#03
「合体、スカイローダー」
【あらすじ】
パイロットの不調もあり、純粋な戦闘アームヘッド「ヴァンデバン」との戦いに敗北しアルタルフは地上に落下し消滅した。
そして、意識を失ったユーツが次に目覚めるとそこは…
―――
天球のアストロノーチカ
#03
「合体!スカイローダー」
―――
ふと気がつくと、ユーツは"船の病室"で目を覚ましていた。
「…ここは?俺は確か……」
前の戦闘の記憶が蘇る。
不調とは言え純粋な戦闘用アームヘッド相手に手も足も出ず、地表に叩き落されたのだ。
「……セルムの医務室か?いや見たことないぞこんな部屋…」
ドアを開き部屋から出る。すると次の部屋には作業机で何か小さなミニチュアの飛行機ような物体を組み立てているノーチカの姿…
「ここはマクロトランサーの中だよ、今僕たちは損傷したアルタルフと一緒に圧縮されているんだ」
外の様子がモニターに表示される。
ヴァンデバンは上空を旋回し、ユーツ達を探している様子だ。
「すぐに戻らないと不味いな…」
「いや、今は戻らない方が良い…あのアームヘッド…ヴァンデバンを倒して、『捕獲されていた君がアルタルフが救助された』事にしよう… それに」
ノーチカが作業を止め、完成したミニチュアを掲げてみせた。
「新兵器が出来た、これがあればあいつに勝てるかも」
―――
…上空!
空中に居るヴァンデバンに向かって、復活したアルタルフが粒子ロケットで飛翔し攻撃を仕掛ける!!
『リベンジのつもりかい?その機体じゃ無理だよ』
「そいつはどうかな!」
アルタルフのロケット飛行アッパーをいなしたヴァンデバンに、黒いステルス機じみた形状の飛翔体が粒子ビームで攻撃を仕掛ける!
『新しいアームヘッドか!』
ヴァンデバンはそれをAABで弾き、腕の爪で反撃!だがステルス飛翔体は上空へと舞い上がって行きアルタルフと共に頭上へ!
「行くぜノーチカ!合体だ!」
「…スカイローダー、ユニオンシステムセットアップ!」
ステルス飛翔体…スカイローダーが変形しアルタルフのバックパックに接合される!
「アルタルフスカイロード!」
アルタルフが太陽を背に急降下パンチを放つ!
ヴァンデバンは鳥獣形態に変形し回避しようとするが、翼を得たアルタルフの追尾力が勝つ!
『なっ!?』
「ホーミングゲンコ!」
AABを貫通した拳がヴァンデバンの翼を砕き、空中での機動力を奪う!!
『痛っ!』
人型に変形し不時着するヴァンデバン!それを追って降下するアルタルフ!
「降参しろ!その機体のアドバンテージはもう失われた筈だ」
『嫌だね、邪悪の兄弟団の計画の邪魔はさせない』
「…計画だって?」
『僕たちはここ地球で神のアームヘッドを復活させる。船団の本隊が来る前にね』
ヴァンデバンはゆっくりと立ち上がり、再び戦闘態勢を取る。
「そんな大事そうな事を喋っていいのか?」
『いいも何も、今更地球に来るアームヘッド乗りなんて大体そんな感じでしょ、君たちだってそうなんじゃないの?』
「…僕は、どっちかというとその逆かな」
『えっ!そうなの?』
アルタルフが飛びかかる!
一方で飛行能力を失ったヴァンデバンはクローでの迎撃を余儀なくされる!
「ノーチカ!威力を制限して戦う力だけを奪うんだ…テトラブラスタービーム!!」
額から圧縮粒子ビームが拡散照射され…ヴァンデバンの四肢を切断!!!
『ひ、酷いよ〜〜!』
アームとレッグを失いただのヘッドと化したヴァンデバンは地面に落下した後に粒子爆発!
それを確認したアルタルフはスカイローダーと分離、共に輝きながら小さくなっていき消滅した。
「……勝った」
「スカイローダーがうまく作用したね」
暫くすると機能停止したアームヘッドの残骸から少年が飛び出す!
「うわーん!初めて負けた!覚えてろよ!!」
少年は捨て台詞を吐き、残骸から木へと飛び移って何処かへと去ってゆく。
「……何とかなったね、後は」
「どう誤魔化すかだな……」
強敵を倒したユーツの気分は暗かった。
この後セルムに戻ってアームヘッドとの関係を疑われないように説明しなければならないのだ。
もし自分がアームヘッドのパイロットと知られれば、監禁拘束…
その上一度致命傷を追いアームヘッドの力で復活したとなると、実験解剖が待っているかもしれない。
「…憂鬱だぜ、ちくしょう」
―――
【機体・組織紹介】
スカイローダー
宇宙用アームヘッドであるアルタルフに地球での飛行能力を与える為に開発されたアームジャケット(僚機と合体し機能を拡張する支援型アームヘッドの意)。
普段はマクロトランサー内に圧縮保存されており、ノーチカの操作で必要に応じて現れる。
邪悪の兄弟団
船団の本隊が地球に到着するより先に、伝説の存在「神のアームヘッド」を復活させる事を目的とする悪の組織。
天球の技術でアームヘッドを製造し、セルムと敵対する事となる。
―――
【次回予告】
スカイローダーの力で強敵ヴァンデバンに勝利したユーツだったが、彼を待つものはまたしても尋問だった。
胃に穴が空きそうになりながらも帰路に着く彼の前に、邪悪の兄弟団が現れ……
次回、#04「嘴(テンペスト)」
『同じものを狙っているのは、君たちだけじゃない』
最終更新:2021年09月08日 19:12