞳で、安らかに瞼を閉じた少年を見つめながら。
「……それが手向けになるかは解らないけど、
ボクはボクなりに、少しでも幸せに生きられるように努力してみるよ。
だから、おやすみ。
がんばったね――ボク」
何処で手に入れたのか、
「それ」は展開した背中の装甲の内側から、古ぼけた長布を一枚取り出すと、
別段少年が起きる心配もないにも拘らず、その華奢な体に静かにかけた。
そして踵を返すと、振り返ることもしないまま、
その銀色の体躯を揺らしながら、どこかへと去っていった。
◎System Shut down.
Good night, dear World.◎
最終更新:2015年05月13日 17:37