ここは「N.E.S.T.」跡地。
突然現れた怪獣「バイオニクル」と戦う防衛組織の本部基地・・・が、かつてあったはずの場所だ。
砂風が吹き抜ける。瓦礫で出来た荒野。
九人のN.E.S.T.隊員と、三人の謎の男が向かい合って対峙する。
???1「…久しぶりだな、ニトロ!」
ニトロ隊員「お前は…オレノア・ニーキッ!?」
ゼロ隊員「知っているのか?」
ニトロ隊員「ああ、アイツは俺の兄貴。行方不明になっていたのは大魔王の仕業だったのか…」
ニーキ「そう思うならそう思え。だが今話しているのはもちろん俺自身の意思だ。そう俺は大魔王様を受け入れた」
ニトロ隊員「ふっ…世話の焼ける兄貴だぜwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ニーキ「いつまでそうやって笑ってられるかな?」
???2「あぁ、また会いましたね」
ヨシダ隊員「貴様……タイーキか…!」
タイーキ「覚えていてくれたんだねヨッチャン。でも用があるのは君だけじゃないんだ」
カンタ隊員「お前は……あの時のアマ小説家ッ!!!?」
タイーキ「クリオネメイドさんと氷点下レストラン、読んでくれたかなぁ??」
カンタ隊員「…お前らの作り出した怪獣を相手してた俺にそんな暇があると思うか?」
タイーキ「ラノベくらい読めただろう?」
カンタ隊員「暇があってもお前のだけは読まない」
タイーキ「ずいぶんと言ってくれるじゃぁないかー・・・・」
???3「やれやれ、隊長がくたばった小隊など相手になるまい・・・?」
シグレ隊員「あ、アナタは……N.E.S.T.創設の際に反対派の代表だった空軍将校、アカザビー!?」
アカザビー「如何にも。私は兼ねてから神話伝説の謎の存在・大魔王に興味があった。まさかこのような形で協力する事が出来るとは!」
イグ隊員「悪魔に魂を売ったワケか・・・」
アカザビー「どの道、貴様等に勝ち目はない。何故なら私を倒せば・・・軍が、国が、貴様等の敵となるからだ!」
大魔王の媒体となった三人の人間・ニーキ、タイーキ、アカザビーは取り憑かれていないのにも関わらず、
胸の内ポケットからパーフェクト・カプセルを取り出した。
それはドス黒いオーラを発し、従来のカプセルとは明らかに別格である印象を受けた。
8人の隊員達もバイオカプセルを取り出す。
イブ隊長はまだ意識を失ったままで、コゼニ研究員が隊長を再び地下へと運んだ。安全な部屋があると信じて・・・。
全てのカプセルが解き放たれる。
8人の
ビオナイクラーの前には、3体の悪魔が立ちはだかっていた。
それは最強怪獣ミグダスよりも凶悪な見た目をし、まさに悪意の塊というべき姿をしている。
ニーキ「どうしたニトロ?すぐにでもかかってこいよ」
大魔王ニーキは巨大な一本角を持ち、巨大な斧を持っていた。
タイーキ「さぁ、はじめましょうよ、ヨッチャンとカンタタン」
大魔王タイーキは凶悪な二本角を持ち、巨大な翼を生やしていた。
アカザビー「全ては、大魔王様の真なる悪意の中へと還っていくのだ・・・」
大魔王アカザビーは全身に鋭い突起が生えており、大剣を二つ持っていた。
Bニトロ「兄貴ッッッ!今こそお前の悪意を砕いてやるッッッwwww」
ニーキ「やれやれ生意気だぞ・・・」
ビオナイクラー・ニトロがニーキに攻撃しようとすると、一瞬で姿を消し背後に現れた。
ニーキ「解らないのか?この体は従来のバイオニクルを超越した姿だ。ミグダスのテレポートなど容易に使える」
するとビオナイクラー・ゼロが大魔王ニーキにカッター光刃を投げつけた。
ニーキの背中で爆発が起こる。
Bゼロ「ヤングニトロ、お前の気持ちも分かるがコイツは強すぎる!連携しなけりゃ倒せねぇ!」
ニーキ「遅ぉいぃぃ!」
二人のビオナイクラーはニーキに突き飛ばされた。
その時ビオナイクラー・マトアがニーキの頭部に空手チョップを繰り出す。
ニーキは直立したままマトアを振り飛ばした。
Bニトロ「兄貴自重wwwwwwww」
Bマトア「三人でも歯が立たないなんて・・・」
Bゼロ「いや、まだ始まったばっかりだ!」
ニーキ「・・・でも、すぐに終わるんだけどねwwww」
タイーキ「君達にこの僕が倒せるかなぁ??」
Bヨシダ「一応、そう簡単にはいかないと思うとは言っておいてやるが…」
Bカンタ「時間掛かっても倒せればいいんだぜ?」
タイーキ「長期戦には向いてないな・・・君達がね♪」
大魔王タイーキが黒い影となり消えて、高速移動を始めた。
二人のビオナイクラーが地面を睨む。
消えた。いやあっちだ。いやこっちか?
