これまでのあらすじ
御蓮に向かったアームヘッド・デベロッパー一行。
しばらく平和な旅が続くと思われたが、海底で蠢く謎の影...


ストーリー:カウンター・アタック
第12話「後悔バケーション②」


フェリーの一室。
貸し切られた大部屋は臨時の事務室になっている。
「コーバン部長、こちらにアームコア反応が近付いているようですが...」
「む、万が一の事もある...ハリッコ君、機体で待機してもらっていいか?」


「了解です、腕がなりますね」
「ハリッコ君、まだ敵と決まった訳ではないぞ?」
「...ええ、分かってますよ?」
そう言いハリッコは軽快なステップで格納庫へ向かっていった。
「...本当に分かっているのかね?」


ーーーーー


室内、廊下。
「ぜぜぜぜ...さっきからエラーが止まらないぜ」
レイルは廊下の手すりに掴まったまま動けない。
「レーラビくん、大丈夫?」
「もう暫くすれば慣れるはずだぜ...」


「あらあら...船酔い?新型は随分と再現度が高いですわ」
青紫の髪の女が二人の元へ歩み寄ってくる。室内だというのにフリル付きの日傘を開いたままだ。
「ぜぜ、お前は...レレラ」
「...レーラビくん、あの女の人と知り合いなの?」


「ええ、それはもう密接な関係ですわ」「えっ」
「適当な事を抜かすな...ただ製造元が同じなだけだぜ」
「...あらあら、最新型には冗談を理解する機能が付いていないのですわ...」
(よかった...冗談だったんだ)
冗談だと分かりアルカは何故か安心していた。


「で...レレラは俺を回収しに来たのぜ?」
レイルはよろけながらも右手の裾からアームホーンを出し構える。
「...あんな堅物のシリーズRやシリーズRRRと一緒にして欲しくないですわ」
日傘を持っていない方の手をひらひら動かし戦う意思が無いことをアピールする。


「たわくしも貴方達と同じく御蓮に用があるだけ、ですわ...良い旅を、シリーズRRRRとそのマスター君?」
そう言い青紫の髪の女...レレラは去って行く。
「悪い人じゃ...無いのかな?」
「...ぜぜ」


しばらくして振動と共にフェリーが停止する。
「あれ?どうしたんだろう」
「よくわからないが...嫌な予感だぜ」


ーーーーー


フェリーは海の中央で所属不明の水中用アームヘッド部隊に包囲されていた。
『そこの船舶に告ぐ...現在、我々は武装アームヘッドでお前達を包囲している!』
拡声装置(メガホン)を持った水無月(ジューン)が大音量で宣言する。


水無月の背後には、ホピトンM、フローシュ等の水中用アームヘッドが控えている。
「くっ...アームヘッドを悪用し海賊行為!よくないぜ...」
「でも、今ツヴァイは整備中...動かせる機体は」


『命が惜しければ...その船に積まれている"積荷"を差し出...あん?』
貨物室からコンテナが一つ投下される。海面に浮かぶコンテナ。
『へへ...やけに素直じゃねえか』
無用心に投下されたコンテナに近付くメガホン水無月。


赤熱し、内側から切り裂かれるコンテナ!
ワンテンポ遅れてメガホン水無月の片手が切り落とされる!
そこにいたのはハリッコ・ハリヤーマン専用機、フランベルグ!
『...我慢して待っていた甲斐があったわ!』




  • レレラ
女性型ヒューマノイドファントム。
レイルレーラビやレーリレイの同型機で、本人の意思に関係なく語尾に「ですわ」がついてしまう。
室内でも日傘を畳まない変人。


  • フランベルグ:Ad-EX01
デベロッパーのハリッコ・ハリヤーマン専用アームヘッド。
跳躍力を活かす機体構造や戦闘スタイルは後継機であるツヴァイヘンダーに引き継がれている。



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最終更新:2017年01月10日 15:35