ノートルダム
(原題:Notre Dame)
発売年 |
2007年 |
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プレイ人数 |
2~5人※ |
プレイ時間 |
45~75分 |
対象年齢 |
10歳以上 |
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デザイナー |
Stefan Feld |
備考 |
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※2人用ルールは特殊なので後述。
ゲーム概要
プレイヤーは、ノートルダム大聖堂のお膝元パリで町政を執り行います。
市民の支持を得て影響力を高め、信仰と威厳の象徴たる大聖堂を盛り立てて名声を得ていきましょう。
しかしこの町には、恐ろしい疫病の影が忍び寄っていました……。
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- メインボードは、各プレイヤーの手元ボードの他に、中央の大聖堂(ノートルダム)パーツが3人用の三角形・4人用の四角形・5人用の五角形と3種類用意されている。これらをプレイ人数に応じて合体させると1つのマップが出来上がる仕組み。
- プレイヤーのボードに示される情報は、以下の通り。
- マップ(「大使館タイル」を置く場所とそれをつなぐ道が描かれている)
- アクションを行なう各種建物の表示領域
- 「ネズミ」の数の表示領域
- 手番ごとのプレイヤーのアクションは9種類のカードを使って行なう。
- 特殊効果を持つ「人物カード」があり、アクション後の「買収」フェイズに登場して能力を発揮する。
セットアップ
- 各プレイヤーは色を1色選び、道具一式を受け取る
- アクションカードはシャッフルし、各自の手元に山を作る
- ネズミ表示の「0」のところに黒いマーカーを置く
- 以下のコンポーネントは、盤の外で待機
- お金、名声ポイントのチップ
- 「影響マーカー」(四角いキューブ)は、
全体ストック
としてどこか一箇所にまとめておく
- 「人物カード」は背中の色で2つに分ける。ブラウン(無地)は普通にシャッフルし、グレーは背中の「A, B, C」で分けてシャッフルしてから昇順で積み、それぞれの山を作る
- 中央に大聖堂パーツを置いてメインボードを組み立て、自分のボードの角にある4つの空き地に、表にした大使館タイルを無作為に置く
- 最初に配布されるリソースは、影響マーカー4個(全体ストックから各プレイヤーの手元へ)と3金
プレイ上のポイント
- お金・名声ポイント・手元の影響マーカーは公開情報である。
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カードドラフト
とピリオドの流れ
- アクションフェイズの前に、各プレイヤーは自分のアクションカード山の上から3枚引く。この内1枚を選んで手元に残し、残りを左隣のプレイヤーに渡す。渡された2枚から、また1枚選んで左隣に渡す。すると、枠色が全部異なる3枚のカードがそのプレイヤーの手札となる。
スタートプレイヤーから順に1回ずつ、計2回のアクション行なう(3枚中の1枚はプレイできない)。その後、後述する買収フェイズ・疫病フェイズを挟んで1ラウンド終了、次のラウンドを同様にこなす。
3ラウンド経過した時点で各プレイヤーの山札が尽き、そのピリオドは終了となる。
- アクションフェイズ
- 手元からカードをプレイして実行する。様々なアクションがあり、概ね「勝利点を稼ぐ」「お金を稼ぐ」「影響マーカーの操作」「ネズミ対策」につながる効果を持っている。
- アクションを行なうには、プレイヤーボードの対応する建物に影響マーカーを新しく置く必要がある。これは、手元から出すか、他の建物から持ってくるかを選択する。