すると影が大きくなり二人を飲み込む程になった。
タイーキ「残念だったね!」
足元の影から闇の濁流が起こった。
二人が巻き込まれ、視界が黒一色に染まる。
だが二人は闇の中でタイーキの姿を認識していた。
全力で拳を振るう。
痛みを感じる。
闇が消えた時、ビオナイクラーがお互いに殴りあう形になっていた。
タイーキ「いやぁ本当に楽しい能力だよ♪」
Bヨシダ「…なかなか上手い目くらましだな」
Bカンタ「…でも、俺とお前なら余裕だろ?(な人
Bヨシダ「まあな」
タイーキ「え?余裕?よゆうううう?何を言ってるのかなああああ?」
アカザビー「愚かな雑魚どもよ…我が剣の赤錆となって死ねぃ!」
大魔王アカザビーが剣を振り回す。
三人のビオナイクラーはそれを後退してかわした。
Bダーヌ「まだ剣の扱いに慣れてないんじゃないかしら?」
アカザビー「もう慣れた」
既に片手から剣が消えていた。
そしてその剣は空からビオナイクラー・ダーヌの頭へと迫る。
Bイグ「いいや、まだまだだな!」
ビオナイクラー・イグはその剣が刺さる直前に肘で弾いた。
アカザビー「これでもか?」
大魔王アカザビーはすでに剣を投げていた。
Bシグレ「サー、私を忘れるなよ」
ビオナイクラー・シグレはイグに迫る剣を掴みとった。
アカザビー「フン……」
ビオナイクラー・シグレは剣を振り上げてアカザビーに迫る。
するとアカザビーが片手を前に突き出し、剣を握った。
剣が急速に錆びていることを確認すると、Bシグレは手を離した。
その時もう一本の剣がBシグレに迫る。
剣が再び弾かれた。ビオナイクラー・ダーヌは片腕が刀になっているのだ。
Bダーヌ「アナタ一人と剣二本。対する私達三人。どちらが強いかしらね?」
アカザビー「試す必要もあるまい…」
アカザビーの全身にある無数の突起が外れ、宙に浮いた。
それらが全て剣の形に変化する。
アカザビー「我が剣の軍勢に貫かれるが良い!」
Bイグ「ずいぶん派手なパフォーマンスだな?」
その頃、コゼニ研究員とイブ隊長は地下へ避難していた。
そう奇跡的に崩壊を免れた部屋があったのだ。
コゼニ研究員「遂に出来た…完璧な人工バイオカプセル!」
研究員は生き残った少ない研究機材を使って怪獣カプセルの改修に成功していた。
コゼニ研究員「これが操られてた僕なりの復讐っす…お前達、頑張るっす!」
研究員が外に出て、怪獣カプセルを地面に叩き付ける。
光と共に、今まで出現したバイオニクルが姿を現した。
Bゼロ「くそ、また怪獣か?」
コゼニ研究員「皆さん聞いて下さいっす!この怪獣は媒体いらずの完全版で、
大魔王討伐を助けてくれるっす!」
Bニトロ「何!?」
驚いた時、ニトロン星人がニーキにとび蹴りを放った。
ニーキ「チッ・・・能力劣るオールドタイプ共がッ!!」
ニトロン星人「ニィィィーキィィィー!!」
Bニトロ「お前…兄貴に恨みがあるんだなwww俺と同じだwww」
ダブルニトロはニーキにジャンプキックを食らわせた。
ニーキ「弟が二人いるようで面倒臭いな!!」
ニーキが斧にダークパワーを溜める。
その時ゼローズがニーキの頭に掴みかかった。
ニーキ「…こんのぉ、狐の化け物めッ!」
Bゼロ「呼んだぁ?」
ビオナイクラー・ゼロがニーキの足に回し蹴りを繰り出す。
同時にゼローズもニーキの頭を蹴って着地した。
ニーキ「くっ…いくら増えても時間稼ぎにしかならんぞ…?」
コゼニ研究員「生命怪獣マトラス!ヒーリングを頼むっす!」
マトラスが急いで全身から青い光を発する。
光はイブ隊長の体を癒し、彼女のカプセル内の死んだビオナイクラーを蘇らせた。
イブ隊長「……私、いままで何を…?」
そこへ研究員が駆けつける。
