村の人生
(原題:Village)
発売年 |
2011年 |
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プレイ人数 |
2~4人 |
プレイ時間 |
60~90分 |
対象年齢 |
12歳以上 |
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デザイナー |
Inka Brand Markus Brand |
備考 |
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ゲーム概要
あるなんでもない村に生きる、まだ何者でもない一族の物語です。
村で穀物を育て、匠の技を磨き、時には旅行に出かけたり、教会でミサをしたり。村の権力機構ともパイプを作り、一族を隆盛させましょう。そうして天命をまっとうした人物はその骨を村にうずめ、墓碑に名が刻まれます。
あなたの一族はどのような生き方を選び、村の歴史にその名を残すのでしょうか。
- ドイツの一般ゲームファンが選ぶ「ドイツゲーム大賞」2012年1位受賞。
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- 共通のメインボードに示される情報は、以下の通り。
なお、「3」「4」といった数字の書かれている場所は、プレイ人数に応じて数の調整が入ることを表す。- 村の年代記
- アクションエリア7箇所
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教会(茶)
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評議会(橙)
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職人の工房(黄)
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市場(青)
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旅行(緑)
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中央広場(紫)
・
教会広場(紫)
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広場と工房を除くアクションエリアの近くには楕円形の色が塗られていて、ここに影響キューブを置けるようになっている。
- 勝利点表示
- プレイヤーの農場ボードに示される情報は、以下の通り。
- 穀物貯蔵エリア
- 砂時計(寿命)トラック
- マーカーを置き、「時間の支払い」に応じて時計回りに動かす。
- この他、家族コマやリソース類をここに蓄えておく。
- 家族コマはいわゆるワーカー。1~4の数字が振られ、それは「世代」を表している。
なんとこのゲーム、進行に応じて
ワーカーが死ぬ
。
セットアップ
- 各プレイヤーは色を1色選び、道具一式と農場ボード、1金を受け取る
- 1の番号が振られた人物コマ4個を農場ボードに置く
- ボード上方の橋の右側にある「砂時計」のところにマーカーを1個置く
- ボード外周の得点領域にマーカーを1個置く
- 以下のコンポーネントは、盤の外で待機
- お金、穀物チップ、アイテムチップ(5種)、影響キューブ
- 市場の顧客タイルは裏返して山を作る
- 黒い僧侶コマは黒の巾着袋に入れる
- 5色のキューブを緑の巾着袋に入れ、ボード中央のエリアそれぞれにランダムに置く
- 袋に入れるキューブの内訳は、付属のセットアップカードを参照。黒6個は常に投入すること。
- プレイヤーの手番が回ってきたら、村の各所からキューブを必ず取得し、任意で対応するエリアでのアクションを行なう(行なわなくても良い)。
黒いキューブを獲得したら、自分のボードに置き、時間を2マス分支払う。
家族コマを使用するアクションでは、コマは農場ボードから出すこと。置かれたコマは、死ぬか戻すかするまでその場に残り続ける。
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村でのアクション |
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教会
- お布施(時間2マスか茶キューブ2個)をすると、コマを教会に送り込める。コマは黒袋の中に入れられ、ラウンド終了時の「ミサ」の参加資格を得る(後述)。
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評議会
- コマを送り込み、自分の位以下の効果を選んで実行できる。既にコマがいる場合は、時間とリソースを支払えば1段階ステップアップし、ご褒美の質も上がっていく。
また、地位の高い評議会議員は、ゲームの最後に追加点が入る。