- ボード上に影響マーカーを新しく配置するアクションは、全体ストックではなく手元から出すよう指定されている。「全体ストックからマーカーを手元へ移す」「手元からプレイヤーボードへマーカーを置く」という基本の流れに慣れること。
- アクションを実行した際の効果量は、
影響力の数に応じて強化される
ので、同じアクションを繰り返し行なってマーカーを溜めると強力。
- 買収フェイズ
- ラウンドの最初にブラウンの山から2枚、グレーの山から1枚、計3枚の人物カードが開示される。そして買収フェイズで賄賂1金を支払うと、任意の人物の効果を得られる。買収対象は他プレイヤーとのブッキング可。
- 基本的には
コスト以上の働きをする人物ばかり
。貴重な追加手番でもあるので、ラウンド終了時は常に1金以上を確保しておきたい。
- 疫病フェイズ
- 人物カードは下段にネズミの絵が描かれている。買収フェイズ終了後、この3人のネズミ表示の合計数だけ自領地にネズミが増える。
- ネズミの数が「9」を超える(9ピッタリはセーフ)場合は、ネズミ表示は「9」に留まる。次に、名声ポイントを-2し、最も影響力の大きい建物からマーカー1個を
全体ストックに
戻す。
- 一部のアクションについて。
- 大聖堂
- このアクションでは、影響マーカーを大聖堂パーツに1個置いて献金を行ない、その額に応じた名声ポイント(献金1-2-3に対し、名声1-3-6)を得る。
また、ここにマーカーを置いたプレイヤーはピリオド終了時に名声ポイントのボーナスがもらえる。
【基礎点÷置いてあるマーカーの総数(端数切り捨て)=マーカー1つ当たりの点数】
- ピリオド終了時に、置かれていたマーカーは各プレイヤーの手元へ戻る。なお、「大聖堂のアクションカードをプレイする」以外の方法では、大聖堂へマーカーを置くことはできない。
- 馬車
- 影響マーカーの数だけボード上の馬車を道なりに移動させ、置かれている大使館タイルを手に入れる。
タイルは各色につき1個ずつしか取れず、全色1個ずつ揃えた場合のみ、同様のルールで再取得できるようになる。
- 獲得したタイルは非公開にしても良く、また好きなタイミングで使用可能。
- 友人
- 「友人」アクションでは影響マーカーは動かさず、対象の建物に友人コマを置き、対応する効果を得る。友人コマは影響マーカー1個分と同等。
これだけだと、手元からマーカーを出して普通にアクションを行なうのとあまり変わらないが、大聖堂へ派遣できない事を除き「9枚中のワイルドカード」のような位置づけと言える。また、人物カードの買収効果で友人コマを動かした場合でも、その建物に対応するアクションが発生する。
- 公園
- このアクションを実行してマーカーを置くと、即時でネズミ-1。また、ここに乗っている影響マーカー数に応じ、名声ポイントを得るごとに追加の名声(影響2につき名声+1)を得られる。
終了条件・得点計算
- 3ラウンド1セットのピリオドを3回繰り返してゲーム終了。最も多くの名声ポイントを得たプレイヤーの勝利となる。
- 名声ポイントが同点だった場合は、「お金と手元の影響マーカーの合計数」で順位を決める。
ゲームの流れ
- ピリオド開始
- ラウンド開始
- 人物カードを並べる
- アクションカードドラフト
- スタートプレイヤーから順にカードを1枚プレイしてアクション実行、各人2回のアクションを行なう
- 1金支払える人は人物カードの買収をする
- ネズミが増え、次のラウンドへ。ラウンドは3回行なう
- 9匹を超えたプレイヤーはペナルティ
- 3ラウンドが終了したら次のピリオドへ。ピリオドは3回行なう
- スタートプレイヤーを1つ後ろに移す
- アクションカード9枚の山を作り直す
3ラウンドを3セット回す。ラウンド内の5点の流れを把握すれば、あとは以下繰り返し。
コメント
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プレイ感と感想について |
- 難易度
