レーベンヘルツ(新版)
(原題:LÖWENHERZ、英名:DOMAINE)
発売年 |
2003年 |
※KOSMOS社発売の英語版 |
プレイ人数 |
2~4人 |
プレイ時間 |
60分 |
対象年齢 |
12歳以上 |
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デザイナー |
Klaus Teuber |
備考 |
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ゲーム概要
舞台は中世ヨーロッパ。国王の留守中に各地の領主が勢力争いを始めるという、「国盗り」をテーマとする陣取りゲームである。
プレイヤーは混乱状態となった国内に自陣営の城を築き、好き勝手に国境線を引き直してそれぞれの領土を確保していく。その後も豊かな土地を自国領に組み入れ、軍備を増強し、必要とあらば隣接する領土への侵略も視野に入れつつ、最終的な自領土の繁栄を目指す。
- ここでは、ドイツゲーム大賞(1997年)を取った同名の作品『レーベンヘルツ/Löwenherz』の、リメイク版(?)を解説する。元作品には競り要素など、こちらとは一部ルールの異なる部分がある。
- リメイク版は「Gold Sieber」社発売の旧版、「KOSMOS」社発売の新版がある。新版ではコンポーネントに見直しが入り、遊びやすくする工夫がなされている。
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- メインボードは、4×4マスの正方形タイル9枚で作られるメインフィールドと、外枠兼情報表示エリアの2種類のパーツを組み合わせて作る。
- フィールドには、平地・森・特殊地形が、それぞれ適度にバラついて配置されている。
- フィールドの組み合わせ方は、「王国の城」地形の存在するタイルのみ必ず中央に配置する。この条件を守れば、それ以外については向き・位置とも自由。(4×4)(4×4)の136マスが外枠に収まるように組み立てる。
- アクションカード(全60枚)には、効果と購入価格・売却価格が描かれている。
- 大きく分けて「国境線を引く」「領地マスを広げる」「騎士を置く」「その他」の効果がある。中には、2種類の効果から1つを選んで実行するものもある。
- 背中の図柄には「A~D」の英字が描かれ、ゲーム中に登場するタイミングが調整されている。
序盤は国境線を作るカード、中盤は領土拡張カード、後半はハイブリッドカードが増えるバランス。
セットアップ
- 外枠を組み立て、メインフィールドを作る(中央には「王国の城」を含むタイルを配置)
- 各プレイヤーは色を1色選び、「城コマ4個、騎士コマ15個、7金」を受け取る(4人プレイ時は城コマ3個)
- 外枠の得点表示領域の「0」地点に各人の得点マーカーを、また目標点の位置(プレイヤーが4人の場合は30、3人以下の場合は50)に規定得点マーカーを配置
- 以下のコンポーネントは、盤の外で待機
- お金、勝利点のチップ
- 国境線コマ
- アクションカードは「A~D」それぞれを分けてシャッフルし、Aから順になるように山を作る
プレイ上のポイント
- 城の初期配置について
- 城は平地にしか配置できず、また同じ色の他の城からは6マス以上離れた位置でなければならない。
配置した後は、その城と隣接するように騎士コマを置く(騎士の配置に関するルールは、後述の「各アクション解説」に示す)。
- 以上をスタートプレイヤーから時計回りに1つずつ繰り返し、すべての城コマ及び騎士コマを配置してからゲーム開始。
- プレイヤーには3枚の手札が配られ、手番が回ってきたら「手札からカードをプレイし、描かれたコストを支払う」「手札のカードを売却し、描かれた収入を得る」のいずれかのアクションを行なう。
消費したカードは、手番終了後に補充する。補充は、裏返された山札、他プレイヤーが売却した公開カード、どちらを選んでも良い。
- 「国境線」で
城が1つだけ含まれるような形
に境界が作られたら、国境線で区切られた土地がその城の領土となる。領土内の余分な国境線は取り除かれる。
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フィールドの外枠も国境線と同様に扱う
ため、城の初期配置ではフィールドの外側寄りが有利とされている。
また、「誰が引いた国境線であっても、結果的に城を1つだけ含む地形が切り取られる事で領土として成立する」点を念頭に置きたい。
- 領土を獲得したら、その場で得点計算を行なう。以降、点数が変動した場合は即時に調整すること。
基本の勝利点は以下の通り。- 王国の城……1つ5点。
- 村……1つ3点。
- 森……1つ1点。
- 鉱山(ボーナス)……同種の鉱山を3つ支配していた場合は、1種につき5点。
- 領土に鉱山が含まれていた場合は、そのプレイヤーの手番開始前に、鉱山1種類につき1金の収入が発生する。
鉱山は4種類、つまり最大4金の収入になる。
- 各アクション解説
- 国境線
- カードに描かれている数だけ、ボードのマス目を区切る線上に配置する。ただし、「“城1つに対し、騎士最低1つ”のルールが崩れる」「騎士が城から孤立する」「既に成立した領土を分断する」ような引き方はできない。
とにかく最初は、国境線を引いて自国領を作るところから始める事になるだろう。一度に作れる最大数は3。
- 領土拡張
- 成立した領土に対し、カードに描かれている数だけ領土マスを広げる。城・騎士コマの置かれたマスへは拡張できない。