コゼニ研究員「今は緊急事態っす!8人のビオナイクラーと戦ってる黒い奴が敵で、怪獣は味方っす。今すぐ暴れちゃってくだせぇ」
イブ隊長「え?8人?え?」
コゼニ研究員「急ぐっす!」
イブ隊長は寝起きの体で地上へと駆け出す。
そして復活したバイオカプセルを天に掲げた。
9人目のビオナイクラー・イブは瓦礫を駆け抜けて、大魔王ニーキの顔面に拳をめり込ませた。
ニーキ「何ぃ?ビオナイクラーが増えた?」
Bゼロ「イブちゃん!無事だったんだね!」
Bイブ「ゼロ隊員を助けたいと思ってたら、いつの間にか来てました」
ゼローズ「///」
Bイブ「あらアナタは…」
ニーキ「よそ見をするなァァッ!」
大魔王ニーキの斧がBイブを狙う。
その時、見覚えのある長い電磁刀が斧を弾いた。
そうニックージェが自らの意思で、ビオナイクラー達を援護しに帰って来たのだ。
ニックージェは軽い身のこなしでニーキの肩に飛び乗ると、そこからタイーキの方へを跳んだ。
タイーキ「なんだお前?」
Bヨシダ「ニックージェ!帰ってきたのか!」
ニックージェ「ギギギ…」
タイーキ「どうやら親子の感動の再開のようだが僕はその展開が一番嫌いなんだよ」
タイーキが長い爪で二人を襲おうとした。
するとBヨシダの後ろから眩い閃光が走り、爪を弾く。
最強怪獣ミグダスがクラッシュ光弾を放ったのだ。
タイーキ「ミグダスか!…初めて開発した時は嬉しかったけど、今じゃもう旧型だね、アンタも♪」
タイーキがミグダスに向かって闇の塊を投げる。
Bヨシダとニックージェがそれを切断する。
タイーキも怯まず、爪の間に闇の稲妻を光らせた。
その時タイーキの頭上を大きな影が隠す。
ピロカンス「アァァウイェェェェェェェェーーーー!」
そこには巨大な振動怪獣の姿があった。
タイーキ「あのデカブツか…」
Bカンタ「俺もいるぜ?」
ビオナイクラー・カンタがピロカンスに乗りながら言った。
タイーキ「ポンコツが束になる…僕の一番嫌いな展開だッ!」
アカザビー「串刺しだ!」
大魔王アカザビーの無数の剣が一斉にビオナイクラーに向かった。
串刺しになった。ただし、うどんが。
豪雨怪獣シグソロロはBシグレの前に立ち、うどんを撒き散らしていた。
アカザビー「やれやれ、これでは剣が台無しだ」
その時地面の土が吹き飛び、アカザビーの足に何かが絡みついた。
地中から飛び出したのは変形怪獣ゴランドンであった。
Bダーヌ「ゴランドン!そいつを絶対放さないでね?」
Bイグ「…コイツを食らえ!」
ビオナイクラー・イグは海生怪獣イグラをダーツのように投げた。
イグラの鼻の突起がアカザビーの腕に刺さる。
アカザビー「舐められたものだ…これは茶番だよ」
9人のビオナイクラーと9匹の怪獣、そしてニックージェ。
敵は3体の大魔王。
数字にすれば、19対3という大差。
だがそれでも互角程度にしかならないほど大魔王は実力が高かった。
コゼニ研究員「怪獣が加勢しても倒せないなんて・・・」
ビオナイクラー”聞こえるか、地球の者よ…我が名はビオナイクラー。君も力を貸すんだ”
コゼニ研究員「え?で、でも、今まで大魔王に操られて怪獣を作ってたんすよ?そんな僕が・・・」
ビオナイクラー”悪意に打ち勝とうとする心があればいい。良い返事を待つ”
研究員の手にはいつの間にかバイオカプセルが握られていた。
コゼニ研究員「悪意に打ち勝つ心…自信無いっすけど、これがその証明なら!」
研究員がカプセルを空に向かって掲げる。
光と共に10人目のビオナイクラー・コゼニが姿を現した。
Bコゼニ「行くっすよ!ゼニゴン!」
ゼニゴン「zzzzzz!」
遂に20対3になった。
これが本当の総力戦だ!
