Episode 1「眠っていた赤狐」part3

ヘリと戦闘機が去った後、辺りは静かになった、ネギは何も出来なかった自分が情けなくなり、泣いた。
突然の襲撃、そして突然魔法を見せられ突然クライメイト4人がさらわれた生徒達は未だに訳が分からなかった。
そして裕奈は真剣な顔をしてソリッドを見ていた。銃は下ろしていて、指も引き金は掛かっていなかった。
そしてソリッドに
「・・・知ってるの?私の事。」
そう質問した、ソリッドはが少し顔をそらして
「何の事だ?」
と答えた、それを聞いた裕奈は
「答えて!さっきの『REDFOX』っての何なのか知ってるんでいしょ!?」
とソリッドにしつこく質問をぶつける。
「相手の勘違いだ。」
とソリッドが言う。
「違う!じゃあなんで私に銃を渡したの!?」
裕奈がそう叫んで質問した。
「・・・・。」
ソリッドは何も答えない、それを見たオタコンが
「えっと・・・あれは・・・その・・・。」
と何とか誤魔化そうとする、が
「・・・もういい、オタコン、もう誤魔化せやしない。」
とソリッドがオタコンに言った、オタコンは黙った。ソリッドは裕奈の目をしっかりと見て
「分かった、全て話そう。」

裕奈が黙ってソリッドに耳を傾ける。
「が、聞くよりも思い出した方が早いだろう。」
ソリッドはそう言うとエヴァを見た、そして
「君も魔術師なんだろう?悪いが、彼女の呪いを解いてくれないか?」
と言った、その言葉に驚いたエヴァは裕奈に早足で歩み寄った、エヴァが裕奈の額に触れた。
「・・・記憶損失の呪いか・・・。」
エヴァがそうつぶやく、裕奈の額には魔方陣らしきものがあった、エヴァが触れるまで無かった。
どうやら裕奈には『記憶損失の呪い』が掛かっているようだ。誰がどんな目的で掛けたのかは分からないが。
「出来るか?」
ソリッドがエヴァに聞いた、エヴァはソリッドに振り向き
「今の私では無理だ、学園長のジジイならなんとか出来るかもしれんがな。」
と答えた。
「そうか・・・。」
とソリッドが言う、口で説明しようとした時、学園長が「おーい!」と叫びながらこっちへ走って来た。
「このかは!?このかは無事か!?」
それが学園長の第一声だった、ソリッドは首を横に振り
「いや・・・さらわれた・・・。」
学園長は「そんな・・・。」とその場で膝を付いた。
「学園長、すまないが、あの子の呪いを解いてもらえないか?」
とソリッドは裕奈を指差して学園長に頼んだ、学園長は「良いじゃろ・・・。」と言って立ち上がった。学園長は裕奈の前まで来ると
「ふむ・・・記憶損失の呪いか・・・。」
学園長がそうつぶやいた
「解けるか?」
とソリッドが再び聞く。
「安心しろ、これなら出来る。」
学園長はそう言うと裕奈の額を触り
「解けろ。」
と言った、すると裕奈の額にある魔方陣が消えていった。
「!?」
その時、裕奈が頭を手で押さえた。
「あ・・・ああ?」
そして裕奈の頭の中に映像と音が一気に流れこんできた。しばらくすると、裕奈は頭から手を離した。
「思い・・・出した。」
裕奈はそうつぶやいた、魔法をしらない生徒達は呆然と見ていた。

「・・・・ソリッド?」
裕奈がソリッドに向かって言った。
「久しぶりだな、裕奈。」
とソリッドが言う。
「久しぶりだな、相棒。」
いつの間にかソリッドの肩に居たハリーが言った。
「ハリー!?居たの?」
裕奈がハリーに言う。
「・・・一体、どういう事なんですか?」
さっきまで泣いていたネギがまだ涙で濡れている顔で裕奈に聞いた。
「・・・・・・・。」
裕奈が黙り込む、それを見た刹那が前に出て
「その事は私が話します、みなさんとりあえず部屋に来てください。」
と言うと、踵を返し寮へと向かった。

女子寮の一室、刹那と古菲の部屋にクラスの全員が集まっていた。
刹那は全員集まっている事を確認し、口を開いた。
「まず、裕奈さんの事ですが、彼女は隠密部隊FOXHOUNDの元隊員です。」
そう刹那が言うが、しばらくの間刹那が何を言っているのか全員理解が出来なかった。
「FOXHOUND!?あのシャドーモセスの?」
龍宮が刹那にそう聞いた、刹那は龍宮の方を見て「そうだ。」と答えた。
「えっと・・・そのFOXHOUNDって・・・どんな部隊なん?」
亜子が刹那に聞いた、刹那がその質問に答えようとしたとき。
「FOXHOUND、単独潜入、隠密任務を基本とし、通信機以外の武器、装備は全て現地調達、
エージェント(諜報員)とソルジャー(兵士)を併せ持つ隠密部隊。かつて私の居た部隊。」
裕奈が嫌な事を思い出したような顔で刹那の変わりに答えた。全員の視線が裕奈に集まる。
「・・・REDFOXっと言うのはあなたのコードネームですね?」
ネギが裕奈に質問をした。裕奈はネギから目を反らし、そして言った。
「・・・そう、BIGBOSSの弟子であり、FOXHOUNDで2番目の実力を持つ隊員、それがREDFOX、それが私。」