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工房
- コマを任意の空きスペースに置き時間を支払うと、場所に対応するアイテムを1つ生産できる。同じ職人が同じアイテムを生産する場合は、支払う時間が短くなる。
また、コマを置かずに、所定のリソースを支払ってアイテムを生産する事もできる。
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市場
- 顧客タイルの要求するリソースを支払って、勝利点を増やす。このアクションのみ、必ず行なわなければならない。
タイル獲得の際は本来、追加コストとして緑キューブ1つと時間1マスを支払うところだが、アクションを選択したプレイヤーの1回目では免除される。その後はプレイヤー全員に順番に獲得権が回り、全員がパスするか並んだタイルが尽きるまで続く。
- 明るい青枠にあるのは今取れるタイル、暗い枠にあるのは次に並ぶタイル。売れたら順に前へずらし、タイルの山から待機枠にも補充する。
- 顧客タイルは獲得したら裏向きにして手元に置き、ゲームの最後に得点にする。
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旅行
- コマを送り込み、時間とリソースを消費して隣の町へ移動させると、そこに書かれたご褒美を獲得し、自分の色のマーカーが置かれる。既に旅行中のコマを動かしても良い。
また、旅行で踏破した場所の数に応じて、ゲームの最後に追加点が入る。
- 旅行先でのご褒美が発生するのは、自分のマーカーがまだ置かれていない最初の1回のみ。
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中央広場
- 農場に家族コマがある場合、穀物を2つ獲得(上限は5)する。
なお、所定のアイテムを揃えれば、穀物の収穫量を最大4まで増やせる。
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教会広場
- 家族コマを1つ、
数字の若いものから
農場ボードに増やす。
または、農場の外に出ている存命中の家族コマを農場に戻す。
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井戸
(特殊:代替アクション)
- 各影響キューブ(橙・緑・青・紫)の同じ色3つを支払い、任意の1アクションを実行する。ゲーム中唯一、「キューブを獲得して~」以外の方法でアクションを行なえる。
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- 何かというと支払いを求められる、農場ボードの砂時計トラック。これは時間の経過を意味し、一周すると一族の誰かが死亡する。
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数字の若いコマの中から任意の1人
を、村の年代記に移動する。
コマは死亡時点で従事していた仕事に対応した色の枠へ収める(農場にいた場合は紫)。人数オーバーの場合は墓場へ収める。
- お金は「任意の影響マーカー1個」の代わりとして使用しても良い。
- ラウンド終了時処理
全てのキューブがメインボード上からなくなったら、そのラウンドは終了。- ミサ
- スタートプレイヤーから順に、黒い袋からコマをランダムに1個、合計が4個になるまで出す。1金を支払えば任意の家族コマを1個出しても良い。
一巡した後、コマの数が4に足りない分はスタートプレイヤーがランダムで引く。
- 僧侶コマは袋に戻し、引かれた家族コマは教会の右端に並べる。
その後、スタートプレイヤーから順に1回ずつ、置かれているコマに対し所定の穀物を支払って1段階ステップアップするかの選択権が回る。穀物を支払えるなら、一度に複数のコマを移動させても良い。
- 教会にいる家族コマの数が最も多いプレイヤーは勝利点+2。同数の場合は、左側に位置するコマのプレイヤーが多数派となる。それも同数の場合は、双方に勝利点+2。
また、ゲームの最後にも追加点が入る。
- ミサはゲーム終了時にも行なわれる。
- セットアップカードに示された数のキューブ(補給分が足りない場合はあるだけ全部)をボード上に補給する。
- 評議会の「次のスタートプレイヤーマーカー」の獲得があった場合のみ、スタートプレイヤーを移して次のラウンド開始。それ以外でのスタートプレイヤー変更はない。その後、マーカーは評議会に戻す。
終了条件・得点計算
- 年代記、または墓場がコマで埋まった時点で、残りのプレイヤーが1回ずつアクションを行ない、最後のミサを行なって終了。
- それまでのゲームで得た点数の他に、以下の要素が勝利点として加算される。
- 年代記……名前が乗った自分の色のコマの数に応じて加点
- 旅行……踏破した町の数に応じて加点
- 教会、評議会……コマがいる位に応じて加点