ニーキ「弟よ!貴様はいつになっても俺を超える事は出来ん!」
大魔王ニーキが角の先から光線を乱射する。
地面で数回もの爆発が起こった。
Bニトロ「いつもいつもそう言うなwwwww」
ビオナイクラー・ニトロが爆発の中を前転して通り抜ける。
そしてニーキの腹に正拳突きを食らわせた。
一瞬怯むニーキ。
ニーキ「兄より優れた弟など存在しない!」
大魔王ニーキがBニトロの首を掴み、軽々と持ち上げる。
Bニトロ「そうかなwwwwww」
その笑い声と共に、ニーキの手に掴まれていたBニトロが煙を発する。
それはゼローズの姿へと変わっていた。
ニーキ「化かされた!」
Bゼロ「遅い!」
Bイブ「いくわよ!ゼロさん!」
ビオナイクラー・ゼロとイブが高速移動し、ニーキの前で同時に交差した。
それはニーキの体に深い切り傷を与えていた。うっすらと光の亀裂が見え始める。
ニトロン星人「ニィィィィーキィィィィー!」
キャッチバブルリングを両手から放つ。それは大魔王ニーキの体を締め付け動きを妨害した。
ニーキ「この程度で!」
バブルリングが引き裂かれた。
だが一瞬の隙が作れれば十分だった。
Bニトロ「トドめだぁぁ!兄貴ぃぃぃぃ!」
ビオナイクラー・ニトロの手刀が、ニーキの亀裂に突き刺さった。
ニーキ「それで…勝ったつもりか?」
Bニトロ「これで…勝ったつもりだぜ?wwww」
その手は銃の形に構えられていた。
指先から放ったリターン光線が、ニーキ本体を収納したカプセルに照射される。
ニーキ「!?」
大魔王ニーキの胸装甲が吹き飛ぶ。
そしてオレノア・ニーキを収納したカプセルが地に落ちた。
Bニトロ「兄貴…お前は自らの弟という存在を見くびりすぎだったんだwww」
タイーキ「何をやってるニーキ!使えないヤツめ!」
Bヨシダ「おしゃべりの余裕があるのか?タイヤーキ」
タイーキ「おおっと、少々取り乱してしまったよ♪」
大魔王タイーキが長い爪を地面に突き刺し、亀裂を入れると、そこから大量の黒いオーラを噴出させた。
オーラはビオナイクラーと怪獣たちを空中に巻き上げたが、大して損傷を与える事は無かった。
タイーキ「ハハハ♪びっくりした?」
Bヨシダ「おい、カンタ」
Bカンタ「…何?」
Bヨシダ「タイーキはパクリをするのが大好きだ」
Bカンタ「それは大体分かる」
Bヨシダ「だが、自分がパクられる事が世界中の何よりも嫌いなんだ」
Bカンタ「なるほどね」
タイーキ「おしゃべりの余裕があるのかなぁ?」
大魔王タイーキが黒い稲妻のような光線をそこらじゅうに放射する。
ピロカンス「アアウウィィエエエエエエエーーーー!」
タイーキの頭上の巨大な振動怪獣が鳴き声を上げる。
足元で地震が起こり、巨大な砂煙がタイーキを包んだ。
タイーキの視界には砂しか映っていなかった。
だがすぐにビオナイクラーの影を目視すると、素早く爪を振るった。
砂煙が消えた時、タイーキの爪はアカザビーの背中に突き刺さっていた。
タイーキ「!?」
アカザビー「貴様…何をやっている?」
大魔王アカザビーはタイーキを剣で斬りかえし、吹っ飛ばした。
タイーキ「うぐッ…クソ!クソ!クソォォォ!僕の芸術的戦法をパクるなんてぇぇぇ!お前ら絶対に殺ぉぉぉぉす!」
大魔王タイーキが爪で空を突いた。
黒い雲が渦を巻き、爪へと集まっていく。
その時再びピロカンスが地震を起こした。
それは地割れを起こし、タイーキの足元に広がる。
地割れが真紅に染まった。
次の瞬間、2兆度の火炎が噴出しタイーキを包んだ。
最強怪獣ミグダスの切り札・マントル火球だ。
大魔王タイーキは炎上して赤く染まった。
タイーキ「チィ…パクリなんぞに!パクリなんぞにぃぃぃぃ!」
ニックージェがポロジトンロングライフルを構えた。
そして高出力のビームがタイーキの胸装甲を焼いて炭にした。
タイーキ「ぐがが…僕は負けんんん!食らえ我が必殺のぉぉぉ、ピンククリムゾンブレイキングダイアモンドバーストッ…」
大魔王タイーキが爪を構えた。
Bヨシダ「お生憎様だ!」
Bカンタ「余裕なんか無かった……お前にはな!」