- ルールが複雑とか手順が煩雑とかではなく(それらはむしろ楽な方)、プレイのコツを掴むのにハードルがあるタイプの難しさを持つ。要は、特殊能力とペナルティ設定が両方とも強力。匙加減を実感するまでに、数ラウンドか、いっそ1ゲーム丸ごとテストプレイに費やしても良いくらい。
- ネズミ
- 勝利点を稼ぐために様々な手段の用意されている本作だが、それを阻害する全プレイヤー共通の悩みのタネ「ネズミ」の存在感が非常に大きい。疫病対策はできて当たり前、そこから一歩先を行けるプレイヤーが点を伸ばせるという構図が、ゲーム全体を引き締めている。
他の経営系ゲームとのルール的な差別化や、テーマ再現にも貢献度大。
- カードドラフト
- そんなネズちゃん大繁殖で、何かと行動の自由が制限される悲しさよ。ここに彩を添えるのが、他人の動向のヒントとなるアクションカードドラフト。「やりたいアクションでも他人に渡さなければならない」ルールが場に揺らぎをもたらすと共に、「上家が優先しなかったアクション」という情報を得る事で手元に残したカードから勝ち筋に向かう一定の流れを作る、ゲームバランス調整における縁の下の力持ちである。
欠点
- 一見自由度が高そうに見えて案外そうでもない、という窮屈な印象を受けやすい。
数ある選択肢が狭められている分だけ、攻略の大ヒントであるドラフトに気合いを入れたいところではあるが、「“ゲーム全体のバランスを知ってからが本当の勝負”に付き合える人種」でなければ、ボードいじりの雰囲気をなんとなく楽しむところで止まってしまうのもやむ無し。散漫なプレイでは勝てないゲームと割り切るのが良いだろう。
お勧めタイプ
やる事盛りだくさん、互いの動きの読み合いあり、対処を怠るとドツボにはまるペナルティあり。十分な攻略難度の高さを持つ、ゲーマーズゲームである。ルール説明もすぐにはピンと来ない。しかし、その割にはゲーム進行の焦点が絞られていて、やってみれば接しやすい。
そして妨害らしい妨害は存在しない(あまり有効に働かない)ゲームなので、こ難しいのは嫌い、失敗したらペナルティがつくのは苦手、というマイナスの先入観が無いのであれば、まんべんなく人受けは良いタイプ。慣らし運転に付き合ってからもうひと勝負!といけるくらいに根性のあるプレイヤーにお勧めしたい。
【お勧め度:★★★★★★★☆☆-】
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その他
- 2人用ルール
- 大聖堂は、4人用の四角形パーツの裏面(これが2人用。ピリオド終了時の配点は6点)を使用。ボードは4枚並べるが、その内2つにはプレイヤーはつかない。
- 大使館タイルのみ4色分を用意し、それぞれのボードに通常通りランダムで並べる。
- カードドラフトは2パターンあり。
- 通常通りの手順を2人で行なうパターン。
初手の3枚中2枚を相手に渡し、次に渡された2枚中の1枚をまた相手に渡す。
3枚中相手に渡さなければならないのは1枚だけになる代わりに、アクション優先順位のバレっぷりが半端ない。
- 4人分のアクションカードを用意するパターン。
プレイヤーそれぞれの右隣に仮想プレイヤーを作り、そちらも配色を決めてアクションカードの山札を作る。ドラフトでは、初手の3枚から1枚を手札、1枚を捨て札とし、残りを相手に渡す。残る1枚は右隣の仮想プレイヤーの山から1枚引いて完了。ピリオド終了時のアクションカードリフレッシュも4人分行なう。
多少面倒くさいが、4人戦のバランスに近いドラフトになる。
FAQ
- Q:このゲーム、ネズミ増えるの早すぎませんか?
-
A:
その実感は合ってます。しかし、毎ラウンド同じペースで増える訳ではありません。極端にキツい局面を切り抜けた次は比較的楽になると信じて動く事を勧めます。
それに、人物カードが開かれるのはラウンドの最初、ネズミが増えるのは買収フェイズより後です。これだけヒントも時間的余裕もあって対策が遅れるのであれば、政をあずかる者として問題です。立ち回り方を根本的に見直した方が良いでしょう。
最終更新:2013年02月07日 12:25