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 彼らは先日、私の国を出ていった。死せる魂は生きる大地に戻るのがヘブンの流儀なら、私がそれを拒む理由はない。
 そんな星へと還った彼らの娘が、両親の話を私に願った。
 特殊な出自の子だからそれを望むのも無理はない。しかし、話してやりたいが私にはいま残された力はない。今はトンドルに遮られヘブンに届きづらい。
 代わりに綴ってそちらに送ることにした。セフィロトを頼れば読めるはずだ。

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最終更新:2015年06月17日 00:19