二人のビオナイクラーがタイーキの胸装甲を貫いた。
ヨシダが装甲を完全に破壊すると同時に、カンタがタイーキのカプセルを鷲掴みにした。
タイーキ「なんだとぉぉぉぉ」
カプセルを引っこ抜かれ、大魔王タイーキは機能を停止した。
Bヨシダ「相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している…というヤツだ」
アカザビー「馬鹿共め…」
腕に刺さったイグラを引き抜き、アカザビーが剣を構えた。
シグソロロのうどん攻撃とゴランドンの毒牙がアカザビーを狙う。
アカザビー「やれやれ…」
大魔王アカザビーはあくまで冷静だった。テレポートを多用して攻撃を巧みにかわす。
Bダーヌ「…どうします?」
Bイグ「逃げ場を失くせば良いのさ」
Bシグレ「やるしかありませんね」
アカザビー「よくもそう怠けてられますな?」
大魔王アカザビーは剣をビオナイクラーの頭に向かって振り下ろす。
ダーヌはそれを真剣白刃取りで受け止めた。
アカザビー「なかなかの反応だ…」
Bダーヌ「それだけじゃありませんよ?」
アカザビーがテレポートで消える。
すると移動した先で転倒した。
そう地面にはシグソロロのうどんで罠を仕掛けていたのだ。
アカザビー「くっ!」
もう一度テレポートで移動する。
また滑った。
地面からイグラが顔を出し、鼻の槍でアカザビーの尻を突き刺した。
アカザビー「舐めるな…!」
その時飛行形態になっていたゴランドンが、アカザビーの首筋に噛み付いた。
猛毒がアカザビーに注入される。
連続攻撃でアカザビーがよろけた。
Bイグ「今だぁぁぁ!!」
ビオナイクラー・イグが持っていたアカザビーの剣を両手持ちにしアカザビーの胸装甲を貫いた。
アカザビー「甘い!甘いぞ!」
大魔王アカザビーが両手の剣を上げ、イグに向かって振り下ろした。
二本の剣はビオナイクラーの二本の刀に止められた。
Bシグレ「終わりだ…毒が回ってもうテレポートは出来まい!」
Bダーヌ「アナタはテレポートに頼りすぎた…強力な移動手段が仇になるなんてね」
Bイグ「串刺しになったのはお前の方だったな…!」
ビオナイクラー・イグは剣を介してリターン光線を放射する。
大魔王アカザビーの体が火花と煙を発し、胸装甲が弾けた。
中からカプセルがこぼれる。
アカザビー「…ふ…不覚…」
大魔王最後の一体は、目の光を消して膝をついた。
Bイグ「やったか…?」
Bダーヌ「長かった戦いが…遂に・・・」
Bマトア「!?…ちょっと待ってください……?」
地面に転がった三つのカプセルから漆黒のオーラが噴出していた。
それも尋常な量ではない。
Bカンタ「あれは…大魔王の本体…?」
オーラは空に広がって、機能を停止した大魔王の残骸を吸い込んでいく。
三体の大魔王の抜け殻が回転しだした。
残骸が合わさって醜い塊に変貌した後、まるでキノコ雲のように天に向かって急速に盛り上がって、空を覆うほどの体を形成した。
それはもはや生物には見えない、まさに抽象的な存在そのものであった。
Bシグレ「まさか……」
ビオナイクラー達の前には黒光りする塔が立っていた。
いや、山か?それとも雲か岩か海か?
大魔王「遂に……完全な肉体を手に入れたぞ……!!」
黒い異形の塔、しかしそれは決して塔などではなかった。
三体のパーフェクトモンスターを媒体にした大魔王の真の姿であり最終形態。
Bコゼニ「一体どうなってるんすか……?」
大魔王「…今までのは本当に茶番劇だ。三匹の人間の我への忠誠心を試した。
我自ら手を下さずとも反逆者を倒せるだろうと思った。
だが失敗した…やはり人間は愚かだ…我への忠誠心が足りないが故に破滅するとはな…
我はパーフェクトモンスターさえあればいつでも最終形態になれたのだよ」
Bヨシダ「なん……だと……」
大魔王「もはや大魔王などという名前も相応しくは無い…我が真の名は "サルマスバルディアグ" !!!!!」
真最終大獄合成魔獣サルマスバルディアグが遂に名乗りを上げた。
Bニトロ「でけぇwwwwwwww」