国境線を引く事とは違い「領土そのものが広がる」イメージであり、そのために必要な数の国境線が自動的に置かれる。一度に広げられる最大マス数は2。
- 拡大した先が他人の領土であった場合、
自国領の騎士数が相手国の騎士数を上回っていれば侵略(上書き)できる
。そうでない場合は拡張できない。
このアクションを行なった結果城から分断された土地は、誰のものでもない「騎士数0の土地」となる。
- 騎士
- カードに描かれている数だけ、平地か森のいずれかに騎士コマを配置する。騎士を増やす際は、
自陣営の騎士に隣接(上下左右の4マス)するように
配置する。当然、国境線を越えることはできない。
森に配置する場合、初期配置以外では1金の追加コストを取られるので注意。一度に増やせる最大数は2。
- 侵略力・防衛力の頭数としてだけでなく、「分断されない」「侵略されない」という特性を活用したい。
- 特殊効果
- 任意の相手国に騎士コマを1個除外させ任意の自国に1個追加できる「裏切り」、隣接した領土同士で互いに侵略ができなくなる「同盟」がある。
終了条件・得点計算
- プレイヤーの誰かが規定得点を達成したら、そのプレイヤーの勝利。得点計算が随時なのはこのためである。
- ある程度ゲームが進むと、気が付かぬ間に領土が成立している事もある。中盤以降は、特に盤面全体を注視すること。
- 山札が尽きた場合はその時点で終了トリガーが引かれ、以降は各プレイヤーが手札からのみ手番を行なう。
最後までプレイしても規定得点の達成者が出なかった場合は、手持ちのお金を勝利点に加え(最もお金を持っていたプレイヤーが5点、2位が3点)、最終的な得点がトップとなったプレイヤーが勝利する。
ゲームの流れ
- メインフィールドを作り、各プレイヤーが城コマと騎士コマを配置する
- 各プレイヤーにアクションカードを3枚ずつ配る
- スタートプレイヤーから順に、「カードをプレイ」「カードを売却」のいずれかを実行する
- 手番開始時、鉱山を所有している場合は応じた収入を得る
- 領地が出来たら得点計算を行なう。プレイ中に点数が変動したら、その都度計算し直す
- ゲーム終了条件を満たすまで3を繰り返す
初期配置を終えたら、コストを払ってカードをプレイし、その都度得点計算。流れ自体は素直だが、中盤以降の加速に注意。
コメント
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プレイ感と感想について |
- ゲーム性
- 初期配置、土地の価値、国ごとの力関係、防衛線、収入・支出など、策を練る際に多方面への配慮が必要な陣取りゲームである。大きく動くには先立つものが必要となり、ヘイトの集中に立ち向かう勇気もいる。覇権争いの快感や逆転の可能性に溢れた、陣取りゲームに多く求められる要素の充実ぶりが魅力。
- プレイ難度
- ……そんな訳で陣取りものとしては難しい部類に入るが、対象年齢相当の人にとっては特に煩雑さのない素直なルール設計をしている。理解はしやすいし、一度覚えれば大きなプレイの支障は無い。
- ゲームバランス
- 2人対戦、多人数戦、いずれも良好。点数配分の高い中央は激戦区となり、それでいて僻地も無視できず、軍資金は常に不足気味。順風満帆なプレイ模様にはおよそならない、波乱万丈の展開を楽しめる。
欠点
- 「対象年齢12歳以上」という大前提のハードル以外に、
目立つ欠点はなし
。これだけ食べ応えのあるゲームとしては稀に見る優等生である。
お勧めタイプ
余分な要素の少ない洗練されたルールのおかげで、策を練り実行する事が面白さに直結している。陣取り好きならどこかで必ずプレイを勧められる鉄板作品として、様々なボードゲームコミュニティで「好みが云々」を超えた高い完成度を認められている。
陣取り系ゲームとしてのお勧めしやすさはトップクラス。ゲーム全体でも安定した位置にあると言える。個人的お勧め度も、ブレなしの9。
【お勧め度:★★★★★★★★★-】
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その他
- 2人用ルール
- 中立の色を1色加える。二人で城と騎士を配置し終えた後、他色の中立勢力を二人で交互に1個ずつ配置する。
中立勢力は特に何もしない。単にコマが邪魔なだけである。
FAQ
- Q:同盟って解消できないんですか?
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A:
向こうから一方的に結んできた不平等条約ですが、永続します。
「第三国からの侵略によって友好の象徴たる国境線が崩壊した場合、結果的に同盟関係が破棄される」という解釈ができなくもありませんが、公式FAQにて否定されています。残念。
- Q:自分の土地を侵略できますか?
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A:
残念ながら、そういった動きは認められていないし、自分の土地を減らすアクションも存在しません。
騎士数の多い国で無双したい気持ちはわかりますが、ぐっとこらえてください。
改定履歴
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改定履歴 |
- 13/01/30[ルール解釈ミス] FAQ「同盟を破棄する方法」に関する解釈を、「可」→「不可」に修正。
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最終更新:2013年04月30日 01:43