「・・・まさか噂の傭兵が君だったとはな・・・裕奈。」
龍宮がそう言う、それを聞いていた雪広が裕奈に向かって叫んだ。
「裕奈さん!あなた、どうしてそこまでに実力を持っていたのにも関わらず、何もしなかったの!?」
雪広が言っているのはさっきの事だ、彼女の実力ならあの4人を守りきれたかもしれない、しかし裕
奈は兵士を数人倒しただけで他は何もしなかった。
「・・・・。」
裕奈は黙り込む、雪広がまた叫ぼうとした時。
「まて、そう言ってやるな、しかたがなかったんだ、なんせ『記憶が無かった』からな。」
そう言いながらソリッドが割り込んで来た。
「記憶が無かった・・・何を言ってるんですか?あなたは。」
雪広がソリッドに聞いた、ソリッドはネギの方を見て
「代わりに説明してくれ、君のほうが詳しいだろう。」
と言った、ネギは少し戸惑ったが、雪広を含めた全員の方を向いて
「・・・『魔法』です、誰が掛けたかは知りませんが、裕奈さんには記憶損失の呪いが掛かっていました。」
と言った。
「え?ま・・・魔法?」
ほとんど全員がそうつぶやいた、極めて普通の反応だった。
「・・・まず、僕の正体から言います、僕は魔法使いです。」
ネギは話した、自分が生まれながらの魔法使いで、この学園に来たのは修行のためだと言う事。
自分の父親の魔法使いで、自分が生まれる前から行方不明でその父を探すためにマギ・ステルマギになろうとしていた事。
全てを話した、全員唖然としていた、当然の反応だった、そしてネギは最後に
「そして、魔法の存在をみなさんに知られた僕は、魔法協会から罰を受ける事になります。」
そう告げた。
「え・・・罰?」
桜子がつぶやいた。
「はい、罰として、僕は動物の姿にされます、それも一生です、二度と人間の姿にはなれません、言葉を話す事も出来なくなります。」
とネギは答えた。
「なんで!?ネギ先生悪い事してないよ?僕達の事守ってくれたじゃん!」
史香が叫ぶ、他の生徒達も同じような事を一斉に叫び始めた。

「仕方ありません、それがルールです。」
ネギはそう言った、そして「みなさんとも、これでお別れです。」と付け足した。
ガチャ
ネギがそう言った時に、高畑が部屋に入ってきた。
「・・・ネギ君、悪いけど来てくれ。」
高畑がそう言う。
「・・・分かったよ、タカミチ。」
ネギはそう言うと立ち上がる、高畑の方へ歩いて行った。
「ネギ先生!」
雪広がそう叫んび、抱きついてきた。雪広は高畑を睨み
「高畑先生!ネギ先生をどうするつもりですか!まさか動物に?」
そう叫ぶ、高畑は悲しそうな顔をして
「・・・やっぱり知ってたか、ネギ君から聞いたんだね、でも仕方が無いんだ、それがルールなんだ。」
高畑がそう答える。
「でも!ネギ先生は何も悪い事はしていませんわ!」
雪広が再び叫んだ。
「魔法協会では魔法の存在を知られるのはかなり重い罪だ、数人ずつなら仮契約をすれば大丈夫だけど、この数だ、どうにもならない。」
高畑がそう言った時、部屋のドアが激しくノックされた。ドアの外から声が聞こえる
「あの!あのロボットなんですか?あの兵士達は?あのヘリは?飛行機は?あの手から出てくる電撃はなんなんですか!?」
「すみません!あれどうやって飛んでたんですか?もしかして魔法とかの超能力みたいなものですか?教えてください!」
そんな声が聞こえた、さっきの所を見ていた他の生徒達だろう。
「この通りだ、こうなったらもう止められない、嘘も通じない、写真にも収められている。」
そう言うと高畑はポケットから写真を取り出した。アスナ、このか、超、ハカセを担いで走るスワローをバイクで追っているソリッドと杖に跨って飛んでいるネギの写真だった、
丁寧に攻撃魔法を使う所まで取られている。
「安心してくれ、魔法協会からの返事が来るまでの3日間は人間の姿で居られる・・・そろそろ行こうネギ君。」
と高畑
「うん、タカミチ。」
ネギはそう言うと高畑と共に部屋を出た、部屋の外に居た大勢の他クラスの生徒達の質問声が二人を襲う。
「あの!バイクに乗ってた男の人って誰なんですか!?」
「ネギ先生、あなたは超能力者なんですか?それともやっぱり魔法使い?」
「教えてください!」
そんな生徒達を無視して、高畑とネギは去って行った。3-A組の生徒達は、それをただ黙って見ているしかなった。

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最終更新:2007年06月14日 19:01
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