サルマスバルディアグの全高は約100000Mあった。
対するビオナイクラーの身長は50Mである。その存在はまさに異常であった。
サルマスバルディアグ「この惑星の生命は途絶える。我が悪意に取り込まれ惑星ごと我の体の一部・全宇宙の悪意そのものとなるのだ…!!」
Bゼロ「…そうはさせねぇぜ!」
ビオナイクラー・ゼロは挑戦的に言った。
Bイブ「ゼロさんの言う通りです…私達は沢山の障害を乗り越えここまで生き抜いてきました。ここで諦められる訳がありません!」
Bヨシダ「そうだな…隊長」
Bイブ「…これが、私達N.E.S.T.の最後の任務です…皆さん、こんな隊長ですが、最後までついて来てくれますか……?」
Bゼロ 「もちろんだぜ。皆もそうだろ?」
Bヨシダ「ああ」
Bカンタ「最後まで付き合わせてもらうぜ」
Bイグ 「色々あったがやはり隊長は貴女だけだ」
Bダーヌ「あっさりと地球を渡すもんですか!」
Bシグレ「諸悪の根源を前に尻尾を巻いて逃げられる訳が無い!」
Bニトロ「これも兄貴の敵討ちだ…w」
Bマトア「地球の全生命の為に…」
Bコゼニ「大魔王に良いようにコキ使われて黙ってられないっすよ」
Bイブ 「急ぎましょう!もう恐れるものなんて在りません!!」
10人のビオナイクラーが天空へ向かって飛び立つ。
サルマスバルディアグ「死ね」
聳え立つ異形の存在は無数に生えた歪な腕から赤黒い光線を発した。
ビオナイクラー達はそれを巧みに避け、サルマスバルディアグの頭部を目指す。
サルマスバルディアグ「後22分36秒でこの惑星は我と完全に融合する。残念だったな埃屑どもよ」
黒い体の一部がずれて開き、中で無数の内臓を思わせる何かが蠢いていた。
蠢く物が流れ始め、体からこぼれ始める。
少ししてそれはビオナイクラーに向かって飛んできた。
Bゼロ「気色の悪い奴だ!」
ビオナイクラー・ゼロが追跡する物体を撃墜する。
サルマスバルディアグの体の層が一定間隔で開き、同じように異形の生物の軍団が飛び出してきた。
それらは全てビオナイクラー達を追跡する。
ビオナイクラーはそれを牽制しながら飛ぶが、全く数が減らない。
Bイブ「…本物のビオナイクラーは、私達のこの姿を自らの一部とだけ呼んでいましたよね?」
Bヨシダ「ああ確かにそうだが。それも複製品だ」
Bイブ「一部である我々が寄り集まれば、少しでも本物に近い力が出せるのでは無いでしょうか?」
Bゼロ「10人集まって本物さんの10%位の力でも出せれば…」
Bイブ「皆さん!出来るだけ私の近くへ寄ってください!」
一同「了解!」
10人のビオナイクラーは隊長を中心にして飛ぶ。
すると10人が黄金のオーラを纏い、流星のように光の帯を引いて天を目指す。
追ってくる異形の塊が金色に光り、消し飛んだ。
サルマスバルディアグ「まだ来るか…」
黒い巨体から大量の突起が突き出す。
それは超巨大なギロチンや棘の山を固めたようなものばかりで、世界規模の処刑用具のようにも見えた。
ビオナイクラー達はその突起をものともせず、黄金のオーラで砕いていく。
サルマスバルディアグ「たった十粒の豆で…」
遂に頭部が見える所まで辿り着いた。
サルマスバルディアグ「ここまで来るとはな」
ビオナイクラー達は静止して浮遊し、サルマスバルディアグの顔を見上げた。
Bゼロ「観念して出てくんだな」
サルマスバルディアグ「追い詰めたつもりか?いいや逆だ!食らえ"tanasinn"!!!!!」
巨大な眼が不気味に光り、悪夢を思わせる不可解な空間が凝縮されてビオナイクラーに向かって迫る。
サルマスバルディアグ「知能が高い生物ほど苦しめられる事になる!失せろニンゲンドモ!」
狂気の塊はビオナイクラー達を直撃した。
しかしビオナイクラーはそれの影響を全く受けていなかった。
サルマスバルディアグ「・・・・・・」
Bヨシダ「…分かるだろう、ニクリウムバリアーだ」
Bイグ「貴様の体から生まれた手下共は、全てニクリウムに反応し消え去った…」
Bイブ「強大な力を持つアナタが地球に来たのは……