- 顧客タイル……タイルの表示分加点
- お金……1金で1点
ゲームの流れ
- メインボードにキューブを並べる
- スタートプレイヤーから順に、ボードのキューブを取る。その後、そのエリアに対応するアクションを行なっても良い
- 人生の支払いによってマーカーが1周したら、人物コマを死亡させる
- ゲーム終了条件を満たすまで2を繰り返す。ゲーム終了後、最後のミサを行なって得点集計
- キューブが全てなくなったら、ラウンド終了処理の後2へ戻る
- 教会のミサを行なう
- ボードをリフレッシュ(新しいキューブを置く、市場の商品を流す)
村の各所から、キューブを取って、そこで何かやって。基本はこの繰り返しで、キューブが無くなったら教会のミサ。
アクションの細かい内容をさておけば、流れ自体はシンプル。
コメント
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プレイ感と感想について |
- 難易度・バランス
- リソースの種類が多い事と、勝利点の付き方が独特な事と、何より人が死ぬペースの掴みにくさで、できればテストプレイを推奨したい程度の難易度ではある。とはいえ、やってみるとルールそのものはさほど難しくなく、何でもいいから動いてみればある程度回せる緩めのバランスで整っている。
1世代目が存外早く死んでしまうと実感するくらいまでやれば、仕切り直すなり続行なりで本戦に移っても平気だろう。
- ゲーム性
- 偉業とは、他人に先んじる事と見つけたり。プレイヤー1人だけでは用意された要素全てには手が回らない本作では、人がまだ手をつけていないおいしい生き方をいち早く見出して実践する、そういうゲームかと思える。
ただし、何をするにも人手・元手がいるという現実もきちんと再現されてしまっているので、地道なワーカープレイスメント・リソースマネジメント色も強い。更にコストの支払いは「素材・アイテム・お金・時間・ワーカー(ワーカーも消耗品というのは珍しいかも?)」と、交換レートの複雑に絡み合った多様な要求をされる。考える要素はてんこ盛りで、ずっしり食べごたえのある仕上がり。
- テーマ
- 勝利点につながる道は数多く用意され、「たった一つの最適解」発掘作業とは全く異なる自由度の高さを持つ。ただ生きそして死ぬ事に意味のあるゲーム内容は、村で生活するというテーマにぴったり。まさしく人生。
また、似たようなコンセプトを持つ他のゲームはなかなか見当たらず、個性もある。
欠点
- 幅広い層に受けるポテンシャルはあるが、プレイの勘所を口で説明しにくく各リソースの関係も複雑怪奇で、取っ付きやすいとは言えない。
どこから手をつけていいやら判らず寿命に怯える初心者さんには「とりあえず何かやってみる」の前のめり精神をセットで伝えておきたい。インストの腕の見せ所である。
- そんなむりやりな難癖以外に、明らかな欠点はなし。自由度の高さを思えばありがたい良調整。
お勧めタイプ
複雑ではあるが、基本的には「何かすれば何か貰える」「何か払えば何か貰える」要素中心で構成された嫌味の無いゲーム。
村に生き、己の道を歩んで死ぬ、その雰囲気だけでも十分に楽しい生活SLGである。ボードゲームとしては珍しくジャケ買いOK。
ゲームのテンポは特に速くなく、ゆったりとプレイしている内に「人の死」を自然に受け入れられるようになる。余暇の時間を多めに取れるのであれば、類似作の少ないこのゲームに触れ、是非色々な生き方を試してみてほしいと思う。
【お勧め度:★★★★★★★★--】
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FAQ
- Q:これ鬱ゲー?
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A:
やってみるとわかりますが、全然悲壮感はありません。人は死して名を残します。また、命は次の世代へとつながっていく事を忘れないでください。
むしろ、ゲーム的には「我先に」と死にたがたる人もいるような。
- Q:4色のキューブそれぞれに意味はあるのですか?
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A:
橙は「スキル」ピンクは「知識」緑は「説得」茶色は「信仰」を、それぞれ意味するそうです。例えば評議会で説得力、教会で信仰が要求されるのは自然ですね。
旅に出るのにスキルや信仰がいるところを見ると、現代日本人がひょいと遊びに出かけるのとはワケが違うようです。踏破率で勝利点がもらえるくらいですから、険しい試練の道なのでしょう。
ちなみに、黒は「病気」。寿命がその分縮んでいます。
- Q:ゲーム終了トリガーが引かれ最後の1アクションとなりましたが、場にキューブが残っていません。理不尽です。
-
A:
その場合のみ、仕方が無いということで任意のアクションを選べます。キューブを獲得できない代わりに、そのくらいはサービスします。
最終更新:2013年02月19日 13:15