ビオナイクラーの持つ奇跡物質ニクリウムを恐れて逃げ隠れる為だったのでしょう?」
サルマスバルディアグ「我の弱点がニクリウムだというのか?…確かに外れている訳ではない。
見破った事を褒めてやろう。
だが最大の問題は貴様らの持つニクリウムでは微弱すぎるという事だ!!!」
Bシグレ「このニクリウムの光がある限り、お前の攻撃は通じないぞ?」
サルマスバルディアグ「残念だがそう甘くはいかない…使う必要は無いと思っていたが…これで消し去ってやる!」
黒い塊の胸に当たる部分…ビオナイクラー達の100m頭上の辺りが開き、赤黒い珠が現れた。
アンチニクリウム―恐怖の物質バルディウムである。
サルマスバルディアグ「本当のビオナイクラーを倒すにはこれでも足りんが…虫けらを掃うのには十分だ!」
Bイブ「行くわよ、みんな!」
一同「了解!」
10人のビオナイクラーが手をクロスした。
腕が光り始める。ニクリウム光線の構えだ。
そして巨大な頭を睨む。
サルマスバルディアグ「消えうせろぉぉぉぉ!!!!」
Bイブ「ニクリウム光線!総員発射ッッッ!!!!」
ニクリウム光線とバルディウム闇線がぶつかり合った。
目が潰れるかと思うほどの光。
凄まじい衝撃が地上にまで伝わっていた。
ビオナイクラー達は吹き飛ばずに光線を出し続けていた。
ニクリウム光線が押され、バルディウム闇線が大きくなった。
ビオナイクラー、いや隊員達がそれぞれ叫ぶ。
ニクリウム光線が青白色から金色へと変わった。
バルディウム闇線も赤黒色から水銀色に変わった。
地上の怪獣達も、遥か天空の光に向かって咆哮し、それぞれの最強技を放った。
ゼニゴンが巨大な大判をばら撒く。それは空から降り注ぐニクリウムを反射し増幅させた。
ニクリウム光線が虹色に変化した。
バルディウム闇線が徐々に押されていく。
地球そのものが虹色に輝いたように見えた。
サルマスバルディアグの赤い珠が砕けた。
最大のニクリウム光線がサルマスバルディアグの体に直撃する!
異形の巨体が浮き始めた。
そうニクリウムの推進力に押されているのだ!
サルマスバルディアグ「こんな事が…ありえるかァーーーーーッ!!」
ニクリウムの凄まじい力に押され、大魔王は大気圏を突き抜け、宇宙空間に放り出された!
巨大な悪意の塊は地球上から完全に姿を消したのだ!
光線による攻撃は未だ続いている!
サルマスバルディアグ「だsdjkふぇおfjひうれhふいえr!!!」
黒い巨体にひびが入る。
サルマスバルディアグ「これで終わるものかァァァァァ、ここから地球を破壊する事くらいできるぞォォォォォォ!!!!」
???「では、なぜお前は最初からそれをやらなかった?」
サルマスry「!?」
ビオナイクラー「私を恐れていたからだろう!サルマスバルディアグ!」
真の白い巨人が宇宙空間から大魔王を見下ろす。
本物のビオナイクラーはサルマスバルディアグの数百倍以上の大きさであった。
ビオナイクラー「私がまだ宇宙で待ち構えている事を予想しなかったのが敗因だな!」
真のビオナイクラーが片手でサルマスバルディアグを掴む。
そして拳の中で握り潰した。
サルマスry「・・・何故だ・・・貴様の力があれば、逃げ込んだ我を消し去る事など容易に出来たはずだ・・・・・・」
ビオナイクラー「貴様一人を倒す為だけに、地球の全生命を犠牲にしたくなかったのだ…」
サルマスry「・・・何故だ!貴様にとって、地球やそれに依存する生物などという存在は塵にも満たないもののはずだ!
それにあの惑星もそう長くは持ちまい!」
ビオナイクラー「命がなければ何も出来ない!命がなければ何も起こらない!
貴様が存在する意味すらも無くなる!それで終わりで満足か!?
生き残った惑星の中でも、地球という星は生命を育てられる数少ない星だ。
生命が生まれ、動きが生まれる!
地球は宇宙の本来あるべき姿を投影した星なんだ!
我々にとっては地球の寿命が非常に短く感じられるかもしれない…
しかし僅かな時間の積み重ねが、
小さき命が明日を信じ活動するその姿が、宇宙を動かす力となるのだ!
私はあの星を守り続ける!貴様も見たはずだ、生命の力を!生き続ける強い意志を!」
サルマスry「―――――――――」
ビオナイクラーは悪意の塊サルマスバルディアグを片手に、宇宙の彼方へと消えていった。
地球。
空へと向かっていた金色の光の帯が消える。
人々は嵐の後の清々しい青空を見上げていた。
それから少し後の話。
合同攻撃の時、生命怪獣マトラスが天に放った再生光線は、ニクリウムと共に拡散されて世界に降り注いだ。
つまり大魔王戦以降に犠牲になった命は救われる事となった。
そして役目を終えた怪獣達はカプセルへと戻って消えた。
ニックージェはまた何処かへと去っていったが、後にジャングルの奥地で平和に暮らしているとの情報があった。
カプセルから回収されたアカザビーは、大魔王への協力がバレて国家反逆罪で逮捕される事になった。
一方のタイーキは著作権侵害という別件で逮捕される事となった。
ニーキは弟に敗れたショックからか、割と謙虚に暮らしている。
そして、N.E.S.T.隊員は…
イブ隊長「任務完了、ですね。皆さん、本当にお疲れ様でした」
隊員達が再びN.E.S.T.基地の跡地に集合し、瓦礫の撤去を完了させた所であった。
ヨシダ隊員「長い戦いだった…」
マトア隊員「地球が助かってよかったです。…でも、僕らの基地が無くなっちゃいましたね」
イグ隊員「もう使う事も無いだろう。超兵器が残るとロクな事にならないし、これで良かったのかもしれないな」
コゼニ研究員「皆さん見てくだせい!ゼニゴンが撒いたお金があんなに!」
基地周辺を見ると大判小判が土を被って大量に転がっていた。
原理はよく分からないが、ゼニゴンが吐くお金は昔のものらしく、実際に価値のあるものであった。
カンタ隊員「これだけ金が有ったらベースどんだけ買えるんだよ…」
ダーヌ隊員「このお金、使っていいならトランスモーファーシリーズを買いあさりたい所です」
イグ隊員「気が合うなダーヌ隊員、俺もそう思ってたところだ」
ニトロ隊員「このお金、兄貴に見せたら威張れるなwww」
ヨシダ隊員「俺、この金もらえたら、肉屋の店長になるんだ…」
コゼニ研究員「これだけあったら隠れた名作"まろんとメロン"を宣伝しまくれるっす」
シグレ隊員「皆さん私欲まるだしですね…ちなみに私は本を買います」
マトア隊員「いや僕はちゃんと地球環境保全団体に寄付しますよ?あ、でも信用できn(ry
ゼロ隊員「俺がこのお金を手に入れられたら、イブちゃんと一緒に世界旅行に行くんだ☆」
イブ隊長「…ちょっと待って下さい、皆さん何言ってるんですか??」
一同「え?」
イブ隊長「今日からN.E.S.T.は私営の組織になります。
確かにバイオニクル事件は終わり、政府もNEST隊員に休暇の義務を与え、組織の機能も停止されましたが、
世界にはまだまだ、不可解な事件や不自然な災害などがあります。N.E.S.T.の助けを待ってる人や国が未だにあります。
そこでこの大金で新たなN.E.S.T.基地を建てて、これからも我々仲間達で平和を目指して頑張っていこうというわけです。」
ニトロ隊員「え、でもこれだけあったら一生遊んで暮らせr…
イブ隊長「これは隊長命令です(キリッ
ヨシダ隊員「やれやれ、俺たちの戦いはこれからだ!というやつか」
カンタ隊員「ああ、俺はいつになったら小説家になれるんだろうか…」
イグ隊員「ある意味世界旅行だし、ネタ集めにはなるんじゃない?」
ゼロ隊員「でもさイブちゃん、新基地を作ってる間くらいはこのお金で遊んでても良いんだろ?」
イブ隊長「だーめーでーすー、基地建設も皆で協力してやるんですから」
ゼロ隊員「まーまーそう堅いこと言わずに。俺がゼローズになってた時みたいに、イブちゃんを色んな所に連れてきたいんだ」
イブ隊長「えー///!?ゼローズってゼロ隊員だったんですか///!?」
ゼロ隊員「え?もしかして知らなかった?」
イブ隊長「ひどいですよ!みんな大事な事を内緒にしててー!」
コゼニ研究員「そういえばあの時、隊長だけ気絶してたっすよね」
ヨシダ隊長「やれやれまた説明しなきゃなのか…w」
ダーヌ隊員「でもゼロ隊員の言うとおり、まずは皆で旅行するのもアリだと思いますよ?」
シグレ隊員「新生N.E.S.T.の初パトロールも兼ねてね」
マトア隊員「良いですねそれ!」
ゼロ隊員「いや俺はイブちゃんと二人っきりで行きたいんだ!!!」
ニトロ隊員「二人だけ別機で行けばwwwwww」
イブ隊長「あぁ///・・・・・・本当にこれでやっていけるんでしょうか・・・//////////」
と呆れたように言ったが、隊長もメンバー達を見て癒されていた。
地球が平和である事の素晴らしさを感じる。
平和をありがとうビオナイクラー!
希望をありがとうビオナイクラー!
自由をありがとうビオナイクラー!
そしてありがとう隊員たち!
ありがとう地球!
お わ り
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続編を作るのは、テレビの前の君だ!
最終更新:2010年06月09日 16:55